24 / 64
第24話 聖女、イケメン王子さまと婚約してしまう?
しおりを挟む
「えっと、はい。わたしはまだ17歳ですし、それにシェンロンにいた時は、『神龍の巫女』の仕事が毎日忙しくて、それどころではなかったと言いますか……なかなか男の人と知り合うこともなかったので……」
ほとんど毎日、神龍さまとコンタクトしてはご機嫌取りに奔走してたわたしは、男の人と仲良くなる暇なんてちっともなかった。
「ふむ、そうか……それは好都合ではあるな。ではクレア殿、ライオネルなどはどうじゃ?」
「ふぇ?」
わたしの頭に「?マーク」が浮かぶ。
王さまはさっきから、なにを言ってるんだろう?
「親のワシが言うのもなんなのだが、ライオネルはとてもよくできた自慢の息子でな。なのにハタチも過ぎたというのに、浮いた話1つ無いときた」
「はい。ライオネルは、すごく素敵な男性だと思いますけど……」
だから何の話なの?
「クレア殿、単刀直入に言おう。よければライオネルの妻にならないか?」
「はい……? つま……?」
よく分からなくて、わたしは首をかしげる。
「ち、父上! 急に何をおっしゃっているのです!」
ライオネルがビックリしたように声をあげてから、わたしはやっと言葉の意味を理解した。
……ええっ!?
うええっっ!?
わたしがライオネルの妻!?
それって、それって、結婚ってこと!?
ライオネルと!? わたしが!?
ふええぇぇぇぇっっ!?
「で、ですが王さま。その、王族と庶民じゃ、身分の差もありますし……」
「ははは、何を言っておる。すでにクレア殿は伯爵、貴族となったのだ。なにより、国の危機を救った英雄でもある。まったくもって何の問題もない――どころかこれほどの相手を探すのは、いかにライオネルと言えども難しいだろうて」
「で、ですが……」
だってそんな!?
そんなこと急に言われても!?
ライオネルを見ると、バッチリと目が合ってしまった。
わたしはその瞬間、自分の顔がまっ赤っ赤になったのが分かった。
へたれたわたしは、そのまま視線をそらしてしまう。
「父上、こういうのは気持ちが大事なのです。クレア殿の気持ちもお考え下さい」
そんなわたしを見て、ライオネルがわたしを気づかうように優しく言った。
すると、
「ふむ。では聞いてみようかの? クレア殿は、ライオネルでは不満かの?」
王さまはわたしに、そんなことを聞いてくるんだよ!?
「ま、まさかそんなことは、全然ちっとも! 可能性すらありません! むしろライオネルが、わたしなんかが相手だと不満じゃないかなって思います!」
だからわたしは、そんな当然のことを言ったんだけど、
「ボクがクレアに不満なんて、あるわけがないだろう?」
ライオネルまで、急にそんなことを言いだしたの!
「ふぇぇぇっっっ!???」
な、なにがいったいどうなってるのっ!?
さっきから、わたしの頭じゃ理解しきれないことが、次から次へと起こってるんだけど!
パニック寸前のわたしに、さらに追い打ちをかけるように、
「クレア、正直に言うよ。ボクはずっと君に好意を抱いていたんだ」
ライオネルが真剣な顔をして、言ったんだ。
な、なんですとぉ!?
「だ、だってわたしたち、まだ知り合ったばかりだし――」
そ、そうだよ。
今なんとなく口から出た理由だったけど、わたしたちってばまだ知り合って1週間じゃない!?
そりゃね、もう2人でなんちゃって同棲とかしちゃってるけど!
一緒のベッドでぎゅっ、とかされながら寝ちゃってるけど!
ライオネルは、すっごくすっごく素敵な男の人なんだけど!
でもでもやっぱり!
知り合ってすぐだから、きっとライオネルはわたしの一部しか見てないと思うし!
男子顔負けのなだらかな胸を持ったちんちくりんのわたしじゃ、ライオネルに釣り合わな過ぎて申し訳ないっていうか!
あとでライオネルは、きっと後悔するって思っちゃうから!
わたしはそういう内容のことを、しどろもどろで説明した。
元からあんまり説明が上手じゃないうえに、激しくテンパってたから説明はほんとグダグダだった。
それでもライオネルは、そんなわたしのグダグダな説明を、最後までしっかりと聞いてくれて。
そして、すごく優しく言ったんだ。
「クレアはボクを知ってすぐかもだけど。ボクは違うんだ。ずっと前から君のことを知っていたんだ」
――って。
ほとんど毎日、神龍さまとコンタクトしてはご機嫌取りに奔走してたわたしは、男の人と仲良くなる暇なんてちっともなかった。
「ふむ、そうか……それは好都合ではあるな。ではクレア殿、ライオネルなどはどうじゃ?」
「ふぇ?」
わたしの頭に「?マーク」が浮かぶ。
王さまはさっきから、なにを言ってるんだろう?
「親のワシが言うのもなんなのだが、ライオネルはとてもよくできた自慢の息子でな。なのにハタチも過ぎたというのに、浮いた話1つ無いときた」
「はい。ライオネルは、すごく素敵な男性だと思いますけど……」
だから何の話なの?
「クレア殿、単刀直入に言おう。よければライオネルの妻にならないか?」
「はい……? つま……?」
よく分からなくて、わたしは首をかしげる。
「ち、父上! 急に何をおっしゃっているのです!」
ライオネルがビックリしたように声をあげてから、わたしはやっと言葉の意味を理解した。
……ええっ!?
うええっっ!?
わたしがライオネルの妻!?
それって、それって、結婚ってこと!?
ライオネルと!? わたしが!?
ふええぇぇぇぇっっ!?
「で、ですが王さま。その、王族と庶民じゃ、身分の差もありますし……」
「ははは、何を言っておる。すでにクレア殿は伯爵、貴族となったのだ。なにより、国の危機を救った英雄でもある。まったくもって何の問題もない――どころかこれほどの相手を探すのは、いかにライオネルと言えども難しいだろうて」
「で、ですが……」
だってそんな!?
そんなこと急に言われても!?
ライオネルを見ると、バッチリと目が合ってしまった。
わたしはその瞬間、自分の顔がまっ赤っ赤になったのが分かった。
へたれたわたしは、そのまま視線をそらしてしまう。
「父上、こういうのは気持ちが大事なのです。クレア殿の気持ちもお考え下さい」
そんなわたしを見て、ライオネルがわたしを気づかうように優しく言った。
すると、
「ふむ。では聞いてみようかの? クレア殿は、ライオネルでは不満かの?」
王さまはわたしに、そんなことを聞いてくるんだよ!?
「ま、まさかそんなことは、全然ちっとも! 可能性すらありません! むしろライオネルが、わたしなんかが相手だと不満じゃないかなって思います!」
だからわたしは、そんな当然のことを言ったんだけど、
「ボクがクレアに不満なんて、あるわけがないだろう?」
ライオネルまで、急にそんなことを言いだしたの!
「ふぇぇぇっっっ!???」
な、なにがいったいどうなってるのっ!?
さっきから、わたしの頭じゃ理解しきれないことが、次から次へと起こってるんだけど!
パニック寸前のわたしに、さらに追い打ちをかけるように、
「クレア、正直に言うよ。ボクはずっと君に好意を抱いていたんだ」
ライオネルが真剣な顔をして、言ったんだ。
な、なんですとぉ!?
「だ、だってわたしたち、まだ知り合ったばかりだし――」
そ、そうだよ。
今なんとなく口から出た理由だったけど、わたしたちってばまだ知り合って1週間じゃない!?
そりゃね、もう2人でなんちゃって同棲とかしちゃってるけど!
一緒のベッドでぎゅっ、とかされながら寝ちゃってるけど!
ライオネルは、すっごくすっごく素敵な男の人なんだけど!
でもでもやっぱり!
知り合ってすぐだから、きっとライオネルはわたしの一部しか見てないと思うし!
男子顔負けのなだらかな胸を持ったちんちくりんのわたしじゃ、ライオネルに釣り合わな過ぎて申し訳ないっていうか!
あとでライオネルは、きっと後悔するって思っちゃうから!
わたしはそういう内容のことを、しどろもどろで説明した。
元からあんまり説明が上手じゃないうえに、激しくテンパってたから説明はほんとグダグダだった。
それでもライオネルは、そんなわたしのグダグダな説明を、最後までしっかりと聞いてくれて。
そして、すごく優しく言ったんだ。
「クレアはボクを知ってすぐかもだけど。ボクは違うんだ。ずっと前から君のことを知っていたんだ」
――って。
1
お気に入りに追加
3,321
あなたにおすすめの小説
お姉様に押し付けられて代わりに聖女の仕事をする事になりました
花見 有
恋愛
聖女である姉へレーナは毎日祈りを捧げる聖女の仕事に飽きて失踪してしまった。置き手紙には妹のアメリアが代わりに祈るように書いてある。アメリアは仕方なく聖女の仕事をする事になった。
ボロボロになるまで働いたのに見た目が不快だと追放された聖女は隣国の皇子に溺愛される。……ちょっと待って、皇子が三つ子だなんて聞いてません!
沙寺絃
恋愛
ルイン王国の神殿で働く聖女アリーシャは、早朝から深夜まで一人で激務をこなしていた。
それなのに聖女の力を理解しない王太子コリンから理不尽に追放を言い渡されてしまう。
失意のアリーシャを迎えに来たのは、隣国アストラ帝国からの使者だった。
アリーシャはポーション作りの才能を買われ、アストラ帝国に招かれて病に臥せった皇帝を助ける。
帝国の皇子は感謝して、アリーシャに深い愛情と敬意を示すようになる。
そして帝国の皇子は十年前にアリーシャと出会った事のある初恋の男の子だった。
再会に胸を弾ませるアリーシャ。しかし、衝撃の事実が発覚する。
なんと、皇子は三つ子だった!
アリーシャの幼馴染の男の子も、三人の皇子が入れ替わって接していたと判明。
しかも病から復活した皇帝は、アリーシャを皇子の妃に迎えると言い出す。アリーシャと結婚した皇子に、次の皇帝の座を譲ると宣言した。
アリーシャは個性的な三つ子の皇子に愛されながら、誰と結婚するか決める事になってしまう。
一方、アリーシャを追放したルイン王国では暗雲が立ち込め始めていた……。
孤島送りになった聖女は、新生活を楽しみます
天宮有
恋愛
聖女の私ミレッサは、アールド国を聖女の力で平和にしていた。
それなのに国王は、平和なのは私が人々を生贄に力をつけているからと罪を捏造する。
公爵令嬢リノスを新しい聖女にしたいようで、私は孤島送りとなってしまう。
島から出られない呪いを受けてから、転移魔法で私は孤島に飛ばさていた。
その後――孤島で新しい生活を楽しんでいると、アールド国の惨状を知る。
私の罪が捏造だと判明して国王は苦しんでいるようだけど、戻る気はなかった。
お堅い公爵様に求婚されたら、溺愛生活が始まりました
群青みどり
恋愛
国に死ぬまで搾取される聖女になるのが嫌で実力を隠していたアイリスは、周囲から無能だと虐げられてきた。
どれだけ酷い目に遭おうが強い精神力で乗り越えてきたアイリスの安らぎの時間は、若き公爵のセピアが神殿に訪れた時だった。
そんなある日、セピアが敵と対峙した時にたまたま近くにいたアイリスは巻き込まれて怪我を負い、気絶してしまう。目が覚めると、顔に傷痕が残ってしまったということで、セピアと婚約を結ばれていた!
「どうか怪我を負わせた責任をとって君と結婚させてほしい」
こんな怪我、聖女の力ですぐ治せるけれど……本物の聖女だとバレたくない!
このまま正体バレして国に搾取される人生を送るか、他の方法を探して婚約破棄をするか。
婚約破棄に向けて悩むアイリスだったが、罪悪感から求婚してきたはずのセピアの溺愛っぷりがすごくて⁉︎
「ずっと、どうやってこの神殿から君を攫おうかと考えていた」
麗しの公爵様は、今日も聖女にしか見せない笑顔を浮かべる──
※タイトル変更しました
【完結】私を虐げる姉が今の婚約者はいらないと押し付けてきましたが、とても優しい殿方で幸せです 〜それはそれとして、家族に復讐はします〜
ゆうき@初書籍化作品発売中
恋愛
侯爵家の令嬢であるシエルは、愛人との間に生まれたせいで、父や義母、異母姉妹から酷い仕打ちをされる生活を送っていた。
そんなシエルには婚約者がいた。まるで本物の兄のように仲良くしていたが、ある日突然彼は亡くなってしまった。
悲しみに暮れるシエル。そこに姉のアイシャがやってきて、とんでもない発言をした。
「ワタクシ、とある殿方と真実の愛に目覚めましたの。だから、今ワタクシが婚約している殿方との結婚を、あなたに代わりに受けさせてあげますわ」
こうしてシエルは、必死の抗議も虚しく、身勝手な理由で、新しい婚約者の元に向かうこととなった……横暴で散々虐げてきた家族に、復讐を誓いながら。
新しい婚約者は、社交界でとても恐れられている相手。うまくやっていけるのかと不安に思っていたが、なぜかとても溺愛されはじめて……!?
⭐︎全三十九話、すでに完結まで予約投稿済みです。11/12 HOTランキング一位ありがとうございます!⭐︎
聖女召喚に巻き込まれた挙句、ハズレの方と蔑まれていた私が隣国の過保護な王子に溺愛されている件
バナナマヨネーズ
恋愛
聖女召喚に巻き込まれた志乃は、召喚に巻き込まれたハズレの方と言われ、酷い扱いを受けることになる。
そんな中、隣国の第三王子であるジークリンデが志乃を保護することに。
志乃を保護したジークリンデは、地面が泥濘んでいると言っては、志乃を抱き上げ、用意した食事が熱ければ火傷をしないようにと息を吹きかけて冷ましてくれるほど過保護だった。
そんな過保護すぎるジークリンデの行動に志乃は戸惑うばかり。
「私は子供じゃないからそんなことしなくてもいいから!」
「いや、シノはこんなに小さいじゃないか。だから、俺は君を命を懸けて守るから」
「お…重い……」
「ん?ああ、ごめんな。その荷物は俺が持とう」
「これくらい大丈夫だし、重いってそういうことじゃ……。はぁ……」
過保護にされたくない志乃と過保護にしたいジークリンデ。
二人は共に過ごすうちに知ることになる。その人がお互いの運命の人なのだと。
全31話
運命に勝てない当て馬令嬢の幕引き。
ぽんぽこ狸
恋愛
気高き公爵家令嬢オリヴィアの護衛騎士であるテオは、ある日、主に天啓を受けたと打ち明けられた。
その内容は運命の女神の聖女として召喚されたマイという少女と、オリヴィアの婚約者であるカルステンをめぐって死闘を繰り広げ命を失うというものだったらしい。
だからこそ、オリヴィアはもう何も望まない。テオは立場を失うオリヴィアの事は忘れて、自らの道を歩むようにと言われてしまう。
しかし、そんなことは出来るはずもなく、テオも将来の王妃をめぐる運命の争いの中に巻き込まれていくのだった。
五万文字いかない程度のお話です。さくっと終わりますので読者様の暇つぶしになればと思います。
偽物と断罪された令嬢が精霊に溺愛されていたら
影茸
恋愛
公爵令嬢マレシアは偽聖女として、一方的に断罪された。
あらゆる罪を着せられ、一切の弁明も許されずに。
けれど、断罪したもの達は知らない。
彼女は偽物であれ、無力ではなく。
──彼女こそ真の聖女と、多くのものが認めていたことを。
(書きたいネタが出てきてしまったゆえの、衝動的短編です)
(少しだけタイトル変えました)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる