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第24話 聖女、イケメン王子さまと婚約してしまう?

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「えっと、はい。わたしはまだ17歳ですし、それにシェンロンにいた時は、『神龍の巫女』の仕事が毎日忙しくて、それどころではなかったと言いますか……なかなか男の人と知り合うこともなかったので……」

 ほとんど毎日、神龍さまとコンタクトしてはご機嫌取りに奔走ほんそうしてたわたしは、男の人と仲良くなる暇なんてちっともなかった。

「ふむ、そうか……それは好都合ではあるな。ではクレア殿、ライオネルなどはどうじゃ?」

「ふぇ?」

 わたしの頭に「?マーク」が浮かぶ。
 王さまはさっきから、なにを言ってるんだろう?

「親のワシが言うのもなんなのだが、ライオネルはとてもよくできた自慢の息子でな。なのにハタチも過ぎたというのに、浮いた話1つ無いときた」

「はい。ライオネルは、すごく素敵な男性だと思いますけど……」

 だから何の話なの?

「クレア殿、単刀直入に言おう。よければライオネルの妻にならないか?」

「はい……? つま……?」

 よく分からなくて、わたしは首をかしげる。

「ち、父上! 急に何をおっしゃっているのです!」
 ライオネルがビックリしたように声をあげてから、わたしはやっと言葉の意味を理解した。

 ……ええっ!?
 うええっっ!?

 わたしがライオネルの妻!?
 それって、それって、結婚ってこと!?

 ライオネルと!? わたしが!?

 ふええぇぇぇぇっっ!?

「で、ですが王さま。その、王族と庶民じゃ、身分の差もありますし……」

「ははは、何を言っておる。すでにクレア殿は伯爵、貴族となったのだ。なにより、国の危機を救った英雄でもある。まったくもって何の問題もない――どころかこれほどの相手を探すのは、いかにライオネルと言えども難しいだろうて」

「で、ですが……」

 だってそんな!?
 そんなこと急に言われても!?

 ライオネルを見ると、バッチリと目が合ってしまった。
 わたしはその瞬間、自分の顔がまっになったのが分かった。

 へたれたわたしは、そのまま視線をそらしてしまう。

「父上、こういうのは気持ちが大事なのです。クレア殿の気持ちもお考え下さい」

 そんなわたしを見て、ライオネルがわたしを気づかうように優しく言った。
 すると、

「ふむ。では聞いてみようかの? クレア殿は、ライオネルでは不満かの?」

 王さまはわたしに、そんなことを聞いてくるんだよ!?

「ま、まさかそんなことは、全然ちっとも! 可能性すらありません! むしろライオネルが、わたしなんかが相手だと不満じゃないかなって思います!」

 だからわたしは、そんな当然のことを言ったんだけど、

「ボクがクレアに不満なんて、あるわけがないだろう?」

 ライオネルまで、急にそんなことを言いだしたの!

「ふぇぇぇっっっ!???」

 な、なにがいったいどうなってるのっ!?
 さっきから、わたしの頭じゃ理解しきれないことが、次から次へと起こってるんだけど!

 パニック寸前のわたしに、さらに追い打ちをかけるように、

「クレア、正直に言うよ。ボクはずっと君に好意を抱いていたんだ」
 ライオネルが真剣な顔をして、言ったんだ。

 な、なんですとぉ!?

「だ、だってわたしたち、まだ知り合ったばかりだし――」

 そ、そうだよ。
 今なんとなく口から出た理由だったけど、わたしたちってばまだ知り合って1週間じゃない!?

 そりゃね、もう2人でなんちゃって同棲とかしちゃってるけど!
 一緒のベッドでぎゅっ、とかされながら寝ちゃってるけど!

 ライオネルは、すっごくすっごく素敵な男の人なんだけど!

 でもでもやっぱり!
 知り合ってすぐだから、きっとライオネルはわたしの一部しか見てないと思うし!

 男子顔負けのなだらかな胸を持ったちんちくりんのわたしじゃ、ライオネルに釣り合わな過ぎて申し訳ないっていうか!
 あとでライオネルは、きっと後悔するって思っちゃうから!

 わたしはそういう内容のことを、しどろもどろで説明した。

 元からあんまり説明が上手じゃないうえに、激しくテンパってたから説明はほんとグダグダだった。

 それでもライオネルは、そんなわたしのグダグダな説明を、最後までしっかりと聞いてくれて。

 そして、すごく優しく言ったんだ。
 
「クレアはボクを知ってすぐかもだけど。ボクは違うんだ。ずっと前から君のことを知っていたんだ」

 ――って。
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