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第20話 明日の予定
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水龍さまの不調の原因を突きとめてから、数日後。
「目星をつけて絞り込んで、ある程度は探索も終えた。明日、残る最後の山を探索する予定だ」
夜、ベッドで向かい合ったライオネルが言った。
もちろん同じベッドだからと言って、いわゆる一つの大人の行為をしてるわけじゃない。
単に共同生活をしてるだけだった。
王子さまと庶民だしね。
身分の違いは、天と地ほどに大きいもん。
いくらわたしがアホの子でも、そんな大それた妄想を夢見たりはしないのだ。
ただ、どうもライオネルは抱き着き癖があるみたいで、寝ていると毎日のように抱きしめられちゃっていた。
ライオネルは毎日のように朝起きてすぐ謝ってくるんだけど、今じゃもうそれが朝の挨拶みたいになってるわたしたちだった。
っていうか、わたし的には毎日幸せな気分にさせてもらって、超ラッキーだし?
あ、でもそっか。
明日、無事にこの一件が解決したら、ライオネルとわたしが一緒に生活する理由もなくなるんだよね。
ってことは、今日がライオネルと一緒に寝る、最後の夜になるかもしれないのかぁ……ちょっと残念だな……。
でもライオネルは王族で、わたしは庶民だからしかたない。
わたしは気分を切り替えて言った。
「うまくいくように祈ってます」
「そのことなんだけど――」
ライオネルがわたしの目をじっと見た。
イケメン王子さまにベッドの中で見つめられて、わたしはドギマギしてしまう。
10秒ほど黙って見つめてから、ライオネルが口を開いた。
「明日はクレアにもついてきてもらえないかな?」
「わたしがですか? それは構いませんけど、それまたどうしてでしょうか?」
今さらわたしが行っても、なんの足しにもならないと思うけど……。
「もし君がイヤじゃなければ、今回の立役者として『水龍の巫女』を大々的にアピールしたいんだ」
「……と、言いますと?」
わたしはアホなので、ライオネルがなにを言いたいのか、イマイチ話が見えていなかった。
そんな察しの悪いわたしに、ライオネルはとても丁寧で、すごく優しい口調で説明してくれる。
「ブリスタニアの国民は今、いつ明けるともしれない長雨に苦しんでいる。けれどそれももう終わりなのだと広く知らしめるのに、君ほどの適任者はいないとボクは思ってるんだ」
「ああ、そう言うことですか。それでしたら、喜んで協力いたします」
広告塔ってというやつだよね。
あれ?
ちがう?
ま、いっか。
「それともう1つ、これはボクの個人的な気持ちなんだけど」
「はい、なんでしょう?」
おや、まだ他に違う意味があるのかしら?
1つのことで2度おいしい、一石二鳥ってやつかな?
「今回の一件が解決できたとしたら、それは紛れもなくクレアのおかげだ。だからぜひ、クレアにもその解決の瞬間に、立ち会ってもらいたいんだ」
「あ――」
「クレアは、シェンロン王国で正しい評価を受けてこなかった。その全てを、理不尽に取り上げられてしまっていた。でもここでは違う。ボクたちブリスタニア王国は、君を『水龍の巫女』として正しく評価する。そのための最初の一歩を、ここで用意しようと思うんだ」
ライオネルのその言葉に、
「ライオネル……ありごとうございます」
わたしは嬉しさで胸がいっぱいになっていた。
だってそうでしょう?
わたしなんかのために。
わたしのことを思って。
こんなにも色んなことを、ライオネルが考えてくれてるんだもん!
「そういうわけだから、明日は一緒に来てくれるかな?」
ライオネルが優しく微笑んで、
「もちろん喜んでお供します!」
わたしは力いっぱい、オッケーの返事をしたのだった。
こうして、最後の夜は。
最高に素敵に過ぎていったのだった――。
「目星をつけて絞り込んで、ある程度は探索も終えた。明日、残る最後の山を探索する予定だ」
夜、ベッドで向かい合ったライオネルが言った。
もちろん同じベッドだからと言って、いわゆる一つの大人の行為をしてるわけじゃない。
単に共同生活をしてるだけだった。
王子さまと庶民だしね。
身分の違いは、天と地ほどに大きいもん。
いくらわたしがアホの子でも、そんな大それた妄想を夢見たりはしないのだ。
ただ、どうもライオネルは抱き着き癖があるみたいで、寝ていると毎日のように抱きしめられちゃっていた。
ライオネルは毎日のように朝起きてすぐ謝ってくるんだけど、今じゃもうそれが朝の挨拶みたいになってるわたしたちだった。
っていうか、わたし的には毎日幸せな気分にさせてもらって、超ラッキーだし?
あ、でもそっか。
明日、無事にこの一件が解決したら、ライオネルとわたしが一緒に生活する理由もなくなるんだよね。
ってことは、今日がライオネルと一緒に寝る、最後の夜になるかもしれないのかぁ……ちょっと残念だな……。
でもライオネルは王族で、わたしは庶民だからしかたない。
わたしは気分を切り替えて言った。
「うまくいくように祈ってます」
「そのことなんだけど――」
ライオネルがわたしの目をじっと見た。
イケメン王子さまにベッドの中で見つめられて、わたしはドギマギしてしまう。
10秒ほど黙って見つめてから、ライオネルが口を開いた。
「明日はクレアにもついてきてもらえないかな?」
「わたしがですか? それは構いませんけど、それまたどうしてでしょうか?」
今さらわたしが行っても、なんの足しにもならないと思うけど……。
「もし君がイヤじゃなければ、今回の立役者として『水龍の巫女』を大々的にアピールしたいんだ」
「……と、言いますと?」
わたしはアホなので、ライオネルがなにを言いたいのか、イマイチ話が見えていなかった。
そんな察しの悪いわたしに、ライオネルはとても丁寧で、すごく優しい口調で説明してくれる。
「ブリスタニアの国民は今、いつ明けるともしれない長雨に苦しんでいる。けれどそれももう終わりなのだと広く知らしめるのに、君ほどの適任者はいないとボクは思ってるんだ」
「ああ、そう言うことですか。それでしたら、喜んで協力いたします」
広告塔ってというやつだよね。
あれ?
ちがう?
ま、いっか。
「それともう1つ、これはボクの個人的な気持ちなんだけど」
「はい、なんでしょう?」
おや、まだ他に違う意味があるのかしら?
1つのことで2度おいしい、一石二鳥ってやつかな?
「今回の一件が解決できたとしたら、それは紛れもなくクレアのおかげだ。だからぜひ、クレアにもその解決の瞬間に、立ち会ってもらいたいんだ」
「あ――」
「クレアは、シェンロン王国で正しい評価を受けてこなかった。その全てを、理不尽に取り上げられてしまっていた。でもここでは違う。ボクたちブリスタニア王国は、君を『水龍の巫女』として正しく評価する。そのための最初の一歩を、ここで用意しようと思うんだ」
ライオネルのその言葉に、
「ライオネル……ありごとうございます」
わたしは嬉しさで胸がいっぱいになっていた。
だってそうでしょう?
わたしなんかのために。
わたしのことを思って。
こんなにも色んなことを、ライオネルが考えてくれてるんだもん!
「そういうわけだから、明日は一緒に来てくれるかな?」
ライオネルが優しく微笑んで、
「もちろん喜んでお供します!」
わたしは力いっぱい、オッケーの返事をしたのだった。
こうして、最後の夜は。
最高に素敵に過ぎていったのだった――。
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