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「逆転人生 恋とお金の物語」 俺の元カノは年収2000万彼氏につられて俺を振ったみたいだが、俺って実は大富豪の孫だった件。
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「ごめんね、太郎。別れよ?」
佐藤太郎はある日、恋人の松島恋音からいきなり別れ話を告げられた。
「急にどうしたんだよ恋音。別れようってなんだよ?」
「素敵なダーリンができたの」
「は? なんだよそれ、二股してたってことか?」
太郎のもっともな疑問を、だけど恋音はさらりとスルーすると、言った。
「大手上場企業のエリート社員で、まだ20代なのに年収は2000万円なんだよ? すごくない?」
「お前の基準は金、なのかよ?」
「お金は大事で書? 太郎はわりといい男だけど、でも年収2000万プレイヤーにはちょっとならないかなって? だからごめんね♪」
こうして、大学生の佐藤太郎は恋人の松島恋音にこっぴどく振られたのだった。
いやこれはもう「捨てられた」と言った方がいいかもしれなかった。
太郎はこの手ひどい失恋から立ち直れず、しばらくは人間不信で自暴自棄になっていた。
しかし、とある大富豪がなくなったことで、太郎の人生は大きく変わることになる。
というのも、なんとその大富豪は太郎の祖父だったのだ。
祖父から相続した莫大な財産とコネクションのおかげで、太郎は一気にその才能を開花させ、社交界に進出し、政財界にパイプを作り、今や太郎は日本を動かすキープレイヤーの一人として頭角を現しつつあった。
そんなある日、大きな仕事をまた一つやってのけた太郎がオフィスから出ると、そこに恋音が現れた。
開口一番、恋音は言った。
「太郎、私はあなたのことを本当に愛していたわ。私たちの関係を取り戻して欲しい。だってあなたは私のことを愛していたでしょう?」
太郎は恋音の言葉に深く考えることなく答えた。
「もう遅いよ、彼女がいるんだ。美しく聡明で、俺にとって最高のパートナーがね。ちょうどいい、紹介するよ。笹森風華、俺の公私に渡る最高のパートナーさ」
太郎は隣にいた美しい女性――秘書であり恋人でもある風華を、敢えて見せつけるように紹介した。
元彼もそれなりに美しい女性ではあったが、しかし風華の美貌は段違いだった。
まさに格が違う。
しかも極めて理性的な瞳をしていた。
恋音は、相対しただけで自分とは別格の存在であることを、これでもかと分からされてしまう。
太郎は恋音に見せつけるようにそっと風華の腰を抱き寄せた。
「……」
その姿を見た恋音は、後悔のあまり言葉も出なかった。
(なぜ私は太郎を捨ててしまったのか。こんな素晴らしい男を手放してしまったなんて、私はなんて愚かだったのだろうか」
仲睦まじく腕を組んで送迎のロールスロイスに乗り込む2人を、恋音は惨めな気持ちで見つめ続けたのだった。
佐藤太郎はある日、恋人の松島恋音からいきなり別れ話を告げられた。
「急にどうしたんだよ恋音。別れようってなんだよ?」
「素敵なダーリンができたの」
「は? なんだよそれ、二股してたってことか?」
太郎のもっともな疑問を、だけど恋音はさらりとスルーすると、言った。
「大手上場企業のエリート社員で、まだ20代なのに年収は2000万円なんだよ? すごくない?」
「お前の基準は金、なのかよ?」
「お金は大事で書? 太郎はわりといい男だけど、でも年収2000万プレイヤーにはちょっとならないかなって? だからごめんね♪」
こうして、大学生の佐藤太郎は恋人の松島恋音にこっぴどく振られたのだった。
いやこれはもう「捨てられた」と言った方がいいかもしれなかった。
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しかし、とある大富豪がなくなったことで、太郎の人生は大きく変わることになる。
というのも、なんとその大富豪は太郎の祖父だったのだ。
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そんなある日、大きな仕事をまた一つやってのけた太郎がオフィスから出ると、そこに恋音が現れた。
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「太郎、私はあなたのことを本当に愛していたわ。私たちの関係を取り戻して欲しい。だってあなたは私のことを愛していたでしょう?」
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「もう遅いよ、彼女がいるんだ。美しく聡明で、俺にとって最高のパートナーがね。ちょうどいい、紹介するよ。笹森風華、俺の公私に渡る最高のパートナーさ」
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しかも極めて理性的な瞳をしていた。
恋音は、相対しただけで自分とは別格の存在であることを、これでもかと分からされてしまう。
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「……」
その姿を見た恋音は、後悔のあまり言葉も出なかった。
(なぜ私は太郎を捨ててしまったのか。こんな素晴らしい男を手放してしまったなんて、私はなんて愚かだったのだろうか」
仲睦まじく腕を組んで送迎のロールスロイスに乗り込む2人を、恋音は惨めな気持ちで見つめ続けたのだった。
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