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最終章 聖女凱旋
第58話 完成! 破邪の結界ver.セラフィム(改)!
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「あちゃー、完全に『破邪の結界』が止まってるじゃん……」
わたしはセラフィム王国の水晶室に入るなり、大きなため息をついた。
少し前までは毎日のようにここに入り浸って『破邪の結界』のメンテナンスをしていたので、見た瞬間に分かってしまったというか。
「しかも部屋中ホコリを被ってるんだけど……ヴェロニカめ、この部屋ごと完全に放置してたわね……せめて掃除くらいしときなさいよね……」
わたしが愚痴を言うと、
「ミレイユ様ミレイユ様、ここはわたしにお任せ下さい。こんなこともあろうかと、掃除用具を用意してもらってますので、ちゃちゃっと必要なとこだけやっちゃいます」
言うが早いか、アンナがテキパキと掃除を始めた。
アンナに指示をもらいながらジェイクも一緒にやり始める。
「わたしも手伝うわよ、何すればいい?」
「いいえミレイユ様。かような前座はわたしとジェイク様だけで十分にございます。ミレイユ様はどうぞ『破邪の結界』再起動のことだけをお考え下さいませ」
「そうだぞ、掃除は俺たちに任せろ、バリバリやるから」
「……そう? なら頼もうかしら」
アンナとジェイクの働きで、ものの10分ほどですっかり綺麗になった水晶室で。
「とりあえず見てみるわ」
わたしはこれまた綺麗に拭かれた水晶に聖女の力を軽く込めると、『破邪の結界』へとアクセスした。
「うーん……これは下手に起動すると壊れそうね……」
明らかにギリギリまで無理くりに稼働させられて、ガタが来て完全に動かなくなったらその後そのまま放置されたんだろう。
ただ、わたしが最後に触ってからどこも変更が加えられてないところは、いいことでもあった。
というか聖女としての力がないと術式にアクセスすることすらできないから、当たり前っちゃ当たり前なんだけども。
なんにせよ、前と全く同じ感覚で作業ができそう。
そういうわけで、わたしは片っ端から『破邪の結界』の壊れてるところやほつれを修正して手直しし始めたんだけど――、
「なんかここまでズタボロだと、出力関連の術式とか完全新規で作り直した方が早くない……? だよね、うん、そっちのほうが絶対早い。あ、そうだ、せっかく派手に手直しするんだったら、ターボチャージャーの術式を組み込んじゃおうかな。結界の範囲がより広くなったらその分、助かる人も増えるわけだし」
長年触って慣れ親しんだセラフィムの『破邪の結界』に、完全に解明済みのターボチャージャーの術式をちょちょいと組み込むくらい、今のわたしには造作もないことだった。
『破邪の結界ver.エルフィーナ』の完成後、あまりにすることがなくて、エルフの大聖女が残したという文書を片手に、ひたすら結界の研究をしていた努力が今ちついに、実を結ぶ時が来たのだ!
わたしは伊達にニートしていたわけではなかった。
きっとこのためにわたしはニートしていたのだ!
ってなわけで、わたしは結界の一部を完全に新規で作り直すことにした。
『破邪の結界ver.エルフィーナ』と同じように、力をブーストして結界の効果範囲を格段に広げるターボチャージャーの術式を組み込んだのだ。
ヴァルスはセラフィム王国全土に広がってるって言ってたもんね。
なら結界の範囲を広げられるなら、それに越したことはないだろう。
時間もそうはかからなかった。
むしろあれこれ手直しするより早かったと思う。
時間をかけて丹念に読み解いたこの術式は、もはやわたしの手足と言っても過言ではないのだ……!
いやー、わたしのただ飯ぐらいの生活も、無駄じゃなかったというわけね。
さすがわたし。
うむ。
こうして。
一部、完全に新しくなった『破邪の結界ver.セラフィム(改)』が完成した。
わたしはセラフィム王国の水晶室に入るなり、大きなため息をついた。
少し前までは毎日のようにここに入り浸って『破邪の結界』のメンテナンスをしていたので、見た瞬間に分かってしまったというか。
「しかも部屋中ホコリを被ってるんだけど……ヴェロニカめ、この部屋ごと完全に放置してたわね……せめて掃除くらいしときなさいよね……」
わたしが愚痴を言うと、
「ミレイユ様ミレイユ様、ここはわたしにお任せ下さい。こんなこともあろうかと、掃除用具を用意してもらってますので、ちゃちゃっと必要なとこだけやっちゃいます」
言うが早いか、アンナがテキパキと掃除を始めた。
アンナに指示をもらいながらジェイクも一緒にやり始める。
「わたしも手伝うわよ、何すればいい?」
「いいえミレイユ様。かような前座はわたしとジェイク様だけで十分にございます。ミレイユ様はどうぞ『破邪の結界』再起動のことだけをお考え下さいませ」
「そうだぞ、掃除は俺たちに任せろ、バリバリやるから」
「……そう? なら頼もうかしら」
アンナとジェイクの働きで、ものの10分ほどですっかり綺麗になった水晶室で。
「とりあえず見てみるわ」
わたしはこれまた綺麗に拭かれた水晶に聖女の力を軽く込めると、『破邪の結界』へとアクセスした。
「うーん……これは下手に起動すると壊れそうね……」
明らかにギリギリまで無理くりに稼働させられて、ガタが来て完全に動かなくなったらその後そのまま放置されたんだろう。
ただ、わたしが最後に触ってからどこも変更が加えられてないところは、いいことでもあった。
というか聖女としての力がないと術式にアクセスすることすらできないから、当たり前っちゃ当たり前なんだけども。
なんにせよ、前と全く同じ感覚で作業ができそう。
そういうわけで、わたしは片っ端から『破邪の結界』の壊れてるところやほつれを修正して手直しし始めたんだけど――、
「なんかここまでズタボロだと、出力関連の術式とか完全新規で作り直した方が早くない……? だよね、うん、そっちのほうが絶対早い。あ、そうだ、せっかく派手に手直しするんだったら、ターボチャージャーの術式を組み込んじゃおうかな。結界の範囲がより広くなったらその分、助かる人も増えるわけだし」
長年触って慣れ親しんだセラフィムの『破邪の結界』に、完全に解明済みのターボチャージャーの術式をちょちょいと組み込むくらい、今のわたしには造作もないことだった。
『破邪の結界ver.エルフィーナ』の完成後、あまりにすることがなくて、エルフの大聖女が残したという文書を片手に、ひたすら結界の研究をしていた努力が今ちついに、実を結ぶ時が来たのだ!
わたしは伊達にニートしていたわけではなかった。
きっとこのためにわたしはニートしていたのだ!
ってなわけで、わたしは結界の一部を完全に新規で作り直すことにした。
『破邪の結界ver.エルフィーナ』と同じように、力をブーストして結界の効果範囲を格段に広げるターボチャージャーの術式を組み込んだのだ。
ヴァルスはセラフィム王国全土に広がってるって言ってたもんね。
なら結界の範囲を広げられるなら、それに越したことはないだろう。
時間もそうはかからなかった。
むしろあれこれ手直しするより早かったと思う。
時間をかけて丹念に読み解いたこの術式は、もはやわたしの手足と言っても過言ではないのだ……!
いやー、わたしのただ飯ぐらいの生活も、無駄じゃなかったというわけね。
さすがわたし。
うむ。
こうして。
一部、完全に新しくなった『破邪の結界ver.セラフィム(改)』が完成した。
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