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第三章 恋する季節
第38話 コウノトリがキャベツする夜
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「じゃあそろそろ寝ようか」
き、きたわ……っ!!
ジェイクのその言葉に、わたしはビクッと身体を震わせながら、だけど同時に裂帛の決意とともに強靭なる覚悟を決めていた。
「そ、そうね」
平然を装おうとしたけど、くっ、声が裏返っちゃったじゃないの……!
同棲する男女が一緒のベッドで寝る、つまりはそういうことである。
コウノトリがやってきてキャベツしちゃうわけだ。
言わせないでよね、恥ずかしい!
わたしは意を決してベッドに横になった。
すーはーと、大きく深呼吸をして気持ちを落ち着ける。
心臓がドキドキバクバクと高鳴っている。
当然でしょ?
だって今からそう言うことをするんだから。
でもでも大丈夫よミレイユ・アプリコット、なにも心配はいらないわ。
だって下着はこんなこともあろうかと買っておいた、際どい布地面積のスケスケでアダルトな、とっておきの勝負下着を身に着けてつけているじゃない。
さらにこんなこともあろうかと買っておいた、男をその気にさせる(らしい)特別なフレグランスも付けているし。
さらにさらにこんなこともあろうかと買っておいた、痛み止めだって用意しているわ。
は、初めては痛いって聞いたからね。
身体だっていつもより2倍も3倍も時間をかけて、隅々までくまなく入念に洗ったし。
そうよ準備は万端なんだから。
これは絶対100%の勝ち戦なんだからね!
恐れる必要なんてちっともないんだから!
さぁジェイク、いつでもかかってくるといいわ――!
わたしがベッドの上で、獲物を待ち伏せる女豹のごとく静かにメラメラと闘志を高めていると、
「じゃあ灯りを消すな」
ジェイクが灯りを消してベッドに入ってきた。
キシリとベッドが小さな音をたてたのが、妙に耳に残る。
ま、真っ暗でするのが好みなのね……!?
ジェイクの顔が見えないのは少し不安だけど、逆に色々と見えないし見られないから恥ずかしさは軽減されるっていうか?
だからうん、ありかな。
そして、もともとアンナと一緒に寝ていた大きなキングサイズベッドだったので、ジェイクと2人で並んで寝ても、全然小さくは感じない。
アレとかナニとかいろんなことをするには、もってこいのベッドと言えるだろう。
いいわ、夜戦上等よ。
さあ来なさいな、わたしは逃げも隠れもしないんだからねっ!
ジェイクがわたしに近づいてくる気配がして――、
チュッ。
まずはおでこに優しいキスが降ってくる。
くはぁっ!?
ジェイクってば、見かけによらずやるわね。
最初におでこにソフトキスだなんて、普段のぽんこつっぷりとは違って、ベッドの上ではえらく手馴れてるじゃないの。
ロマンチックすぎて、ちょっと胸の奥がキュンってトキメイちゃったじゃない――、
「じゃあおやすみ、ミレイユ。また明日な、いい夢を――」
「…………え”??」
わたしが呆気にとられていると、ジェイクの気配がスッと離れていった。
そしてすぐにスースーと安らかな寝息が聞こえてきて――。
「え……? ジェイク……? え、寝たの? えっ、あれえっ!?」
しかしジェイクからは返事はなく、ただスースーという規則正しい寝息だけが真っ暗な部屋に静かに響いていて――。
「あの、わたし、緊張して目が冴えちゃって、気持ちもすっごく盛り上がっちゃってて。だからえっと、あの、今さら寝れそうにないんですけど……!?」
き、きたわ……っ!!
ジェイクのその言葉に、わたしはビクッと身体を震わせながら、だけど同時に裂帛の決意とともに強靭なる覚悟を決めていた。
「そ、そうね」
平然を装おうとしたけど、くっ、声が裏返っちゃったじゃないの……!
同棲する男女が一緒のベッドで寝る、つまりはそういうことである。
コウノトリがやってきてキャベツしちゃうわけだ。
言わせないでよね、恥ずかしい!
わたしは意を決してベッドに横になった。
すーはーと、大きく深呼吸をして気持ちを落ち着ける。
心臓がドキドキバクバクと高鳴っている。
当然でしょ?
だって今からそう言うことをするんだから。
でもでも大丈夫よミレイユ・アプリコット、なにも心配はいらないわ。
だって下着はこんなこともあろうかと買っておいた、際どい布地面積のスケスケでアダルトな、とっておきの勝負下着を身に着けてつけているじゃない。
さらにこんなこともあろうかと買っておいた、男をその気にさせる(らしい)特別なフレグランスも付けているし。
さらにさらにこんなこともあろうかと買っておいた、痛み止めだって用意しているわ。
は、初めては痛いって聞いたからね。
身体だっていつもより2倍も3倍も時間をかけて、隅々までくまなく入念に洗ったし。
そうよ準備は万端なんだから。
これは絶対100%の勝ち戦なんだからね!
恐れる必要なんてちっともないんだから!
さぁジェイク、いつでもかかってくるといいわ――!
わたしがベッドの上で、獲物を待ち伏せる女豹のごとく静かにメラメラと闘志を高めていると、
「じゃあ灯りを消すな」
ジェイクが灯りを消してベッドに入ってきた。
キシリとベッドが小さな音をたてたのが、妙に耳に残る。
ま、真っ暗でするのが好みなのね……!?
ジェイクの顔が見えないのは少し不安だけど、逆に色々と見えないし見られないから恥ずかしさは軽減されるっていうか?
だからうん、ありかな。
そして、もともとアンナと一緒に寝ていた大きなキングサイズベッドだったので、ジェイクと2人で並んで寝ても、全然小さくは感じない。
アレとかナニとかいろんなことをするには、もってこいのベッドと言えるだろう。
いいわ、夜戦上等よ。
さあ来なさいな、わたしは逃げも隠れもしないんだからねっ!
ジェイクがわたしに近づいてくる気配がして――、
チュッ。
まずはおでこに優しいキスが降ってくる。
くはぁっ!?
ジェイクってば、見かけによらずやるわね。
最初におでこにソフトキスだなんて、普段のぽんこつっぷりとは違って、ベッドの上ではえらく手馴れてるじゃないの。
ロマンチックすぎて、ちょっと胸の奥がキュンってトキメイちゃったじゃない――、
「じゃあおやすみ、ミレイユ。また明日な、いい夢を――」
「…………え”??」
わたしが呆気にとられていると、ジェイクの気配がスッと離れていった。
そしてすぐにスースーと安らかな寝息が聞こえてきて――。
「え……? ジェイク……? え、寝たの? えっ、あれえっ!?」
しかしジェイクからは返事はなく、ただスースーという規則正しい寝息だけが真っ暗な部屋に静かに響いていて――。
「あの、わたし、緊張して目が冴えちゃって、気持ちもすっごく盛り上がっちゃってて。だからえっと、あの、今さら寝れそうにないんですけど……!?」
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