破邪の聖女 ~婚約者を第二王女に寝取られ婚約破棄&追放された聖女は、エルフの国の土下座王子と恋仲に!?~

マナシロカナタ✨ねこたま✨GCN文庫

文字の大きさ
上 下
26 / 66
第二章 エルフの国エルフィーナ

第26話 『アルティメット・リジェネレーション』

しおりを挟む
「足りない分は、気合と根性で補えばいいだけよ」

 途中で止めるから、無理になるの。
 つまり途中で止めなければ、無理じゃ無くなるんだから!

 ジェイクも言ってたじゃない。
 『やると決めたらやり通す、それがオレの流儀なんでね』って。

 だったらわたしもジェイクに負けないように、わたしのプライドにかけてやり通して見せるんだから!

「ま、ジェイクの場合は、それでやり通したのが他力本願な土下座だったわけだけど。ふふっ……」

 初めてジェイクと出会った時のことを走馬灯のように思いだして、わたしは少し笑ってしまった。

 ほんと最悪な出会いだった。

 いきなりナンパか詐欺師みたいにうさんくさく声をかけられたかと思ったら、最終手段とか言って、公衆の面前で土下座されてしまって。

「その後は土下座したまま、テコでもうごかないんだもん」

 少しだけ面識のあったアンナの口添えもあって、結局わたしが折れたんだけど。

 あーあ、今頃セラフィム王国では、元・聖女ミレイユは「ガチガチのエルフ差別主義者で、野外でイケメンエルフを土下座調教するのが趣味の、変態ドSの女王様」って噂が流れてるんだろうな。

「まぁ今となっては大したことじゃないけどね。どうせ帰れないし」

 それに、そのおかげで可愛いアンナとも仲良くなれたし。
 ジェイクはジェイクで、どこまでも素直で好感のもてるいい奴だったし。

 そんなジェイクは王子さまで、しかも国民にとても愛されているんだ。
 エルフィーナの復興に、ジェイクの存在は欠かせない。

「だから絶対に、ここで死なせるわけにはいかないんだから――!」

 さて、と。
 回想するのはこれくらいにして。
 そろそろミレイユ・アプリコット一世一代の勝負に打って出ますか!

 今のシャリバテ状態で『アルティメット・リジェネレーション』を使えば、下手をすればわたしは死ぬかもしれない。
 ううん、その可能性がかなり高かった。

 だから、やっぱり途中で無理だって諦めちゃうかもしれなかった。

「ま、そうならないように、アンナに残ってもらったんだけどね」

 わたしのことを慕ってくれてる可愛い「妹」が見てるんだもん。

 中途半端で、有言不実行しちゃうダサいところなんて、絶対に見せられないでしょ、お姉さまの常識的に考えて!

「じゃあ行くわよ――!」

 わたしは残ったすべての力を振り絞って、『アルティメット・リジェネレーション』の術式を構築し始める。

 直後に、身体中のエネルギーを根こそぎ持っていかれるような喪失感が襲ってきて、すぐに貧血みたいに目の前が真っ白になって、わたしはグラッと腰から崩れ落ちそうになった。

「くっ、こなくそっ! 聖女なめんな!」

 だけどわたしは太ももにしっかりと力を入れると、胸を張って踏みとどまってみせる。

 最初の一瞬だけでわたしの聖女パワーは完全になくなってしまい、その後は代わりに生命力みたいなのがどんどんと吸われていく。

 限界を超えて無理を続けているせいで、脂汗が背中をツーっと伝っていく。

 だけど――!

「そんなもんがどうしたってのよ!」

 歯を食いしばりながら術式を完成させると、わたしは最後の詠唱に入った――!

「ケテル・コクマー・ビナー・ケセド・ゲブラー・ティファレト・ネツァク・ホド・イェソド・マルクト――ダアト!」

 ジェイクにかざしたわたしの両手に、濃密な白き再生の光が満ち満ちてゆく――!

 すでに朦朧もうろうとしている意識の中で、わたしは気合と根性と執念で、術式を発動させる最後の言葉を口にした。

「あまねく全てを癒したまえ――! アルティメット・リジェネレーション!!」

 術式が発動し、部屋の中が究極の癒しの力で真っ白に染まっていく――!

 それを自分ではない自分が、どこか遠くで眺めているような感覚があって。

 やった、成功した――!

 だけど、生命力が枯れ果てたかのように、その後を見届けることなく、わたしの意識は漆黒の闇にまれていく――。

 バタンッ!

 何かが倒れた音がした。
 分からないけど、きっとわたしの身体じゃないかな?

 でも全てを出し尽くしたわたしにはもう、それを認識する気力も体力も生命力も、残されてはいなかった。

「ミレイユ様!? ミレイユ様! すみません、誰か! 誰かすぐに来てください! ミレイユ様が倒れて――!」

 さいごに、とおくで、アンナが……わたしを、よんだ……よう、な……き、が……し、た……。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

王子妃教育に疲れたので幼馴染の王子との婚約解消をしました

さこの
恋愛
新年のパーティーで婚約破棄?の話が出る。 王子妃教育にも疲れてきていたので、婚約の解消を望むミレイユ 頑張っていても落第令嬢と呼ばれるのにも疲れた。 ゆるい設定です

【完結】母になります。

たろ
恋愛
母親になった記憶はないのにわたしいつの間にか結婚して子供がいました。 この子、わたしの子供なの? 旦那様によく似ているし、もしかしたら、旦那様の隠し子なんじゃないのかしら? ふふっ、でも、可愛いわよね? わたしとお友達にならない? 事故で21歳から5年間の記憶を失くしたわたしは結婚したことも覚えていない。 ぶっきらぼうでムスッとした旦那様に愛情なんて湧かないわ! だけど何故かこの3歳の男の子はとても可愛いの。

仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが

ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。 定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──

【改稿版・完結】その瞳に魅入られて

おもち。
恋愛
「——君を愛してる」 そう悲鳴にも似た心からの叫びは、婚約者である私に向けたものではない。私の従姉妹へ向けられたものだった—— 幼い頃に交わした婚約だったけれど私は彼を愛してたし、彼に愛されていると思っていた。 あの日、二人の胸を引き裂くような思いを聞くまでは…… 『最初から愛されていなかった』 その事実に心が悲鳴を上げ、目の前が真っ白になった。 私は愛し合っている二人を引き裂く『邪魔者』でしかないのだと、その光景を見ながらひたすら現実を受け入れるしかなかった。  『このまま婚姻を結んでも、私は一生愛されない』  『私も一度でいいから、あんな風に愛されたい』 でも貴族令嬢である立場が、父が、それを許してはくれない。 必死で気持ちに蓋をして、淡々と日々を過ごしていたある日。偶然見つけた一冊の本によって、私の運命は大きく変わっていくのだった。 私も、貴方達のように自分の幸せを求めても許されますか……? ※後半、壊れてる人が登場します。苦手な方はご注意下さい。 ※このお話は私独自の設定もあります、ご了承ください。ご都合主義な場面も多々あるかと思います。 ※『幸せは人それぞれ』と、いうような作品になっています。苦手な方はご注意下さい。 ※こちらの作品は小説家になろう様でも掲載しています。

兄を溺愛する母に捨てられたので私は家族を捨てる事にします!

ユウ
恋愛
幼い頃から兄を溺愛する母。 自由奔放で独身貴族を貫いていた兄がようやく結婚を決めた。 しかし、兄の結婚で全てが崩壊する事になった。 「今すぐこの邸から出て行ってくれる?遺産相続も放棄して」 「は?」 母の我儘に振り回され同居し世話をして来たのに理不尽な理由で邸から追い出されることになったマリーは自分勝手な母に愛想が尽きた。 「もう縁を切ろう」 「マリー」 家族は夫だけだと思い領地を離れることにしたそんな中。 義母から同居を願い出られることになり、マリー達は義母の元に身を寄せることになった。 対するマリーの母は念願の新生活と思いきや、思ったように進まず新たな嫁はびっくり箱のような人物で生活にも支障が起きた事でマリーを呼び戻そうとするも。 「無理ですわ。王都から領地まで遠すぎます」 都合の良い時だけ利用する母に愛情はない。 「お兄様にお任せします」 実母よりも大事にしてくれる義母と夫を優先しすることにしたのだった。

嫁ぎ先(予定)で虐げられている前世持ちの小国王女はやり返すことにした

基本二度寝
恋愛
小国王女のベスフェエラには前世の記憶があった。 その記憶が役立つ事はなかったけれど、考え方は王族としてはかなり柔軟であった。 身分の低い者を見下すこともしない。 母国では国民に人気のあった王女だった。 しかし、嫁ぎ先のこの国に嫁入りの準備期間としてやって来てから散々嫌がらせを受けた。 小国からやってきた王女を見下していた。 極めつけが、周辺諸国の要人を招待した夜会の日。 ベスフィエラに用意されたドレスはなかった。 いや、侍女は『そこにある』のだという。 なにもかけられていないハンガーを指差して。 ニヤニヤと笑う侍女を見て、ベスフィエラはカチンと来た。 「へぇ、あぁそう」 夜会に出席させたくない、王妃の嫌がらせだ。 今までなら大人しくしていたが、もう我慢を止めることにした。

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。

鶯埜 餡
恋愛
 ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。  しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが

処理中です...