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第二章 エルフの国エルフィーナ
第11話 ようこそエルフィーナへ
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「ここがエルフィーナ――」
『迷いの森』を抜けると、そこにはなんと広大な平地が広がっていた。
川が流れ、農地があちらこちらに作られている。
その中をさらに進んでいくと、まだかなりの距離はあるけれど、大きな街が見えはじめた。
「あれが我がエルフィーナ王国の王都、エルフィムだ」
近づいてくる王都エルフィムを見ながら、わたしは驚きでいっぱいになっていた。
「エルフィーナって想像していたよりもはるかに栄えているのね……文明レベルは人間の国と変わらないじゃない……」
「我が父ミストル王が様々な改革を行い、この国を大いに発展させたんだ」
ジェイクが胸を張って言った。
だけど、その気持ちはよくわかる。
「ジェイクのお父さんは、素晴らしい王さまなのね」
だっていうのに、どうして息子であるジェイクはこんなにポンコツ王子さまなんだろうか?
謎だ。
「ミストル王は、エルフィーナ中興の祖といわれているんです」
アンナが補足説明をしてくれる。
「でも、わたしが習った事と全然違ってるわ……」
わたしはそのことがとても気になっていた。
エルフは森の中で貧しい狩猟採集生活をしてるって習っていたから。
「人間の教科書は、意図的にエルフを下に書いているんです。おそらく、二等市民として差別するために」
またもやアンナがそっと教えてくれた。
「……どうもそうだったみたいね」
人間のわたしと、エルフのジェイク&アンナ。
差別する側とされる側。
わたし個人が差別は良くないと思っていようが、その事実は変わらない。
気まずい沈黙が馬車を支配しかけたところで、
「まぁまぁ! そういう暗い話は今はいいじゃないか! そろそろエルフィムの市街に入る。せっかくだからミレイユも、我が父ミストルが作り上げた素晴らしい街並みを、よく見ていってくれ!」
ジェイクはにっこり笑ってそんな風に言ってくるのだ。
ジェイクは色々とポンコツだし、偉そうなところがちっともなくて、王族としては全然らしくない。
だけど、こうやってみんなをワイワイ盛りたてていくってことも、みんなを引っ張っていくって意味ではリーダーとしてありなんじゃないだろうか?
だって少なくとも今のわたしは、そんな明るくて前向きで一生懸命なジェイクに、ついていってもいいかなって思ってるんだから――。
あーだこーだ説明をつづけるジェイクを見て、わたしはふと、そんな風に感じる自分に気がついていた。
わたしがそんなことを考えている間にも、馬車は城門を抜けて市街へと入っていく。
そして外から見た以上に、街の中は豊かでにぎわっていた。
「ねぇジェイク。エルフィーナ王国ではヴァルスが流行ってるって聞いたけど、このあたりは全然そうは見えないんだけど……」
住民の顔には危機感は見えないし、街もいたって普通に見える。
子供が駆け回っている姿を見ると、とても流行り病が蔓延しているようには思えない。
わたしの問いかけに、
「このあたり、東地区はまだ感染者がでていないんだ。でも最初に発生した西地区はもう手が付けられなくなっていて、今は他に広がらないように緊急事態宣言を出して西地区を丸ごと都市封鎖、ロックダウンをしてるんだよ」
ジェイクがやや沈んだ顔で言った。
「ロックダウンって、最終手段じゃない……」
それを聞いて、わたしは1日でも早く『破邪の結界』を完成させようと強く思ったのだった。
馬車はさらに街の奥へ、中央にある王宮へ向かって進んでいく。
そして進んでいくたびに、ジェイクに対するわたしの認識は、さらに改められていくのだった。
次から次へと、街の人たちがジェイクに親しげに声をかけてきたからだ。
『迷いの森』を抜けると、そこにはなんと広大な平地が広がっていた。
川が流れ、農地があちらこちらに作られている。
その中をさらに進んでいくと、まだかなりの距離はあるけれど、大きな街が見えはじめた。
「あれが我がエルフィーナ王国の王都、エルフィムだ」
近づいてくる王都エルフィムを見ながら、わたしは驚きでいっぱいになっていた。
「エルフィーナって想像していたよりもはるかに栄えているのね……文明レベルは人間の国と変わらないじゃない……」
「我が父ミストル王が様々な改革を行い、この国を大いに発展させたんだ」
ジェイクが胸を張って言った。
だけど、その気持ちはよくわかる。
「ジェイクのお父さんは、素晴らしい王さまなのね」
だっていうのに、どうして息子であるジェイクはこんなにポンコツ王子さまなんだろうか?
謎だ。
「ミストル王は、エルフィーナ中興の祖といわれているんです」
アンナが補足説明をしてくれる。
「でも、わたしが習った事と全然違ってるわ……」
わたしはそのことがとても気になっていた。
エルフは森の中で貧しい狩猟採集生活をしてるって習っていたから。
「人間の教科書は、意図的にエルフを下に書いているんです。おそらく、二等市民として差別するために」
またもやアンナがそっと教えてくれた。
「……どうもそうだったみたいね」
人間のわたしと、エルフのジェイク&アンナ。
差別する側とされる側。
わたし個人が差別は良くないと思っていようが、その事実は変わらない。
気まずい沈黙が馬車を支配しかけたところで、
「まぁまぁ! そういう暗い話は今はいいじゃないか! そろそろエルフィムの市街に入る。せっかくだからミレイユも、我が父ミストルが作り上げた素晴らしい街並みを、よく見ていってくれ!」
ジェイクはにっこり笑ってそんな風に言ってくるのだ。
ジェイクは色々とポンコツだし、偉そうなところがちっともなくて、王族としては全然らしくない。
だけど、こうやってみんなをワイワイ盛りたてていくってことも、みんなを引っ張っていくって意味ではリーダーとしてありなんじゃないだろうか?
だって少なくとも今のわたしは、そんな明るくて前向きで一生懸命なジェイクに、ついていってもいいかなって思ってるんだから――。
あーだこーだ説明をつづけるジェイクを見て、わたしはふと、そんな風に感じる自分に気がついていた。
わたしがそんなことを考えている間にも、馬車は城門を抜けて市街へと入っていく。
そして外から見た以上に、街の中は豊かでにぎわっていた。
「ねぇジェイク。エルフィーナ王国ではヴァルスが流行ってるって聞いたけど、このあたりは全然そうは見えないんだけど……」
住民の顔には危機感は見えないし、街もいたって普通に見える。
子供が駆け回っている姿を見ると、とても流行り病が蔓延しているようには思えない。
わたしの問いかけに、
「このあたり、東地区はまだ感染者がでていないんだ。でも最初に発生した西地区はもう手が付けられなくなっていて、今は他に広がらないように緊急事態宣言を出して西地区を丸ごと都市封鎖、ロックダウンをしてるんだよ」
ジェイクがやや沈んだ顔で言った。
「ロックダウンって、最終手段じゃない……」
それを聞いて、わたしは1日でも早く『破邪の結界』を完成させようと強く思ったのだった。
馬車はさらに街の奥へ、中央にある王宮へ向かって進んでいく。
そして進んでいくたびに、ジェイクに対するわたしの認識は、さらに改められていくのだった。
次から次へと、街の人たちがジェイクに親しげに声をかけてきたからだ。
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