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第三章
第47話 最後の決戦(4)
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「セフィ! ケガは大丈夫なの?」
セフィの姿を見たボクは、まず最初にそれを聞いたんだ。
「ご安心を。しばらく横になっていたら、痛みはほとんど引きました」
「よかったぁ……頭を打って大丈夫かなってずっと心配してたんだ」
これでボクも一安心だよ。
「心配してくれてありがとうございます、ハルトくん。それで痛みが引いて元気になったら、戦いが始まっていて。そうしたら居ても立っても居られなくなって、来ちゃったんです」
「そうだったんだね。ねぇセフィ、さっき言ってた力が暴走するってどういうことなの?」
「セフィロト・ツリーの力を無理やり使ったので、言うことをきかなくなってるんです」
「セフィロト・ツリーの力を無理やり使うと、暴走しちゃうの?」
「正しい心があれば暴走はしません。ですが闇の精霊王は……」
「そっか、そうだよね。闇の精霊王は自分の我がままで精霊の世界を征服しようとしたんだもんね。それが正しい心なわけがないよね……」
「はい、自分勝手な悪の心です」
「それで闇の精霊王はどうなっちゃうのかな?」
闇の精霊王は今も、グッとかグァッとか言って苦しんでいる。
そしてその周りには、暴走するセフィロト・ツリーの力が嵐みたいに吹き荒れていた。
そんな闇の精霊王を見てセフィは悲しそうに言った。
「おそらくもう、あれは闇の精霊王ではありません」
「ど、どういうこと?」
「セフィロト・ツリーの大きすぎる力に、意識が飲み込まれてしまったんです。闇の精霊王はもう、セフィロト・ツリーの力の一部になってしまいました」
「世界を支配する力を手に入れたつもりが、逆にその力に飲み込まれちゃったのか……」
すごく悪いヤツだったけど、こんな風に終わるのはちょっと悲しいな……。
「そしてハルトくん。ここからが大事な話なんですけれど」
「う、うん」
セフィに大事な話と言われて、ボクは背すじをピンと伸ばした。
大事なお話を聞くときには、キョーツケしてビシッとしないといけないから。
「このままでは暴走した力が限界を超えて、最後は精霊ビッグバンを起こしてしまうんです」
「精霊ビッグバン……? それってなんなの?」
ビッグバンって、たぶん英語だよね?
英語は難しいよ、アイラブユーとかならわかるんだけど……。
「ビッグバンとは大爆発のことです」
「え!? ってことはじゃあ、闇の精霊王が今から大爆発しちゃうってこと? 大変だよ! 早くここから避難しないと!」
ボクは当然そう言ったんだけど、
「避難してそれで済めば良かったのですが……」
セフィがうなだれるように下を向いたんだ。
「もしかして、それじゃ済まないの……?」
「セフィロト・ツリーはこの世界の全ての力の源、この世界そのものと言えるほどの、ものすごいパワーを持っています」
「うん、さっきも聞いたよ。実際にボクも戦ってみてこれは勝てないかもってちょっと思っちゃったくらいだし」
なんせ必殺技の光と黒の協力剣すら、まったく効かなかったんだ。
「そのセフィロト・ツリーのものすごいパワーが暴走して精霊ビッグバンが怒ると、最終的に世界そのものが大爆発してしまいます」
「わわわっ!? 世界そのものが大爆発だって!?」
「はい。おそらくこの世界――桃源郷は大爆発して消滅し、そして新たな世界が生まれることでしょう」
「えええええええっっっ!!!!????」
ボクはビックリギョウテン、オッタマゲて、スットンキョウな声をあげてしまった。
「どうどう、落ち着いて下さい」
セフィはそう言うけれど、
「え、ええええええ、えっと……それでこの世界のみんなはどうなるの? セフィは? 精霊総理大臣は? セイリュウは?」
「みんな大爆発に巻き込まれて死んでしまうでしょうね」
「そんな! だって、みんなが死んじゃうなんてそんなのダメだよ! 絶対ダメ!」
「ダメと言われても、もうどうしようもないんです」
「何か手はないの!? 精霊ビッグバンを止めないと!」
「残念ですがないんです……」
セフィが悲しそうに言った。
「そんな……嘘でしょ……ううん! ボクは絶対に諦めないぞ!」
ボクはセフィの言葉を信じなかった。
いや、信じる前にもう一回ちゃんと考えようって思ったんだ。
だって最後まで絶対に諦めないってことを、ボクはこの世界で勉強したんだから!
最後の最後まで、何があってもボクは決して諦めないぞ!
何か作戦はないかなって、ボクは必死に考える。
ボクがテストの日みたいにギュワ!って頭を使っていると、
「ねぇハルトくん。ハルトくんはこの世界の人間ではありません」
セフィが急にそんなことを言ってきた。
セフィの姿を見たボクは、まず最初にそれを聞いたんだ。
「ご安心を。しばらく横になっていたら、痛みはほとんど引きました」
「よかったぁ……頭を打って大丈夫かなってずっと心配してたんだ」
これでボクも一安心だよ。
「心配してくれてありがとうございます、ハルトくん。それで痛みが引いて元気になったら、戦いが始まっていて。そうしたら居ても立っても居られなくなって、来ちゃったんです」
「そうだったんだね。ねぇセフィ、さっき言ってた力が暴走するってどういうことなの?」
「セフィロト・ツリーの力を無理やり使ったので、言うことをきかなくなってるんです」
「セフィロト・ツリーの力を無理やり使うと、暴走しちゃうの?」
「正しい心があれば暴走はしません。ですが闇の精霊王は……」
「そっか、そうだよね。闇の精霊王は自分の我がままで精霊の世界を征服しようとしたんだもんね。それが正しい心なわけがないよね……」
「はい、自分勝手な悪の心です」
「それで闇の精霊王はどうなっちゃうのかな?」
闇の精霊王は今も、グッとかグァッとか言って苦しんでいる。
そしてその周りには、暴走するセフィロト・ツリーの力が嵐みたいに吹き荒れていた。
そんな闇の精霊王を見てセフィは悲しそうに言った。
「おそらくもう、あれは闇の精霊王ではありません」
「ど、どういうこと?」
「セフィロト・ツリーの大きすぎる力に、意識が飲み込まれてしまったんです。闇の精霊王はもう、セフィロト・ツリーの力の一部になってしまいました」
「世界を支配する力を手に入れたつもりが、逆にその力に飲み込まれちゃったのか……」
すごく悪いヤツだったけど、こんな風に終わるのはちょっと悲しいな……。
「そしてハルトくん。ここからが大事な話なんですけれど」
「う、うん」
セフィに大事な話と言われて、ボクは背すじをピンと伸ばした。
大事なお話を聞くときには、キョーツケしてビシッとしないといけないから。
「このままでは暴走した力が限界を超えて、最後は精霊ビッグバンを起こしてしまうんです」
「精霊ビッグバン……? それってなんなの?」
ビッグバンって、たぶん英語だよね?
英語は難しいよ、アイラブユーとかならわかるんだけど……。
「ビッグバンとは大爆発のことです」
「え!? ってことはじゃあ、闇の精霊王が今から大爆発しちゃうってこと? 大変だよ! 早くここから避難しないと!」
ボクは当然そう言ったんだけど、
「避難してそれで済めば良かったのですが……」
セフィがうなだれるように下を向いたんだ。
「もしかして、それじゃ済まないの……?」
「セフィロト・ツリーはこの世界の全ての力の源、この世界そのものと言えるほどの、ものすごいパワーを持っています」
「うん、さっきも聞いたよ。実際にボクも戦ってみてこれは勝てないかもってちょっと思っちゃったくらいだし」
なんせ必殺技の光と黒の協力剣すら、まったく効かなかったんだ。
「そのセフィロト・ツリーのものすごいパワーが暴走して精霊ビッグバンが怒ると、最終的に世界そのものが大爆発してしまいます」
「わわわっ!? 世界そのものが大爆発だって!?」
「はい。おそらくこの世界――桃源郷は大爆発して消滅し、そして新たな世界が生まれることでしょう」
「えええええええっっっ!!!!????」
ボクはビックリギョウテン、オッタマゲて、スットンキョウな声をあげてしまった。
「どうどう、落ち着いて下さい」
セフィはそう言うけれど、
「え、ええええええ、えっと……それでこの世界のみんなはどうなるの? セフィは? 精霊総理大臣は? セイリュウは?」
「みんな大爆発に巻き込まれて死んでしまうでしょうね」
「そんな! だって、みんなが死んじゃうなんてそんなのダメだよ! 絶対ダメ!」
「ダメと言われても、もうどうしようもないんです」
「何か手はないの!? 精霊ビッグバンを止めないと!」
「残念ですがないんです……」
セフィが悲しそうに言った。
「そんな……嘘でしょ……ううん! ボクは絶対に諦めないぞ!」
ボクはセフィの言葉を信じなかった。
いや、信じる前にもう一回ちゃんと考えようって思ったんだ。
だって最後まで絶対に諦めないってことを、ボクはこの世界で勉強したんだから!
最後の最後まで、何があってもボクは決して諦めないぞ!
何か作戦はないかなって、ボクは必死に考える。
ボクがテストの日みたいにギュワ!って頭を使っていると、
「ねぇハルトくん。ハルトくんはこの世界の人間ではありません」
セフィが急にそんなことを言ってきた。
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