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第三章

第40話 精霊四天王ゲンブ&スザク!(5)

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 スザクの炎とイフリートの炎が真正面からぶつかった!

 ぶつかった炎はどちらもどんどんと大きくなっていく!
 これはどっちの炎が上か、激しく競いあっているんだ!

 だけど、

「イフリートは精霊の中でも、伝説と言われる炎の魔神だ! 炎の魔神イフリートをなめるなっ!」

 イフリートの炎がさらに勢いを増していく!
 そしてスザクの炎をブワァッ!と飲みこんだ――!

「バカな、炎と炎の戦いでこの俺が負けるなんて――」

 飲みこまれたスザクの炎が、どんどん弱くなっていって消えた。
 そしてスザク自身も空気に溶けるみたいにスゥッと消えていく。

「やった! スザクに勝った! ありがとうイフリート!」

 ボクが喜んでいると、

「こっちも終わったぜ!」

 セイリュウがおでこの汗を拭きながら言った。

「ゲンブを倒せたの? あんなに硬かったのによく倒せたね?」

「いいや? 倒せなかったから全力のドラゴン・アタックで放り投げた」

「ええっ!? あんなに大きくて重いゲンブを投げちゃったの!?」
 セイリュウのとんでも発言にボクはびっくり仰天だ。

「おうよ! 100キロくらい先まで投げてやったぜ!」

「100キロも!?」

「ゲンブは足が遅いからな! 帰ってくるのに何年もかかるだろう! それに帰ってきても、またオレ様が100キロ先まで投げ飛ばしてやるぜ! ガハハハハッ!」

「めちゃくちゃだなぁ……」

「ふふん、オレ様だからな!」

 よくこんな強くてハチャメチャなセイリュウに、ボクは勝てたよね。
 ボクって結構すごくない?

「でもこれでビャッコに続いて、ゲンブとスザクを倒したんだね」

 セイリュウはもう仲間だから、戦わないといけない精霊四天王はもういない。

 あとは兵隊の闇の精霊たちを倒せばこの戦いも終わる――ボクがそう思った時だった。

 ズズーンッ!
 セフィロト城が大きな音をたててし揺れたのは!

 まるでお城で地震でもあったみたいだ。

「な、なに? なにが起こったの?」
 ボクとセイリュウはそろってセフィロト城を見た。

 すると――!

「お城の門が壊されて煙がもくもく上がってる!」

「むっ、これは! どうやら誰かがセフィロト城に不法侵入したみたいだな!」

「えっ、それは大変だよ!」

「そうか分かったぞ! 全部オトリ作戦だったんだ!」

「オトリ作戦? って、なに?」
 難しい言葉だったのでボクはセイリュウに聞き返した。

「オトリ作戦っていうのは、相手をダマすための作戦だ。わざと目立ったことをしてオトリになって相手の注意を引き付けている間に、本当の目的をこっそりやる作戦のことさ!」

「えっと、それってつまり――」

「ゲンブもスザクも、闇の精霊の総攻撃も、全部ハルトたちをダマすためのオトリだったんだ!」

「ええっ!? これが全部ボクたちをだますためのオトリだったの!?」

「オトリが派手なほど、相手はダマされるからな!」

「じゃ、じゃあ目的はもしかして――!」

「そうだ! 最初からセフィロト城に不法侵入することが目的だったんだ!」

「そんなっ!? だってお城にはセフィがいるんだよ!?」

 その時だった。

「きゃぁぁぁぁぁっっ!!」
 セフィロト城からものすごい悲鳴が聞こえてくる!

「この声は! セフィだっ!?」

 それはセフィの悲鳴だった――!
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