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第二章
第31話 幕間 ~闇の精霊城~
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~~ここは闇の精霊王と、精霊四天王が住む「闇の精霊城」~~
「スザクよ。どうやらセイリュウがやられたようだ」
大きな茶色い亀の姿をした精霊、ゲンブが言った。
年をとったお爺さんの大きな大きな亀だ。
どれくらい大きいかと言うと、ドラゴン・アタックを使ったセイリュウよりも、ゲンブはさらに一回り大きかった。
すごく強そうだ。
ゲンブは精霊四天王の1人なのだった。
「バカな! ビャッコに続いてセイリュウまでがやられただと!?」
それを聞いた赤い炎の翼をもった鳥の精霊、スザクが驚いた声をあげる。
スザクも精霊四天王の一人だった。
精霊四天王の中では、一番若くて一番身体が小さい。
しかし激しい炎の攻撃はセイリュウの次に強かった。
「セイリュウは、ワシら精霊四天王の中で最強だ。そのセイリュウを倒すとは、セフィロト城にいる勇者ハルトとやらは、よほど強いようじゃの」
ゲンブが「うむむ……」と考えこみながら言う。
「その精霊四天王もこれでもう俺とゲンブの2人だけになってしまったではないか」
スザクの言葉に、
「確かにこれでは、四天王ではなく二天王だな」
ゲンブは苦笑いをしながら答える。
「笑っている場合か、ゲンブ。これから一体どうするというのだ? なにか作戦はあるのか?」
「それはもちろん、総攻撃を仕掛けるのじゃよ」
「総攻撃だと?」
「闇の精霊の全軍をもってセフィロト城を攻撃するのだ。もちろん精霊四天王のワシとスザクも一緒に出陣するぞ」
「四天王が2人そろって出陣するというのか!? そんなことは精霊四天王のプライドが許さんぞ!」
四天王は1人で1000人と戦うことができる歴戦の猛勇だ。
とても強いので、今まで2人同時に出陣したことは一度もなかった。
1人いれば十分だったからだ。
だからゲンブの作戦を聞いたスザクが驚いて、そしてプライドが傷つけられて怒ってしまったのも無理はなかった。
「スザクよ、落ち着くのだ。勇者ハルトはあのセイリュウを倒したのだぞ? それくらいせねばワシらの命が危ないじゃろうて」
ゲンブの冷静な言葉に、
「た、確かにそうだな。ゲンブの言うとおりだ、分かった」
スザクがうんうんとうなずいた。
スザクは四天王になるくらい強い。
でも、まだまだ考えるのは苦手な若者なのだった。
お爺さん精霊のゲンブは、頭を使って考えるやり方をこうやってスザクに教えてあげているのだった。
「闇の精霊王様も、それでよろしいでしょうか?」
スザクの同意をとりつけたゲンブが、奥の暗闇にいる精霊にたずねる。
玉座に座るのは、闇の精霊王だ。
四天王よりももっと偉い、闇の精霊たちを支配する精霊だった。
「期待しているぞゲンブ、スザク。総攻撃を行って、必ずや生命の樹セフィロト・ツリーを手に入れるのだ」
闇の精霊王の重々しい言葉に、
「「ははぁ!」」
ゲンブとスザクは、声を合わせて返事をすると大きく頭を下げた。
「くくく……セフィロト・ツリーはこの世界の全ての力の源よ。つまりは究極の力なのだ。セフィロト・ツリーを手に入れることは、精霊の世界『桃源郷』を手に入れることと同じである」
「「ははぁ!」」
「であればその究極の力、闇の精霊王であるこの我こそが持つにふさわしい! 総攻撃をして、この手に奪い取ってくれるわ!」
ハルトとセフィのいるセフィロト城に、ゲンブとスザクが率いる闇の精霊たちの総攻撃が始まろうとしていた――!!
勇者ハルト、危うし!
「スザクよ。どうやらセイリュウがやられたようだ」
大きな茶色い亀の姿をした精霊、ゲンブが言った。
年をとったお爺さんの大きな大きな亀だ。
どれくらい大きいかと言うと、ドラゴン・アタックを使ったセイリュウよりも、ゲンブはさらに一回り大きかった。
すごく強そうだ。
ゲンブは精霊四天王の1人なのだった。
「バカな! ビャッコに続いてセイリュウまでがやられただと!?」
それを聞いた赤い炎の翼をもった鳥の精霊、スザクが驚いた声をあげる。
スザクも精霊四天王の一人だった。
精霊四天王の中では、一番若くて一番身体が小さい。
しかし激しい炎の攻撃はセイリュウの次に強かった。
「セイリュウは、ワシら精霊四天王の中で最強だ。そのセイリュウを倒すとは、セフィロト城にいる勇者ハルトとやらは、よほど強いようじゃの」
ゲンブが「うむむ……」と考えこみながら言う。
「その精霊四天王もこれでもう俺とゲンブの2人だけになってしまったではないか」
スザクの言葉に、
「確かにこれでは、四天王ではなく二天王だな」
ゲンブは苦笑いをしながら答える。
「笑っている場合か、ゲンブ。これから一体どうするというのだ? なにか作戦はあるのか?」
「それはもちろん、総攻撃を仕掛けるのじゃよ」
「総攻撃だと?」
「闇の精霊の全軍をもってセフィロト城を攻撃するのだ。もちろん精霊四天王のワシとスザクも一緒に出陣するぞ」
「四天王が2人そろって出陣するというのか!? そんなことは精霊四天王のプライドが許さんぞ!」
四天王は1人で1000人と戦うことができる歴戦の猛勇だ。
とても強いので、今まで2人同時に出陣したことは一度もなかった。
1人いれば十分だったからだ。
だからゲンブの作戦を聞いたスザクが驚いて、そしてプライドが傷つけられて怒ってしまったのも無理はなかった。
「スザクよ、落ち着くのだ。勇者ハルトはあのセイリュウを倒したのだぞ? それくらいせねばワシらの命が危ないじゃろうて」
ゲンブの冷静な言葉に、
「た、確かにそうだな。ゲンブの言うとおりだ、分かった」
スザクがうんうんとうなずいた。
スザクは四天王になるくらい強い。
でも、まだまだ考えるのは苦手な若者なのだった。
お爺さん精霊のゲンブは、頭を使って考えるやり方をこうやってスザクに教えてあげているのだった。
「闇の精霊王様も、それでよろしいでしょうか?」
スザクの同意をとりつけたゲンブが、奥の暗闇にいる精霊にたずねる。
玉座に座るのは、闇の精霊王だ。
四天王よりももっと偉い、闇の精霊たちを支配する精霊だった。
「期待しているぞゲンブ、スザク。総攻撃を行って、必ずや生命の樹セフィロト・ツリーを手に入れるのだ」
闇の精霊王の重々しい言葉に、
「「ははぁ!」」
ゲンブとスザクは、声を合わせて返事をすると大きく頭を下げた。
「くくく……セフィロト・ツリーはこの世界の全ての力の源よ。つまりは究極の力なのだ。セフィロト・ツリーを手に入れることは、精霊の世界『桃源郷』を手に入れることと同じである」
「「ははぁ!」」
「であればその究極の力、闇の精霊王であるこの我こそが持つにふさわしい! 総攻撃をして、この手に奪い取ってくれるわ!」
ハルトとセフィのいるセフィロト城に、ゲンブとスザクが率いる闇の精霊たちの総攻撃が始まろうとしていた――!!
勇者ハルト、危うし!
応援ありがとうございます!
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