25 / 52
第二章
第25話 精霊ばぁや(1)
しおりを挟む
「この中に精霊ばぁやがいるんだね」
「はい、きっと!」
ついにボクたちはたどり着いたんだ。
「開けるよ?」
「お願いします」
ボクはふぅっと大きく1回息をはくと、コンコンと軽くノックをした。
職員室に入る時みたいに緊張していた。
「どうぞ」
声が返ってくる。
ボクは意を決して部屋の扉を開けた。
するとそこは――、
「わ、和室!?」
なぜか畳にちゃぶ台が置いてあって、一人のばぁやがズズっとお茶をすすっていたんだ。
ちゃぶ台の上にはみかん&おせんべいも置いてある。
そこだけまんま、日本の古いおうちだった。
お正月と夏休みに遊びに行くおばあちゃんの家が、まさにこんな感じなんだよね。
「あの、初めましてこんにちは。ボクは加瀬大翔です。異世界から召喚されて勇者をしています。今日は聞きたいことがあってやってきました。あなたが精霊ばぁやですよね?」
「わたしはセフィ――、セフィロト姫です。お初にお目にかかります」
ボクとセフィはまず、名前と用事を言ってあいさつをした。
学校で習ったとおりに、上手くあいさつと自己紹介ができたと思う。
すると、
「ふぉっふぉっふぉ。たくさんのトラップとナゾナゾをクリアして、よくここまで来たのぅ。まずはお茶でも飲みなさい。のどが渇いておるじゃろう?」
精霊ばぁやはそう言って、冷たいお茶を出してくれた。
「ありがとうございます、いただきます」
ボクはお茶をゴクゴクと飲みほした。
はふぅ……。
洞くつに入ってからは何も食べたり飲んだりしてなかったから、実はかなりのどが渇いてたんだよね。
だから冷たいお茶がすごく美味しかった。
お代わりまでしちゃったよ。
そんなボクと違って、セフィはすまし顔で音も立てずに優雅にお茶を飲んでいる。
さすがセフィはお姫さまだね。
すごく大人っぽい。
「それで話なんですけど」
「今は眠っている精霊剣プリズマノワールの本当の力を、使えるようにして欲しいのです」
お茶を飲み終えたボクとセフィが一緒になって説明すると、精霊ばぁやは言った。
「すまんが、それはできんのぅ」
いきなり断られてしまったので、
「ええっ!? なんで!?」
「どうしてでしょうか!?」
ボクとセフィは2人そろって驚いて聞き返してしまった。
だってせっかく苦労してここまで来たのに、できないなんてそんなのないよ!
「そうは言われても、できんものはできんのじゃよ。無い袖は振れぬ」
「そ、そんなぁ……」
あまりのことにボクは力が抜けてしまって、へろへろーっとした情けない声を出してしまった。
でもセフィは違った。
「理由を聞かせてもらえますか、精霊ばぁや。わたしたちは最強の精霊四天王セイリュウを倒すために、どうしても精霊剣プリズマノワールの本当の力を使えるようにならないといけないのです」
セフィは、キリリとしたお姫さま口調で精霊ばぁやに質問する。
「そ、そうなんです!」
ボクもそれにのっかった。
そうだよ!
諦めたらそこで試合終了ですよって、人気漫画でも言ってたし!
諦めたらセイリュウがやってきてセフィロト城が、セフィのお家が壊されちゃうんだから!
「理由は簡単じゃよ。なぜなら――」
「な、なぜなら……?」
ご、ごくり……。
「なぜなら、精霊剣プリズマノワールの本当の力もうとっくに解放されておるからのぅ」
「ええっ!?」
ボクはまたまたびっくりさせられて、大きな声をあげてしまった。
「そ、それはどういう意味でしょうか?」
セフィもビックリはしていたけど、ビックリしてあたふたするだけのボクと違って、精霊ばぁやにちゃんと理由を聞いていた。
セフィはほんと頼りになるなぁ。
「どういうもなにも、そのままの意味なんじゃがの。そうじゃのぅ、なにから説明したもんか……」
精霊ばぁやは少し考えたあと、言った。
「お主たちは、『プリズマノワール』という言葉の意味を知っておるかのぅ?」
「はい、きっと!」
ついにボクたちはたどり着いたんだ。
「開けるよ?」
「お願いします」
ボクはふぅっと大きく1回息をはくと、コンコンと軽くノックをした。
職員室に入る時みたいに緊張していた。
「どうぞ」
声が返ってくる。
ボクは意を決して部屋の扉を開けた。
するとそこは――、
「わ、和室!?」
なぜか畳にちゃぶ台が置いてあって、一人のばぁやがズズっとお茶をすすっていたんだ。
ちゃぶ台の上にはみかん&おせんべいも置いてある。
そこだけまんま、日本の古いおうちだった。
お正月と夏休みに遊びに行くおばあちゃんの家が、まさにこんな感じなんだよね。
「あの、初めましてこんにちは。ボクは加瀬大翔です。異世界から召喚されて勇者をしています。今日は聞きたいことがあってやってきました。あなたが精霊ばぁやですよね?」
「わたしはセフィ――、セフィロト姫です。お初にお目にかかります」
ボクとセフィはまず、名前と用事を言ってあいさつをした。
学校で習ったとおりに、上手くあいさつと自己紹介ができたと思う。
すると、
「ふぉっふぉっふぉ。たくさんのトラップとナゾナゾをクリアして、よくここまで来たのぅ。まずはお茶でも飲みなさい。のどが渇いておるじゃろう?」
精霊ばぁやはそう言って、冷たいお茶を出してくれた。
「ありがとうございます、いただきます」
ボクはお茶をゴクゴクと飲みほした。
はふぅ……。
洞くつに入ってからは何も食べたり飲んだりしてなかったから、実はかなりのどが渇いてたんだよね。
だから冷たいお茶がすごく美味しかった。
お代わりまでしちゃったよ。
そんなボクと違って、セフィはすまし顔で音も立てずに優雅にお茶を飲んでいる。
さすがセフィはお姫さまだね。
すごく大人っぽい。
「それで話なんですけど」
「今は眠っている精霊剣プリズマノワールの本当の力を、使えるようにして欲しいのです」
お茶を飲み終えたボクとセフィが一緒になって説明すると、精霊ばぁやは言った。
「すまんが、それはできんのぅ」
いきなり断られてしまったので、
「ええっ!? なんで!?」
「どうしてでしょうか!?」
ボクとセフィは2人そろって驚いて聞き返してしまった。
だってせっかく苦労してここまで来たのに、できないなんてそんなのないよ!
「そうは言われても、できんものはできんのじゃよ。無い袖は振れぬ」
「そ、そんなぁ……」
あまりのことにボクは力が抜けてしまって、へろへろーっとした情けない声を出してしまった。
でもセフィは違った。
「理由を聞かせてもらえますか、精霊ばぁや。わたしたちは最強の精霊四天王セイリュウを倒すために、どうしても精霊剣プリズマノワールの本当の力を使えるようにならないといけないのです」
セフィは、キリリとしたお姫さま口調で精霊ばぁやに質問する。
「そ、そうなんです!」
ボクもそれにのっかった。
そうだよ!
諦めたらそこで試合終了ですよって、人気漫画でも言ってたし!
諦めたらセイリュウがやってきてセフィロト城が、セフィのお家が壊されちゃうんだから!
「理由は簡単じゃよ。なぜなら――」
「な、なぜなら……?」
ご、ごくり……。
「なぜなら、精霊剣プリズマノワールの本当の力もうとっくに解放されておるからのぅ」
「ええっ!?」
ボクはまたまたびっくりさせられて、大きな声をあげてしまった。
「そ、それはどういう意味でしょうか?」
セフィもビックリはしていたけど、ビックリしてあたふたするだけのボクと違って、精霊ばぁやにちゃんと理由を聞いていた。
セフィはほんと頼りになるなぁ。
「どういうもなにも、そのままの意味なんじゃがの。そうじゃのぅ、なにから説明したもんか……」
精霊ばぁやは少し考えたあと、言った。
「お主たちは、『プリズマノワール』という言葉の意味を知っておるかのぅ?」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
39
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる