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第二章
第21話 精霊ばぁやの、洞くつ(5)
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パチパチパチパチ!
「セフィ、お疲れさま! すごかったよ! 最高だよ!」
ボクは大きな拍手をして、セフィの頑張りをこれでもかと褒めちぎった。
「ありがとうございます、ハルトくん。頑張ったかいがありました」
セフィはにっこり笑顔で、嬉しそうに答えてくれる。
「あーあ、でもこんなことなら初めからセフィに任せておけば良かったかなぁ」
だってボクがやったのって、全部ムダだったんだもん。
ただ疲れただけだったよ。
もぐらが出てくるパターンがあるなんて、思いもよらなかったし。
しかもそれを全部覚えるだなんて、そんなのボクには絶対の絶対に無理むりムリのカタツムリだよ!
でも、
「いいえ、ハルトくん」
セフィが言った。
「ハルトくんがプレイするのを近くでじっくり観察できたので、パターンがあることに気づくことができたんです。わたしがやりながらでは、パターンに気づくことはできませんでした」
「そうなの?」
「はい。だからこれは、ハルトくんのおかげでもあるんですよ?」
「じゃあ、またまた2人の共同作業だったってわけだね」
「はい、そういうことですね!」
ボクは頭が良くないけど運動ができて。
セフィは運動はできないけど頭が良くて。
うんうん。
ボクとセフィってばすごくいいコンビじゃない?
そしてボクの頑張りとセフィの知恵で、もぐら叩きを無事にクリアしたことで――!
ギギギギギギ――。
門がひらいて、ボクたちはさらに奥に進めるようになった。
「やった! 門がひらいた! よし、先に進もう!」
「はい、行きましょう!」
新たな通路をボクとセフィが進んでいくと、すぐに行きどまりになった。
そしてそこには今度は大きな扉があって。
「なんとなく、大きなお屋敷の玄関みたい」
「ということは、このトビラを入った中が精霊ばぁやのお家なんでしょうか?」
「そういうことだよね?」
物は試しで大きな扉を押してみたんだけど、
「だめだ、鍵がかかってるみたい。ぜんぜん動きそうにないよ」
「チャイムはないみたいですね。えっと、わたしたちが精霊ばぁやに会いに来たことを、どうやって中に伝えればいいんでしょうか?」
「大声で呼んでみる? すみませーん、誰かいませんかーって」
「うるさいって、怒られないでしょうか?」
「あ、怒られるかも」
最近は「キレる大人」が多いから、子どものほうが気を使ってあげないといけないんだよね。
最近の社会における子供のマナーってやつだった。
「うーん、困りましたね……」
「どうしよっか?」
せっかく精霊の洞くつの一番奥まで来たんだ。
どうにかして精霊ばぁやに連絡する方法はないのかな?
ボクとセフィは何かないかな、ってキョロキョロあたりを見まわしていく。
大きな門のそばには、石の置き物があった。
「ねぇセフィ、これってなんなのかな? 狛犬?」
神社の入り口にある、狛犬という犬の石像になんとなく似ている。
石像は門の右と左に1つずつ置いてあった。
「これは……ガーゴイルですね」
「ガーゴイル?」
はじめて聞いた名前だな。
首をかしげたボクに、
「ガーゴイルは、悪魔の姿をした石像のことです」
セフィがパパっと説明してくれる。
「悪魔!? なにそれ怖い。なんで悪魔の石像なんかを作るんだろう?」
もしかして、来た人への嫌がらせ!?
「昔は石で作ったニセモノの悪魔を置くことで、本当の悪魔を遠ざけられると考えられていたんです」
「ふへぇ……ガーゴイルにはそういう意味があるんだ。セフィはほんと物知りだね」
「ふふっ、ハルトくんのお役に立てて光栄ですわ」
セフィがわざと高貴なお姫さまの話しかたで言った。
大人のまねをしたお澄まし顔が可愛いな。
そんな感じでボクとセフィがどうしようかと悩んでいると、
ゴゴ、ゴゴ――。
「あれ、なんの音?」
今、なにかが動いたような音がしたよね?
「ハルトくん、あれを見てください!」
セフィがガーゴイルを指さした。
すると、
「ガーゴイルが動いてる!?」
「動いています!」
なんと悪魔の石像ガーゴイルが、ゆっくりと動き出したんだ!
「セフィ、お疲れさま! すごかったよ! 最高だよ!」
ボクは大きな拍手をして、セフィの頑張りをこれでもかと褒めちぎった。
「ありがとうございます、ハルトくん。頑張ったかいがありました」
セフィはにっこり笑顔で、嬉しそうに答えてくれる。
「あーあ、でもこんなことなら初めからセフィに任せておけば良かったかなぁ」
だってボクがやったのって、全部ムダだったんだもん。
ただ疲れただけだったよ。
もぐらが出てくるパターンがあるなんて、思いもよらなかったし。
しかもそれを全部覚えるだなんて、そんなのボクには絶対の絶対に無理むりムリのカタツムリだよ!
でも、
「いいえ、ハルトくん」
セフィが言った。
「ハルトくんがプレイするのを近くでじっくり観察できたので、パターンがあることに気づくことができたんです。わたしがやりながらでは、パターンに気づくことはできませんでした」
「そうなの?」
「はい。だからこれは、ハルトくんのおかげでもあるんですよ?」
「じゃあ、またまた2人の共同作業だったってわけだね」
「はい、そういうことですね!」
ボクは頭が良くないけど運動ができて。
セフィは運動はできないけど頭が良くて。
うんうん。
ボクとセフィってばすごくいいコンビじゃない?
そしてボクの頑張りとセフィの知恵で、もぐら叩きを無事にクリアしたことで――!
ギギギギギギ――。
門がひらいて、ボクたちはさらに奥に進めるようになった。
「やった! 門がひらいた! よし、先に進もう!」
「はい、行きましょう!」
新たな通路をボクとセフィが進んでいくと、すぐに行きどまりになった。
そしてそこには今度は大きな扉があって。
「なんとなく、大きなお屋敷の玄関みたい」
「ということは、このトビラを入った中が精霊ばぁやのお家なんでしょうか?」
「そういうことだよね?」
物は試しで大きな扉を押してみたんだけど、
「だめだ、鍵がかかってるみたい。ぜんぜん動きそうにないよ」
「チャイムはないみたいですね。えっと、わたしたちが精霊ばぁやに会いに来たことを、どうやって中に伝えればいいんでしょうか?」
「大声で呼んでみる? すみませーん、誰かいませんかーって」
「うるさいって、怒られないでしょうか?」
「あ、怒られるかも」
最近は「キレる大人」が多いから、子どものほうが気を使ってあげないといけないんだよね。
最近の社会における子供のマナーってやつだった。
「うーん、困りましたね……」
「どうしよっか?」
せっかく精霊の洞くつの一番奥まで来たんだ。
どうにかして精霊ばぁやに連絡する方法はないのかな?
ボクとセフィは何かないかな、ってキョロキョロあたりを見まわしていく。
大きな門のそばには、石の置き物があった。
「ねぇセフィ、これってなんなのかな? 狛犬?」
神社の入り口にある、狛犬という犬の石像になんとなく似ている。
石像は門の右と左に1つずつ置いてあった。
「これは……ガーゴイルですね」
「ガーゴイル?」
はじめて聞いた名前だな。
首をかしげたボクに、
「ガーゴイルは、悪魔の姿をした石像のことです」
セフィがパパっと説明してくれる。
「悪魔!? なにそれ怖い。なんで悪魔の石像なんかを作るんだろう?」
もしかして、来た人への嫌がらせ!?
「昔は石で作ったニセモノの悪魔を置くことで、本当の悪魔を遠ざけられると考えられていたんです」
「ふへぇ……ガーゴイルにはそういう意味があるんだ。セフィはほんと物知りだね」
「ふふっ、ハルトくんのお役に立てて光栄ですわ」
セフィがわざと高貴なお姫さまの話しかたで言った。
大人のまねをしたお澄まし顔が可愛いな。
そんな感じでボクとセフィがどうしようかと悩んでいると、
ゴゴ、ゴゴ――。
「あれ、なんの音?」
今、なにかが動いたような音がしたよね?
「ハルトくん、あれを見てください!」
セフィがガーゴイルを指さした。
すると、
「ガーゴイルが動いてる!?」
「動いています!」
なんと悪魔の石像ガーゴイルが、ゆっくりと動き出したんだ!
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