精霊の国の勇者ハルト

マナシロカナタ✨ねこたま✨GCN文庫

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第一章

第16話 最強の精霊四天王、セイリュウ登場!(4)

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「やれやれ、それなりに遊べたが、思ったよりはたいしたことがなかったな。そろそろケリをつけてやろう」

 そう言うとセイリュウはバトル・アックスを大きく振り上げた。
 そしてすぐさま、超スーパーパワーでふり下ろした!

 ものすごい威力なのは間違いない。
 だけど、大きな隙のある攻撃だった――!

 ここだ!

 ボクは振り下ろされたバトル・アックスを、ぎりぎりでかわす!

「なにぃ!? まだこんなに元気に動けるのか!」
 セイリュウが驚いた声をあげた。

 ボクはかわしながら精霊剣プリズマノワールを思いっきり横に振る!

「いけぇぇぇ――っ!!」

 精霊剣プリズマノワールがセイリュウの体にスバっと命中する!

「やった! カウンター攻撃が完璧に決まった!」

 だけど――、

「カウンター攻撃か、狙いは良かったな」

「うそ、効いてない!?」
 セイリュウはピンピンしていたんだ――!

「今のは本当に惜しかったぞ。すごくいいカウンター攻撃だった」
 セイリュウがニヤリと笑った。

「なんで!?」

「くくく、体というのはな、筋肉でおおわれているのだ。そしてマッスル・アタックで筋肉10倍になった俺の体は、硬さも10倍になっているのさ!」

「そんな……! うっ……」

 ボクは疲れすぎて立っていられなくなって、尻もちをついてしまった。

「まぁ、ちょっとは痛かったけどな! ほら見ろ、ちょっと傷がついてるだろ!」

「ボクのカウンター攻撃でちょっと痛いだけだなんて、そんな嘘だよ……」

 完璧なカウンター攻撃すら効かないなんて。

 精霊四天王の中で1番強い最強のセイリュウ。
 ほんとに強い、強すぎた。

 こんなのとても、勝てる相手じゃないよ……。

 セイリュウがノシノシと大きな音をたてながら、近づいてくる。
 だめだ、早く立たないと。
 このままだとやられちゃう!

 でも本当に疲れすぎていて体が石のように重いんだ。
 ハァハァと息だってすごく苦しいし。

 ずっと全力で戦ってたから完全にバテてしまったんだ。
 最後にカウンター攻撃をした時に力を全部使い果たしてしまった。

 ボクは絶体絶命の大ピンチだった。

 ついにセイリュウが、立ちあがれないでいるボクの目の前まで来た。

 でも、なんでだろう?
 セイリュウは攻撃をしてこなかった。

 そして攻撃する代わりにセイリュウは言った。

「勇者ハルト! このオレ様の体に傷をつけるとはな! 褒めてやるぜ!」 

 セイリュウは体に傷をつけられたっていうのに、なんでか知らないけどすごく嬉しそうだった。

「だけど1つ気になることがあるぞ!」

「気になること?」

「おまえのその黒い剣、どうやら本当の力が眠ったままみたいだな」

「え……?」
 セイリュウはボクの持っている精霊剣プリズマノワールを指さした。

「つまり今のおまえは、全ての力を出しきってはいないというわけだ!」

「そう、なの……?」
 精霊剣プリズマノワールの本当の力が、まだ眠ったまま……?

「そうだ! だから今からおまえに3日やろう! その間に、その剣の本当の力を使えるようにしておけ!」

「ボクを見逃がしてくれるっていうこと?」

「おまえはもっと強くなるからな! オレ様はもっと強くなったおまえを倒すのだ! だから3日後にもう一度、オレ様と勝負しろ! 勝負しなければこの城を今度こそメチャクチャのスクラップにしてやるからな!」

 そう言うと。
 セイリュウはクルッと後ろを向いてそのままどこかに立ち去っていった。

「た、助かった……?」
 見のがしてもらったボクは尻もちをついたまま、ホッと安心していた。

「でも精霊剣プリズマノワールの本当の力って、そんなの急に言われてもなぁ」

 本当の力を使えるようにしろってセイリュウは言ったけど。
 どうしたら使えるようになるんだろう?

「まずはセフィに聞いてみようか」

 セフィはこの精霊の国・桃源郷で一番偉いお姫さまだ。
 もしかしたら本当の力を使うための方法も知ってるかもしれない。
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