精霊の国の勇者ハルト

マナシロカナタ✨ねこたま✨GCN文庫

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第一章

第12話 ステーキでお腹いっぱいに!

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「すごいですハルトくん! まさか最高幹部の精霊四天王に勝っちゃうなんて!」

 ビャッコとの戦いが終わってセフィロト城に戻ったボクに、セフィがいっぱいの笑顔とともに飛びついてくる。

「ちょっと危なかったけどね。でも勝てて良かったよ」

「はい! 勝てて良かったですっ!」

 うっ、喜びいっぱいのセフィの笑顔は、ほんとすごく可愛いな。
 なんだか緊張してドキドキしてきちゃった。

「でもね、少しだけ気になることがあってさ」

「気になること、ですか?」
 セフィがキョトンと首をかしげる。

「ビャッコが言ってたんだ。『オレは精霊四天王のなかで、一番弱いんだ』って」

「それって――」
 セフィがビックリした顔をした。

 そうだよね、ボクもビックリしたもん。

「うん、残りの3人の精霊四天王はあのビャッコよりも、もっと強いってことなんだ」

 ビャッコはすごく強かった。
 もうちょっとで負けそうだった。

 あんなに強いビャッコよりも他の精霊四天王はもっと強いだなんて、いったいどれだけ強いんだろうか?

 とても想像もつかないや。

 そのことを考えると、ボクはやっぱり少しだけ不安になってしまうのだった。
 そんな心配でいっぱいのボクにセフィが言った。

「大丈夫ですよ、ハルトくんは絶対に負けません。だってハルトくんは勇者なんですから!」

 セフィはそんな風に、ボクのことを信じきった顔でにっこり笑って言ってくれるんだ。

 その笑顔を見るとなんだかボクも負けないぞって気分になってくるんだよね。

 うん、そうだ。

 セフィの応援と笑顔があれば絶対に負けるわけがない。
 だってボクは、勇者ハルトなんだから!

 ほんとセフィの笑顔はすごいや。
 いっぱいの応援エネルギーの塊だ。

 そんなことを考えていると、

 ぐ~~~~~~~~~~。

 ボクのお腹が大きな音をたてた。

 すごく大きな音だ。
 教室の端っこと端っこでも聞こえるような、ものすごい音だった。

「ごめん……ホッと安心したら、なんだか一気にお腹が空いてきちゃった……」
 ボクは恥ずかしさで顔を赤くしながらお腹を押さえた。

 ううっ、ビャッコを倒した後のかっこいいシーンのはずだったのに、お腹が鳴っちゃうなんてカッコ悪いなぁ……。

 でもそんなボクを見てセフィはにっこり笑って言った。

「実はわたしもお腹がぺこぺこなんです。今日もハルトくんは大活躍だったので、ここは1つ豪勢なディナーといきましょう! そうですね、がっつりステーキとかどうでしょうか?」

「ステーキ!? 食べたい、すごく食べたい!」
 ステーキという言葉にボクは激しく反応した。

 だってステーキだよ!?

 ステーキはなかなか食べれない、すっごいご馳走だもん。
 ステーキまで出せるなんて、セフィはほんとすごいなぁ。

 さすがは精霊の国のお姫さまだ!

「それではすぐに用意しますので、お部屋で待っててくださいね」

 言われた通りに部屋で待っていると、セフィがステーキを用意してやってきた。

「いっぱい食べてくださいね!」
「うん!」

 ステーキはとってもたくさんあった。

「おいしい! すっごくおいしいよ! おかわり!」

 ビャッコと全力で戦ってお腹がぐぅぐぅぺこぺこいってたボクは、ステーキを2枚、3枚──さらにもう1枚食べて4枚!

 ステーキだけでお腹がいっぱいになるまで、ボクはいっぱいいっぱい食べ続けたのだった。
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