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第一章
第6話 勝利のうたげ!
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「どうぞハルトくん。いっぱい食べてくださいね。はい、あーん」
そう言ってセフィはボクの口の前に、おいしそうな唐あげをさし出した。
それをパクっと食べたんだけど、
「あーんは、ちょっと恥ずかしいかも……」
ボクは唐あげを飲み込むと、小さな声で言った。
自慢じゃないけど、ボクは女の子とほとんど話したことがない。
というか男の子ともあまり話したことがない。
なのに急にセフィみたいな可愛い女の子から、こんなドキドキすることをしてもらうなんて、恥ずかしすぎて困るよ……。
でもボクがそんなだっていうのにセフィってば、
「だめです! これは感謝の印なんですから。ちゃんと『あーん』されてくれないと、わたし困ります!」
よくわからないことを言ってくるんだもん。
もちろん別にイヤじゃないんだよ?
でもちょっとその、なんていうか、ね?
あーん攻撃をされつづけたボクは、だから話をちょっとだけ変えることにした。
「ねぇセフィ、桃源郷にも日本と同じ食べものがあるんだね」
この世界は日本とは全然違うっぽいのに、食べ物は同じだから何だかすごく不思議だ。
やっぱり料理をする時は精霊もエプロンをつけるのかな?
セフィのエプロン姿、ちょっと見てみたいかも?
そんなことを考えてると、
「桃源郷では空気の中にある精霊エネルギーを使うことで、なんでも好きな食べものを作りだせるんです。だからハルトくんの食べたいものを、精霊エネルギーで作ったんです」
セフィが種明かしをしてくれた。
「へー、そういうことだったんだね」
残念、セフィはエプロンはしないみたいだ。
「そろそろディナーも終わりなので、そうですね。せっかくなのでお見せしましょう。ねぇねぇ、ハルトくんはデザートは何が食べたいですか?」
「えっと、そうだなぁ……なんでもいいの?」
「なんでもいいですよ。さあさあどうぞ、バッチコイです」
「あはは、お姫さまもバッチコイとか言うんだね」
っていうか最初に会った時と比べてすごく友だち言葉になってるような?
もしかしたらこっちのセフィが本当のセフィで、あの時は頑張って「セフィロト姫」を演じてたのかもしれないね。
でも今のセフィのほうが仲のいい友だちみたいでボクは好きかな。
「そうだね、じゃあえっと……ショートケーキとかは? どうせなら大きいホールケーキで、好きなだけいっぱい食べてみたいなって思うんだけど」
「ショートケーキですね。ではでは、いきますよ? べんとらー、べんとらー。出でよ、ショートケーキ!」
なぞの呪文とともにセフィが両手を上にあげると、
ポフン。
と小さな音がした。
すると、
「うわっ、ほんとに出た!?」
ボクの目の前に、いきなり大きなショートケーキが現れたんだ!
しかも3段重ねのすごいやつ!
「すごい! ほんとになんでも出せるんだね!」
ケーキ屋さんでも売ってないような、超スーパーデラックスなショートケーキを見せられて、ボクはすごく興奮していた。
とても我慢できなくてお行儀悪く生クリームを指ですくってみる。
「甘くて美味しい……」
ほっぺが落ちそうなくらいの美味しさが口の中に広がっていた。
わわわっ、これもう食べるのがすごく楽しみだよ!
「せっかくなので紅茶も用意しますね。ハルトくんはミルクと砂糖は入れますか?」
「えっと、ボクは砂糖は2個でミルクも多めで」
「あ、わたしも一緒です。えへへ、わたしたち仲良しですね」
セフィがにっこり笑った。
うっ、可愛い。
すごくすてきな笑顔だ。
そんなセフィを見て。
ボクはどうしてだか、暑いわけでもないのに顔が赤くなっているのを感じたのだった。
そう言ってセフィはボクの口の前に、おいしそうな唐あげをさし出した。
それをパクっと食べたんだけど、
「あーんは、ちょっと恥ずかしいかも……」
ボクは唐あげを飲み込むと、小さな声で言った。
自慢じゃないけど、ボクは女の子とほとんど話したことがない。
というか男の子ともあまり話したことがない。
なのに急にセフィみたいな可愛い女の子から、こんなドキドキすることをしてもらうなんて、恥ずかしすぎて困るよ……。
でもボクがそんなだっていうのにセフィってば、
「だめです! これは感謝の印なんですから。ちゃんと『あーん』されてくれないと、わたし困ります!」
よくわからないことを言ってくるんだもん。
もちろん別にイヤじゃないんだよ?
でもちょっとその、なんていうか、ね?
あーん攻撃をされつづけたボクは、だから話をちょっとだけ変えることにした。
「ねぇセフィ、桃源郷にも日本と同じ食べものがあるんだね」
この世界は日本とは全然違うっぽいのに、食べ物は同じだから何だかすごく不思議だ。
やっぱり料理をする時は精霊もエプロンをつけるのかな?
セフィのエプロン姿、ちょっと見てみたいかも?
そんなことを考えてると、
「桃源郷では空気の中にある精霊エネルギーを使うことで、なんでも好きな食べものを作りだせるんです。だからハルトくんの食べたいものを、精霊エネルギーで作ったんです」
セフィが種明かしをしてくれた。
「へー、そういうことだったんだね」
残念、セフィはエプロンはしないみたいだ。
「そろそろディナーも終わりなので、そうですね。せっかくなのでお見せしましょう。ねぇねぇ、ハルトくんはデザートは何が食べたいですか?」
「えっと、そうだなぁ……なんでもいいの?」
「なんでもいいですよ。さあさあどうぞ、バッチコイです」
「あはは、お姫さまもバッチコイとか言うんだね」
っていうか最初に会った時と比べてすごく友だち言葉になってるような?
もしかしたらこっちのセフィが本当のセフィで、あの時は頑張って「セフィロト姫」を演じてたのかもしれないね。
でも今のセフィのほうが仲のいい友だちみたいでボクは好きかな。
「そうだね、じゃあえっと……ショートケーキとかは? どうせなら大きいホールケーキで、好きなだけいっぱい食べてみたいなって思うんだけど」
「ショートケーキですね。ではでは、いきますよ? べんとらー、べんとらー。出でよ、ショートケーキ!」
なぞの呪文とともにセフィが両手を上にあげると、
ポフン。
と小さな音がした。
すると、
「うわっ、ほんとに出た!?」
ボクの目の前に、いきなり大きなショートケーキが現れたんだ!
しかも3段重ねのすごいやつ!
「すごい! ほんとになんでも出せるんだね!」
ケーキ屋さんでも売ってないような、超スーパーデラックスなショートケーキを見せられて、ボクはすごく興奮していた。
とても我慢できなくてお行儀悪く生クリームを指ですくってみる。
「甘くて美味しい……」
ほっぺが落ちそうなくらいの美味しさが口の中に広がっていた。
わわわっ、これもう食べるのがすごく楽しみだよ!
「せっかくなので紅茶も用意しますね。ハルトくんはミルクと砂糖は入れますか?」
「えっと、ボクは砂糖は2個でミルクも多めで」
「あ、わたしも一緒です。えへへ、わたしたち仲良しですね」
セフィがにっこり笑った。
うっ、可愛い。
すごくすてきな笑顔だ。
そんなセフィを見て。
ボクはどうしてだか、暑いわけでもないのに顔が赤くなっているのを感じたのだった。
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