一年付き合ってた彼女が医大生とラブホから出てきた(NTR……涙)帰り道、川で幼女が溺れていたので助けて家まで送ったら学園のアイドルの家だった
マナシロカナタ✨ラノベ作家✨子犬を助けた
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エピローグ
第171話 ケーキ入刀
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「じゃあ、早速食べるとするか」
「ふふっ、楽しみ~」
と言いつつも、お互いにケーキにフォークを入れようとはしない俺と優香。
「食べないのか?」
「蒼太くんこそ」
「俺はその……レディファーストもできないカレシとか思われたくないからさ」
少女漫画に出てくる、女の子の理想を英霊召喚したようなパーフェクトイケメンみたいに、誰もが羨むデートをエスコートしようなんてことは端から思っちゃいない。
だけどできる範囲で優香に楽しんでもらえる努力はしたいのだ。
「私も、食べることしか考えてない食欲大魔神なカノジョだって思われたくないかなぁって」
「いやいや、俺はそんなことはまったく思わないから、気にせず食べなよ。ケーキ好きだろ?」
「私だって全然思わないよ? それに今の世の中は男女平等だよね?」
「まぁまぁそう言わずに、ここは優香からどうぞ」
「ううん、蒼太くんから食べてよ」
「優香から」
「蒼太くんから」
俺と優香はお互いにどうぞどうぞと、先に食べる権利を譲り合った。
まぁなんだ。
カレシ・カノジョになったことで、お互いに相手からよく見られたいと思う気持ちが過分に働いているようだった。
でも、それも仕方ないよな?
これが本当の意味での初めてのデートなんだから、お互いにちょっと多めに見栄を張っちゃうのは当然だと思う。
だけどこのままじゃ、いつまで経ってもケーキを食べることができなさそうだ。
というわけで、俺は折衷案を提案した。
「じゃあ、同じタイミングで食べるってことでどうだ? せーので一緒にフォークを入れるんだ。今の世の中らしくさ」
せーので同時にってのがちょっと子供っぽいかもしれないけど、膠着した事態を前に進めるって意味では、悪くない落としどころだと思わないか?
「あ、いいね、それ」
「じゃあ行くぞ。準備はいいか?」
「いいよ」
俺と優香は互いにフォークを構えると、
「せーの」
「「えいっ」」
プロレスのツープラトン攻撃のごとく、同じタイミングでケーキにフォークを入れた。
これが男同士ならフェイントでフォークを入れる振りだけしたりして、無意味に騒ぐところなんだろうけど、もちろん神聖なる初デートでそんな愚行を犯しはしない。
「ふふふっ……」
と、なぜかそこで優香が笑った。
「どうしたんだ?」
「なんだか結婚式のケーキ入刀みたいだなって思って」
「結婚式のケーキ入刀って? あー、あれか。言われてみればたしかに」
そしてそうと意識した途端に、なんていうかこう、心が湧きたって居ても立ってもいられなくなってしまう俺がいた。
今日一番の恥ずかしさがブワワっと込み上げてくる。
顔が大量の熱を帯びていた。
控えめに言って動揺していた。
だって結婚式のケーキ入刀だぞ?
それを優香とやったんだぞ?
なんだそれ、結婚式の予行演習かよ!
「あの、別にそんなに重い意味じゃなくて! ただその、あくまで一般的かつ普遍的な感想っていうか? だから重い女とかは思わないで欲しいなっ」
動揺を隠せないでいる俺を見て、優香が慌てたように早口になる。
「そんな風に思ったりはしないよ。だから安心して」
「ほんと?」
「それに付き合うんだったら、俺もそれなりに真剣に付き合いたいしさ」
結婚を見据えるってのは、さすがにまだ高校2年生だからちょっとイメージすら湧かないけれど。
それでも中途半端な気持ちで優香とは付き合うことだけは、したくなかった。
付き合うなら全力で付き合いたい。
とまぁそんな出だしだったものの。
そこからはケーキ品評会をしたり、美月ちゃんのことや、今日学校であったこと、授業のことを話したりと、朝と同じで今までと大きくは変わりはしなかった。
そしてそう感じたのは俺だけではないようだった。
「ふふっ、楽しみ~」
と言いつつも、お互いにケーキにフォークを入れようとはしない俺と優香。
「食べないのか?」
「蒼太くんこそ」
「俺はその……レディファーストもできないカレシとか思われたくないからさ」
少女漫画に出てくる、女の子の理想を英霊召喚したようなパーフェクトイケメンみたいに、誰もが羨むデートをエスコートしようなんてことは端から思っちゃいない。
だけどできる範囲で優香に楽しんでもらえる努力はしたいのだ。
「私も、食べることしか考えてない食欲大魔神なカノジョだって思われたくないかなぁって」
「いやいや、俺はそんなことはまったく思わないから、気にせず食べなよ。ケーキ好きだろ?」
「私だって全然思わないよ? それに今の世の中は男女平等だよね?」
「まぁまぁそう言わずに、ここは優香からどうぞ」
「ううん、蒼太くんから食べてよ」
「優香から」
「蒼太くんから」
俺と優香はお互いにどうぞどうぞと、先に食べる権利を譲り合った。
まぁなんだ。
カレシ・カノジョになったことで、お互いに相手からよく見られたいと思う気持ちが過分に働いているようだった。
でも、それも仕方ないよな?
これが本当の意味での初めてのデートなんだから、お互いにちょっと多めに見栄を張っちゃうのは当然だと思う。
だけどこのままじゃ、いつまで経ってもケーキを食べることができなさそうだ。
というわけで、俺は折衷案を提案した。
「じゃあ、同じタイミングで食べるってことでどうだ? せーので一緒にフォークを入れるんだ。今の世の中らしくさ」
せーので同時にってのがちょっと子供っぽいかもしれないけど、膠着した事態を前に進めるって意味では、悪くない落としどころだと思わないか?
「あ、いいね、それ」
「じゃあ行くぞ。準備はいいか?」
「いいよ」
俺と優香は互いにフォークを構えると、
「せーの」
「「えいっ」」
プロレスのツープラトン攻撃のごとく、同じタイミングでケーキにフォークを入れた。
これが男同士ならフェイントでフォークを入れる振りだけしたりして、無意味に騒ぐところなんだろうけど、もちろん神聖なる初デートでそんな愚行を犯しはしない。
「ふふふっ……」
と、なぜかそこで優香が笑った。
「どうしたんだ?」
「なんだか結婚式のケーキ入刀みたいだなって思って」
「結婚式のケーキ入刀って? あー、あれか。言われてみればたしかに」
そしてそうと意識した途端に、なんていうかこう、心が湧きたって居ても立ってもいられなくなってしまう俺がいた。
今日一番の恥ずかしさがブワワっと込み上げてくる。
顔が大量の熱を帯びていた。
控えめに言って動揺していた。
だって結婚式のケーキ入刀だぞ?
それを優香とやったんだぞ?
なんだそれ、結婚式の予行演習かよ!
「あの、別にそんなに重い意味じゃなくて! ただその、あくまで一般的かつ普遍的な感想っていうか? だから重い女とかは思わないで欲しいなっ」
動揺を隠せないでいる俺を見て、優香が慌てたように早口になる。
「そんな風に思ったりはしないよ。だから安心して」
「ほんと?」
「それに付き合うんだったら、俺もそれなりに真剣に付き合いたいしさ」
結婚を見据えるってのは、さすがにまだ高校2年生だからちょっとイメージすら湧かないけれど。
それでも中途半端な気持ちで優香とは付き合うことだけは、したくなかった。
付き合うなら全力で付き合いたい。
とまぁそんな出だしだったものの。
そこからはケーキ品評会をしたり、美月ちゃんのことや、今日学校であったこと、授業のことを話したりと、朝と同じで今までと大きくは変わりはしなかった。
そしてそう感じたのは俺だけではないようだった。
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