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第9章 蒼太、決意の時

第162話 告白(2)

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「ゆ、優香からどうぞ」
「ううん、蒼太くんから」

「ここはレディファーストってことで」
「最近はほら、男女平等だよね?」

 再び同じようなやり取りを繰り返してしまい、さっきと同じように無言で見つめ合っちゃう俺と優香。

 ううっ、せっかく頑張ったのに、上手くいかなさ過ぎてなんだか泣きたくなってきたよ。

 だが落ち着くんだ。
 投げやりになっちゃいけない。

 ここで焦って雑な告白をして振られでもしたら、それこそ底意地の悪いラブコメの神様の思う壺だ。

「じゃあ俺から話すな」
「うん。そうしてくれる?」

 俺は3度目のループがないように、先に一言断ってから話し始めた。

「今日は来てくれてありがとう。手紙、見てくれたんだよな?」

 そりゃ見たから来たんだろうけど――それ以外に優香がここに来る理由はありはしない――これはまぁ告白の前置きというか、会話のとっかかりというやつだ。

 俺は絶対に「はい」という返事が返ってくることを念頭に置きつつ、告白へと繋がる更なる言葉を頭の中で用意していたんだけど――。

「え? 手紙って?」

 なぜかそこで、優香がキョトンとした顔をした。

「え? 手紙は手紙で……えっと、え?」

 優香のまさかの反応に、俺も驚きの声を上げてしまう。

 だって、え?
 なんで優香が不思議そうな顔をするんだよ?
 俺のラブレターを見たから、優香はここに来てくれたんだよな?

「「……??」」

 気持ちを伝えるための言葉を紡ぐとかそういうこと以前に、状況が呑み込めずに、俺は三度、優香と無言のまま見つめ合ってしまった。

 えっと、はい?
 どゆこと????????????

「ええっと、もしかしてなんだけどね? これって蒼太くんが書いたの?」
 と、そこで優香がうす緑色の封筒を、スカートのポケットから取り出した。

 とても見覚えのある封筒。
 俺が出したラブレターで、大きな書店の3階にある文具コーナーで、見比べに見比べて選んだ、ちょっとカッコつけたいい感じのやつだ。
 ちなみに封筒3枚&レター8枚のセットで480円もした。

「そうだよ。だから、それを見たから優香は来てくれたんだよな?」
「そうなんだけど、そうじゃない的なところもあるというか」

「えーっと……?」
「あのね? 机に手紙が入ってなかったかな?」

「入れたぞ。だから優香は手紙を見て、来てくれたんだよな?」
「私じゃなくって、蒼太くんの机」

「俺の机? ――って、なんかさっきから会話がおかしいような……」

 どうして優香が『机に手紙が入ってなかったかな?』って俺に聞くんだ?
 それはむしろ俺が言うべきセリフだよな?

「ぁ――」
「どうした?」
 そこで優香がハッとしたような顔を見せた。
 このどうにも不思議な状況に、なにやら思い当たる節があったようだ。

「ねぇねぇ、ちょっとだけ確認なんだけど。蒼太くんはラブレターを読んだから来てくれたんだよね?」
「それもあるけど、そうじゃないところもあるというか」

 優香の問いかけに、俺はさっき優香が言ったのと同じような曖昧な言葉を返す。

 そこで俺もはたと気付く。
 もしかして、俺の机の中にあったラブレターの主って――!

「ああ、そういうこと!? ってことは? もしかして机の中にあったラブレターって優香がくれたのか!?」
 思わず大きな声になってしまった俺に、

「ちょっと蒼太くんってば! ラブレターとか、そんなに大きな声で言われたら恥ずかしいよ~!」
 優香がまっ赤な顔で抗議をしてくる。

「ご、ごめん」
 慌てて謝る俺。

「でもはい。あのラブレターは私が出しました」
 優香がかなりの小声で、すごく恥ずかしそうに呟くように言った。
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