一年付き合ってた彼女が医大生とラブホから出てきた(NTR……涙)帰り道、川で幼女が溺れていたので助けて家まで送ったら学園のアイドルの家だった
マナシロカナタ✨ねこたま✨GCN文庫
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第6章 優香のお料理大作戦
第92話 先っぽだけならいいよね?
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しばらくすると定刻通りにバスがやってきた。
しかしバスに乗って優香と隣り合わせのシートに座った途端に、俺は強烈な眠気に襲われてしまう。
意識が強引に沼底に引っ張られるような感覚。
ヤバイ、これマジでヤバイ。
死ぬほど眠い。
ああだめだ、寝てしまう――
とても起きていられない――
「ごめん優香、俺、もう――」
バスが軽く車体を揺らしながら発進したのが最後の引き金になって、優香の返事を待つこともできずに、俺の意識は奈落の底に引きずり込まれるようにブラックアウトしてしまった――
~優香SIDE~
「ごめん優香、俺、もう――」
バスが発進すると同時に、蒼太くんはそう言い残して旅立ってしまった――眠りの国へと。
すー、すーと、小さくて規則正しい寝息が、すぐ隣から聞こえてくる。
「あらら。蒼太くん、座ったらすぐに寝ちゃった。よっぽど疲れてたんだね。テスト勉強をすごく頑張ったって言ってたもんね」
私にいいところを見せたくてテスト勉強を頑張ったのかな?
なーんてね。
例によって自分に都合のいいように考えてしまった私は、妄想に過ぎないと理解しながら、だけど無性に嬉しくなってしまって、
「ふふっ」
誰に見せるでもなく、小さな笑みを浮かべたのだった。
「それにしても蒼太くんってば、気持ちよさそうに寝てるよね」
あまりに無防備で幸せそうな寝顔だったので、つい誘惑に駆られて軽くほっぺたをつついてみたんだけど、
「ん、むにゃ……すー、すー……」
蒼太くんが起きる気配は全くなかった。
完全に無反応。
どうやらかなり深く寝入ってしまっているようだ。
「それだけ私を信頼してくれてるってことかな?」
そのことにちょっとだけ浮かれ気分になった私は、身体を少し近づけてみた。
私と蒼太くんの肩と肩が、二の腕と二の腕が少しだけ触れ合う。
触れ合ったところから蒼太くんの体温が感じられて、私の身体をなんとも言えない安らぎと、不思議な高揚感が駆け巡っていった。
さらに私の頭を蒼太くんの肩に預けてみたり――しそうになって、
「いやいやいやいや」
でもさすがにそれはやり過ぎだと、付き合ってもいないのにやっちゃいけないことだと、私はギリギリのところで自制心を働かせたのだった。
危ない危ない。
頭を肩に乗せている時に蒼太くんが起きてしまったら、完全に言い訳不能だ。
そんなことを考えていると、ふと蒼太くんの手に視線が行った。
膝の上に、蒼太くんの手が開くでもなく握るでもなく中途半端に開いた状態で、所在なさげに置かれている。
私は少なくない時間、逡巡と葛藤を繰り返してから、ありったけの勇気を振り絞ると、
「…………えいっ!」
私は小指の先っぽを蒼太くんの小指の先に、そっと触れ合わせた。
本当に先っぽを、ほんの少しだけ。
「これくらいなら……ただの仲のいいお友達でも許容範囲だよね?」
先っぽだけならいいよね?
これなら万が一、蒼太くんに気付かれても『意図せず触れちゃってた』って誤魔化せるはず。
「うん、そうだよ。蒼太くんとは一緒にプールに遊びに行ったりお家でテスト勉強をしちゃうくらいには仲良しなんだから、小指が触れ合うくらいの接触はあっても不思議じゃないもん」
どちらも2人きりというわけではなく美月も一緒だったけど、まぁそれは言うまい。
見方を変えれば、家族ぐるみのお付き合いと言えなくもない……かもしれない。
私は自分で自分を納得させると、小指の先のささやかな感触に大きな幸せを感じながら、気持ちよさそうに眠る蒼太くんの顔を心ゆくまで眺め続けたのだった。
しかしバスに乗って優香と隣り合わせのシートに座った途端に、俺は強烈な眠気に襲われてしまう。
意識が強引に沼底に引っ張られるような感覚。
ヤバイ、これマジでヤバイ。
死ぬほど眠い。
ああだめだ、寝てしまう――
とても起きていられない――
「ごめん優香、俺、もう――」
バスが軽く車体を揺らしながら発進したのが最後の引き金になって、優香の返事を待つこともできずに、俺の意識は奈落の底に引きずり込まれるようにブラックアウトしてしまった――
~優香SIDE~
「ごめん優香、俺、もう――」
バスが発進すると同時に、蒼太くんはそう言い残して旅立ってしまった――眠りの国へと。
すー、すーと、小さくて規則正しい寝息が、すぐ隣から聞こえてくる。
「あらら。蒼太くん、座ったらすぐに寝ちゃった。よっぽど疲れてたんだね。テスト勉強をすごく頑張ったって言ってたもんね」
私にいいところを見せたくてテスト勉強を頑張ったのかな?
なーんてね。
例によって自分に都合のいいように考えてしまった私は、妄想に過ぎないと理解しながら、だけど無性に嬉しくなってしまって、
「ふふっ」
誰に見せるでもなく、小さな笑みを浮かべたのだった。
「それにしても蒼太くんってば、気持ちよさそうに寝てるよね」
あまりに無防備で幸せそうな寝顔だったので、つい誘惑に駆られて軽くほっぺたをつついてみたんだけど、
「ん、むにゃ……すー、すー……」
蒼太くんが起きる気配は全くなかった。
完全に無反応。
どうやらかなり深く寝入ってしまっているようだ。
「それだけ私を信頼してくれてるってことかな?」
そのことにちょっとだけ浮かれ気分になった私は、身体を少し近づけてみた。
私と蒼太くんの肩と肩が、二の腕と二の腕が少しだけ触れ合う。
触れ合ったところから蒼太くんの体温が感じられて、私の身体をなんとも言えない安らぎと、不思議な高揚感が駆け巡っていった。
さらに私の頭を蒼太くんの肩に預けてみたり――しそうになって、
「いやいやいやいや」
でもさすがにそれはやり過ぎだと、付き合ってもいないのにやっちゃいけないことだと、私はギリギリのところで自制心を働かせたのだった。
危ない危ない。
頭を肩に乗せている時に蒼太くんが起きてしまったら、完全に言い訳不能だ。
そんなことを考えていると、ふと蒼太くんの手に視線が行った。
膝の上に、蒼太くんの手が開くでもなく握るでもなく中途半端に開いた状態で、所在なさげに置かれている。
私は少なくない時間、逡巡と葛藤を繰り返してから、ありったけの勇気を振り絞ると、
「…………えいっ!」
私は小指の先っぽを蒼太くんの小指の先に、そっと触れ合わせた。
本当に先っぽを、ほんの少しだけ。
「これくらいなら……ただの仲のいいお友達でも許容範囲だよね?」
先っぽだけならいいよね?
これなら万が一、蒼太くんに気付かれても『意図せず触れちゃってた』って誤魔化せるはず。
「うん、そうだよ。蒼太くんとは一緒にプールに遊びに行ったりお家でテスト勉強をしちゃうくらいには仲良しなんだから、小指が触れ合うくらいの接触はあっても不思議じゃないもん」
どちらも2人きりというわけではなく美月も一緒だったけど、まぁそれは言うまい。
見方を変えれば、家族ぐるみのお付き合いと言えなくもない……かもしれない。
私は自分で自分を納得させると、小指の先のささやかな感触に大きな幸せを感じながら、気持ちよさそうに眠る蒼太くんの顔を心ゆくまで眺め続けたのだった。
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