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第4章 プールデート

第62話 恋に落ちる ~優香SIDE~、 ~美月のあのね帳~

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~あのね帳(姫宮美月)~

せんせい、あのね、今日は、おゆのプールに、バタバタのれんしゅうに、行きました。
そうたお兄ちゃんが、おしえてくれたので、じょうずにバタバタできるように、なりました。

学校のプールが、たのしみです。

でも、そうたお兄ちゃんがえっちだったので、めっ、をしました。
そうたお兄ちゃんは、ごめんなさいって、言っていました。



~優香SIDE~

 蒼太くんと美月と3人でプールに遊びに行った日の夜。

 私はベッドに横向きで寝そべりながら、スマホの画面を見つめては物思いにふけっていた。
 画面に映っているのは、今日のプールでスタッフさんに撮影してもらった記念の写真だ。

 私は去年、ちょっとだけ背伸びして買った大人っぽいビキニ水着を着ていて。
 美月は小学生らしい可愛いワンピーススカート水着を着ていた。
 そして蒼太くんはというと、海パンだけで惜しげもなく裸体を晒していた。

『俺はその子の彼氏だよ。あんたたち、俺の彼女に何か用?』
『これからはもう優香を1人にはしないから』

 ピースをしながら無防備に笑う蒼太くんの姿を眺めるたびに、今日蒼太くんがナンパから助けてくれた時に私にかけてくれた言葉が、胸の中で何度もリフレインしてしまう。

「はふぅ……」
 そしてそのたびに私は胸の中が熱くなっていって、切ないほどにきゅうっと強く締め付けられてしまうのだ。

『優香――』
『な、なに……?』

 そしてあの時。
 蒼太くんは、私になんて言おうとしたんだろう?
 明らかに何が大事なことを告げようとしているっぽい雰囲気だったよね。

「もしかして私のことが好きって言おうとしてたりとか? なーんてね、そんなわけはないかぁ……」

 なんでも自分に都合よく考えてしまいそうになる自意識過剰なお年頃の心を、私は必死に押しとどめる。

 実のところ、私は割とモテる方だった。
 だけど私を好きになってくれるのは、蒼太くんみたいな真面目で一生懸命で素敵な男の子ではなく。
 決まって今日ナンパしてきたような、チャラくて軽薄で誠実さに欠けるような相手ばかりだったのだ。

「付き合うなら、蒼太くんみたいな男の子がいいな」

 口に出してしまったことで、改めて強く蒼太くんのことを意識してしまう。
 蒼太くんのことを意識することをやめられない。

 もう間違いなかった。

「私は蒼太くんに恋をしてる……恋しちゃってるんだ……」

 蒼太くんと一緒にいるだけで胸の中がポカポカする。
 事あるごとに蒼太くんのことを考えてしまう。
 気が付いたら蒼太くんの姿を目で追ってしまう。
 蒼太くんの笑顔に、どうしようもなく心を奪われてしまう――

「うん、間違いない。私は蒼太くんに恋しちゃったんだ――」

  第一部(完)


引き続き、第2部をお楽しみに~!
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