一年付き合ってた彼女が医大生とラブホから出てきた(NTR……涙)帰り道、川で幼女が溺れていたので助けて家まで送ったら学園のアイドルの家だった
マナシロカナタ✨ラノベ作家✨子犬を助けた
文字の大きさ
大中小
28 / 175
第2章 変わり始めた関係
第28話 心の中でごめんなさい ~優香SIDE~、~美月のあのね帳~
しおりを挟む
~優香SIDE~
その日の夜。
晩ご飯を食べてお風呂にも入って、そしてパジャマに着替えた私は、自室のベッドで布団を頭まですっぽり被って甲羅に入った亀のようになりながら、暖かい暗闇の中で今日という日のことを思い返していた。
いや思い返すというよりは、反省をしていたというか。
「や、や、やっちゃった~~!」
なにをやっちゃったかって、
「美月をだしにして蒼太くんを誘っちゃったよ~~!」
ということだった。
自分の心に嘘は付けないから正直に言おう。
私は純粋無垢な妹の美月を利用してしまった。
美月はよくできた子なので、蒼太くんが来るように無理にせがんだりはしない。
『蒼太おにーちゃんが来る時は絶対に教えてね! 遊びに行かずに待ってるから!』
とは言われていたけれど。
だけど早く連れてくるようにおねだりされたことは、1度たりともありはしなかった。
さすが美月。
身内というひいき目を抜きにしても本当によくできた妹だ。
だって言うのに――!
「美月が会いたがってるって言って、蒼太くんをおうちに呼んじゃったよぉ~~……」
はっきり言おう。
これはズルだ。
美月の名前を出せば蒼太くんが断れないであろうことを見越した上で。
蒼太くんが美月を可愛がっていることも分かった上で。
私は最近どうにも気になってしょうがなかった蒼太くんを、家に呼んでしまったのだ。
ああもう!
私ってばなんてハレンチなことを――。
「ほんの出来心だったの……蒼太くんともっと仲良くなれたらいいなって思って……そしたらつい……。でもそんなの全部言い訳にしかならないよね……」
本来なら美月にも蒼太くんにも、嘘をついたことを謝って然るべきだ。
だけどそれで蒼太くんに嫌われてしまったらと思うと、私は謝ることがどうしようもなく怖くなってしまうのだった。
なにより「なんでそんなことをしたんだ?」と問われたら、私は答えることができないから。
蒼太くんのことが気になってたからつい出来心でやっちゃった(てへっ、――なんて面と向かって言えるわけがない。
言えるわけがなかった。
「うん、このことはもう私だけが知っている秘密としてお墓の中まで持って行こう……」
だけどその代わり。
もう2度と美月を使って蒼太くんを誘うような真似はしないと、私は自分の心に固く誓ったのだった。
「でも蒼太くんが楽しんでくれていたみたいだったから、それは良かったかな」
蒼太くんは最初こそ慣れないロールプレイングに四苦八苦していたみたいだった。
けれど次第に慣れてきて、途中からは楽しそうに三角関係で二人の女性に挟まれてあたふたする男性を演じてくれた。
「おかげで美月はずっとすごく楽しそうだったもんね」
もちろん私も楽しかった。
まるでいつも見ているドラマの登場人物になったみたいだったから。
なにより「あれ」だ。
あれとはもちろん『俺は優香が好きなんだ!』という蒼太くんの言葉。
もちろんただの演技にすぎない。
現実の私を蒼太くんが好きというわけではない。
あくまでおままごとの役の中でのセリフだ。
とはいえ、じっと目を見つめられながら力強く宣言されてしまった私は、胸がどうしようもなく高鳴ってしまったのだ。
やっぱりこの気持ちは恋……だよね?
「うー……、顔とか態度に出てなかったかな? すごく頑張ってポーカーフェイスをしてたんだもん、大丈夫だよね?」
私はそうだと信じて布団から顔を出す。
掛け布団をすっぽりかぶっていたので、いい加減息が苦しかった。
「終わっちゃったことは仕方ないよね。だけど今日のことを秘密にする代わりに、私も変わらないと。異性として好きとかそういうのは別にして、気になるんだったらちゃんと自分の意思でアプローチしないとだもん」
それが私なりの反省だった。
「うん、明日はがんばろっと! がんばるぞ、おー!」
私はまだポカポカしている胸に右手のひらをそっと当てながら、強い決意を胸にいだく。
そしてそのまま、どうしようもなく湧き上がってくる幸せな気分で胸をいっぱいにしながら眠りについたのだった――。
~あのね帳(姫宮美月)~
先生、あのね、今日は、そうたお兄ちゃんがおうちにあそびにきました。
そして、美月とお姉ちゃんで、そうたお兄ちゃんのとりあいをしました。
そうたお兄ちゃんは美月とおつきあいをしていますが、お姉ちゃんともおつきあいをしているからです。
ドラマみたいでたのしかったです。
その日の夜。
晩ご飯を食べてお風呂にも入って、そしてパジャマに着替えた私は、自室のベッドで布団を頭まですっぽり被って甲羅に入った亀のようになりながら、暖かい暗闇の中で今日という日のことを思い返していた。
いや思い返すというよりは、反省をしていたというか。
「や、や、やっちゃった~~!」
なにをやっちゃったかって、
「美月をだしにして蒼太くんを誘っちゃったよ~~!」
ということだった。
自分の心に嘘は付けないから正直に言おう。
私は純粋無垢な妹の美月を利用してしまった。
美月はよくできた子なので、蒼太くんが来るように無理にせがんだりはしない。
『蒼太おにーちゃんが来る時は絶対に教えてね! 遊びに行かずに待ってるから!』
とは言われていたけれど。
だけど早く連れてくるようにおねだりされたことは、1度たりともありはしなかった。
さすが美月。
身内というひいき目を抜きにしても本当によくできた妹だ。
だって言うのに――!
「美月が会いたがってるって言って、蒼太くんをおうちに呼んじゃったよぉ~~……」
はっきり言おう。
これはズルだ。
美月の名前を出せば蒼太くんが断れないであろうことを見越した上で。
蒼太くんが美月を可愛がっていることも分かった上で。
私は最近どうにも気になってしょうがなかった蒼太くんを、家に呼んでしまったのだ。
ああもう!
私ってばなんてハレンチなことを――。
「ほんの出来心だったの……蒼太くんともっと仲良くなれたらいいなって思って……そしたらつい……。でもそんなの全部言い訳にしかならないよね……」
本来なら美月にも蒼太くんにも、嘘をついたことを謝って然るべきだ。
だけどそれで蒼太くんに嫌われてしまったらと思うと、私は謝ることがどうしようもなく怖くなってしまうのだった。
なにより「なんでそんなことをしたんだ?」と問われたら、私は答えることができないから。
蒼太くんのことが気になってたからつい出来心でやっちゃった(てへっ、――なんて面と向かって言えるわけがない。
言えるわけがなかった。
「うん、このことはもう私だけが知っている秘密としてお墓の中まで持って行こう……」
だけどその代わり。
もう2度と美月を使って蒼太くんを誘うような真似はしないと、私は自分の心に固く誓ったのだった。
「でも蒼太くんが楽しんでくれていたみたいだったから、それは良かったかな」
蒼太くんは最初こそ慣れないロールプレイングに四苦八苦していたみたいだった。
けれど次第に慣れてきて、途中からは楽しそうに三角関係で二人の女性に挟まれてあたふたする男性を演じてくれた。
「おかげで美月はずっとすごく楽しそうだったもんね」
もちろん私も楽しかった。
まるでいつも見ているドラマの登場人物になったみたいだったから。
なにより「あれ」だ。
あれとはもちろん『俺は優香が好きなんだ!』という蒼太くんの言葉。
もちろんただの演技にすぎない。
現実の私を蒼太くんが好きというわけではない。
あくまでおままごとの役の中でのセリフだ。
とはいえ、じっと目を見つめられながら力強く宣言されてしまった私は、胸がどうしようもなく高鳴ってしまったのだ。
やっぱりこの気持ちは恋……だよね?
「うー……、顔とか態度に出てなかったかな? すごく頑張ってポーカーフェイスをしてたんだもん、大丈夫だよね?」
私はそうだと信じて布団から顔を出す。
掛け布団をすっぽりかぶっていたので、いい加減息が苦しかった。
「終わっちゃったことは仕方ないよね。だけど今日のことを秘密にする代わりに、私も変わらないと。異性として好きとかそういうのは別にして、気になるんだったらちゃんと自分の意思でアプローチしないとだもん」
それが私なりの反省だった。
「うん、明日はがんばろっと! がんばるぞ、おー!」
私はまだポカポカしている胸に右手のひらをそっと当てながら、強い決意を胸にいだく。
そしてそのまま、どうしようもなく湧き上がってくる幸せな気分で胸をいっぱいにしながら眠りについたのだった――。
~あのね帳(姫宮美月)~
先生、あのね、今日は、そうたお兄ちゃんがおうちにあそびにきました。
そして、美月とお姉ちゃんで、そうたお兄ちゃんのとりあいをしました。
そうたお兄ちゃんは美月とおつきあいをしていますが、お姉ちゃんともおつきあいをしているからです。
ドラマみたいでたのしかったです。
0
お気に入りに追加
596
あなたにおすすめの小説
兄貴がイケメンすぎる件
みららぐ
恋愛
義理の兄貴とワケあって二人暮らしをしている主人公の世奈。
しかしその兄貴がイケメンすぎるせいで、何人彼氏が出来ても兄貴に会わせた直後にその都度彼氏にフラれてしまうという事態を繰り返していた。
しかしそんな時、クラス替えの際に世奈は一人の男子生徒、翔太に一目惚れをされてしまう。
「僕と付き合って!」
そしてこれを皮切りに、ずっと冷たかった幼なじみの健からも告白を受ける。
「俺とアイツ、どっちが好きなの?」
兄貴に会わせばまた離れるかもしれない、だけど人より堂々とした性格を持つ翔太か。
それとも、兄貴のことを唯一知っているけど、なかなか素直になれない健か。
世奈が恋人として選ぶのは……どっち?
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
最底辺の落ちこぼれ、実は彼がハイスペックであることを知っている元幼馴染のヤンデレ義妹が入学してきたせいで真の実力が発覚してしまう!
電脳ピエロ
恋愛
時野 玲二はとある事情から真の実力を隠しており、常に退学ギリギリの成績をとっていたことから最底辺の落ちこぼれとバカにされていた。
しかし玲二が2年生になった頃、時を同じくして義理の妹になった人気モデルの神堂 朱音が入学してきたことにより、彼の実力隠しは終わりを迎えようとしていた。
「わたしは大好きなお義兄様の真の実力を、全校生徒に知らしめたいんです♡ そして、全校生徒から羨望の眼差しを向けられているお兄様をわたしだけのものにすることに興奮するんです……あぁんっ♡ お義兄様ぁ♡」
朱音は玲二が実力隠しを始めるよりも前、幼少期からの幼馴染だった。
そして義理の兄妹として再開した現在、玲二に対して変質的な愛情を抱くヤンデレなブラコン義妹に変貌していた朱音は、あの手この手を使って彼の真の実力を発覚させようとしてくる!
――俺はもう、人に期待されるのはごめんなんだ。
そんな玲二の願いは叶うことなく、ヤンデレ義妹の暴走によって彼がハイスペックであるという噂は徐々に学校中へと広まっていく。
やがて玲二の真の実力に危機感を覚えた生徒会までもが動き始めてしまい……。
義兄の実力を全校生徒に知らしめたい、ブラコンにしてヤンデレの人気モデル VS 真の実力を絶対に隠し通したい、実は最強な最底辺の陰キャぼっち。
二人の心理戦は、やがて学校全体を巻き込むほどの大きな戦いへと発展していく。
夜の声
神崎
恋愛
r15にしてありますが、濡れ場のシーンはわずかにあります。
読まなくても物語はわかるので、あるところはタイトルの数字を#で囲んでます。
小さな喫茶店でアルバイトをしている高校生の「桜」は、ある日、喫茶店の店主「葵」より、彼の友人である「柊」を紹介される。
柊の声は彼女が聴いている夜の声によく似ていた。
そこから彼女は柊に急速に惹かれていく。しかし彼は彼女に決して語らない事があった。
助けてください!エリート年下上司が、地味な私への溺愛を隠してくれません
和泉杏咲
恋愛
両片思いの2人。「年下上司なんてありえない!」 「できない年上部下なんてまっぴらだ」そんな2人は、どうやって結ばれる?
「年下上司なんてありえない!」
「こっちこそ、できない年上の部下なんてまっぴらだ」
思えば、私とあいつは初対面から相性最悪だった!
人材業界へと転職した高井綾香。
そこで彼女を待ち受けていたのは、エリート街道まっしぐらの上司、加藤涼介からの厳しい言葉の数々。
綾香は年下の涼介に対し、常に反発を繰り返していた。
ところが、ある時自分のミスを助けてくれた涼介が気になるように……?
「あの……私なんで、壁ドンされてるんですか?」
「ほら、やってみなよ、体で俺を誘惑するんだよね?」
「はあ!?誘惑!?」
「取引先を陥落させた技、僕にやってみなよ」
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる