S級【バッファー】(←不遇職)の俺、結婚を誓い合った【幼馴染】を【勇者】に寝取られパーティ追放されヒキコモリに→美少女エルフに養って貰います
マナシロカナタ✨ラノベ作家✨子犬を助けた
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第10章
第185話vsミトラ神(決着)(3)
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「どうだ? なにか見えたか?」
感情を読み取るための時間を少しだけ待ってから、俺がサクラに問いかけると、
「あれ、なんか静かな感じだよ?」
サクラが拍子抜けしたように呟いた。
「静かっていうと?」
「なんかね、もう戦う気は無さそうな感じ。なんていうのかな……あ、そうだ、満足してるって感じがした」
「やっぱりな、そういうことか」
サクラの見立てを聞いて、俺は大きく一度うなずいた。
「満足……そっか、そういうことだったのね」
俺にわずかに遅れて、シャーリーもうんうんとうなずく。
「どういうことですか?」
「なになに? なんの話?」
いまだ状況が飲み込めず、油断なく剣を構えているアイセルと、あまり深くは考えていなさそうなサクラに、俺は説明を始めた。
「俺たちはパーティとしてできうることを全てやった。それぞれの職業が全力を出し尽くした。そして冒険の神ミトラにそれなりのダメージを与えることにも成功した。倒せはしなかったが、それで試験は合格だったってことさ」
「試験? ああ、そういえば私たちを試そうとしているみたいなこと、ケイスケ言ってたよね。戦っている間にすっかり忘れてたし!」
「あはは……」
あっけらかんと言ったサクラに、アイセルが苦笑する。
サクラ、まったくお前って奴はよ……。
しかしこの自由奔放さこそがパーティ『アルケイン』には欠かすことのできないサクラの魅力なのだと、俺は心の中で何度も反芻してから、気を取り直して説明を続ける。
「最終的に冒険の神ミトラを倒せるかどうかは、多分関係なかったんだろうな。冒険の神ミトラが見たかったのは、俺たちが全力を振り絞って強敵に挑むことそのものだったんだと思う」
「あ、そういうことですね。わたしも理解できました」
アイセルがポンと手を打った。
「パーティに参加する全ての職業がいかんなく力を発揮して、全員が全力を尽くす。それを見たことで冒険の神ミトラは、自分の分け与えた力が正しく使用されていると分かって、満足したんだ」
「ふーん、そういうことか~」
そして最後に残ったサクラもようやく理解ができたようだった。
「サクラも理解してくれたみたいだな」
「理解はしたけどねー」
「したけど、なんだよ?」
「でもそれなら最初からそう言ってくれたらいいのに。本気で死ぬ思いして戦ったんだよ? っていうかバトルアックスを投げられた時、私が割って入らなかったらケイスケ死んでたじゃん?」
「サクラが守ってくれるだろうって前提で投げてきたんだろうけど、あれは下手したら死んでたな」
傭兵王グレタに接近戦を挑まれた時以来、久方ぶりに死をすぐそこに感じた瞬間だった。
「私たちのことを『我が子』って呼んでるのに、なのに死んでもいいと思ってるとか、やっぱりこいつ性格ゴミカスじゃん! そんな親とかいらないし!」
神様に対して平然とゴミカスと言ってのけるサクラに、俺は思わず苦笑していた。
ほんとサクラはパーティ『アルケイン』にはなくてはならない存在だよ。
神様に向かって罵詈雑言を投げつけるなんて、真面目系の俺やアイセル、シャーリーにはとてもじゃないけどできないからな。
「サクラの言うとおりだけど、ある程度死を意識するようなギリギリの戦いじゃないと、見極められないこともあるだろうからな。ただの戦闘訓練じゃ意味はないわけだし。冒険の神ミトラは、俺たちが本気で戦うところを見たかったんだろうから」
どれだけ真剣に模擬戦闘をやっても、本物の実戦とは緊張感や肌感覚が全然違うから。
「ま、いいけどね。結局試験っていうのには合格できたんだから」
サクラとの話が一段落したところで、
「ちなみに満足しなかったらどうなっていたんでしょうね?」
アイセルが小さく手を挙げてから発言した。
「それはまぁ永遠に出られないとかかな? 正直、神様の考えることだから俺にはちょっと想像つかないな」
少なくとも簡単に出してくれるとは思えないが。
そんなことを話していた時だった、
【我が力を受け継ぎし、高みを目指す愛しき我が子らよ。素晴らしい戦いであった】
俺たちの誰でもない厳かな声が、突如として聞こえてきたのは――!
感情を読み取るための時間を少しだけ待ってから、俺がサクラに問いかけると、
「あれ、なんか静かな感じだよ?」
サクラが拍子抜けしたように呟いた。
「静かっていうと?」
「なんかね、もう戦う気は無さそうな感じ。なんていうのかな……あ、そうだ、満足してるって感じがした」
「やっぱりな、そういうことか」
サクラの見立てを聞いて、俺は大きく一度うなずいた。
「満足……そっか、そういうことだったのね」
俺にわずかに遅れて、シャーリーもうんうんとうなずく。
「どういうことですか?」
「なになに? なんの話?」
いまだ状況が飲み込めず、油断なく剣を構えているアイセルと、あまり深くは考えていなさそうなサクラに、俺は説明を始めた。
「俺たちはパーティとしてできうることを全てやった。それぞれの職業が全力を出し尽くした。そして冒険の神ミトラにそれなりのダメージを与えることにも成功した。倒せはしなかったが、それで試験は合格だったってことさ」
「試験? ああ、そういえば私たちを試そうとしているみたいなこと、ケイスケ言ってたよね。戦っている間にすっかり忘れてたし!」
「あはは……」
あっけらかんと言ったサクラに、アイセルが苦笑する。
サクラ、まったくお前って奴はよ……。
しかしこの自由奔放さこそがパーティ『アルケイン』には欠かすことのできないサクラの魅力なのだと、俺は心の中で何度も反芻してから、気を取り直して説明を続ける。
「最終的に冒険の神ミトラを倒せるかどうかは、多分関係なかったんだろうな。冒険の神ミトラが見たかったのは、俺たちが全力を振り絞って強敵に挑むことそのものだったんだと思う」
「あ、そういうことですね。わたしも理解できました」
アイセルがポンと手を打った。
「パーティに参加する全ての職業がいかんなく力を発揮して、全員が全力を尽くす。それを見たことで冒険の神ミトラは、自分の分け与えた力が正しく使用されていると分かって、満足したんだ」
「ふーん、そういうことか~」
そして最後に残ったサクラもようやく理解ができたようだった。
「サクラも理解してくれたみたいだな」
「理解はしたけどねー」
「したけど、なんだよ?」
「でもそれなら最初からそう言ってくれたらいいのに。本気で死ぬ思いして戦ったんだよ? っていうかバトルアックスを投げられた時、私が割って入らなかったらケイスケ死んでたじゃん?」
「サクラが守ってくれるだろうって前提で投げてきたんだろうけど、あれは下手したら死んでたな」
傭兵王グレタに接近戦を挑まれた時以来、久方ぶりに死をすぐそこに感じた瞬間だった。
「私たちのことを『我が子』って呼んでるのに、なのに死んでもいいと思ってるとか、やっぱりこいつ性格ゴミカスじゃん! そんな親とかいらないし!」
神様に対して平然とゴミカスと言ってのけるサクラに、俺は思わず苦笑していた。
ほんとサクラはパーティ『アルケイン』にはなくてはならない存在だよ。
神様に向かって罵詈雑言を投げつけるなんて、真面目系の俺やアイセル、シャーリーにはとてもじゃないけどできないからな。
「サクラの言うとおりだけど、ある程度死を意識するようなギリギリの戦いじゃないと、見極められないこともあるだろうからな。ただの戦闘訓練じゃ意味はないわけだし。冒険の神ミトラは、俺たちが本気で戦うところを見たかったんだろうから」
どれだけ真剣に模擬戦闘をやっても、本物の実戦とは緊張感や肌感覚が全然違うから。
「ま、いいけどね。結局試験っていうのには合格できたんだから」
サクラとの話が一段落したところで、
「ちなみに満足しなかったらどうなっていたんでしょうね?」
アイセルが小さく手を挙げてから発言した。
「それはまぁ永遠に出られないとかかな? 正直、神様の考えることだから俺にはちょっと想像つかないな」
少なくとも簡単に出してくれるとは思えないが。
そんなことを話していた時だった、
【我が力を受け継ぎし、高みを目指す愛しき我が子らよ。素晴らしい戦いであった】
俺たちの誰でもない厳かな声が、突如として聞こえてきたのは――!
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