S級【バッファー】(←不遇職)の俺、結婚を誓い合った【幼馴染】を【勇者】に寝取られパーティ追放されヒキコモリに→美少女エルフに養って貰います
マナシロカナタ✨ラノベ作家✨子犬を助けた
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第8章
第141話 「あ、分かった! 拷問するんでしょ拷問!」
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「で、どうするの? この子、まだ生きてるみたいだけど」
「人語を解す上位精霊だからな。精霊って良き隣人ともいわれるくらいだし、『泉の精霊』に会いに行くの邪魔する理由を教えてくれないかなと思ってさ」
「でも素直にしゃべってくれるかしら?」
「あ、分かった! 拷問するんでしょ拷問!」
「拷問なんてしねーよ」
「えっ!?」
なぜかサクラがとても驚いた顔を見せた。
「えっ、ってなんだよ、えっ、って。なんでそんな驚くんだよ」
「じゃあどうするの?」
「ほらアイセルはこの辺出身のエルフ、森の民だろ? 精霊もアイセルの話なら聞いてくれないかなって思ってさ。というわけでアイセル、俺たちを代表して話を聞いてみてくれないか?」
「これは責任重大ですね……! 聞きだせるかは分かりませんが、頑張ります! ではえっとドリアードさん、よければ話を聞かせて――」
『全部『泉の精霊』ウンディーネに言われてやったことなんです~、私たちは上から言われて強制労働させられてるだけで~。だから拷問はやめてください~』
ドリアードは情けないほど簡単に白状した。
「えっと……いきなり首謀者が分かっちゃったんですけど……」
この展開には、アイセルも若干の動揺を隠せないでいた。
しかもこのドリアードときたらよほどヘタレなのか。
それとも無理やりやらされているから忠誠心の欠片も存在しないのか。
もしくはその両方か。
『じゃあついてきてよ。ウンディーネのところに案内しながら話すから』
「え、ああ、はい」
頼んでもいないのにウンディーネの居場所に案内してくれる上に、聞いてもないことをペラペラと勝手にしゃべりはじめたのだった。
『でね? ウンディーネときたら、ほんとお高くとまっててさ。ウンディーネはこの辺りの精霊で一番断トツで位階が高いんだけど――』
「位階ですか?」
『あ、位階っていうのは精霊の格のことね。ウンディーネはSランク、私らドリアードはA+ランクなんだ』
「ふむふむ、精霊の世界の格付けというわけですね」
「あはは、なんかパーティのランクみたいね! ウケる!」
何がそんなに面白いのか、サクラが大笑いしながら言った。
いやほんとに今の何が面白かったの?
単に精霊にもランク付けがあるって話だったよね?
俺は笑いどころがまったく分からなかったんだけど、チラッと見るとアイセルとシャーリーもにこやかな表情を浮かべていた。
ってことはもしかして、俺が20代後半で感受性が低下しだしてるから笑えなかっただけ?
うそん!?
『でね、ウンディーネったら大の目立ちたがり屋で。それで最近この辺りに人が増えたってのを聞いて、いい機会だからいっちょ名前を売ってやるかって考えたみたいなのよ』
「名前を売るとは?」
『文字通り有名になるってことなんだけど、その辺についてはウンディーネ本人から聞いてよ。そろそろつくから。そっちの方が多分早いし』
そう言ってドリアードに案内されたのは、このクエストの当初の目的地である『精霊の泉』だった。
「ほんとに正直に案内してくれたんだな……」
『ほら、精霊って特殊なエネルギー生命体でしょ? だから嘘とか基本的につけないのよね。自分を偽ると、自分を構成するエネルギーそのものが揺らいで存在が希薄になっちゃうから』
「へぇそれは初耳だな。勉強になった」
『魔精霊っていう悪いことばっかりする精霊は別だけどね。あいつら嘘つくことでむしろエネルギー量が増加する、精霊の風上にも置けないアンチ精霊だから!』
「だからドリアードはこんなに正直に全部教えてくれたんだな」
『それもあるけど、メインの理由としてはウンディーネを守ってあげる義理も特にないからかな? その気にさえなれば、嘘はつかないけど巧妙に論点を逸らして答えたりってのはいくらでもできるし』
「お、おう……そうか……ほんと正直だな、君は……」
俺は、自業自得とはいえ部下に簡単に売られてしまうほどにちっとも人望がない『泉の精霊』ウンディーネに、同じリーダーとして同情の念を禁じ得なかった……。
俺は仲間のみんなに売られないような、誠意あるリーダーとしてやっていこう、うん。
『じゃあ私はこの辺でー。私が手引きしたってバレたら、後でなに言われるか分からないし』
泉がもうすぐそこってところまでくると、ドリアードはそう言って、用は済んだとばかりに立ち去っていった。
「サンキュー、助かったよ」
「ご丁寧にありがとうございました」
「ありがとう精霊さん!」
「ありがとう」
俺たちはドリアードに感謝を伝えると、泉に近づいていった。
「ウンディーネは泉に向かって呼びかけたら出てくるのかな?」
「どうなんでしょうね?」
そんな会話をしていると、突然『精霊の泉』がキラキラと輝き始めて、泉の中から美しい水の羽衣をまとった一体の乙女の姿をした精霊が顕現したのだ――!
「人語を解す上位精霊だからな。精霊って良き隣人ともいわれるくらいだし、『泉の精霊』に会いに行くの邪魔する理由を教えてくれないかなと思ってさ」
「でも素直にしゃべってくれるかしら?」
「あ、分かった! 拷問するんでしょ拷問!」
「拷問なんてしねーよ」
「えっ!?」
なぜかサクラがとても驚いた顔を見せた。
「えっ、ってなんだよ、えっ、って。なんでそんな驚くんだよ」
「じゃあどうするの?」
「ほらアイセルはこの辺出身のエルフ、森の民だろ? 精霊もアイセルの話なら聞いてくれないかなって思ってさ。というわけでアイセル、俺たちを代表して話を聞いてみてくれないか?」
「これは責任重大ですね……! 聞きだせるかは分かりませんが、頑張ります! ではえっとドリアードさん、よければ話を聞かせて――」
『全部『泉の精霊』ウンディーネに言われてやったことなんです~、私たちは上から言われて強制労働させられてるだけで~。だから拷問はやめてください~』
ドリアードは情けないほど簡単に白状した。
「えっと……いきなり首謀者が分かっちゃったんですけど……」
この展開には、アイセルも若干の動揺を隠せないでいた。
しかもこのドリアードときたらよほどヘタレなのか。
それとも無理やりやらされているから忠誠心の欠片も存在しないのか。
もしくはその両方か。
『じゃあついてきてよ。ウンディーネのところに案内しながら話すから』
「え、ああ、はい」
頼んでもいないのにウンディーネの居場所に案内してくれる上に、聞いてもないことをペラペラと勝手にしゃべりはじめたのだった。
『でね? ウンディーネときたら、ほんとお高くとまっててさ。ウンディーネはこの辺りの精霊で一番断トツで位階が高いんだけど――』
「位階ですか?」
『あ、位階っていうのは精霊の格のことね。ウンディーネはSランク、私らドリアードはA+ランクなんだ』
「ふむふむ、精霊の世界の格付けというわけですね」
「あはは、なんかパーティのランクみたいね! ウケる!」
何がそんなに面白いのか、サクラが大笑いしながら言った。
いやほんとに今の何が面白かったの?
単に精霊にもランク付けがあるって話だったよね?
俺は笑いどころがまったく分からなかったんだけど、チラッと見るとアイセルとシャーリーもにこやかな表情を浮かべていた。
ってことはもしかして、俺が20代後半で感受性が低下しだしてるから笑えなかっただけ?
うそん!?
『でね、ウンディーネったら大の目立ちたがり屋で。それで最近この辺りに人が増えたってのを聞いて、いい機会だからいっちょ名前を売ってやるかって考えたみたいなのよ』
「名前を売るとは?」
『文字通り有名になるってことなんだけど、その辺についてはウンディーネ本人から聞いてよ。そろそろつくから。そっちの方が多分早いし』
そう言ってドリアードに案内されたのは、このクエストの当初の目的地である『精霊の泉』だった。
「ほんとに正直に案内してくれたんだな……」
『ほら、精霊って特殊なエネルギー生命体でしょ? だから嘘とか基本的につけないのよね。自分を偽ると、自分を構成するエネルギーそのものが揺らいで存在が希薄になっちゃうから』
「へぇそれは初耳だな。勉強になった」
『魔精霊っていう悪いことばっかりする精霊は別だけどね。あいつら嘘つくことでむしろエネルギー量が増加する、精霊の風上にも置けないアンチ精霊だから!』
「だからドリアードはこんなに正直に全部教えてくれたんだな」
『それもあるけど、メインの理由としてはウンディーネを守ってあげる義理も特にないからかな? その気にさえなれば、嘘はつかないけど巧妙に論点を逸らして答えたりってのはいくらでもできるし』
「お、おう……そうか……ほんと正直だな、君は……」
俺は、自業自得とはいえ部下に簡単に売られてしまうほどにちっとも人望がない『泉の精霊』ウンディーネに、同じリーダーとして同情の念を禁じ得なかった……。
俺は仲間のみんなに売られないような、誠意あるリーダーとしてやっていこう、うん。
『じゃあ私はこの辺でー。私が手引きしたってバレたら、後でなに言われるか分からないし』
泉がもうすぐそこってところまでくると、ドリアードはそう言って、用は済んだとばかりに立ち去っていった。
「サンキュー、助かったよ」
「ご丁寧にありがとうございました」
「ありがとう精霊さん!」
「ありがとう」
俺たちはドリアードに感謝を伝えると、泉に近づいていった。
「ウンディーネは泉に向かって呼びかけたら出てくるのかな?」
「どうなんでしょうね?」
そんな会話をしていると、突然『精霊の泉』がキラキラと輝き始めて、泉の中から美しい水の羽衣をまとった一体の乙女の姿をした精霊が顕現したのだ――!
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