S級【バッファー】(←不遇職)の俺、結婚を誓い合った【幼馴染】を【勇者】に寝取られパーティ追放されヒキコモリに→美少女エルフに養って貰います
マナシロカナタ✨ラノベ作家✨子犬を助けた
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第7章
第112話 vsリヴィング・メイル(上)
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俺たちは馬車を降りると早速、国立墓苑に立ち入った。
「夜のお墓ってかなり怖いですよね……」
慎重に警戒しながら先頭を進んでいるアイセルが呟いた。
「実際、リヴィング・メイル――お化けが出てるわけだもんね、いやな呪いとか溜まってるかも。アタシも明るいところのほうが好きだなぁ」
シャーリーもそれに同意見のようだ。
「さぁいつでもかかってきなさい哀れな亡霊ども! この私の精霊攻撃で目にもの見せてあげるんだから!」
そしてサクラは相変わらず、精霊攻撃を使うことしか考えていなかった。
まぁここに来るまでも散々言い聞かせてあるから、無茶はしないだろう。
こう見えて、アイセルの指示に従って戦うだけの分別は持っている……はずだ。
「でも雲がないのはラッキーだったよ。月明かりでそれなりに遠くまで見えるし」
気配で察するようなスキルもなく、夜目もきかないバッファーの俺にとって、月が出ていて、かつ雲がない今日みたいな夜はかなりついてると言っていい。
俺たちは会話をしつつも、慎重に周囲をうかがいながら国立墓苑の中央にある小さな広場を目指して歩いていき。
そして特に何事もなく広場にたどりついてしまった。
「どうしたんでしょう、1体も出てこないですね? 場所を間違えたんでしょうか?」
キョロキョロと辺りを見回しながら、アイセルが拍子抜けしたように言った。
「ふふん、きっとこの私に恐れをなしたのね!」
しかしサクラが鼻息も荒く言い、
「ううん、これちょっとまずいかも――」
シャーリーが小さく呟いた時、異変が起こった。
俺たちの周囲を取り囲むようにして、土の中から次々とリヴィング・メイルが姿を現したのだ――!
ガチャガチャと鎧の音をさせながら、どんどんとリヴィング・メイルが土の中から現れて数を増していく。
「ちょっとケイスケ!? 完全に囲まれちゃってるんだけど!?」
サクラが悲鳴のような声を上げて、
「やられたな、敵陣のど真ん中に誘いこまれたか。まったく小癪な真似しやがって」
俺も即座に状況を把握する。
「あ、ケイスケのその言い方すごくおっさんぽいかも。今どき『小癪な真似』とか聞かないし」
「へいへい、おっさんですんませんね。っていうか今はどうでもいいだろそんなこと」
「ちょっと気になっただけだもん」
「ああそうっすか」
どうでもいいことで絡んでくるサクラを俺は軽くあしらっておいた。
まぁなんだかんだで、不意打ちを喰らってちょっと浮足立ちそうな場面で、いつも通りの空気を醸成してくれたのは、それなりにありがたくはあった。
サクラ本人にはそんな意図は特になくて、思った事をそのまま口にしてるだけなんだろうけど、これもある意味パーティがうまく機能してるってことなんだよな。
「どうもこの子たち、それなり以上に知恵があるみたいね」
そして愛用の白い杖を構えながら言ったシャーリーに、
「ということは、またキング・オー・ランタンみたいな変異種でしょうか?」
アイセルが魔法剣リヴァイアスを抜刀しながら、ほんの少しだけ不安をにじませながら答える。
「もしくは彷徨う鎧系の上位種がいるかだな。とりあえずは戦闘態勢だ。俺を中心にして、アイセルとサクラが敵を各個撃破」
「了解です」
「囲まれたからってなんぼのもんじゃーい! 私の必殺精霊攻撃を見せてあげるんだから!」
「……アイセルはサクラが調子に乗ってポカしないように、面倒もみてやってくれな」
「えっと、あ、はい」
「シャーリーは悪いけど俺を守りつつ、2人をサポートしながら遊撃的に戦う感じで」
「オッケー。ケースケには指一本触れさせないわ」
「頼もしいな。じゃあ行くぞ、S級スキル『天使の加護――エンジェリック・レイヤー』発動」
俺の言葉とともにバフスキルの淡い光がパーティ『アルケイン』を包み、
「スキル『剣気帯刃・オーラブレード』!」
「アアアアアァァァァァッ! 『精霊攻撃』!」
アイセルが対ゴースト用のスキルを解放し、サクラがバーサーカーの力を少しだけ暴走させる。
今や100体を越えるであろう大軍勢となったリヴィング・メイルと、パーティ『アルケイン』の戦いが幕を開けた。
「夜のお墓ってかなり怖いですよね……」
慎重に警戒しながら先頭を進んでいるアイセルが呟いた。
「実際、リヴィング・メイル――お化けが出てるわけだもんね、いやな呪いとか溜まってるかも。アタシも明るいところのほうが好きだなぁ」
シャーリーもそれに同意見のようだ。
「さぁいつでもかかってきなさい哀れな亡霊ども! この私の精霊攻撃で目にもの見せてあげるんだから!」
そしてサクラは相変わらず、精霊攻撃を使うことしか考えていなかった。
まぁここに来るまでも散々言い聞かせてあるから、無茶はしないだろう。
こう見えて、アイセルの指示に従って戦うだけの分別は持っている……はずだ。
「でも雲がないのはラッキーだったよ。月明かりでそれなりに遠くまで見えるし」
気配で察するようなスキルもなく、夜目もきかないバッファーの俺にとって、月が出ていて、かつ雲がない今日みたいな夜はかなりついてると言っていい。
俺たちは会話をしつつも、慎重に周囲をうかがいながら国立墓苑の中央にある小さな広場を目指して歩いていき。
そして特に何事もなく広場にたどりついてしまった。
「どうしたんでしょう、1体も出てこないですね? 場所を間違えたんでしょうか?」
キョロキョロと辺りを見回しながら、アイセルが拍子抜けしたように言った。
「ふふん、きっとこの私に恐れをなしたのね!」
しかしサクラが鼻息も荒く言い、
「ううん、これちょっとまずいかも――」
シャーリーが小さく呟いた時、異変が起こった。
俺たちの周囲を取り囲むようにして、土の中から次々とリヴィング・メイルが姿を現したのだ――!
ガチャガチャと鎧の音をさせながら、どんどんとリヴィング・メイルが土の中から現れて数を増していく。
「ちょっとケイスケ!? 完全に囲まれちゃってるんだけど!?」
サクラが悲鳴のような声を上げて、
「やられたな、敵陣のど真ん中に誘いこまれたか。まったく小癪な真似しやがって」
俺も即座に状況を把握する。
「あ、ケイスケのその言い方すごくおっさんぽいかも。今どき『小癪な真似』とか聞かないし」
「へいへい、おっさんですんませんね。っていうか今はどうでもいいだろそんなこと」
「ちょっと気になっただけだもん」
「ああそうっすか」
どうでもいいことで絡んでくるサクラを俺は軽くあしらっておいた。
まぁなんだかんだで、不意打ちを喰らってちょっと浮足立ちそうな場面で、いつも通りの空気を醸成してくれたのは、それなりにありがたくはあった。
サクラ本人にはそんな意図は特になくて、思った事をそのまま口にしてるだけなんだろうけど、これもある意味パーティがうまく機能してるってことなんだよな。
「どうもこの子たち、それなり以上に知恵があるみたいね」
そして愛用の白い杖を構えながら言ったシャーリーに、
「ということは、またキング・オー・ランタンみたいな変異種でしょうか?」
アイセルが魔法剣リヴァイアスを抜刀しながら、ほんの少しだけ不安をにじませながら答える。
「もしくは彷徨う鎧系の上位種がいるかだな。とりあえずは戦闘態勢だ。俺を中心にして、アイセルとサクラが敵を各個撃破」
「了解です」
「囲まれたからってなんぼのもんじゃーい! 私の必殺精霊攻撃を見せてあげるんだから!」
「……アイセルはサクラが調子に乗ってポカしないように、面倒もみてやってくれな」
「えっと、あ、はい」
「シャーリーは悪いけど俺を守りつつ、2人をサポートしながら遊撃的に戦う感じで」
「オッケー。ケースケには指一本触れさせないわ」
「頼もしいな。じゃあ行くぞ、S級スキル『天使の加護――エンジェリック・レイヤー』発動」
俺の言葉とともにバフスキルの淡い光がパーティ『アルケイン』を包み、
「スキル『剣気帯刃・オーラブレード』!」
「アアアアアァァァァァッ! 『精霊攻撃』!」
アイセルが対ゴースト用のスキルを解放し、サクラがバーサーカーの力を少しだけ暴走させる。
今や100体を越えるであろう大軍勢となったリヴィング・メイルと、パーティ『アルケイン』の戦いが幕を開けた。
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