S級【バッファー】(←不遇職)の俺、結婚を誓い合った【幼馴染】を【勇者】に寝取られパーティ追放されヒキコモリに→美少女エルフに養って貰います
マナシロカナタ✨ラノベ作家✨子犬を助けた
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第一部「大勇者の家庭教師」 第1章
第1話 勇者に寝取られていた幼馴染
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俺の名前はケースケ=ホンダム。
S級の「バッファー」だ。
バッファーってのは、味方のステータスを向上させたり、状態異常耐性を付与する「バフ」と呼ばれるスキルを使う、後衛専門のサポート職のこと。
俺は最高位であるS級の常時発動バフスキル『天使の加護――エンジェリック・レイヤー』をマスターした、現役最強のS級バッファーだった。
レベルは超一流冒険者の証とされる100を大きく超えて、今やレベル120に達している。
そんな俺も元々は、吟遊詩人の歌う冒険譚に憧れて、幼馴染で結婚を誓い合ったアンジュと2人で冒険の旅を始めたんだけど。
途中で勇者と知り合ったことで、俺たちは「勇者パーティ」になった。
パーティはそこから少しずつ大きくなって、そして俺たちは激戦の末に、ついに南部辺境の山岳地帯を荒らしまわっていた『暴虐の火炎龍フレイムドラゴン』を討伐することに成功したのだ。
その帰り道。
討伐のためのベースキャンプにしていた小さな町で、俺たちは冒険者ギルドの運営している宿に泊まった。
ギルドに登録している冒険者は、ギルド運営の宿に割安価格で優先的に泊まることができるのだ。
『暴虐の火炎龍フレイムドラゴン』を倒したことで、南部諸国連合から出るであろう莫大な報奨金。
それでちょっと大きな一軒家を立てて、あとはアンジュと悠々自適な新婚生活を送る――なんて、夢と希望にあふれたことを考えていた俺は、夜、トイレに起きた。
みんなを起こさないように気づかいながら、そっと廊下を歩いていくと、ふとアンジュの部屋からうっすらと灯りが漏れていることに気がついたんだ。
ドアは完全には閉まっていなくて、なにやら押し殺したような声が漏れ聞こえてくる。
「またこっそり自作のポエムでも朗読してるのかな?」
アンジュの趣味はちょっと恥ずかしい夢いっぱいな乙女ポエムを書くことなのだ。
本人は隠せていると思ってるけど、実のところ周囲はみんな知っていて、だけど敢えて知らない振りをしてあげていた。
誰にもバレていないと思っているのは本人だけ。
ま、それがまたアンジュの可愛いとこなんだけどな。
「アンジュのやつ、まだ起きてるのか――せっかくだから話でもしようか。これからのこととか――ふふふっ」
そんなことを小さくつぶやきながら気分よくアンジュの部屋に向かった俺が、ドアの隙間から見たのは嬉しそうに俺でない男と乳繰りあっている全裸のアンジュの姿だった。
そして男の方は勇者――勇者アルドリッジだった。
「は……?」
混乱の極みにあった俺は、思わずドアを開けたまま固まってしまって――。
「ケースケ!? ちょっと、なんで! えっと、あの、これは――」
アンジュが慌ててシーツで身体を隠す。
だけど勇者アルドリッジは悪びれるでもなく言い放った。
「アンジュ、いい機会だから正直に話そう。ケースケ、つまりボクとアンジュはこういう関係なんだよ」
「え、でも、アンジュは俺と結婚の約束を……」
頭が真っ白になっていた俺のたどたどしい反論に、
「そんなものは何年も前の子供の頃の口約束だろう? 今さら持ちだしてどうする。好き合う2人が結婚するのが当たり前じゃないか?」
勇者はアンジュを抱きしめたままで答えてくるのだ。
っていうかいい加減離れろよ……なぁ、おい、なぁ……。
「だから俺とアンジュは好き合ってて――」
「もうそうじゃないと言ってるんだ。そもそもだ。最近の君はパーティの中でなんの役にも立っていないじゃないか。最初にバフスキルを発動すると、後はずっと後ろで見ているだけ。前衛として剣で戦うわけでもなく、後衛として何かしらサポートをするわけでもない。ただそこにいるだけだ」
「それは俺がバッファーだから――」
バッファーはバフスキルを発動することで、パーティ全体を支援する職業だから――。
「ボクたちはもうレベル100を大きく超えている。低レベルの時ならまだしも、今のボクたち勇者パーティにバッファーなんていらないんだよ」
「いやでも、そんな――」
アンジュを抱きしめたまま、蔑むような視線とともに語る勇者の『正論』に何も言えなくなった俺が、すがるようにアンジュの顔を見ると、
「ごめん、ケースケ。あなたのこと嫌いになったわけじゃないの、でもわたしは――」
「お前は黙ってろ」
勇者アルドリッジがアンジュの口をこれ見よがしにキスで塞ぐ。
濃厚なキスを交わすアンジュが次第に蕩けたような表情になって――。
その後のことはよく覚えていない。
頭が真っ白になっていた俺は部屋を出て、トイレを済ませて、この世の終わりのような気分で自分のベッドに入った。
その夜は、一睡もすることはできなかった。
翌日。
俺は出発の時間になっても部屋に閉じこもったままで出て行かず。
しびれを切らした勇者たちは、俺を置いて戦勝報告のために王都へと旅立っていった。
その後、勇者とアンジュ、その他勇者パーティのメンバーがどうなったかは知らない。
俺はそのまま宿で外部との関係を一切断絶したヒキコモリになり――そして現在に至っているから。
つまり俺ケースケ=ホンダムは、もうすっかり板についた勤続3年のヒキコモリなのだった。
――――――――――――――――――――――
新作「S級【バッファー】(←不遇職)~~」をお読みいただきありがとうございます!
また、気に入っていただきましたら、なにとぞお気に入り登録も~(>_<)
S級の「バッファー」だ。
バッファーってのは、味方のステータスを向上させたり、状態異常耐性を付与する「バフ」と呼ばれるスキルを使う、後衛専門のサポート職のこと。
俺は最高位であるS級の常時発動バフスキル『天使の加護――エンジェリック・レイヤー』をマスターした、現役最強のS級バッファーだった。
レベルは超一流冒険者の証とされる100を大きく超えて、今やレベル120に達している。
そんな俺も元々は、吟遊詩人の歌う冒険譚に憧れて、幼馴染で結婚を誓い合ったアンジュと2人で冒険の旅を始めたんだけど。
途中で勇者と知り合ったことで、俺たちは「勇者パーティ」になった。
パーティはそこから少しずつ大きくなって、そして俺たちは激戦の末に、ついに南部辺境の山岳地帯を荒らしまわっていた『暴虐の火炎龍フレイムドラゴン』を討伐することに成功したのだ。
その帰り道。
討伐のためのベースキャンプにしていた小さな町で、俺たちは冒険者ギルドの運営している宿に泊まった。
ギルドに登録している冒険者は、ギルド運営の宿に割安価格で優先的に泊まることができるのだ。
『暴虐の火炎龍フレイムドラゴン』を倒したことで、南部諸国連合から出るであろう莫大な報奨金。
それでちょっと大きな一軒家を立てて、あとはアンジュと悠々自適な新婚生活を送る――なんて、夢と希望にあふれたことを考えていた俺は、夜、トイレに起きた。
みんなを起こさないように気づかいながら、そっと廊下を歩いていくと、ふとアンジュの部屋からうっすらと灯りが漏れていることに気がついたんだ。
ドアは完全には閉まっていなくて、なにやら押し殺したような声が漏れ聞こえてくる。
「またこっそり自作のポエムでも朗読してるのかな?」
アンジュの趣味はちょっと恥ずかしい夢いっぱいな乙女ポエムを書くことなのだ。
本人は隠せていると思ってるけど、実のところ周囲はみんな知っていて、だけど敢えて知らない振りをしてあげていた。
誰にもバレていないと思っているのは本人だけ。
ま、それがまたアンジュの可愛いとこなんだけどな。
「アンジュのやつ、まだ起きてるのか――せっかくだから話でもしようか。これからのこととか――ふふふっ」
そんなことを小さくつぶやきながら気分よくアンジュの部屋に向かった俺が、ドアの隙間から見たのは嬉しそうに俺でない男と乳繰りあっている全裸のアンジュの姿だった。
そして男の方は勇者――勇者アルドリッジだった。
「は……?」
混乱の極みにあった俺は、思わずドアを開けたまま固まってしまって――。
「ケースケ!? ちょっと、なんで! えっと、あの、これは――」
アンジュが慌ててシーツで身体を隠す。
だけど勇者アルドリッジは悪びれるでもなく言い放った。
「アンジュ、いい機会だから正直に話そう。ケースケ、つまりボクとアンジュはこういう関係なんだよ」
「え、でも、アンジュは俺と結婚の約束を……」
頭が真っ白になっていた俺のたどたどしい反論に、
「そんなものは何年も前の子供の頃の口約束だろう? 今さら持ちだしてどうする。好き合う2人が結婚するのが当たり前じゃないか?」
勇者はアンジュを抱きしめたままで答えてくるのだ。
っていうかいい加減離れろよ……なぁ、おい、なぁ……。
「だから俺とアンジュは好き合ってて――」
「もうそうじゃないと言ってるんだ。そもそもだ。最近の君はパーティの中でなんの役にも立っていないじゃないか。最初にバフスキルを発動すると、後はずっと後ろで見ているだけ。前衛として剣で戦うわけでもなく、後衛として何かしらサポートをするわけでもない。ただそこにいるだけだ」
「それは俺がバッファーだから――」
バッファーはバフスキルを発動することで、パーティ全体を支援する職業だから――。
「ボクたちはもうレベル100を大きく超えている。低レベルの時ならまだしも、今のボクたち勇者パーティにバッファーなんていらないんだよ」
「いやでも、そんな――」
アンジュを抱きしめたまま、蔑むような視線とともに語る勇者の『正論』に何も言えなくなった俺が、すがるようにアンジュの顔を見ると、
「ごめん、ケースケ。あなたのこと嫌いになったわけじゃないの、でもわたしは――」
「お前は黙ってろ」
勇者アルドリッジがアンジュの口をこれ見よがしにキスで塞ぐ。
濃厚なキスを交わすアンジュが次第に蕩けたような表情になって――。
その後のことはよく覚えていない。
頭が真っ白になっていた俺は部屋を出て、トイレを済ませて、この世の終わりのような気分で自分のベッドに入った。
その夜は、一睡もすることはできなかった。
翌日。
俺は出発の時間になっても部屋に閉じこもったままで出て行かず。
しびれを切らした勇者たちは、俺を置いて戦勝報告のために王都へと旅立っていった。
その後、勇者とアンジュ、その他勇者パーティのメンバーがどうなったかは知らない。
俺はそのまま宿で外部との関係を一切断絶したヒキコモリになり――そして現在に至っているから。
つまり俺ケースケ=ホンダムは、もうすっかり板についた勤続3年のヒキコモリなのだった。
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