45 / 57
第4章
第45話 ひまりちゃんは僕が守る!
しおりを挟む
「そう言わずにさ。ちょっと俺らと遊ぼうよ? こんなところでバイトなんてしてないでさ」
「俺らと連絡先の交換しようぜー」
「ごめんなさい、遠慮します」
あ、ひまりちゃんが今、ピキッ来たのが僕には遠目でも分かった。
「遠慮とかいらないから、金ならいくらでもあるからさぁ」
「そうそう、タカヤと仲良くなったら、こんなはした金でのバイトとかあほらしくなるぜ?」
「そんな気持ちには、これっぽっちもなりませんので」
「絶対なるって。な? 俺らとちょっとお茶でも飲もうぜ?」
「そうそう、こんなどこでもありそうな定食をせこせこ運んでないで、おしゃれなお店で美味しいご飯食べようよ?」
「……当店のお勧めはエビチャーハンです」
「エビチャーハン? そんなどこでも食えるメシより、ミシュランの☆付きレストランで美味しいご飯食べようって」
「なんか近くにイタメシのお店があるらしくて、俺らそこに行く予定だったんだ」
「うちのエビチャーハンを食べもしないで、失礼なこと言わないでください」
あー、これはちょっと止めに行かないとだ。
もはやひまりちゃんの怒りゲージは、激おこぷんぷん丸だった。
理由はいわずもがな。
ひまりちゃんにとって、きっと自分自身と同じくらい大事に思っているエビチャーハンを「そんなどこでも食えるメシ」なんて言われてバカにされたからだ。
加えて、さっきからチャラ男たちが「こんなところ」「こんなバイト」「こんなどこでもありそうな定食」って言ってるけど、ここはただのバイト先ではなく、ひまりちゃんの家でもある。
自分ちがそんな風にボロカス言われて、不愉快に思わない人間はいないだろう。
それら2つで合わせて一本。
ひまりちゃんが怒りを爆発させる前に、僕は兄として行動しなくてはならない。
ついでに父さんも静かな怒りを見せ始めていたしね。
父さんが怒るとマジで怖いから、そっちの怒りが爆発する前に僕がなんとかしないといけない。
すー、はー。
僕は大きく一度、深呼吸。
店内にはたくさん人もいるし、常連さんもいて、完全に僕のホームゲーム。
甲子園で地鳴りのような大歓声で試合をする阪神タイガースと同じくらいに、圧倒的なホームアドバンテージがある。
同じナンパでも雪希を助けた時と比べたら段違いで楽勝だ。
だから余裕で大丈夫!
ひまりちゃんは僕が守る!
──あとはまぁ、最悪こじれても、父さんが何とかしてくれるからね。
親の力を宛にするのは、別に恥じることじゃない。
自分の家という最強の地の利を生かさないのは、それこそ愚の骨頂だ。
僕は父さんに「僕ちょっと行ってくるね」と断りを入れると、厨房を抜け出て、3人の間に割って入った。
「すみません、店内で揉め事は勘弁してください」
僕がにこやかな笑顔で伝えると、
「なんだてめぇは?」
「すっこんでろよガキ。俺らはこの子と話してんだよ」
2人はひまりちゃんへの態度とは正反対のチンピラムーブを向けてきた。
はいはい、これが君らの「素」なんだね。
そうやって脅したらビビって言うことを聞くと思ってるんでしょ?
まったくもって想像通りすぎだよ。
テンプレ過ぎて、なんかもう逆に安心しちゃったもん。
まぁ外でならビビったかもだけど、この圧倒的ホームグラウンドで僕がそれにビビることはないよ?
でもOK、これなら対処は簡単だ。
僕の華麗な論破芸をたっぷり味あわせてしんぜよう。
「お二人の付けてるアクセサリー、成金趣味でくっそダッサいですね」
「は? いきなりしゃしゃり出てきて舐めてんのか?」
「調子乗ってんじゃねぇぞゴルァ!」
僕のたった一言で、2人は簡単にブチ切れた。
本当にコントロールしやすい相手だ。
「――って言われたら、不愉快になりませんか?」
「なるに決まってんだろ」
「バカにしてんのか? 表出ろや、てめぇ!」
「やだなぁ。あくまで例えですよ、例え。僕はそんなこと、思ってても言いませんから」
「こんのクソガキ、ムカつく言い方しやがって。さっきから何が言いたいんだ!」
「とっとと要件を言えよ!」
いいね、向こうから詳細な説明をするように求めてくれるだなんて、願ったり叶ったりだ。
論破芸で一番面倒なのは、逆上して話を聞いてくれない相手なんだよな。
論破しようにも議論に持っていけないから。
その点、向こうから理由を説明する展開に持ってきてくれたのは、まさに鴨ネギ。
こんなにも扱いやすい相手は、逆に珍しいくらいだよ。
さてと、いろいろと思うところはあるけど、まずはサクッと論破するか。
「俺らと連絡先の交換しようぜー」
「ごめんなさい、遠慮します」
あ、ひまりちゃんが今、ピキッ来たのが僕には遠目でも分かった。
「遠慮とかいらないから、金ならいくらでもあるからさぁ」
「そうそう、タカヤと仲良くなったら、こんなはした金でのバイトとかあほらしくなるぜ?」
「そんな気持ちには、これっぽっちもなりませんので」
「絶対なるって。な? 俺らとちょっとお茶でも飲もうぜ?」
「そうそう、こんなどこでもありそうな定食をせこせこ運んでないで、おしゃれなお店で美味しいご飯食べようよ?」
「……当店のお勧めはエビチャーハンです」
「エビチャーハン? そんなどこでも食えるメシより、ミシュランの☆付きレストランで美味しいご飯食べようって」
「なんか近くにイタメシのお店があるらしくて、俺らそこに行く予定だったんだ」
「うちのエビチャーハンを食べもしないで、失礼なこと言わないでください」
あー、これはちょっと止めに行かないとだ。
もはやひまりちゃんの怒りゲージは、激おこぷんぷん丸だった。
理由はいわずもがな。
ひまりちゃんにとって、きっと自分自身と同じくらい大事に思っているエビチャーハンを「そんなどこでも食えるメシ」なんて言われてバカにされたからだ。
加えて、さっきからチャラ男たちが「こんなところ」「こんなバイト」「こんなどこでもありそうな定食」って言ってるけど、ここはただのバイト先ではなく、ひまりちゃんの家でもある。
自分ちがそんな風にボロカス言われて、不愉快に思わない人間はいないだろう。
それら2つで合わせて一本。
ひまりちゃんが怒りを爆発させる前に、僕は兄として行動しなくてはならない。
ついでに父さんも静かな怒りを見せ始めていたしね。
父さんが怒るとマジで怖いから、そっちの怒りが爆発する前に僕がなんとかしないといけない。
すー、はー。
僕は大きく一度、深呼吸。
店内にはたくさん人もいるし、常連さんもいて、完全に僕のホームゲーム。
甲子園で地鳴りのような大歓声で試合をする阪神タイガースと同じくらいに、圧倒的なホームアドバンテージがある。
同じナンパでも雪希を助けた時と比べたら段違いで楽勝だ。
だから余裕で大丈夫!
ひまりちゃんは僕が守る!
──あとはまぁ、最悪こじれても、父さんが何とかしてくれるからね。
親の力を宛にするのは、別に恥じることじゃない。
自分の家という最強の地の利を生かさないのは、それこそ愚の骨頂だ。
僕は父さんに「僕ちょっと行ってくるね」と断りを入れると、厨房を抜け出て、3人の間に割って入った。
「すみません、店内で揉め事は勘弁してください」
僕がにこやかな笑顔で伝えると、
「なんだてめぇは?」
「すっこんでろよガキ。俺らはこの子と話してんだよ」
2人はひまりちゃんへの態度とは正反対のチンピラムーブを向けてきた。
はいはい、これが君らの「素」なんだね。
そうやって脅したらビビって言うことを聞くと思ってるんでしょ?
まったくもって想像通りすぎだよ。
テンプレ過ぎて、なんかもう逆に安心しちゃったもん。
まぁ外でならビビったかもだけど、この圧倒的ホームグラウンドで僕がそれにビビることはないよ?
でもOK、これなら対処は簡単だ。
僕の華麗な論破芸をたっぷり味あわせてしんぜよう。
「お二人の付けてるアクセサリー、成金趣味でくっそダッサいですね」
「は? いきなりしゃしゃり出てきて舐めてんのか?」
「調子乗ってんじゃねぇぞゴルァ!」
僕のたった一言で、2人は簡単にブチ切れた。
本当にコントロールしやすい相手だ。
「――って言われたら、不愉快になりませんか?」
「なるに決まってんだろ」
「バカにしてんのか? 表出ろや、てめぇ!」
「やだなぁ。あくまで例えですよ、例え。僕はそんなこと、思ってても言いませんから」
「こんのクソガキ、ムカつく言い方しやがって。さっきから何が言いたいんだ!」
「とっとと要件を言えよ!」
いいね、向こうから詳細な説明をするように求めてくれるだなんて、願ったり叶ったりだ。
論破芸で一番面倒なのは、逆上して話を聞いてくれない相手なんだよな。
論破しようにも議論に持っていけないから。
その点、向こうから理由を説明する展開に持ってきてくれたのは、まさに鴨ネギ。
こんなにも扱いやすい相手は、逆に珍しいくらいだよ。
さてと、いろいろと思うところはあるけど、まずはサクッと論破するか。
0
お気に入りに追加
26
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。
でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。
けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。
同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。
そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる