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第3章 新1年生の親睦バスケットボール大会
第43話 第3回ひまりタイム
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◇ ひまりタイム ◇
新1年生親睦バスケットボール大会の日の夜。
明日の用意やらなんやらをバッチリ終えたわたしは、自分のお部屋のベッドで寝転がりながら、今日ゲットしたばかりの最新動画の観賞会を行っていた。
「むふっ、むふふふん……」
特にお気に入りなのはもちろん、試合終了の直前、空中に高々と飛び上がったアキトくんがボールをキャッチしてそのままシュートを打つ最後のシーンだ。
ちなみにこのシーンは雪希ちゃんから動画を提供してもらった。
わたしも撮ってたんだけど、この時は撮影そっちのけで興奮して叫んじゃっていたので、ブレブレだったり、床とか自分の手のひらが映っていたりと、とても鑑賞に堪えうるものではなかったからだ。
「はふぅ、決勝点を決めるアキトくんがカッコ良すぎてキュン死しそうだし……」
リングに当たって跳ね返ったボールを、アキトくんが空中でもう一度シュート!
何度見てもいい動画だなぁ。
アキトくんベストコレクションのトップ3にマッハでランクインだよ。
「これはもう、キュン死しないためにも、今晩はアキトくんのお部屋に行って一緒に寝ないとだよね~」
しかもそれだけじゃなかった。
「今日のアキトくん、完全に昔のアキトくんだったよね。ちょっとオレ様な口調とかすっごく懐かしかったし。家に帰る頃にはいつも通りに戻っちゃってたけど」
やっぱりアキトくんの本質は変わってないんだ。
背は伸びたし、性格も穏やかになったけど、アキトくんはやっぱり昔のまま。
わたしを助けてくれた頃の、アキトくんのまま――。
そのことをわたしは今日、改めて実感することができたのだった。
とはいえ、気がかりなこともある。
クラスの女子たちがアキトくんの良さに気付き始めたことだ。
今日だってアキトくんの大活躍を見たクラスの女子が、
『神崎さんのお兄さんって真面目なだけかと思ってたけど、けっこうイケてない?』
『それ私も思った~♪ バスケも上手だし~♪』
『普段は穏やかで真面目くんなのに、やる時はやるって感じがちょっと素敵かも~』
だのなんだのキャイキャイ騒いでいたからね。
これはちょっとうかうかしてはいられないですよ、奥さん!
アキトくんの良さに気付いてくれたこと、それ自体は嬉しいけれど、ライバルが増えると考えるとなんとも悩ましく思ってしまうのが、繊細な乙女心というものだ。
だから試合のあとにアキトくんの腕をぎゅっと抱き締めにいっちゃったのも、これはもう仕方のないことだった。
アキトくんへのアピールだけでなく、ライバルたちへのアピールでもあるのだから。
「でもそれだけじゃ、ちょっと心許ないかもだよね。だから今夜はしっかりと追加アピールをしておかないといけないと」
なにせわたしは妹。
しかも義理。
アキトくんラブラブレースにおいて、最も近い距離にいることを許されたオンリーワンの特権階級なのだから。
というわけで。
わたしは今日も今日とて、アキト君と一緒に寝るべく、アキトくんのお部屋に遊びに行ったのでした。
◇ ひまりタイム END ◇
新1年生親睦バスケットボール大会の日の夜。
明日の用意やらなんやらをバッチリ終えたわたしは、自分のお部屋のベッドで寝転がりながら、今日ゲットしたばかりの最新動画の観賞会を行っていた。
「むふっ、むふふふん……」
特にお気に入りなのはもちろん、試合終了の直前、空中に高々と飛び上がったアキトくんがボールをキャッチしてそのままシュートを打つ最後のシーンだ。
ちなみにこのシーンは雪希ちゃんから動画を提供してもらった。
わたしも撮ってたんだけど、この時は撮影そっちのけで興奮して叫んじゃっていたので、ブレブレだったり、床とか自分の手のひらが映っていたりと、とても鑑賞に堪えうるものではなかったからだ。
「はふぅ、決勝点を決めるアキトくんがカッコ良すぎてキュン死しそうだし……」
リングに当たって跳ね返ったボールを、アキトくんが空中でもう一度シュート!
何度見てもいい動画だなぁ。
アキトくんベストコレクションのトップ3にマッハでランクインだよ。
「これはもう、キュン死しないためにも、今晩はアキトくんのお部屋に行って一緒に寝ないとだよね~」
しかもそれだけじゃなかった。
「今日のアキトくん、完全に昔のアキトくんだったよね。ちょっとオレ様な口調とかすっごく懐かしかったし。家に帰る頃にはいつも通りに戻っちゃってたけど」
やっぱりアキトくんの本質は変わってないんだ。
背は伸びたし、性格も穏やかになったけど、アキトくんはやっぱり昔のまま。
わたしを助けてくれた頃の、アキトくんのまま――。
そのことをわたしは今日、改めて実感することができたのだった。
とはいえ、気がかりなこともある。
クラスの女子たちがアキトくんの良さに気付き始めたことだ。
今日だってアキトくんの大活躍を見たクラスの女子が、
『神崎さんのお兄さんって真面目なだけかと思ってたけど、けっこうイケてない?』
『それ私も思った~♪ バスケも上手だし~♪』
『普段は穏やかで真面目くんなのに、やる時はやるって感じがちょっと素敵かも~』
だのなんだのキャイキャイ騒いでいたからね。
これはちょっとうかうかしてはいられないですよ、奥さん!
アキトくんの良さに気付いてくれたこと、それ自体は嬉しいけれど、ライバルが増えると考えるとなんとも悩ましく思ってしまうのが、繊細な乙女心というものだ。
だから試合のあとにアキトくんの腕をぎゅっと抱き締めにいっちゃったのも、これはもう仕方のないことだった。
アキトくんへのアピールだけでなく、ライバルたちへのアピールでもあるのだから。
「でもそれだけじゃ、ちょっと心許ないかもだよね。だから今夜はしっかりと追加アピールをしておかないといけないと」
なにせわたしは妹。
しかも義理。
アキトくんラブラブレースにおいて、最も近い距離にいることを許されたオンリーワンの特権階級なのだから。
というわけで。
わたしは今日も今日とて、アキト君と一緒に寝るべく、アキトくんのお部屋に遊びに行ったのでした。
◇ ひまりタイム END ◇
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