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第3章 新1年生の親睦バスケットボール大会
第24話 弱い心は蹴り飛ばせ!
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高瀬翔(たかせ・しょう)。
名は体を表すで、182センチと背が高く、ジャンプ力も抜群なバスケ部の期待の星だ。
入学早々にバスケ部のレギュラー候補となった彼が試合に出られたのなら、うちのクラスはぶっちぎりの優勝候補の筆頭で間違いなかっただろう。
もちろんルール的に何をどうしたって出られないので、言ってもしょうがないんだけれど。
ちなみに小学校からバスケ一筋らしく、背も高くモテそうなのに恋愛には全く興味がないらしい(女子がそんな噂話をしているのを聞いた)。
「ひまりちゃんは昔から何をやらせても、パッとこなせちゃうんだ。本当に自慢の妹だよ」
僕は高瀬に、兄バカ全開の答えを返した。
同時にひまりちゃんの才能をまざまざと見せつけられたことから来る、わずかな胸の痛みに、今までのように気付かない振りをしようとして――そんな弱い心を僕は心の中で蹴り飛ばす!
ひまりちゃんに相応しい男になるんだろ?
だったら、まずは目の前の現実を受け入れないと。
でないと始まる物も始まらない。
全てはそこからなんだから。
「あはは、そうだろうね。でもほんと、あれは一朝一夕で身に付くものじゃないよ。普段から周囲を観察することを、意識的に行ってないと身に付かないスキルだ」
「うーん、それはどうだろ? ひまりちゃんはそういうことはしてないと思うけど」
周囲を観察だなんて、可愛くてあどけなくて天真爛漫なひまりちゃんが、そんなストーカー紛いなことをするわけがない。
これに関しては僕ははっきりと違うと断言できた。
まぁ、強いて言うなら、ブラコン気味なところがないこともないけれど。
「そうか。なら持って生まれ天性のセンスなんだろうな。羨ましい限りだよ。ちなみに女子バスケ部には入らないのかな? シュートが上手いし、これだけ動けたらすぐにレギュラーになれると思うけど」
「家の手伝いとかもあるから、多分部活はしないんじゃないかな?」
父さんからは家の手伝いなんてしないで、好きなことをやっていいと言われているのに、ひまりちゃんは「好きでやってるから」と今でも週に2,3回、夕方のお手伝いを続けている。
頻度は落ちたとはいえ、夕方のひまりタイムは現在も継続中。
ひまりちゃんがいるおかげで、この時間の常連さんは増えるばかりだ。
「そうなのか。俺としてはバスケの才能がもったいなく感じるが、ま、何をしたいかは人それぞれだもんな。さてと、そろそろ練習を再開するか」
予定していた休憩時間が終わり、僕たちは再び練習を始めた。
「シュートの時は膝でしっかりとタメを作って、ボールは身体の中心線を動かす。あとは左手を添えるだけ」
「焦らずゆっくりでいいよ。相手も素人なんだ。相手のことは考えずに、まずは落ち着いて自分のプレーをやりきることを意識しよう」
高瀬のアドバイスは技術的なことからメンタルのことまで幅広く、また実に的確だった。
「うーん、入らないなぁ……。ひまりちゃんならすぐに理解して実行できるんだろうけど」
しかし僕の放ったシュートは――今日何度目になるだろうか――リングに当たって跳ねて落ちた。
結局、僕たちはシュートやドリブルの基礎やディフェンスの仕方、簡単な戦術などを色々と教わったけど、女子チームと違って文化部&帰宅部ぞろいの男子チームは悲しいかな、やる気がないわけではなかったものの、あまり上手くなることなく終わってしまった。
名は体を表すで、182センチと背が高く、ジャンプ力も抜群なバスケ部の期待の星だ。
入学早々にバスケ部のレギュラー候補となった彼が試合に出られたのなら、うちのクラスはぶっちぎりの優勝候補の筆頭で間違いなかっただろう。
もちろんルール的に何をどうしたって出られないので、言ってもしょうがないんだけれど。
ちなみに小学校からバスケ一筋らしく、背も高くモテそうなのに恋愛には全く興味がないらしい(女子がそんな噂話をしているのを聞いた)。
「ひまりちゃんは昔から何をやらせても、パッとこなせちゃうんだ。本当に自慢の妹だよ」
僕は高瀬に、兄バカ全開の答えを返した。
同時にひまりちゃんの才能をまざまざと見せつけられたことから来る、わずかな胸の痛みに、今までのように気付かない振りをしようとして――そんな弱い心を僕は心の中で蹴り飛ばす!
ひまりちゃんに相応しい男になるんだろ?
だったら、まずは目の前の現実を受け入れないと。
でないと始まる物も始まらない。
全てはそこからなんだから。
「あはは、そうだろうね。でもほんと、あれは一朝一夕で身に付くものじゃないよ。普段から周囲を観察することを、意識的に行ってないと身に付かないスキルだ」
「うーん、それはどうだろ? ひまりちゃんはそういうことはしてないと思うけど」
周囲を観察だなんて、可愛くてあどけなくて天真爛漫なひまりちゃんが、そんなストーカー紛いなことをするわけがない。
これに関しては僕ははっきりと違うと断言できた。
まぁ、強いて言うなら、ブラコン気味なところがないこともないけれど。
「そうか。なら持って生まれ天性のセンスなんだろうな。羨ましい限りだよ。ちなみに女子バスケ部には入らないのかな? シュートが上手いし、これだけ動けたらすぐにレギュラーになれると思うけど」
「家の手伝いとかもあるから、多分部活はしないんじゃないかな?」
父さんからは家の手伝いなんてしないで、好きなことをやっていいと言われているのに、ひまりちゃんは「好きでやってるから」と今でも週に2,3回、夕方のお手伝いを続けている。
頻度は落ちたとはいえ、夕方のひまりタイムは現在も継続中。
ひまりちゃんがいるおかげで、この時間の常連さんは増えるばかりだ。
「そうなのか。俺としてはバスケの才能がもったいなく感じるが、ま、何をしたいかは人それぞれだもんな。さてと、そろそろ練習を再開するか」
予定していた休憩時間が終わり、僕たちは再び練習を始めた。
「シュートの時は膝でしっかりとタメを作って、ボールは身体の中心線を動かす。あとは左手を添えるだけ」
「焦らずゆっくりでいいよ。相手も素人なんだ。相手のことは考えずに、まずは落ち着いて自分のプレーをやりきることを意識しよう」
高瀬のアドバイスは技術的なことからメンタルのことまで幅広く、また実に的確だった。
「うーん、入らないなぁ……。ひまりちゃんならすぐに理解して実行できるんだろうけど」
しかし僕の放ったシュートは――今日何度目になるだろうか――リングに当たって跳ねて落ちた。
結局、僕たちはシュートやドリブルの基礎やディフェンスの仕方、簡単な戦術などを色々と教わったけど、女子チームと違って文化部&帰宅部ぞろいの男子チームは悲しいかな、やる気がないわけではなかったものの、あまり上手くなることなく終わってしまった。
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