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第2章 高校デビュー
第18話「やっぱり本気モードのアキトくんはカッコいいなぁ。むふふ……」
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そして迎えた放課後。
初日の授業を全て終え、帰りのホームルームもつつがなく終了し、教室中が昼休みをはるかに超える熱気と開放感に満ち満ちた喧騒に包まれている中、
「ねぇねぇ雪希ちゃん。わたしたち今から駅前のカラオケに行こうと思ってるんだけど、せっかくだし雪希ちゃんも一緒に3人で行かない?」
ひまりちゃんが持ち前の積極性で、雪希に放課後カラオケを提案した。
「実は私、カラオケって行ったことがないんです。騒がしいのはあまり得意じゃなくて。それにその、あまりそういうことをする友達もいなくて……」
「だってさ、ひまりちゃん」
「そっかぁ。ざーんねん」
と、思いきや。
「なので、せっかくの機会なのでカラオケを体験してみたいな、と思います」
雪希からはOKの返事が返ってきた。
「無理しなくてもいいんだよ? アキトくんと2人でもぜんぜん行くし」
「そうだよ。僕としても、苦手な人に無理強いはしたくないし、ほんと良かったらだから」
「いえ、行ってみたいなとは常々思っていたんです。ですから本当にいい機会だなと思って。お二人とならきっと楽しいでしょうし」
笑顔を見せる雪希の顔には、僕たちへの気づかいの色は感じられない。
これなら、このまま誘っても大丈夫そうかな。
「そういうことなら、3人で行こうか」
「じゃ、アキトくん予約よろー。2時間でいいよね?」
「放課後だし、遅くならないようにしたらそんなもんかな。雪希は門限とかある?」
「特に遅くなるとかでなければ大丈夫なので、もろもろ全部お任せします」
「了解。機種も適当に決めとくね」
僕はスマホを取り出すと、アプリで駅前のカラオケルームを3人×2時間でチャチャッと予約した。
というわけで、僕とひまりちゃんと雪希で、親睦を深めるための放課後カラオケに行くことになった。
登校時と同じく、僕を間に挟んでひまりちゃんと雪希が僕の左右を固める。
もちろん朝と同じく、周囲の視線は僕たち(正確にはひまりちゃんと雪希)に釘付けだ。
話の中身は主に、高校での初めての授業についての感想だった。
「数学が中学までと比べてかなり難易度が上がった気がしました。予習・復習は欠かさないようにしないとです」
「わかる~! 頭の中でしっかりと整理できてないと解けない感じだよね~!」
「僕は世界史が大変そうだったかな。あんなに細かく人名や年号を覚えるのかって、ちょっとびっくりしたよ」
「うんうん、びっくりするほど細かかったよね~!」
「ひまりさんはどの教科が大変そうに感じましたか?」
「わたし? わたしはまだ授業初日だし、まぁまぁどれも行けそうな感じかな?」
「ううっ、余裕がありそうで羨ましいです」
「ひまりちゃんはすごく成績優秀なんだ。僕も高校受験の時に、ひまりちゃんにかなり面倒を見てもらったくらいでさ」
もしひまりちゃんの家庭教師がなく、自分1人で勉強していたら、僕は成績不足でこの高校には入れなかっただろう。
そうするとひまりちゃんと一緒にお昼も食べられなくなるし、雪希とも出会うことができなかった。
本当にひまりちゃんには感謝している。
「もう、アキトくんってば。それはアキトくんが頑張ったからでしょー。わたしと一緒に勉強した後も、毎日夜遅くまで勉強してたの、知ってるんだからー」
「ひまりちゃんだって受験だったのに、時間を作って僕に勉強を教えてくれたんだから、なんとか結果を出したくてさ。あの時は本当に本気で頑張ったから」
「それで結果を出しちゃうんだから、やっぱり本気モードのアキトくんはカッコいいなぁ。むふふ……」
ひまりちゃんがニヤニヤと妙に嬉しそうに笑った。
「だから通学路で、雪希もいるのにそういうことは言わないの」
「あー! アキトくんってば照れてる~♪」
「照れてないから」
「照れてるでしょー♪」
「ふふっ、本当にお二人は仲が良いんですね」
僕とひまりちゃんのやり取りを見て、雪希がクスクスと上品に笑った。
なんて話をしている間にすぐに駅前についたので、僕たち3人は予約したカラオケルームに入店して受付を済ませ、指定された部屋へと向かった。
初日の授業を全て終え、帰りのホームルームもつつがなく終了し、教室中が昼休みをはるかに超える熱気と開放感に満ち満ちた喧騒に包まれている中、
「ねぇねぇ雪希ちゃん。わたしたち今から駅前のカラオケに行こうと思ってるんだけど、せっかくだし雪希ちゃんも一緒に3人で行かない?」
ひまりちゃんが持ち前の積極性で、雪希に放課後カラオケを提案した。
「実は私、カラオケって行ったことがないんです。騒がしいのはあまり得意じゃなくて。それにその、あまりそういうことをする友達もいなくて……」
「だってさ、ひまりちゃん」
「そっかぁ。ざーんねん」
と、思いきや。
「なので、せっかくの機会なのでカラオケを体験してみたいな、と思います」
雪希からはOKの返事が返ってきた。
「無理しなくてもいいんだよ? アキトくんと2人でもぜんぜん行くし」
「そうだよ。僕としても、苦手な人に無理強いはしたくないし、ほんと良かったらだから」
「いえ、行ってみたいなとは常々思っていたんです。ですから本当にいい機会だなと思って。お二人とならきっと楽しいでしょうし」
笑顔を見せる雪希の顔には、僕たちへの気づかいの色は感じられない。
これなら、このまま誘っても大丈夫そうかな。
「そういうことなら、3人で行こうか」
「じゃ、アキトくん予約よろー。2時間でいいよね?」
「放課後だし、遅くならないようにしたらそんなもんかな。雪希は門限とかある?」
「特に遅くなるとかでなければ大丈夫なので、もろもろ全部お任せします」
「了解。機種も適当に決めとくね」
僕はスマホを取り出すと、アプリで駅前のカラオケルームを3人×2時間でチャチャッと予約した。
というわけで、僕とひまりちゃんと雪希で、親睦を深めるための放課後カラオケに行くことになった。
登校時と同じく、僕を間に挟んでひまりちゃんと雪希が僕の左右を固める。
もちろん朝と同じく、周囲の視線は僕たち(正確にはひまりちゃんと雪希)に釘付けだ。
話の中身は主に、高校での初めての授業についての感想だった。
「数学が中学までと比べてかなり難易度が上がった気がしました。予習・復習は欠かさないようにしないとです」
「わかる~! 頭の中でしっかりと整理できてないと解けない感じだよね~!」
「僕は世界史が大変そうだったかな。あんなに細かく人名や年号を覚えるのかって、ちょっとびっくりしたよ」
「うんうん、びっくりするほど細かかったよね~!」
「ひまりさんはどの教科が大変そうに感じましたか?」
「わたし? わたしはまだ授業初日だし、まぁまぁどれも行けそうな感じかな?」
「ううっ、余裕がありそうで羨ましいです」
「ひまりちゃんはすごく成績優秀なんだ。僕も高校受験の時に、ひまりちゃんにかなり面倒を見てもらったくらいでさ」
もしひまりちゃんの家庭教師がなく、自分1人で勉強していたら、僕は成績不足でこの高校には入れなかっただろう。
そうするとひまりちゃんと一緒にお昼も食べられなくなるし、雪希とも出会うことができなかった。
本当にひまりちゃんには感謝している。
「もう、アキトくんってば。それはアキトくんが頑張ったからでしょー。わたしと一緒に勉強した後も、毎日夜遅くまで勉強してたの、知ってるんだからー」
「ひまりちゃんだって受験だったのに、時間を作って僕に勉強を教えてくれたんだから、なんとか結果を出したくてさ。あの時は本当に本気で頑張ったから」
「それで結果を出しちゃうんだから、やっぱり本気モードのアキトくんはカッコいいなぁ。むふふ……」
ひまりちゃんがニヤニヤと妙に嬉しそうに笑った。
「だから通学路で、雪希もいるのにそういうことは言わないの」
「あー! アキトくんってば照れてる~♪」
「照れてないから」
「照れてるでしょー♪」
「ふふっ、本当にお二人は仲が良いんですね」
僕とひまりちゃんのやり取りを見て、雪希がクスクスと上品に笑った。
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