74 / 83
―最終章―
第74話 極・遊星乱舞 -セッツ・ファルケン・ボルグ-
しおりを挟む
「ふ、ふ、ふははははははっ! 素晴らしい! なんてことだ! 我が《絶対剣域》を無効化したのか!」
自慢の防御を突破されたにも関わらず、しかしこれ以上ないといった歓喜を叫んでやまない《蒼混じりの焔》。
「――いいや違うな! これは無効化などと言ったそんなちんけなものでは決してない! 今、君は一瞬とはいえ『世界の法則』の外側にいた! 《認識阻害》が世界の法則すら欺いたのか! 君は、君の力は、世界の理をも凌駕したのか――!!」
嬉しくてたまらないといった《蒼混じりの焔》だが、はっきり言って理由なんざどうでもいいんだよ。
「細かいことはどうだっていいんだ。でもな、たった一つだけ分かっていることがある」
「ほぅ――!」
俺の一言一言に興味津々に喰いつく《蒼混じりの焔》。
まったく、こいつは何が嬉しいのやら。
こんなのに付き合うのは辟易するぜ。
そんな戦闘狂に、俺は身体中にみなぎる膨大な力の高まりを、言霊へと乗せて宣言する――!
「それはな! 今から俺が、お前をぶちのめすってことだ――!」
「くっ、ふっ、くはははははははっっ! いいね、実にいいよ! これこそが我の求めし究極の闘争だ! いいだろう、ならば我も全力で君を迎え撃とうじゃないか剣部を継ぐ者よ! その討滅の《心剣》で我を超えられるものなら超えてみるがいい!」
その言葉と同時に《蒼混じりの焔》の周囲に、無数の想念の剣でできた幾重にもわたる剣のカーテンが張り巡らされた。
《蒼混じりの焔》が誇る無敵の範囲攻撃 《遊星乱舞》だ。
しかしそれは、さっき喰らった時とはケタ違いに多い圧倒的なまでの物量だったのだ――!
「ははっ、さすがは伝説の化け物。これが本気の本気ってことか。すげーじゃん。言うなれば、無数の刃が織りなす物騒極まりない狂騒曲ってとこか」
「ユウトくん、言い方が微妙に中二病くさい……」
とかなんとかマナカがボソッと呟いたのが風に乗って俺の耳に届いてきた。
……あれおかしいな?
めっちゃカッコよく決めたセリフだったんだけど?
まぁそれはいいや。
「くっ、くくっ! 全力解放した《遊星乱舞》! 全てを薙ぎ払うこの剣の嵐を! 剣山が如き無限軌道の葬送曲を! 剣部の末裔は、さぁ、いったいどうやって攻略してみせる! ゆくぞ、最終決戦だ――!」
《蒼混じりの焔》はそこでいったん、タメを作ると――、
「穿て! 《極・遊星乱舞》――!」
力ある言葉とともに可視化された数百、数千に及ぶ無数の《想念》剣――空中に漂うそれらが、俺に向かって次々と殺到した――!
轟音と共に着弾してもうもうと土煙を上げる暴虐の連弾は、しかし――、
「だから効かねぇっつってんだろ」
雨あられと降りそそいだ剣の暴虐は、全て俺の身体を通り抜けていたのだった。
「ただの一刀とて、俺の身体を傷つけることは許さない――!」
見たか、これが世界すら欺くクロという《想念》の真の力だ――!
自慢の防御を突破されたにも関わらず、しかしこれ以上ないといった歓喜を叫んでやまない《蒼混じりの焔》。
「――いいや違うな! これは無効化などと言ったそんなちんけなものでは決してない! 今、君は一瞬とはいえ『世界の法則』の外側にいた! 《認識阻害》が世界の法則すら欺いたのか! 君は、君の力は、世界の理をも凌駕したのか――!!」
嬉しくてたまらないといった《蒼混じりの焔》だが、はっきり言って理由なんざどうでもいいんだよ。
「細かいことはどうだっていいんだ。でもな、たった一つだけ分かっていることがある」
「ほぅ――!」
俺の一言一言に興味津々に喰いつく《蒼混じりの焔》。
まったく、こいつは何が嬉しいのやら。
こんなのに付き合うのは辟易するぜ。
そんな戦闘狂に、俺は身体中にみなぎる膨大な力の高まりを、言霊へと乗せて宣言する――!
「それはな! 今から俺が、お前をぶちのめすってことだ――!」
「くっ、ふっ、くはははははははっっ! いいね、実にいいよ! これこそが我の求めし究極の闘争だ! いいだろう、ならば我も全力で君を迎え撃とうじゃないか剣部を継ぐ者よ! その討滅の《心剣》で我を超えられるものなら超えてみるがいい!」
その言葉と同時に《蒼混じりの焔》の周囲に、無数の想念の剣でできた幾重にもわたる剣のカーテンが張り巡らされた。
《蒼混じりの焔》が誇る無敵の範囲攻撃 《遊星乱舞》だ。
しかしそれは、さっき喰らった時とはケタ違いに多い圧倒的なまでの物量だったのだ――!
「ははっ、さすがは伝説の化け物。これが本気の本気ってことか。すげーじゃん。言うなれば、無数の刃が織りなす物騒極まりない狂騒曲ってとこか」
「ユウトくん、言い方が微妙に中二病くさい……」
とかなんとかマナカがボソッと呟いたのが風に乗って俺の耳に届いてきた。
……あれおかしいな?
めっちゃカッコよく決めたセリフだったんだけど?
まぁそれはいいや。
「くっ、くくっ! 全力解放した《遊星乱舞》! 全てを薙ぎ払うこの剣の嵐を! 剣山が如き無限軌道の葬送曲を! 剣部の末裔は、さぁ、いったいどうやって攻略してみせる! ゆくぞ、最終決戦だ――!」
《蒼混じりの焔》はそこでいったん、タメを作ると――、
「穿て! 《極・遊星乱舞》――!」
力ある言葉とともに可視化された数百、数千に及ぶ無数の《想念》剣――空中に漂うそれらが、俺に向かって次々と殺到した――!
轟音と共に着弾してもうもうと土煙を上げる暴虐の連弾は、しかし――、
「だから効かねぇっつってんだろ」
雨あられと降りそそいだ剣の暴虐は、全て俺の身体を通り抜けていたのだった。
「ただの一刀とて、俺の身体を傷つけることは許さない――!」
見たか、これが世界すら欺くクロという《想念》の真の力だ――!
0
お気に入りに追加
49
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。

地獄の業火に焚べるのは……
緑谷めい
恋愛
伯爵家令嬢アネットは、17歳の時に2つ年上のボルテール侯爵家の長男ジェルマンに嫁いだ。親の決めた政略結婚ではあったが、小さい頃から婚約者だった二人は仲の良い幼馴染だった。表面上は何の問題もなく穏やかな結婚生活が始まる――けれど、ジェルマンには秘密の愛人がいた。学生時代からの平民の恋人サラとの関係が続いていたのである。
やがてアネットは男女の双子を出産した。「ディオン」と名付けられた男児はジェルマンそっくりで、「マドレーヌ」と名付けられた女児はアネットによく似ていた。
※ 全5話完結予定

セレナの居場所 ~下賜された側妃~
緑谷めい
恋愛
後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
箱庭物語
晴羽照尊
ファンタジー
※本作は他の小説投稿サイト様でも公開しております。
※エンディングまでだいたいのストーリーは出来上がっておりますので、問題なく更新していけるはずです。予定では400話弱、150万文字程度で完結となります。(参考までに)
※この物語には実在の地名や人名、建造物などが登場しますが、一部現実にそぐわない場合がございます。それらは作者の創作であり、実在のそれらとは関わりありません。
※2020年3月21日、カクヨム様にて連載開始。
あらすじ
2020年。世界には776冊の『異本』と呼ばれる特別な本があった。それは、読む者に作用し、在る場所に異変をもたらし、世界を揺るがすほどのものさえ存在した。
その『異本』を全て集めることを目的とする男がいた。男はその蒐集の途中、一人の少女と出会う。少女が『異本』の一冊を持っていたからだ。
だが、突然の襲撃で少女の持つ『異本』は焼失してしまう。
男は集めるべき『異本』の消失に落胆するが、失われた『異本』は少女の中に遺っていると知る。
こうして男と少女は出会い、ともに旅をすることになった。
これは、世界中を旅して、『異本』を集め、誰かへ捧げる物語だ。
うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました
akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」
帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。
謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。
しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。
勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!?
転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。
※9月16日
タイトル変更致しました。
前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。
仲間を強くして無双していく話です。
『小説家になろう』様でも公開しています。

狼の子 ~教えてもらった常識はかなり古い!?~
一片
ファンタジー
バイト帰りに何かに引っ張られた俺は、次の瞬間突然山の中に放り出された。
しかも体をピクリとも動かせない様な瀕死の状態でだ。
流石に諦めかけていたのだけど、そんな俺を白い狼が救ってくれた。
その狼は天狼という神獣で、今俺がいるのは今までいた世界とは異なる世界だという。
右も左も分からないどころか、右も左も向けなかった俺は天狼さんに魔法で癒され、ついでに色々な知識を教えてもらう。
この世界の事、生き延び方、戦う術、そして魔法。
数年後、俺は天狼さんの庇護下から離れ新しい世界へと飛び出した。
元の世界に戻ることは無理かもしれない……でも両親に連絡くらいはしておきたい。
根拠は特にないけど、魔法がある世界なんだし……連絡くらいは出来るよね?
そんな些細な目標と、天狼さん以外の神獣様へとお使いを頼まれた俺はこの世界を東奔西走することになる。
色々な仲間に出会い、ダンジョンや遺跡を探索したり、何故か謎の組織の陰謀を防いだり……。
……これは、現代では失われた強大な魔法を使い、小さな目標とお使いの為に大陸をまたにかける小市民の冒険譚!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる