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―最終章―
第74話 極・遊星乱舞 -セッツ・ファルケン・ボルグ-
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「ふ、ふ、ふははははははっ! 素晴らしい! なんてことだ! 我が《絶対剣域》を無効化したのか!」
自慢の防御を突破されたにも関わらず、しかしこれ以上ないといった歓喜を叫んでやまない《蒼混じりの焔》。
「――いいや違うな! これは無効化などと言ったそんなちんけなものでは決してない! 今、君は一瞬とはいえ『世界の法則』の外側にいた! 《認識阻害》が世界の法則すら欺いたのか! 君は、君の力は、世界の理をも凌駕したのか――!!」
嬉しくてたまらないといった《蒼混じりの焔》だが、はっきり言って理由なんざどうでもいいんだよ。
「細かいことはどうだっていいんだ。でもな、たった一つだけ分かっていることがある」
「ほぅ――!」
俺の一言一言に興味津々に喰いつく《蒼混じりの焔》。
まったく、こいつは何が嬉しいのやら。
こんなのに付き合うのは辟易するぜ。
そんな戦闘狂に、俺は身体中にみなぎる膨大な力の高まりを、言霊へと乗せて宣言する――!
「それはな! 今から俺が、お前をぶちのめすってことだ――!」
「くっ、ふっ、くはははははははっっ! いいね、実にいいよ! これこそが我の求めし究極の闘争だ! いいだろう、ならば我も全力で君を迎え撃とうじゃないか剣部を継ぐ者よ! その討滅の《心剣》で我を超えられるものなら超えてみるがいい!」
その言葉と同時に《蒼混じりの焔》の周囲に、無数の想念の剣でできた幾重にもわたる剣のカーテンが張り巡らされた。
《蒼混じりの焔》が誇る無敵の範囲攻撃 《遊星乱舞》だ。
しかしそれは、さっき喰らった時とはケタ違いに多い圧倒的なまでの物量だったのだ――!
「ははっ、さすがは伝説の化け物。これが本気の本気ってことか。すげーじゃん。言うなれば、無数の刃が織りなす物騒極まりない狂騒曲ってとこか」
「ユウトくん、言い方が微妙に中二病くさい……」
とかなんとかマナカがボソッと呟いたのが風に乗って俺の耳に届いてきた。
……あれおかしいな?
めっちゃカッコよく決めたセリフだったんだけど?
まぁそれはいいや。
「くっ、くくっ! 全力解放した《遊星乱舞》! 全てを薙ぎ払うこの剣の嵐を! 剣山が如き無限軌道の葬送曲を! 剣部の末裔は、さぁ、いったいどうやって攻略してみせる! ゆくぞ、最終決戦だ――!」
《蒼混じりの焔》はそこでいったん、タメを作ると――、
「穿て! 《極・遊星乱舞》――!」
力ある言葉とともに可視化された数百、数千に及ぶ無数の《想念》剣――空中に漂うそれらが、俺に向かって次々と殺到した――!
轟音と共に着弾してもうもうと土煙を上げる暴虐の連弾は、しかし――、
「だから効かねぇっつってんだろ」
雨あられと降りそそいだ剣の暴虐は、全て俺の身体を通り抜けていたのだった。
「ただの一刀とて、俺の身体を傷つけることは許さない――!」
見たか、これが世界すら欺くクロという《想念》の真の力だ――!
自慢の防御を突破されたにも関わらず、しかしこれ以上ないといった歓喜を叫んでやまない《蒼混じりの焔》。
「――いいや違うな! これは無効化などと言ったそんなちんけなものでは決してない! 今、君は一瞬とはいえ『世界の法則』の外側にいた! 《認識阻害》が世界の法則すら欺いたのか! 君は、君の力は、世界の理をも凌駕したのか――!!」
嬉しくてたまらないといった《蒼混じりの焔》だが、はっきり言って理由なんざどうでもいいんだよ。
「細かいことはどうだっていいんだ。でもな、たった一つだけ分かっていることがある」
「ほぅ――!」
俺の一言一言に興味津々に喰いつく《蒼混じりの焔》。
まったく、こいつは何が嬉しいのやら。
こんなのに付き合うのは辟易するぜ。
そんな戦闘狂に、俺は身体中にみなぎる膨大な力の高まりを、言霊へと乗せて宣言する――!
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その言葉と同時に《蒼混じりの焔》の周囲に、無数の想念の剣でできた幾重にもわたる剣のカーテンが張り巡らされた。
《蒼混じりの焔》が誇る無敵の範囲攻撃 《遊星乱舞》だ。
しかしそれは、さっき喰らった時とはケタ違いに多い圧倒的なまでの物量だったのだ――!
「ははっ、さすがは伝説の化け物。これが本気の本気ってことか。すげーじゃん。言うなれば、無数の刃が織りなす物騒極まりない狂騒曲ってとこか」
「ユウトくん、言い方が微妙に中二病くさい……」
とかなんとかマナカがボソッと呟いたのが風に乗って俺の耳に届いてきた。
……あれおかしいな?
めっちゃカッコよく決めたセリフだったんだけど?
まぁそれはいいや。
「くっ、くくっ! 全力解放した《遊星乱舞》! 全てを薙ぎ払うこの剣の嵐を! 剣山が如き無限軌道の葬送曲を! 剣部の末裔は、さぁ、いったいどうやって攻略してみせる! ゆくぞ、最終決戦だ――!」
《蒼混じりの焔》はそこでいったん、タメを作ると――、
「穿て! 《極・遊星乱舞》――!」
力ある言葉とともに可視化された数百、数千に及ぶ無数の《想念》剣――空中に漂うそれらが、俺に向かって次々と殺到した――!
轟音と共に着弾してもうもうと土煙を上げる暴虐の連弾は、しかし――、
「だから効かねぇっつってんだろ」
雨あられと降りそそいだ剣の暴虐は、全て俺の身体を通り抜けていたのだった。
「ただの一刀とて、俺の身体を傷つけることは許さない――!」
見たか、これが世界すら欺くクロという《想念》の真の力だ――!
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