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第五章「プラスとマイナス」
第49話 恋の国家戦略特区
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「だからですね、今日ユウトがカッコいいところを見せたいと自分から言ってきたので、正直驚いたというのが本心です☆ でもマナカちゃんに対してなら、好意を抱くのも納得ですね☆ 私も一目でマナカちゃんのこと好きになりましたし☆」
「待ってくれ博士。俺はそんなことは言っていないはずだ。訂正してほしい」
「言いましたよ☆」
「いや言っていない。極めて事務的に告げたはずだ」
「なにを言っているのですか☆ あれのいったいどこが事務的なのですか☆」
やれやれと肩をすくめるアルマミース博士。
「いろいろと世話になった人に恩返しがしたい、甘いものが好きだけどカロリーを気にしているのでローカロリーの美味しいスイーツを用意して欲しい、可愛い服をコーディネイトしてあげて欲しい、サプライズでビックリさせる演出はないかエトセトラエトセトラ……。相手の反応をものすっごく気にした細かい上にクソ長い要望を延々と話してきたじゃありませんか☆ 10分はしゃべってましたよ☆」
「だからそれだけだろう、いいところ見せたいとか好意とかそう言ったことは言っていなかったはずだ」
「それだけ長くなるほどに、真剣にマナカちゃんのことを考えたのでしょう?☆ ならそれは間違いなく好意と呼べるものですよ☆ よく自分の胸に聞いてごらんなさい☆ 違いますか?☆」
「……そう、なのかな」
「ふむ、まだ自分でもよく分かってないのですね☆」
「どうだろう。正直よく分からない……ただ」
「ただ?☆」
「決して嫌な気持ちじゃあない。それは確かだ」
「はぁ☆ 煮え切りませんね☆ ま、少しずつ段階を踏んでいけばオッケーでしょう☆ とまれ、こんなユウトですが仲良くしてあげてくださいね☆ ボッチですし☆」
「わたしももっと仲良くなりたいと思ってます」
「だって☆ 良かったね、ユウト☆ だからこれからは、自分の心で感じたことをちゃんと言葉にして褒めてあげるんですよ☆」
「そうだな……善処するよ」
「そうです☆ せっかくだから今からシャレた口説き文句でもマナカちゃんに言ってみてください☆ もちろん借り物ではなく、自分自身の言葉で言うんですよ☆」
「うえぇぇぇえええっっ!?」
「いや、まずなんでマナカがそこまで驚く」
「いやだって、口説き文句ってそんな……」
両手を頬に当てて、いやーんばかーんと身体をくねらせるマナカ。
「いや、ただの練習だからな?」
俺はそれを横目に、
「……そうだな。……よし、いいのを思いついた」
「ご、ごくり……」
どこかそわそわしながら手ぐしで軽く髪を整えて、しかし真剣な表情を作るマナカ。
緊張しているのか、少し頬が赤くなっていた。
「こほん、じゃあいくぞ」
「は、はい、いかれます!」
ピーンと気を付けの格好で背筋を伸ばしたマナカ。
練習だっつーのに何をそんなに緊張しているのやら。
「マナカは俺の恋の国家戦略特区だ。どんな岩盤規制もこの恋の翼で乗り越えてみせる」
瞬間、世界が凍った――。
おかしいな?
これ以上なく決まったと思ったんだが?
「ムードゼロですね☆ あんたは背伸びしたての中学生二年生ですか☆」
「あ、あはは、さすがにそれはちょっと……」
あきれ顔の博士と、ひくひくと唇の端が引きつっているマナカ。
「なぜだ……」
今のは俺的には、なかなかにクールなセリフだったと思うのだが。
「女心ってやつは難しいな……」
密かにリベンジを誓う俺だった。
負けず嫌いなのは昔からの性分だ。
「待ってくれ博士。俺はそんなことは言っていないはずだ。訂正してほしい」
「言いましたよ☆」
「いや言っていない。極めて事務的に告げたはずだ」
「なにを言っているのですか☆ あれのいったいどこが事務的なのですか☆」
やれやれと肩をすくめるアルマミース博士。
「いろいろと世話になった人に恩返しがしたい、甘いものが好きだけどカロリーを気にしているのでローカロリーの美味しいスイーツを用意して欲しい、可愛い服をコーディネイトしてあげて欲しい、サプライズでビックリさせる演出はないかエトセトラエトセトラ……。相手の反応をものすっごく気にした細かい上にクソ長い要望を延々と話してきたじゃありませんか☆ 10分はしゃべってましたよ☆」
「だからそれだけだろう、いいところ見せたいとか好意とかそう言ったことは言っていなかったはずだ」
「それだけ長くなるほどに、真剣にマナカちゃんのことを考えたのでしょう?☆ ならそれは間違いなく好意と呼べるものですよ☆ よく自分の胸に聞いてごらんなさい☆ 違いますか?☆」
「……そう、なのかな」
「ふむ、まだ自分でもよく分かってないのですね☆」
「どうだろう。正直よく分からない……ただ」
「ただ?☆」
「決して嫌な気持ちじゃあない。それは確かだ」
「はぁ☆ 煮え切りませんね☆ ま、少しずつ段階を踏んでいけばオッケーでしょう☆ とまれ、こんなユウトですが仲良くしてあげてくださいね☆ ボッチですし☆」
「わたしももっと仲良くなりたいと思ってます」
「だって☆ 良かったね、ユウト☆ だからこれからは、自分の心で感じたことをちゃんと言葉にして褒めてあげるんですよ☆」
「そうだな……善処するよ」
「そうです☆ せっかくだから今からシャレた口説き文句でもマナカちゃんに言ってみてください☆ もちろん借り物ではなく、自分自身の言葉で言うんですよ☆」
「うえぇぇぇえええっっ!?」
「いや、まずなんでマナカがそこまで驚く」
「いやだって、口説き文句ってそんな……」
両手を頬に当てて、いやーんばかーんと身体をくねらせるマナカ。
「いや、ただの練習だからな?」
俺はそれを横目に、
「……そうだな。……よし、いいのを思いついた」
「ご、ごくり……」
どこかそわそわしながら手ぐしで軽く髪を整えて、しかし真剣な表情を作るマナカ。
緊張しているのか、少し頬が赤くなっていた。
「こほん、じゃあいくぞ」
「は、はい、いかれます!」
ピーンと気を付けの格好で背筋を伸ばしたマナカ。
練習だっつーのに何をそんなに緊張しているのやら。
「マナカは俺の恋の国家戦略特区だ。どんな岩盤規制もこの恋の翼で乗り越えてみせる」
瞬間、世界が凍った――。
おかしいな?
これ以上なく決まったと思ったんだが?
「ムードゼロですね☆ あんたは背伸びしたての中学生二年生ですか☆」
「あ、あはは、さすがにそれはちょっと……」
あきれ顔の博士と、ひくひくと唇の端が引きつっているマナカ。
「なぜだ……」
今のは俺的には、なかなかにクールなセリフだったと思うのだが。
「女心ってやつは難しいな……」
密かにリベンジを誓う俺だった。
負けず嫌いなのは昔からの性分だ。
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