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第二章「なんでもいうこと聞いてくれる?」
第28話 決着
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もう何度目かわからないケンタウロスの突撃を、俺はひらりと回避してみせた。
「目線を切るのが早すぎるんだよ――!」
しっかりとポイントを見極めて、二度見せしていない初見のフェイントを入れてやれば、ある程度確信をもってかわしきれる――!
「戦闘術ってのはさ。体力で大きく劣る人類が他種族に勝つために――時には人間同士で相争うために、知性でもって体系化し、連綿と磨き続けてきた人類の進化の歴史そのものだ。人間が積み重ねてきた技術の集大成を、人類の叡智の結晶を――。馬力が欲しいからと、安易に馬の脚を足し算しただけの半人半獣ごときが、簡単に超えられると思うなよ? いいや、超えさせねーよ。舐めてんじゃねーぞ半端者」
強烈な突きでもって繰り出される槍を、ギリギリまで引き付けて――右にかわす! しかしケンタウロスもこれくらいは対応してくる。
「そうだろうな――」
同じタイミングでの同じフェイントに二度も引っかかるほどの雑魚なら、こうまで苦労はしないさ。
さっきと同じようにはいかない――そこまでの雑魚じゃあない。
だがな――、
「悪いが、そいつもフェイントなんだ」
弱点を突く横に回り込む動きと見せかけて、それも囮だ――!
ケンタウロスが俺のサイドステップに合わせて、突撃軸をわずかにずらしたその刹那――!
ほんのわずかに速力が落ち、身体が開いたその一瞬に――、
「ここだ――っ!」
俺はステップを鋭く180度切り返すと、真正面から一気にケンタウロスの懐へと滑り込んだ。
伸るか反るか、勝負をかけた正面からのカウンターアタックだ――!
一気に懐に踏み込んだことで、槍によるリーチを無力化させられたケンタウロスは、
「グルゥゥゥゥゥ――――ッッ!」
しかし俺の突っ込みに反応して後ろ足で立ち上がると、唸り声を上げながら、突撃の移動力を乗せて前足の蹄を叩きつけてきた。
「いい反応だ、でも――あまりに素直すぎるぜ?」
俺は右にフェイントを入れて、その攻撃先を右へと誘導。
狙い通りに右寄りに叩きつけ攻撃がきたところへ、
「ホイっと――」
身体を半身にして被弾面積を大きく減らしながら、振り下ろされた両前足の間を一気にすり抜けた――!
かすったのか、額が切れて派手に血が噴き出すものの、
「これくらい、構うものか――!」
血管が集まった顔面からの出血は、見た目こそ派手に血が出るものの、基本的に大したことはないのだ。
そしてこれはただかわすだけでなく――、
「行くぞ、ここからは俺のターンだ」
反撃の一打のための動き出しとなっていた――!
叩きつけをすり抜けながらの移動力&カウンターによる破壊力満点の肘鉄を叩き込む。
「コフ――ッ」
空気が抜けるようななんとも間抜けな声を出したケンタウロスが、ピタリと動きを止める――!
「これで、終わりだ――!」
俺は強烈に右足で大地を踏み込んだ。
立ち昇る反発力を溜めの連鎖で回転力へうねらせ高め、膨大な力へと変換したそれは――、
「おおおおぉぉぉぉぉっっっっ――!!」
俺の必殺必倒の最終奥義――!
「《螺旋槍》!」
持ちうる全ての力が凝縮された右の拳が、想念放射とともにケンタウロスのどてっ腹に深々と突き刺さる――!
強烈な二連打の直撃を受けたケンタウロスが、さらさらと白い粒子へと変わりながら消えていった。
残ったのは今まで見た中で一番大きなサイズの《想貴石》。
それを空中でキャッチして、
「なんとか討滅成功だな――」
今宵の戦いは幕を閉じたのだった――。
「目線を切るのが早すぎるんだよ――!」
しっかりとポイントを見極めて、二度見せしていない初見のフェイントを入れてやれば、ある程度確信をもってかわしきれる――!
「戦闘術ってのはさ。体力で大きく劣る人類が他種族に勝つために――時には人間同士で相争うために、知性でもって体系化し、連綿と磨き続けてきた人類の進化の歴史そのものだ。人間が積み重ねてきた技術の集大成を、人類の叡智の結晶を――。馬力が欲しいからと、安易に馬の脚を足し算しただけの半人半獣ごときが、簡単に超えられると思うなよ? いいや、超えさせねーよ。舐めてんじゃねーぞ半端者」
強烈な突きでもって繰り出される槍を、ギリギリまで引き付けて――右にかわす! しかしケンタウロスもこれくらいは対応してくる。
「そうだろうな――」
同じタイミングでの同じフェイントに二度も引っかかるほどの雑魚なら、こうまで苦労はしないさ。
さっきと同じようにはいかない――そこまでの雑魚じゃあない。
だがな――、
「悪いが、そいつもフェイントなんだ」
弱点を突く横に回り込む動きと見せかけて、それも囮だ――!
ケンタウロスが俺のサイドステップに合わせて、突撃軸をわずかにずらしたその刹那――!
ほんのわずかに速力が落ち、身体が開いたその一瞬に――、
「ここだ――っ!」
俺はステップを鋭く180度切り返すと、真正面から一気にケンタウロスの懐へと滑り込んだ。
伸るか反るか、勝負をかけた正面からのカウンターアタックだ――!
一気に懐に踏み込んだことで、槍によるリーチを無力化させられたケンタウロスは、
「グルゥゥゥゥゥ――――ッッ!」
しかし俺の突っ込みに反応して後ろ足で立ち上がると、唸り声を上げながら、突撃の移動力を乗せて前足の蹄を叩きつけてきた。
「いい反応だ、でも――あまりに素直すぎるぜ?」
俺は右にフェイントを入れて、その攻撃先を右へと誘導。
狙い通りに右寄りに叩きつけ攻撃がきたところへ、
「ホイっと――」
身体を半身にして被弾面積を大きく減らしながら、振り下ろされた両前足の間を一気にすり抜けた――!
かすったのか、額が切れて派手に血が噴き出すものの、
「これくらい、構うものか――!」
血管が集まった顔面からの出血は、見た目こそ派手に血が出るものの、基本的に大したことはないのだ。
そしてこれはただかわすだけでなく――、
「行くぞ、ここからは俺のターンだ」
反撃の一打のための動き出しとなっていた――!
叩きつけをすり抜けながらの移動力&カウンターによる破壊力満点の肘鉄を叩き込む。
「コフ――ッ」
空気が抜けるようななんとも間抜けな声を出したケンタウロスが、ピタリと動きを止める――!
「これで、終わりだ――!」
俺は強烈に右足で大地を踏み込んだ。
立ち昇る反発力を溜めの連鎖で回転力へうねらせ高め、膨大な力へと変換したそれは――、
「おおおおぉぉぉぉぉっっっっ――!!」
俺の必殺必倒の最終奥義――!
「《螺旋槍》!」
持ちうる全ての力が凝縮された右の拳が、想念放射とともにケンタウロスのどてっ腹に深々と突き刺さる――!
強烈な二連打の直撃を受けたケンタウロスが、さらさらと白い粒子へと変わりながら消えていった。
残ったのは今まで見た中で一番大きなサイズの《想貴石》。
それを空中でキャッチして、
「なんとか討滅成功だな――」
今宵の戦いは幕を閉じたのだった――。
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