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第二章「なんでもいうこと聞いてくれる?」
第26話 《幻想想念獣》 -鵺-
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俺はすぐさま頭を切り替えて、戦闘モードへと移行する――!
「くそっ、ここまで近くに来るまで分からなかったなんて……!」
「ユウト、要警戒だよ」
「分かってる」
まるでワープでもしたかのように、突如として現れた《想念獣》の気配。
しかも尋常ならざるほどの強烈な気配ときたら、
「これで警戒するなっていうのが無理ってなもんだ」
まずはマナカを安全な場所までエスコートして、
「マナカ、安全第一だからな。ここで大人しくしているんだぞ」
こくん、とマナカが頷いたのを確認してから、クロの《認識阻害》を全力展開して急行すると――、
「なんだ、ありゃ――?」
そこに居た《想念獣》を見て、俺は思わず言葉を失っていた。
目の前にいるのは半人半獣――としかいいようがない姿かたち。
下半身は馬、上半身は人間。
例えるならば、子供のころに本で読んだギリシア神話のケンタウロスがそれに近いだろうか。
右手にはランスのような長柄の武器を持っていた。
そして――、
「気づかれた――!?」
ケンタウロスはこちらを振り向くと、まるで値踏みするかのように俺を見定めていたのだ。
クロの《認識阻害》をいともたやすく見破る強大な力。
「これは鵺……! 複数の《想念獣》が合わさってできた《幻想想念獣》だよ……!」
クロが何事かつぶやいたが、それに意識を向けることはできなかった。
《幻想想念獣》――ケンタウロスが、敵意もあらわに突風のように駆けてきたからだ――!
「こいつ、速い――!」
一歩目からのロケットブースターの様な超加速でもって、彼我の距離を一瞬にして詰められる――!
勢いそのままに長槍を一突きされ――これを俺は、捨て身の横っ飛びでもって、どうにかギリギリで回避する。
空中で体勢を立て直すと側転で天地を入れ替え、流れるように立ち上がったものの――、
「くそ――っ」
ケンタウロスは止まることなく駆け抜けていって、反転すると再びこちらに向き直り、槍を構え直していたのだった。
「一撃離脱のヒット・アンド・アウェイ戦法ってか?」
自らの突進力を最大限に生かした、そして同時に相手には反撃の機会を与えない、一方的な安定強行動ってわけか。
なんてことを考える暇すらなく、すぐさまケンタウロスの2撃目の突進が襲いくる。
それをまたもや転がりながらかわして――さらに続けての三撃目、四撃目、五撃目もどうにかかわすものの――、
「これじゃらちが明かねぇな」
このまま逃げてるばかりじゃジリ貧だ。
既に、ここぞという時のために用意していた、とっておきの回避フェイントまで見せてしまっていた。
「まるで将棋の香車だな……ここまで強烈な一撃離脱戦法は、さすがに初めての経験だぞ」
縦への突破は、文句なしの超が付くほどの一級品だ。
「でもま、数度の攻防から、ある程度見えてきたものもある――」
「くそっ、ここまで近くに来るまで分からなかったなんて……!」
「ユウト、要警戒だよ」
「分かってる」
まるでワープでもしたかのように、突如として現れた《想念獣》の気配。
しかも尋常ならざるほどの強烈な気配ときたら、
「これで警戒するなっていうのが無理ってなもんだ」
まずはマナカを安全な場所までエスコートして、
「マナカ、安全第一だからな。ここで大人しくしているんだぞ」
こくん、とマナカが頷いたのを確認してから、クロの《認識阻害》を全力展開して急行すると――、
「なんだ、ありゃ――?」
そこに居た《想念獣》を見て、俺は思わず言葉を失っていた。
目の前にいるのは半人半獣――としかいいようがない姿かたち。
下半身は馬、上半身は人間。
例えるならば、子供のころに本で読んだギリシア神話のケンタウロスがそれに近いだろうか。
右手にはランスのような長柄の武器を持っていた。
そして――、
「気づかれた――!?」
ケンタウロスはこちらを振り向くと、まるで値踏みするかのように俺を見定めていたのだ。
クロの《認識阻害》をいともたやすく見破る強大な力。
「これは鵺……! 複数の《想念獣》が合わさってできた《幻想想念獣》だよ……!」
クロが何事かつぶやいたが、それに意識を向けることはできなかった。
《幻想想念獣》――ケンタウロスが、敵意もあらわに突風のように駆けてきたからだ――!
「こいつ、速い――!」
一歩目からのロケットブースターの様な超加速でもって、彼我の距離を一瞬にして詰められる――!
勢いそのままに長槍を一突きされ――これを俺は、捨て身の横っ飛びでもって、どうにかギリギリで回避する。
空中で体勢を立て直すと側転で天地を入れ替え、流れるように立ち上がったものの――、
「くそ――っ」
ケンタウロスは止まることなく駆け抜けていって、反転すると再びこちらに向き直り、槍を構え直していたのだった。
「一撃離脱のヒット・アンド・アウェイ戦法ってか?」
自らの突進力を最大限に生かした、そして同時に相手には反撃の機会を与えない、一方的な安定強行動ってわけか。
なんてことを考える暇すらなく、すぐさまケンタウロスの2撃目の突進が襲いくる。
それをまたもや転がりながらかわして――さらに続けての三撃目、四撃目、五撃目もどうにかかわすものの――、
「これじゃらちが明かねぇな」
このまま逃げてるばかりじゃジリ貧だ。
既に、ここぞという時のために用意していた、とっておきの回避フェイントまで見せてしまっていた。
「まるで将棋の香車だな……ここまで強烈な一撃離脱戦法は、さすがに初めての経験だぞ」
縦への突破は、文句なしの超が付くほどの一級品だ。
「でもま、数度の攻防から、ある程度見えてきたものもある――」
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