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第4章 決戦!皇竜姫ドラグレリア!

第75話 切り札発動――『女神の祝福』デュアル

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 俺がその新たな女神の言霊を紡ぐとともに!
 俺の身体を今までよりもさらに色濃い白銀のオーラが覆っていく!

 俺の身体中に強大な勇者の力がさらにさらにと駆け巡っていき!

 右拳に煌々こうこうと輝く白銀の光が、漆黒の闇を押し返し始めた――!

「むふふっ、なるほどのぅ。女神アテナイの加護の2倍掛けというわけじゃな。そしてそれが勇者殿の切り札というわけか――!」

 そう!

 女神アテナイから授けられた、俺を勇者たらしめる最強の加護『女神の祝福ゴッデス・ブレス』の2倍掛け。
 これが俺の最後の切り札だった。

 聖剣『ストレルカ』がないことによる攻撃力の大幅な低下。
 それを補うために試行錯誤した結果いきついたのが、この『女神の祝福ゴッデス・ブレス』の2倍掛けだったのだ。

 ただし加護の2倍掛けは女神アテナイも想定外の使用法なのだろう。

 身体への負荷があまりに大きく、せいぜい10分が使っていられる限界だ。
 しかも使用後は身体がずっしりと重くなって、満足に戦えなくなってしまう。

 リエナの立ててくれた作戦が正攻法の攻略法だとしたら、これは完全に奇策中の奇策。

 つまり使った以上は、短期決戦で何がなんでも決めるしかない――!

「上から目線で解説とか随分と余裕じゃねえか。けどあまり調子に乗るなよ? うおおおおおっっっ!! 聖光解放!! 『セイクリッド・インパクト・デュアル』!!」

 漆黒の闇に飲みこまれかけていた白銀のオーラが一気に輝きを増すと、漆黒の闇を弾き飛ばしてゆく!

「おおっ、やりおるのじゃ! さすがは勇者殿なのじゃよ!」

 だが加護の2倍掛けでも、神に近しい存在となったドラグレリアの攻撃を完全に押し返すまでは至らず。
 必殺技の打ち合いはほぼ互角で終わり、俺たちはいったんわずかに距離を取って対峙した。

「『セイクリッド・インパクト・デュアル』でも互角――いや少し押し負けていたか」

 俺は冷静に彼我ひがの戦闘力を分析する。

 ここぞの場面で使いたかった取って置きの切り札を、その場しのぎで使わされてしまった上に、それでもまだ少し負けている。
 正直、苦しい展開だな。

 しかも特に使用制限がなさそうなドラグレリアに対して、強引にパワーアップしている俺には明確な時間制限がある。

 このままダラダラ戦えば俺が先に力尽きるのは明白!

 ならばここで最後の勝負をかけるしかない――!
 今から勝負を決める!

 俺は完全に腹をくくった。

「女神アテナイよ、俺に邪悪を退けし勇者の力を――『女神の祝福ゴッデス・ブレス』トリニティ!」

 俺は女神アテナイの加護をさらに3倍掛けする!

「ほぅ――」

「女神アテナイよ、俺に邪悪を退けし勇者の力を――『女神の祝福ゴッデス・ブレス』カルテット!」

 そして4倍掛けだ!

「むむっ? なんと――!」

 女神アテナイの加護の4倍掛け。
 激しく高まっていく聖光を見て、さしものドラグレリアも驚いた様子を見せた。

 余りの負荷の大きさに、身体の内部がミシミシと嫌な音を立てているのが分かる。
 5倍掛けくらいまでいけるかと思ってたんだが、ちょっと無理か。
 これ以上は負荷が大きすぎて逆に動けなくなってしまう。

 だがそれだけのリスクを負った分、得られる力は強大の一言だ――!

 この状態で何分戦えるかるかは分からないが、その分戦闘能力は聖剣『ストレルカ』を持っている時とほとんど同じまで上がっているはず。
 なんとかその間に勝負をつける!

 1秒でも時間が惜しい俺はすぐさま戦闘行動を開始した――!
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