『帰還勇者のRe:スクール(学園無双)』~リエナIf~異世界を救って帰還したら聖女がついてきたのでイチャコラ同棲して面倒をみようと思います。
マナシロカナタ✨ねこたま✨GCN文庫
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第3章 文化祭
第40話 鬼が笑う
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「おいおい、それはさっき『なし』って話になっただろ?」
「ですがさっきの勇者様は、ほんの少しだけ寂しそうな顔をされていましたので」
「……特にそんな顔をしたつもりはなかったんだけどな?」
別に自慢するわけじゃないんだけど、5年に及んだ過酷な異世界生活で鋼メンタルを得た俺は、嬉しいとか楽しいと言ったプラスの感情を見せることはあっても、辛いとか寂しいといったマイナスの感情を顔に出すことはほとんどなくなった。
「もう、なにを言ってるんですか。長い付き合いなんですからそれくらい分かりますよ。ほんのわずかな表情の動きやちょっとした声色の差で、感情は伝わってくるものなんです」
「俺のこと本当によく見てるんだな」
俺はリエナのことをそれなり以上に理解しているつもりだったんだけど、リエナは俺の想像以上に俺のことを理解しているようだった。
そのことにちょっと驚かされてしまう。
「もちろんです。それに昔の感情豊かな頃の勇者様も知ってますからね。たとえ顔にはでなくても、勇者様がどんな時にどういう風に感じるかってことくらい、なんとなく分かっちゃいますので♪」
「やれやれ、ほんとリエナには敵わないな」
「ふふっ、伊達に勇者様と一緒に魔王を倒す旅を5年もしていませんからね。苦楽を共にすればこれくらいはベリーイージーです♪」
大切な宝物でも見せびらかすように、誇らしげに胸を張るリエナ。
リエナにとって俺や俺と過ごした過酷な戦いの旅は、リエナという人間を形作る上で欠かせない一部になっているんだろう。
そしてそれはリエナだけじゃない。
俺もきっと同じなんだと思う。
リエナと過ごした5年間があったからこそ、今の俺がいるんだ。
俺とリエナはもう家族よりも深い絆で結ばれているんだ。
「今まで色々とありがとうなリエナ。それとこれからもよろしく頼むよ」
俺は込み上げてくる万感の想いを言葉に乗せて、リエナに感謝の気持ちを伝えた。
「それはもう頼まれなくたって、嫌だって言われたって、わたしの方から勝手にあれこれやっちゃいますので、そこはご安心くださいな」
そんな俺の気持ちを知ってか知らずか、普段と変わらずいたずらっぽく笑って言うリエナに、
「ははっ、ほんと心強いよ」
俺は苦笑するしかないのだった。
「それでですね? 話は戻るんですけど。勇者様が寂しそうにした理由はやっぱりもっと積極的に文化祭に参加したかったのかなって思ったんです」
「おおむねそう言うことだな」
今さら隠してもしょうがないので、俺は素直に自分の心境を告げる。
「もしかしなくても、私の面倒を見てくれているから積極的に参加できないんですよね……?」
それを聞いて、リエナが申し訳なさそうな顔になった。
「まぁ、そうだな」
「ですよね……」
俺の正直な答えを聞いて肩を落としてシュンとするリエナ。
「だけどリエナがこの世界に慣れるのがやっぱり最優先だよ。『オーフェルマウス』に召喚された俺をリエナが献身的にサポートしてくれたように、今度は俺がこの世界でリエナをサポートする番なんだから」
「勇者様……」
「だからそこは気にしないでくれ。気にされるとむしろ俺が困る。俺がリエナにしてもらったことを、今度は俺がリエナに返しているだけなんだからさ」
「本当にありがとうございます」
「だからいいって言ってるだろ? 楽しい文化祭なんだ、湿っぽい話は無しにしようぜ。文化祭を全力で楽しむってのが今日の俺の目標なんだから」
「えへへ、了解しました。及ばずながら目標達成のためのお手伝いをさせていただきます」
「まぁでもそうだな。そういうことなら来年はリエナと一緒に個人参加で参加するのもありかもな」
「あ、勇者様がやる気ですよ?」
「リエナは歌と踊りが上手だったから、俺がギターをしてリエナがダンス&ボーカルとかでライブをするとかはどうだ?」
「いいですね~。勇者様の素敵な演奏でまた踊ってみたいです」
「何度も言うけど、俺本来の力じゃないからな?」
「そうかもしれませんけど、世界を2度も救ったご褒美だと思えば、ちょっと便利なスキルを持っているくらいは安いものだと思いますよ? 悪さするわけでもないんですし」
「そうだよな、ちょっと文化祭で張り切るくらいなら女神アテナイも許してくれるか。なにより女神アテナイに仕える神託の神官がそう言うんだから、問題はないよな」
「はいっ、ノープロブレムです♪」
「ちょっと気が早すぎるけど、来年の文化祭が楽しみだよ」
来年のことを考えると鬼が笑うって言うけど、今からもうリエナと一緒に参加する来年の文化祭が待ち遠しい俺だった。
「ですがさっきの勇者様は、ほんの少しだけ寂しそうな顔をされていましたので」
「……特にそんな顔をしたつもりはなかったんだけどな?」
別に自慢するわけじゃないんだけど、5年に及んだ過酷な異世界生活で鋼メンタルを得た俺は、嬉しいとか楽しいと言ったプラスの感情を見せることはあっても、辛いとか寂しいといったマイナスの感情を顔に出すことはほとんどなくなった。
「もう、なにを言ってるんですか。長い付き合いなんですからそれくらい分かりますよ。ほんのわずかな表情の動きやちょっとした声色の差で、感情は伝わってくるものなんです」
「俺のこと本当によく見てるんだな」
俺はリエナのことをそれなり以上に理解しているつもりだったんだけど、リエナは俺の想像以上に俺のことを理解しているようだった。
そのことにちょっと驚かされてしまう。
「もちろんです。それに昔の感情豊かな頃の勇者様も知ってますからね。たとえ顔にはでなくても、勇者様がどんな時にどういう風に感じるかってことくらい、なんとなく分かっちゃいますので♪」
「やれやれ、ほんとリエナには敵わないな」
「ふふっ、伊達に勇者様と一緒に魔王を倒す旅を5年もしていませんからね。苦楽を共にすればこれくらいはベリーイージーです♪」
大切な宝物でも見せびらかすように、誇らしげに胸を張るリエナ。
リエナにとって俺や俺と過ごした過酷な戦いの旅は、リエナという人間を形作る上で欠かせない一部になっているんだろう。
そしてそれはリエナだけじゃない。
俺もきっと同じなんだと思う。
リエナと過ごした5年間があったからこそ、今の俺がいるんだ。
俺とリエナはもう家族よりも深い絆で結ばれているんだ。
「今まで色々とありがとうなリエナ。それとこれからもよろしく頼むよ」
俺は込み上げてくる万感の想いを言葉に乗せて、リエナに感謝の気持ちを伝えた。
「それはもう頼まれなくたって、嫌だって言われたって、わたしの方から勝手にあれこれやっちゃいますので、そこはご安心くださいな」
そんな俺の気持ちを知ってか知らずか、普段と変わらずいたずらっぽく笑って言うリエナに、
「ははっ、ほんと心強いよ」
俺は苦笑するしかないのだった。
「それでですね? 話は戻るんですけど。勇者様が寂しそうにした理由はやっぱりもっと積極的に文化祭に参加したかったのかなって思ったんです」
「おおむねそう言うことだな」
今さら隠してもしょうがないので、俺は素直に自分の心境を告げる。
「もしかしなくても、私の面倒を見てくれているから積極的に参加できないんですよね……?」
それを聞いて、リエナが申し訳なさそうな顔になった。
「まぁ、そうだな」
「ですよね……」
俺の正直な答えを聞いて肩を落としてシュンとするリエナ。
「だけどリエナがこの世界に慣れるのがやっぱり最優先だよ。『オーフェルマウス』に召喚された俺をリエナが献身的にサポートしてくれたように、今度は俺がこの世界でリエナをサポートする番なんだから」
「勇者様……」
「だからそこは気にしないでくれ。気にされるとむしろ俺が困る。俺がリエナにしてもらったことを、今度は俺がリエナに返しているだけなんだからさ」
「本当にありがとうございます」
「だからいいって言ってるだろ? 楽しい文化祭なんだ、湿っぽい話は無しにしようぜ。文化祭を全力で楽しむってのが今日の俺の目標なんだから」
「えへへ、了解しました。及ばずながら目標達成のためのお手伝いをさせていただきます」
「まぁでもそうだな。そういうことなら来年はリエナと一緒に個人参加で参加するのもありかもな」
「あ、勇者様がやる気ですよ?」
「リエナは歌と踊りが上手だったから、俺がギターをしてリエナがダンス&ボーカルとかでライブをするとかはどうだ?」
「いいですね~。勇者様の素敵な演奏でまた踊ってみたいです」
「何度も言うけど、俺本来の力じゃないからな?」
「そうかもしれませんけど、世界を2度も救ったご褒美だと思えば、ちょっと便利なスキルを持っているくらいは安いものだと思いますよ? 悪さするわけでもないんですし」
「そうだよな、ちょっと文化祭で張り切るくらいなら女神アテナイも許してくれるか。なにより女神アテナイに仕える神託の神官がそう言うんだから、問題はないよな」
「はいっ、ノープロブレムです♪」
「ちょっと気が早すぎるけど、来年の文化祭が楽しみだよ」
来年のことを考えると鬼が笑うって言うけど、今からもうリエナと一緒に参加する来年の文化祭が待ち遠しい俺だった。
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