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RESTART──先輩と後輩──
終焉の始まり(その二)
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「……リ、隊長ッ!?隊長が死んだァッ!?」
冒険隊『噛狗』の隊員の一人が叫ぶその傍らで、今し方身体から切り離され、宙へと飛ばされたヴォルフの首が。放物線を描き、やがて重力に従って、彼の首は地面へと落下する。
ドチャ──地面に激突し、血飛沫を散らして。為す術もなくされるがままに地面を転がる、ヴォルフの首。それに続くようにして、首を失った彼の身体が一瞬よろめきふらついて、断面から鮮血を勢いよく噴かせる。
周囲の木の枝や葉を赤く点々と染めながら、ゆっくりと力なく地面に倒れるヴォルフの身体────そんな一部始終を目の当たりにしたことで、ようやく。今冒険隊の隊長が自分たちの目の前で、死んだと。死んでしまったのだという、現実と事実を。残された四人の隊員たちは認識し、認知する。
「う、うわぁぁあああぁあぁあぁぁぁっ?!」
最初に恐怖に負け、呑み込まれたのは。この冒険隊の中では最年少であり、彼らが所属する冒険者組合でも若手の部類に入る、まだ十代半ばの少年だった。彼は絶叫をその口から迸らせ、静寂を引き裂くように森に響き渡らせながら、恐怖に背を押されるようにして。一目散にその場から駆け出す。
「お、おいッ!!」
残る三人の内の一人────冒険隊『噛狗』の副隊長である男が、慌てながらも透かさず、呼び止めるも。そんな彼の静止の声も振り切って、そのまま少年は霧の向こうへと消え────
「ぎゃっ」
────という、短い悲鳴が一瞬響き。そうしてまた、森に静寂が訪れるのだった。
「……チッ、言わんこっちゃない」
少し遅れて、まるで苦虫を噛み潰したかのような表情を浮かべ、そう吐き捨てる副隊長。その彼に、残った二人の内の一人が動揺に震えて揺れる声で言う。
「ど、どうすんだ?どうすんだよ、なあッ!?」
「知るかッ!そんくらい、自分で考えろや!!」
と、息を荒げさせながら返す副隊長。その顔は死を目前にした、絶体絶命の恐怖で歪んでおり。それは声音にも、如実に現れていた。
「お、終わりだ……俺たち、ここで死ぬんだ……死んじまうんだぁ……っ!」
そんな二人を他所に、独り諦観と絶望の言葉を溢す男。そんな彼の視界が、唐突にそれを映す。
「……あ……?」
濃霧の向こうから、ゆっくりと歩いて来る。こちらに近づいて来る────最初は霧に紛れてしまっていてよく見えず、姿影でしか捉えることができなかったが。自ら近づいて来たことで、男はその全貌を把握する。
それは────狼だった。一匹の、巨大な狼であった。
深い灰色の毛皮に全身覆われてはいるものの、その下にある巨躯は強靭堅牢であることは容易に察することができ。また四足の獣指の先から伸びる爪は何処までも、いっそ過剰な程に鋭利で、その切れ味は下手な名剣を悉く上回るだろうことは、火を見るよりも明らかだった。
そんな霧の向こうから、突如として現れた狼を目の当たりにして、男は呆然と呟く。
「ま、魔狼……?」
魔狼────元々はただの動物であったが、過剰な魔力を浴び、その身に帯びた結果。魔物化した狼の総称。
しかし、今男が目にしているその一匹は、明らかに他の、一般的に知られている魔狼などではない。何よりも発せられているその雰囲気、威圧感から────彼は直感する。
──こいつ、まさか特異個体!?
そして、それとほぼ同時のことだった。
「お、おい……おいおいおいおいッ!?こんな、こりゃ……嘘だろッ!?」
突如、錯乱でも起こしたかのように、副隊長が叫び散らす。が、それも無理はないだろう。
何故ならば──────────今、自分たちは完全に、囲まれていたのだから。
「二十……いや三十はいるぞ!?畜生ッ!こんな、馬鹿なッ!!」
今の今まで、それらしい気配は。ましてや、こんなにも大勢の気配は全くしていなかった。……だというのに、続々と、現れる。
魔狼が。無数の魔狼が、霧の向こうから次々と出て来る。
「こ、この霧か……?霧の所為なのか!?こんなにいんのに、見えてんのに、なのになんだって気配がわからねえんだよッ!!!」
と、混乱する副隊長の言葉通り。彼はその姿を見ているものの、こうして見えてはいるものの────何故か、そこにいることがわからない。各々の視覚は正常なはずなのに、無数の魔狼たちがそこにいるのだという情報が、いつまで経っても頭に入らない。
「く、クソ!おいジャンクソ……」
もはや己の視覚が、それにより成り立つ視界が使い物にならないと咄嗟に判断し、冒険隊の耳であり、目である隊員──ジャンクソンに指示を出そうと、彼の方へ顔を向ける副隊長。
その時、副隊長が目にしたのは。その場に呆然自失としながら突っ立つジャンクソン────の顔に。唐突に五つの線が浮かび上がり。瞬間、その線から血が滲み出したかと思えば、瞬く間に彼の顔は五つに分たれた。
「……ッ!!!!」
慄く副隊長を他所に、分たれた断面から血と薄桃色の肉片を溢しながら、ジャンクソンの身体が倒れる。その様を目の当たりにする副隊長の耳に、半狂乱の叫び声が届く。
「副隊長!副隊長ァァァァアアアアッ!!」
その叫びが気を引いたのか、それともそれを合図代わりにしたのか。叫んだ隊員に、二匹の魔狼が駆け寄り、同時に飛びかかる。
「く、来るなァァァァァ!!」
と、そこで完全に狂乱に陥った隊員は、腰に下げた得物を鞘から引き抜かせ、間髪入れず。滅茶苦茶に無茶苦茶に、滅多矢鱈に振り回す。
そしてその剣身が、二匹諸共斬り伏せる────
「や、やったッ!」
────が、瞬間その二匹が霧散した。
「は」
ガブッ──その光景を目の当たりにし、呆けた声を漏らす隊員の首元に。彼の背後から飛びかかった魔狼が噛みつき、彼を地面へと押し倒し、そしてそのまま、首の肉の大部分を豪快に噛み千切るのだった。
「ッ、ッ……ッ」
目を白黒させる隊員の、抉れた首元から。まるで噴水かの如く、大量の血が噴き出す。血溜まりを作り、広げる最中、彼が事切れる。
「……は、ハハハ!アハハハハハッ!」
こうしてあっという間に残され、独りとなった副隊長。もはやどう足掻いても生き残ることはできない状況に、彼の精神は容易く打ち砕かれ、そうやってただ笑うことしかできなってしまい。
──人喰いの森……そう、ここは正しく、人喰いの森だった……!!
と、心の中で呟く副隊長を、まるで置き去りにするように。馬車に繋がれていた一頭の馬が、揺らぎ。瞬間、魔力の粒子となってその場から消え失せた。
そうして副隊長もまた、先程の隊員と同じように魔狼に襲われ。その様を、特異個体の魔狼は遠目に眺める。
……結局、ジャンクソンだけであった。その魔狼を視界に映し、そこにいることを確と認識し、認知できたのは最後まで彼だけであり。持ち前の固有魔法で冒険隊の目となり耳となって支え続けた、彼のみだった。
こうして、『噛狗』の面々は全滅するのだった。
「う、うわぁぁあああぁあぁあぁぁぁっ?!」
という、こちらの耳を劈く悲鳴を聴きながら。馬車の荷台の中に座り込むその少女が、まるで他人事のように呟く。
「あー……ここで死ぬか。今日、死ぬんだな私」
と、その言葉だけ聞けば実に諦観に暮れた、絶望の言葉なのだが。しかし、それに反して聴こえる声音は、あっけらかんと明るい。それはまるで、別人の言葉を、そのまた別人がただ声に出して読んでいるようだった。
「まあでも、自業自得か。この森の主のヤバさはわかってたし。それを予め伝えていなかったんだし」
と、やはり。言葉に反する声音で少女は呟く。外から聞こえる『噛狗』の残された面々の阿鼻叫喚を耳にしても尚、彼女のそんな様子は微動だにしない。
やがて、外の叫び声もしなくなり。代わりに独りの笑い声が聞こえてくる。それはどうやら副隊長と呼ばれていた男のものらしい。
「いよいよってところかな」
少女はそう言って、今の今まで働かせていた己が魔力を断ち切り。それとほぼ同時に、副隊長の笑い声も途絶える。そして人が地面に倒されるような音を最後に、外からは何の音もしなくなった。
「……私の番だねー。あーぁ、喰い殺されるのってどれくらい痛いんだろ。どれくらい苦しまなきゃいけないんだろうな」
やはり言葉だけは悲観的で諦めており、これから自らに待つ想像するのも恐ろしく悍ましい最期を、大人しく受け入れているようだが。声音はとてもそうには思えない程に明るく呑気なもので、形容し難い齟齬感が生じているのだった。
そして少女は逃げも隠れもせず、その場に座り続け、その時を待つ。
十数秒、数分────そこまで待ち続けて、少女は疑問の声を上げる。
「あれ?」
相手は魔狼。馬車にも自分がいることは、臭いで気づいているはず。
だというのに、いつまで経っても魔狼が布を突き破り、荷台に飛び込むことはない。外は、相も変わらず無音で静かだ────それも、異様な程に。
──まさか、相討ち?いやでもただの魔狼の群れならともかく、あの特異個体が率いる群れ相手に、『噛狗』が戦えるとは思えないし……?
と、忌憚ない評価を呟きながら、少女はその場から立ち上がり。
「えっと、どれどれ……」
そして恐れ知らず、命知らずにも。荷台から顔を出し、惨状広がっているだろう外を見やるのだった。
冒険隊『噛狗』の隊員の一人が叫ぶその傍らで、今し方身体から切り離され、宙へと飛ばされたヴォルフの首が。放物線を描き、やがて重力に従って、彼の首は地面へと落下する。
ドチャ──地面に激突し、血飛沫を散らして。為す術もなくされるがままに地面を転がる、ヴォルフの首。それに続くようにして、首を失った彼の身体が一瞬よろめきふらついて、断面から鮮血を勢いよく噴かせる。
周囲の木の枝や葉を赤く点々と染めながら、ゆっくりと力なく地面に倒れるヴォルフの身体────そんな一部始終を目の当たりにしたことで、ようやく。今冒険隊の隊長が自分たちの目の前で、死んだと。死んでしまったのだという、現実と事実を。残された四人の隊員たちは認識し、認知する。
「う、うわぁぁあああぁあぁあぁぁぁっ?!」
最初に恐怖に負け、呑み込まれたのは。この冒険隊の中では最年少であり、彼らが所属する冒険者組合でも若手の部類に入る、まだ十代半ばの少年だった。彼は絶叫をその口から迸らせ、静寂を引き裂くように森に響き渡らせながら、恐怖に背を押されるようにして。一目散にその場から駆け出す。
「お、おいッ!!」
残る三人の内の一人────冒険隊『噛狗』の副隊長である男が、慌てながらも透かさず、呼び止めるも。そんな彼の静止の声も振り切って、そのまま少年は霧の向こうへと消え────
「ぎゃっ」
────という、短い悲鳴が一瞬響き。そうしてまた、森に静寂が訪れるのだった。
「……チッ、言わんこっちゃない」
少し遅れて、まるで苦虫を噛み潰したかのような表情を浮かべ、そう吐き捨てる副隊長。その彼に、残った二人の内の一人が動揺に震えて揺れる声で言う。
「ど、どうすんだ?どうすんだよ、なあッ!?」
「知るかッ!そんくらい、自分で考えろや!!」
と、息を荒げさせながら返す副隊長。その顔は死を目前にした、絶体絶命の恐怖で歪んでおり。それは声音にも、如実に現れていた。
「お、終わりだ……俺たち、ここで死ぬんだ……死んじまうんだぁ……っ!」
そんな二人を他所に、独り諦観と絶望の言葉を溢す男。そんな彼の視界が、唐突にそれを映す。
「……あ……?」
濃霧の向こうから、ゆっくりと歩いて来る。こちらに近づいて来る────最初は霧に紛れてしまっていてよく見えず、姿影でしか捉えることができなかったが。自ら近づいて来たことで、男はその全貌を把握する。
それは────狼だった。一匹の、巨大な狼であった。
深い灰色の毛皮に全身覆われてはいるものの、その下にある巨躯は強靭堅牢であることは容易に察することができ。また四足の獣指の先から伸びる爪は何処までも、いっそ過剰な程に鋭利で、その切れ味は下手な名剣を悉く上回るだろうことは、火を見るよりも明らかだった。
そんな霧の向こうから、突如として現れた狼を目の当たりにして、男は呆然と呟く。
「ま、魔狼……?」
魔狼────元々はただの動物であったが、過剰な魔力を浴び、その身に帯びた結果。魔物化した狼の総称。
しかし、今男が目にしているその一匹は、明らかに他の、一般的に知られている魔狼などではない。何よりも発せられているその雰囲気、威圧感から────彼は直感する。
──こいつ、まさか特異個体!?
そして、それとほぼ同時のことだった。
「お、おい……おいおいおいおいッ!?こんな、こりゃ……嘘だろッ!?」
突如、錯乱でも起こしたかのように、副隊長が叫び散らす。が、それも無理はないだろう。
何故ならば──────────今、自分たちは完全に、囲まれていたのだから。
「二十……いや三十はいるぞ!?畜生ッ!こんな、馬鹿なッ!!」
今の今まで、それらしい気配は。ましてや、こんなにも大勢の気配は全くしていなかった。……だというのに、続々と、現れる。
魔狼が。無数の魔狼が、霧の向こうから次々と出て来る。
「こ、この霧か……?霧の所為なのか!?こんなにいんのに、見えてんのに、なのになんだって気配がわからねえんだよッ!!!」
と、混乱する副隊長の言葉通り。彼はその姿を見ているものの、こうして見えてはいるものの────何故か、そこにいることがわからない。各々の視覚は正常なはずなのに、無数の魔狼たちがそこにいるのだという情報が、いつまで経っても頭に入らない。
「く、クソ!おいジャンクソ……」
もはや己の視覚が、それにより成り立つ視界が使い物にならないと咄嗟に判断し、冒険隊の耳であり、目である隊員──ジャンクソンに指示を出そうと、彼の方へ顔を向ける副隊長。
その時、副隊長が目にしたのは。その場に呆然自失としながら突っ立つジャンクソン────の顔に。唐突に五つの線が浮かび上がり。瞬間、その線から血が滲み出したかと思えば、瞬く間に彼の顔は五つに分たれた。
「……ッ!!!!」
慄く副隊長を他所に、分たれた断面から血と薄桃色の肉片を溢しながら、ジャンクソンの身体が倒れる。その様を目の当たりにする副隊長の耳に、半狂乱の叫び声が届く。
「副隊長!副隊長ァァァァアアアアッ!!」
その叫びが気を引いたのか、それともそれを合図代わりにしたのか。叫んだ隊員に、二匹の魔狼が駆け寄り、同時に飛びかかる。
「く、来るなァァァァァ!!」
と、そこで完全に狂乱に陥った隊員は、腰に下げた得物を鞘から引き抜かせ、間髪入れず。滅茶苦茶に無茶苦茶に、滅多矢鱈に振り回す。
そしてその剣身が、二匹諸共斬り伏せる────
「や、やったッ!」
────が、瞬間その二匹が霧散した。
「は」
ガブッ──その光景を目の当たりにし、呆けた声を漏らす隊員の首元に。彼の背後から飛びかかった魔狼が噛みつき、彼を地面へと押し倒し、そしてそのまま、首の肉の大部分を豪快に噛み千切るのだった。
「ッ、ッ……ッ」
目を白黒させる隊員の、抉れた首元から。まるで噴水かの如く、大量の血が噴き出す。血溜まりを作り、広げる最中、彼が事切れる。
「……は、ハハハ!アハハハハハッ!」
こうしてあっという間に残され、独りとなった副隊長。もはやどう足掻いても生き残ることはできない状況に、彼の精神は容易く打ち砕かれ、そうやってただ笑うことしかできなってしまい。
──人喰いの森……そう、ここは正しく、人喰いの森だった……!!
と、心の中で呟く副隊長を、まるで置き去りにするように。馬車に繋がれていた一頭の馬が、揺らぎ。瞬間、魔力の粒子となってその場から消え失せた。
そうして副隊長もまた、先程の隊員と同じように魔狼に襲われ。その様を、特異個体の魔狼は遠目に眺める。
……結局、ジャンクソンだけであった。その魔狼を視界に映し、そこにいることを確と認識し、認知できたのは最後まで彼だけであり。持ち前の固有魔法で冒険隊の目となり耳となって支え続けた、彼のみだった。
こうして、『噛狗』の面々は全滅するのだった。
「う、うわぁぁあああぁあぁあぁぁぁっ?!」
という、こちらの耳を劈く悲鳴を聴きながら。馬車の荷台の中に座り込むその少女が、まるで他人事のように呟く。
「あー……ここで死ぬか。今日、死ぬんだな私」
と、その言葉だけ聞けば実に諦観に暮れた、絶望の言葉なのだが。しかし、それに反して聴こえる声音は、あっけらかんと明るい。それはまるで、別人の言葉を、そのまた別人がただ声に出して読んでいるようだった。
「まあでも、自業自得か。この森の主のヤバさはわかってたし。それを予め伝えていなかったんだし」
と、やはり。言葉に反する声音で少女は呟く。外から聞こえる『噛狗』の残された面々の阿鼻叫喚を耳にしても尚、彼女のそんな様子は微動だにしない。
やがて、外の叫び声もしなくなり。代わりに独りの笑い声が聞こえてくる。それはどうやら副隊長と呼ばれていた男のものらしい。
「いよいよってところかな」
少女はそう言って、今の今まで働かせていた己が魔力を断ち切り。それとほぼ同時に、副隊長の笑い声も途絶える。そして人が地面に倒されるような音を最後に、外からは何の音もしなくなった。
「……私の番だねー。あーぁ、喰い殺されるのってどれくらい痛いんだろ。どれくらい苦しまなきゃいけないんだろうな」
やはり言葉だけは悲観的で諦めており、これから自らに待つ想像するのも恐ろしく悍ましい最期を、大人しく受け入れているようだが。声音はとてもそうには思えない程に明るく呑気なもので、形容し難い齟齬感が生じているのだった。
そして少女は逃げも隠れもせず、その場に座り続け、その時を待つ。
十数秒、数分────そこまで待ち続けて、少女は疑問の声を上げる。
「あれ?」
相手は魔狼。馬車にも自分がいることは、臭いで気づいているはず。
だというのに、いつまで経っても魔狼が布を突き破り、荷台に飛び込むことはない。外は、相も変わらず無音で静かだ────それも、異様な程に。
──まさか、相討ち?いやでもただの魔狼の群れならともかく、あの特異個体が率いる群れ相手に、『噛狗』が戦えるとは思えないし……?
と、忌憚ない評価を呟きながら、少女はその場から立ち上がり。
「えっと、どれどれ……」
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