318 / 456
ARKADIA──それが人であるということ──
起源
しおりを挟む
起源。それは全ての始点。物体に及ばず、それは命有る存在にも言えること。
そこに在るからには、そこに在るまでの過程があって。その過程の始点こそ起源なのだ。起源こそ──世界の母。有り体に言ってしまえば、それこそ神という概念の存在である。
いつからかはわからない。まだ言葉の一つも繰り得ぬ赤子の頃から、はたまた言語を覚え始めた幼子の頃か。
とにかく──その起源というものに、並々ならぬ興味があった。知的探究心とも取れる、多大なる好奇心を抱いていた。
理由などわからない。ただ本能的に、求めていたのだ。
ひたすらに漁った。貪欲に動いていた。この世界に存在する、全ての起源を追いかけた。
その結果としてこの世界において知らぬことは、ほぼなくなった。偉大なる先人たちが残した過去の叡智を、一つ残らず我がものとした。
────だというのに、一番肝心な起源は手に入らなかった。
それを手に入れたいが為に今まで起源を追い求めていたというのに。それを知りたいが為に今まで起源を追い求めていたというのに。
皮肉なことにそれは叶わず終わってしまった。その時抱いた絶望は、今でも忘れられない。
だが同時に悟ってもいた。恐らく、きっと──その起源を知ることはないのだろう。この願望が叶う未来は、この先に有りはしないのだろう。
だが、そんな予想は呆気なく覆される────拭いようのない果てしなき後悔の到来と同時に。
こうなってしまうのならば、こんなろくでもない結果を齎らすなら──────
──起源なんて、知るんじゃなかった。
今はただ、委ねるとしよう。未だ頭の片隅にこびりつく、この尊き過去の残景に。
永劫とも思えるこの瞬間を、全て想起に費やそう────そうすることで、この業もほんの僅かばかりは、軽くなるだろうから。
だから、今だけは────孤独で在ろう。
終焉による滅びは阻まれ。
剣戟による滅びは砕けて。
輝闇による滅びは墜えた。
次なるは理想による滅び。遠き遥かなる理想郷が築かれる刻────第四の厄災は成される。
そこに在るからには、そこに在るまでの過程があって。その過程の始点こそ起源なのだ。起源こそ──世界の母。有り体に言ってしまえば、それこそ神という概念の存在である。
いつからかはわからない。まだ言葉の一つも繰り得ぬ赤子の頃から、はたまた言語を覚え始めた幼子の頃か。
とにかく──その起源というものに、並々ならぬ興味があった。知的探究心とも取れる、多大なる好奇心を抱いていた。
理由などわからない。ただ本能的に、求めていたのだ。
ひたすらに漁った。貪欲に動いていた。この世界に存在する、全ての起源を追いかけた。
その結果としてこの世界において知らぬことは、ほぼなくなった。偉大なる先人たちが残した過去の叡智を、一つ残らず我がものとした。
────だというのに、一番肝心な起源は手に入らなかった。
それを手に入れたいが為に今まで起源を追い求めていたというのに。それを知りたいが為に今まで起源を追い求めていたというのに。
皮肉なことにそれは叶わず終わってしまった。その時抱いた絶望は、今でも忘れられない。
だが同時に悟ってもいた。恐らく、きっと──その起源を知ることはないのだろう。この願望が叶う未来は、この先に有りはしないのだろう。
だが、そんな予想は呆気なく覆される────拭いようのない果てしなき後悔の到来と同時に。
こうなってしまうのならば、こんなろくでもない結果を齎らすなら──────
──起源なんて、知るんじゃなかった。
今はただ、委ねるとしよう。未だ頭の片隅にこびりつく、この尊き過去の残景に。
永劫とも思えるこの瞬間を、全て想起に費やそう────そうすることで、この業もほんの僅かばかりは、軽くなるだろうから。
だから、今だけは────孤独で在ろう。
終焉による滅びは阻まれ。
剣戟による滅びは砕けて。
輝闇による滅びは墜えた。
次なるは理想による滅び。遠き遥かなる理想郷が築かれる刻────第四の厄災は成される。
0
お気に入りに追加
85
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第三章フェレスト王国エルフ編
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる