ストーリー・フェイト──最強の《SS》冒険者(ランカー)な僕の先輩がクソ雑魚美少女になった話──

「「お前が泣くまで──いや泣いても殴んの止めねえからなああああああッッッッ!!!!」

先輩は最強だった。それはもう理不尽な程に。どうしようもない程に、最強だった。

指先を弾くだけで岩壁を砕き。拳を振るえば、山一つが消し飛ぶ。地面を蹴りつければ、その周囲一帯の地形が変わる。

そのあまりにも人外、否それ以上の。桁違いの埒外で、出鱈目極まりないその強さで。

国を屠る巨人も、国を喰らう魔獣も。古に封じられし禁断の悪魔だろうが、伝説に語られる滅亡の邪竜だろうが。

果てには、予言に記されし厄災の神すらも。その身一つ、拳一つで。先輩は悉く討ってしまった────それ程までに、先輩は最強だった。

……そんな、僕の先輩は。ある日突然────

「俺、なんか女になっちまった」

────スライムにも大敗を喫する、か弱い女の子になってしまった。





此処はオヴィーリスと呼ばれる世界。創造主神(オリジン)によって創み出された、剣と魔法の世界。

オヴィーリスには冒険者(ランカー)と呼ばれる者たちがいて。その中でも、世界最強と謳われる三人の《SS》冒険者がいる。

『極剣聖』、サクラ=アザミヤ。

『天魔王』、フィーリア=レリウ=クロミア。

『炎鬼神』、ラグナ=アルティ=ブレイズ。

三人全員が後世に永劫語れられ、そして伝説となり、やがては神話へと昇華されるだろう数々の逸話の持ち主であり。

そしてラグナ=アルティ=ブレイズは僕、クラハ=ウインドアの先輩。

これは女の子になったラグナ先輩と、僕の物語。このどうしようもない程に救えない、神すらも度し難い世界を舞台にした物語。

報われないその結末を最期に約束された、運命の物語(ストーリー・フェイト)。





なろう版↓
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