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47話 東屋の記憶 前編
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アドリアン様のエスコートで、庭園まで到着しました。
庭園は広大で、東屋や噴水なども点在しており、季節の花々で彩られています。
今は夏の昼下がり。天気が良く、青空はアドリアン様の瞳のように鮮やかです。
光も燦々と降り注いでいますが、あまり暑くありません。
あちこちに風属性魔法の魔道具が設置されているからでしょうか?
考えていると、アドリアン様に優しく語りかけられました。
「こっちだ。もう少しだけ歩いて欲しい」
「わかりました」
迷いのない、しかし私の歩調に合わせた足取りに微笑みます。
そして私は、九年ぶりに訪れた庭園について思いを馳せました。
九年前の春、【蕾のお茶会】の会場となったこの庭園は、王城に複数ある庭園の一つです。入城を許された者ならば散策が許されているので、私たち以外の人影もちらほらありますが、とても静かです。
今の季節、目を引くのはあの八重咲の向日葵と黄緑色のダリア。
そして、色とりどりの夏薔薇たちです。
よかった。ここに植えられていた薔薇は大切にされているのね。
アーチに伝う赤薔薇も見事に咲いています。少し安心しました。現在、王都の主だった通りでは薔薇が排除されているので。
特に赤薔薇は一輪も見かけません。
【夏星の大宴】が終わっても、しばらくは続くようですね。仕方ないとはいえ、徹底しています。
それだけ、両陛下と王太子殿下の怒りが激しいということなのでしょうが。
薔薇、特に赤薔薇を排除している理由は明確です。名前に薔薇を冠し、赤髪赤目のアンブローズ侯爵家を思わせるからでしょう。
また、同じく赤目を特徴とするルビィローズ公爵家への牽制も兼ねているに違いありません。
王族のお三方は、ルビィローズ公爵家と嫡孫のガスパル様に対する処罰は無いと仰っていました。しかし、代償が無いわけでも信頼が完全に回復したわけでも無いでしょう。
お三方は身内にはお優しい。ですが、為政者としての苛烈さも伴われているのですから。
でなければ、元アンブローズ侯爵家はあそこまで見せ物にされず、尊厳を奪われることもなかったでしょう。
いずれにせよ、ただ名を同じとするだけの花に罪はないのに。お気持ちと政治的な意図は理解できるけれど……。
薔薇と薔薇を扱う農家や商会を思うと複雑です。
「ルルティーナ嬢、なにかあったのかな?」
「いいえ。赤薔薇が綺麗で見惚れていただけです」
「赤薔薇……」
アドリアン様が顔をしかめるので、腕を引っ張って注意しました。
「花に罪はありません。名前が同じだとか色が似てるからと言って、いたずらに嫌っては可哀想です」
アドリアン様まで、いたずらに美しい花を嫌って欲しくない。ただそれだけの私の我儘です。
鮮やかな青い瞳が驚きに見開かれます。
「君は薔薇を見ても不快にはならないのか?」
「はい。むしろ綺麗で好きですね。たくさん品種があるのも興味深いです」
「ははっ!そうか!確かに花に罪はないし綺麗だね」
鮮やかな青い瞳が、今度は嬉しそうに細められます。
「……君は九年前と変わらず、強くて気高い人だ」
九年前の【蕾のお茶会】のことでしょう。私はやはり、アドリアン様が【お茶会のお兄様】である気がしてなりません。事件の目撃者の一人という可能性もまだ残っていますが……。
聞こうとする前に、アドリアン様に東屋に入るよう促されました。
東屋の中にはテーブルと椅子があり、私たちは向き合って座ります。
あら?この東屋は……。
「懐かしいね。君と初めてお茶をした東屋だ」
パッと、九年前の記憶がよみがえります。以前、夢で見た時よりも鮮明に。
そうです。ここはあの時の東屋です。
◆◆◆◆◆
九年前の春。【蕾のお茶会】での出来事です。
私は、ララベーラ様に罵られ殴打されていました。
『この魔力無しのクズが!私の足を引っ張るなと言ったでしょう!』
『……も、申し訳ございません』
周りには同派閥の子女の方々が居ましたが、誰も助けてくれませんでした。
ララベーラ様の扇が、ドレスの上から私を打ちのめします。打たれた場所が燃えるように痛くて涙が滲みます。
『ふん!何が薄紅色の薔薇よ!我がアンブローズ家に相応しくない!老婆の白髪!淫売の薄紅色の目のクズが!この!』
同派閥の子女は『やり過ぎでは?』『当然だろ』『構う事はない。どうせクズだ』『そうですわよ』『むしろララベーラ様がお労しいですわ』と、囁きを交わします。
私は崩れ落ちそうになりながら、ひたすら痛みに耐え続けました。
そして。
『おーい!どこだー?あっ!声が聞こえたぞ!こっちに居るのかもしれない!』
声と共に人影がこちらに向かってきました。
『ララベーラ様、誰かが……』
『ちっ!皆さま、あちらに行きましょう。……お前、今度こそ余計なことはしないように。わかっているわよね?』
『……はい』
私はなんとか頷き、ララベーラ様たちが去っていくまで顔を伏せていました。
気配が完全になくなった。その時でした。
『君、大変だったね』
『え?』
低く優しい声。
顔を上げると、綺麗な金髪と鮮やかな青い瞳の少年がいます。
シャンティリアン王太子殿下と同じ十四歳か、少し歳上でしょうか?とても美しいお顔立ちで、青と紺を基調とした礼服がお似合いです。
美しいお方は、わざわざしゃがんで目線を合わせてくださりました。
『やり取りはある程度聞いていた。救護室に案内したいところだけど、それは君にとってもあまり良くないことだね?』
『……はい』
その通りです。ララベーラ様に口止めされていますし、『ララベーラの足を引っ張るな』『庭園から出ないように』『家名を損なうような真似はするな』と、強く言われているのですから。
『若様、ですが』
青髪に青紫色の瞳の女性が、美しい方に話しかけます。
『グリシーヌ、許可は取ってある。それに、先ほどの愚行はすでに衆目が知るところだ。ここで、君がこの子を治しても問題ないだろう』
『……かしこまりました。お嬢様、失礼します。《治癒魔法》』
グリシーヌ様が唱えると、すぐに身体が楽になりました。
『あ、ありがとうございます』
グリシーヌ様は優しく微笑み、再び後ろに下がります。
そして美しいお方は、片膝をついて手を差し出して下さいました。
『移動しよう。美しいお嬢様、お手をどうぞ』
私は天に昇る気持ちで、その手を取りました。
そして。ああ!なぜ私は忘れていたのでしょう!
『名乗るのが遅れた。僕はアドリアン・ブルーエ。ブルーエ男爵家の三男だ』
『私はルルティーナ・アンブローズです。ブルーエ男爵家令息様』
『アドリアンでいいよ。その代わり、僕の不敬な物言いも許して欲しい。ルルティーナ嬢とお呼びしても?』
『はい。アドリアン様』
やはり【お茶会のお兄様】は、アドリアン様だったのです!
名乗って下さっていたのに忘れていました。名前を忘れてしまったので【お茶会のお兄様】と、お呼びしていたのです。
◆◆◆◆◆
「ルルティーナ嬢。君は覚えていないだろうが、俺たちはこの東屋でお茶を……」
アドリアン様の声に、心が現在に戻りました。私は首を振って否定します。
「いいえ。忘れたことも多いですが、助けて頂いたこともお茶をしたことも覚えています。今ここに来て、さらに鮮明に思い出しました。
テーブルに飾られていた花を、アドリアン様は覚えていらっしゃいますか?あの花の名を貴方は教えて下さりました」
「っ!……ああ!もちろんだ!」
鮮やかに輝く青い瞳は、あの時のままです。
私は再び過去に思いを馳せます。
「あの日、アドリアン様と出会えたことが私の救いでした」
庭園は広大で、東屋や噴水なども点在しており、季節の花々で彩られています。
今は夏の昼下がり。天気が良く、青空はアドリアン様の瞳のように鮮やかです。
光も燦々と降り注いでいますが、あまり暑くありません。
あちこちに風属性魔法の魔道具が設置されているからでしょうか?
考えていると、アドリアン様に優しく語りかけられました。
「こっちだ。もう少しだけ歩いて欲しい」
「わかりました」
迷いのない、しかし私の歩調に合わせた足取りに微笑みます。
そして私は、九年ぶりに訪れた庭園について思いを馳せました。
九年前の春、【蕾のお茶会】の会場となったこの庭園は、王城に複数ある庭園の一つです。入城を許された者ならば散策が許されているので、私たち以外の人影もちらほらありますが、とても静かです。
今の季節、目を引くのはあの八重咲の向日葵と黄緑色のダリア。
そして、色とりどりの夏薔薇たちです。
よかった。ここに植えられていた薔薇は大切にされているのね。
アーチに伝う赤薔薇も見事に咲いています。少し安心しました。現在、王都の主だった通りでは薔薇が排除されているので。
特に赤薔薇は一輪も見かけません。
【夏星の大宴】が終わっても、しばらくは続くようですね。仕方ないとはいえ、徹底しています。
それだけ、両陛下と王太子殿下の怒りが激しいということなのでしょうが。
薔薇、特に赤薔薇を排除している理由は明確です。名前に薔薇を冠し、赤髪赤目のアンブローズ侯爵家を思わせるからでしょう。
また、同じく赤目を特徴とするルビィローズ公爵家への牽制も兼ねているに違いありません。
王族のお三方は、ルビィローズ公爵家と嫡孫のガスパル様に対する処罰は無いと仰っていました。しかし、代償が無いわけでも信頼が完全に回復したわけでも無いでしょう。
お三方は身内にはお優しい。ですが、為政者としての苛烈さも伴われているのですから。
でなければ、元アンブローズ侯爵家はあそこまで見せ物にされず、尊厳を奪われることもなかったでしょう。
いずれにせよ、ただ名を同じとするだけの花に罪はないのに。お気持ちと政治的な意図は理解できるけれど……。
薔薇と薔薇を扱う農家や商会を思うと複雑です。
「ルルティーナ嬢、なにかあったのかな?」
「いいえ。赤薔薇が綺麗で見惚れていただけです」
「赤薔薇……」
アドリアン様が顔をしかめるので、腕を引っ張って注意しました。
「花に罪はありません。名前が同じだとか色が似てるからと言って、いたずらに嫌っては可哀想です」
アドリアン様まで、いたずらに美しい花を嫌って欲しくない。ただそれだけの私の我儘です。
鮮やかな青い瞳が驚きに見開かれます。
「君は薔薇を見ても不快にはならないのか?」
「はい。むしろ綺麗で好きですね。たくさん品種があるのも興味深いです」
「ははっ!そうか!確かに花に罪はないし綺麗だね」
鮮やかな青い瞳が、今度は嬉しそうに細められます。
「……君は九年前と変わらず、強くて気高い人だ」
九年前の【蕾のお茶会】のことでしょう。私はやはり、アドリアン様が【お茶会のお兄様】である気がしてなりません。事件の目撃者の一人という可能性もまだ残っていますが……。
聞こうとする前に、アドリアン様に東屋に入るよう促されました。
東屋の中にはテーブルと椅子があり、私たちは向き合って座ります。
あら?この東屋は……。
「懐かしいね。君と初めてお茶をした東屋だ」
パッと、九年前の記憶がよみがえります。以前、夢で見た時よりも鮮明に。
そうです。ここはあの時の東屋です。
◆◆◆◆◆
九年前の春。【蕾のお茶会】での出来事です。
私は、ララベーラ様に罵られ殴打されていました。
『この魔力無しのクズが!私の足を引っ張るなと言ったでしょう!』
『……も、申し訳ございません』
周りには同派閥の子女の方々が居ましたが、誰も助けてくれませんでした。
ララベーラ様の扇が、ドレスの上から私を打ちのめします。打たれた場所が燃えるように痛くて涙が滲みます。
『ふん!何が薄紅色の薔薇よ!我がアンブローズ家に相応しくない!老婆の白髪!淫売の薄紅色の目のクズが!この!』
同派閥の子女は『やり過ぎでは?』『当然だろ』『構う事はない。どうせクズだ』『そうですわよ』『むしろララベーラ様がお労しいですわ』と、囁きを交わします。
私は崩れ落ちそうになりながら、ひたすら痛みに耐え続けました。
そして。
『おーい!どこだー?あっ!声が聞こえたぞ!こっちに居るのかもしれない!』
声と共に人影がこちらに向かってきました。
『ララベーラ様、誰かが……』
『ちっ!皆さま、あちらに行きましょう。……お前、今度こそ余計なことはしないように。わかっているわよね?』
『……はい』
私はなんとか頷き、ララベーラ様たちが去っていくまで顔を伏せていました。
気配が完全になくなった。その時でした。
『君、大変だったね』
『え?』
低く優しい声。
顔を上げると、綺麗な金髪と鮮やかな青い瞳の少年がいます。
シャンティリアン王太子殿下と同じ十四歳か、少し歳上でしょうか?とても美しいお顔立ちで、青と紺を基調とした礼服がお似合いです。
美しいお方は、わざわざしゃがんで目線を合わせてくださりました。
『やり取りはある程度聞いていた。救護室に案内したいところだけど、それは君にとってもあまり良くないことだね?』
『……はい』
その通りです。ララベーラ様に口止めされていますし、『ララベーラの足を引っ張るな』『庭園から出ないように』『家名を損なうような真似はするな』と、強く言われているのですから。
『若様、ですが』
青髪に青紫色の瞳の女性が、美しい方に話しかけます。
『グリシーヌ、許可は取ってある。それに、先ほどの愚行はすでに衆目が知るところだ。ここで、君がこの子を治しても問題ないだろう』
『……かしこまりました。お嬢様、失礼します。《治癒魔法》』
グリシーヌ様が唱えると、すぐに身体が楽になりました。
『あ、ありがとうございます』
グリシーヌ様は優しく微笑み、再び後ろに下がります。
そして美しいお方は、片膝をついて手を差し出して下さいました。
『移動しよう。美しいお嬢様、お手をどうぞ』
私は天に昇る気持ちで、その手を取りました。
そして。ああ!なぜ私は忘れていたのでしょう!
『名乗るのが遅れた。僕はアドリアン・ブルーエ。ブルーエ男爵家の三男だ』
『私はルルティーナ・アンブローズです。ブルーエ男爵家令息様』
『アドリアンでいいよ。その代わり、僕の不敬な物言いも許して欲しい。ルルティーナ嬢とお呼びしても?』
『はい。アドリアン様』
やはり【お茶会のお兄様】は、アドリアン様だったのです!
名乗って下さっていたのに忘れていました。名前を忘れてしまったので【お茶会のお兄様】と、お呼びしていたのです。
◆◆◆◆◆
「ルルティーナ嬢。君は覚えていないだろうが、俺たちはこの東屋でお茶を……」
アドリアン様の声に、心が現在に戻りました。私は首を振って否定します。
「いいえ。忘れたことも多いですが、助けて頂いたこともお茶をしたことも覚えています。今ここに来て、さらに鮮明に思い出しました。
テーブルに飾られていた花を、アドリアン様は覚えていらっしゃいますか?あの花の名を貴方は教えて下さりました」
「っ!……ああ!もちろんだ!」
鮮やかに輝く青い瞳は、あの時のままです。
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