38 / 94
第1部
37話 夏星の大宴 お喋りと誓い
しおりを挟む
アドリアン様は、明るい笑顔で私をエスコートして下さります。
「ルルティーナ嬢、こっちだ。俺は夜会は好かないが、出される料理は別だ。特に宮廷舞踏会の料理は別格なんだ」
「わあ!美味しそうですね!」
アドリアン様は、お料理のテーブルの前でややはしゃいだご様子です。よっぽど、お料理が楽しみだったのでしょう。
確かに、素晴らしいお料理の数々が並んでいます。
ほのぼのしていると、美しいお料理を次々にお皿に入れて下さります。
「この三色は魚介と野菜のテリーヌだ。これは生ハムと桃のカクテルで、これはチーズと夏だけに摂れる茸のキッシュ、それから羊肉のパイ包み焼きと……」
「アドリアン様?立ったままで、こんなには食べれないですよ?」
「あそこで座って食べればいいさ」
アドリアン様が指差す方向には、テーブルとソファや椅子が置かれたコーナーがあります。テーブルごとに、カーテンや衝立があり、数人づつ別れて座るようになっています。
「君とダンスを踊った後、こうやって食事するのが楽しみだったんだ」
「っ!わかりました。頂きましょう」
私たちは、浮き浮きした足取りで席につき、ゆっくりとお料理を味わいます。
「このテリーヌ、おすすめなだけあって美味しいです!」
「口にあって良かったよ」
給仕の方がシャンパンと果実水を持ってきて下さります。アドリアン様はシャンパン、私は果実水を頂きます。
果実水は桃とベリーの味がします。甘さがひかえめで、微かに発泡していてお酒のようです。
「夢のような一時ですね……」
「ああ。色々なことが終わった。後は、国王陛下にお任せしておけばいい。俺たち辺境騎士団の扱いも変わっていくだろう」
「ええ。先程から、アドリアン様に話しかけたそうにされている方が沢山いらっしゃいますし」
「半分は君目当てだよ。……渡さないけどね」
アドリアン様は、意味深に笑います。またドキドキしてしまいました。
「私だって……渡したくないです」
「っ!ルルティーナ嬢……」
見つめあう内に、とろんと甘い気持ちになっていきます。
私はこの人のことが……。【お茶会のお兄様】かどうかより先に、想いを伝えたい。
「アドリアン様、私……私は貴方のことが……」
長く節くれだった指が、私の唇を押さえました。切なげな青い瞳と目が合います。
「……遮ってすまない。先に、俺から君に伝えたいことがある。やっと覚悟が決まった」
指が、名残惜しげに唇を撫でて離れます。唇から全身に、ゾクゾクとした未知の感覚が広がって、私は何も言えなくなりました。
「両陛下とのお茶会後、君だけに告げるよ。待たせてしまうけど、許してもらえるだろうか?」
「……ずるい。そんな風に言われたら、許すしか無いじゃない……あっ」
敬語が抜けてしまいました。アドリアン様は目を丸くした後、気恥ずかしそうに笑います。
まるで、少年のような笑みです。
「うん。ごめん。俺は君に甘えてるね」
「もういいわ……いいです。私も貴方に甘えてますから」
「もっと甘えて欲しい。前から思ってたけど、敬語もいらないよ」
「立場上、そうもいかないでしょう」
「全くだ」
「本当ね」
ハッと、アドリアン様と一緒に声の方を向くと、呆れた顔のお義父様とお義母様がいらっしゃいました。
どこからかわかりませんが、気恥ずかしい……。アドリアン様も気まずそうです。
お義母様は、そんな私たちを鼻で笑いました。
「ベルダール辺境伯閣下、閉会までルルティーナを囲い込むおつもりですか?」
「そうだそうだ。お義父さんだって、ルルティーナと話したかったし踊りたい。お前の義姉さんと義兄さんも、お前を探していたぞ」
「ご、ごめんなさい。お義父様、お義母様」
「ルルティーナが踊ってくれたら許すよ」
「その後で構いませんからご挨拶回りをなさいませ。ベルダール辺境伯閣下もご一緒に。お二人とも、ミゼール領辺境騎士団の代表でもあるのですから、はしゃぐ前に最低限の社交をなさいませ」
「「はい。仰る通りです……」」
その後、私はお義父様とお義兄様とダンスを踊りました。お二人とも、とてもお上手でお話も楽しかったです。
お義兄様とのダンスが終わると、周りの方々から誘われます。丁寧に断ろうとする前に、アドリアン様が顔の迫力だけで蹴散らしてしまいました。
アドリアン様、凄いです!
「ルルティーナ嬢。もう一度、俺とダンスを……」
「はい、ぜひお願……」
「ベルダール辺境伯閣下、ルルティーナ、早くご挨拶回りに行きなさい」
「「……はい」」
お義母様には勝てない私たちは、閉会までご挨拶周りに専念しました。
たくさんの方々と色々なお話をしました。
アドリアン様のご生家であるブルーエ男爵家の皆様、その寄親であるサフィリス公爵家の皆様、私と血縁であるコルナリン侯爵家の皆様、アメティスト子爵家のご親戚、薬事局の関係者様方、ミゼール領辺境騎士団団員のお身内の皆様……。
中でも印象深かったのが、アガット辺境伯とのお話でした。
◆◆◆◆◆
「おいコラ。ベルダールよう。人前でデレデレしすぎだぞ」
「ずいぶんなお言葉ですね。アガット辺境伯」
アガット辺境伯テオドール・アガット様は、呆れた口調で話しかけて下さりました。
間近で見ると、アドリアン様よりも大きな身体は迫力があり、オレンジ色の髪と相まって正に緋獅子といったお姿です。
ですが、表情と雰囲気は気さくです。威圧感を与えぬよう配慮してくださっているのでしょう。
きちんとご挨拶しようとしましたが、「堅苦しい挨拶はいらない」と、止められてしまいます。
「あのベルダールが幸せそうな顔をしてるからな。気になって話しかけちまった。まあ、大事な子がいれば、流石の惨殺伯爵もそうなるか!」
豪快に笑いながらアドリアン様の肩を叩くアガット様。アドリアン様も、あの渾名で呼ばれているのに嫌ではなさそうです。むしろ、気を許していらっしゃるご様子です。
私はと言うと『アドリアン様の大事な子』と言われたようで照れてしまいました。誤魔化す為に話題を変えます。
「お二人は長いお付き合いなのですか?」
「おう!コイツがひよっこの頃からな!昔話聞きたいか?」
「ぜひ!」
「アガット辺境伯、ご自分の昔話もされるお覚悟あっての事でしょうね?もちろんプランティエ伯爵だけでなく、あちらでご歓談中の奥方様にも」
「そりゃねえだろ!卑怯だぞベルダール!」
「どっちがですか」
その後も楽しく歓談していましたが、ふと、アガット辺境伯様は真剣な顔になりました。
「プランティエ伯爵、ベルダール辺境伯。ジュリアーノの馬鹿が世話になった。親戚の一人として礼を言う」
「ジュリアーノ……もしかしてジュリアーノ・ナルシス様ですか?」
「ああ、あいつは甥の一人なんだ。王都でやらかした挙句、ミゼール領辺境騎士団で狼藉を働いたと聞いた。叩っ斬ってやろうかと思ったが……。プランティエ伯爵、ベルダール。二人のおかげで、奴も改心出来たらしい。やっとまともな手紙を寄越すようになった」
「お気になさらず。再び道を誤るような事があれば、また魔獣の囮にするだけですから」
「アド……ベルダール団長!なんて事を仰るのですか!」
「いいや。プランティエ伯爵、温情ある処罰だ。問答無用で切り捨てるのではなく、名誉の戦死になるのだから」
「ええ、全くです。俺も最期はそうありたいものです」
当たり前のように仰るお二人に、私の中で何かが切れました。
「お言葉ですが、せっかく立ち直られたナルシス様を信じなくてどうしますか。戦死などと、不吉な事を仰らないで下さい」
「……それは、まあ、そうだな」
「……る、ルルティーナ嬢?怒っているのか?」
怒っている?当然です。
「アドリアン様、最期は戦死したいだなんて言わないで下さい。そうならないよう、私たちはポーションを作っているのですよ」
少し涙がにじみました。泣かないようこらえながらアドリアン様をにらみます。
アドリアン様の顔から血の気が引いていき、床に頭をめり込ます勢いで謝りました。
「君の言う通りだ!すまなかった!もう二度と言わない!私はどんな過酷な戦場に往ったとしても、必ず君のもとに帰る!」
「……約束ですよ」
アドリアン様は跪き、私の手を取りました。
「ああ、君に誓う」
よかった。この方はきっと誓いを破らない。何故か確信があります。
私はほっとして、力が抜けました。
「……お前ら、お熱いのはいいけどな。人前で大胆すぎるぞ」
「「あっ」」
この後、しばらく様々な方にからかわれたり、お義母様からやんわり叱られたりしました。
けれど、アドリアン様の誓いを聞けてよかった。お話できてよかった。
そう思います。
◆◆◆◆◆
だからきっと、アドリアン様からのお話も悪い事にはならないと、そう信じれたのです。
「ルルティーナ嬢、こっちだ。俺は夜会は好かないが、出される料理は別だ。特に宮廷舞踏会の料理は別格なんだ」
「わあ!美味しそうですね!」
アドリアン様は、お料理のテーブルの前でややはしゃいだご様子です。よっぽど、お料理が楽しみだったのでしょう。
確かに、素晴らしいお料理の数々が並んでいます。
ほのぼのしていると、美しいお料理を次々にお皿に入れて下さります。
「この三色は魚介と野菜のテリーヌだ。これは生ハムと桃のカクテルで、これはチーズと夏だけに摂れる茸のキッシュ、それから羊肉のパイ包み焼きと……」
「アドリアン様?立ったままで、こんなには食べれないですよ?」
「あそこで座って食べればいいさ」
アドリアン様が指差す方向には、テーブルとソファや椅子が置かれたコーナーがあります。テーブルごとに、カーテンや衝立があり、数人づつ別れて座るようになっています。
「君とダンスを踊った後、こうやって食事するのが楽しみだったんだ」
「っ!わかりました。頂きましょう」
私たちは、浮き浮きした足取りで席につき、ゆっくりとお料理を味わいます。
「このテリーヌ、おすすめなだけあって美味しいです!」
「口にあって良かったよ」
給仕の方がシャンパンと果実水を持ってきて下さります。アドリアン様はシャンパン、私は果実水を頂きます。
果実水は桃とベリーの味がします。甘さがひかえめで、微かに発泡していてお酒のようです。
「夢のような一時ですね……」
「ああ。色々なことが終わった。後は、国王陛下にお任せしておけばいい。俺たち辺境騎士団の扱いも変わっていくだろう」
「ええ。先程から、アドリアン様に話しかけたそうにされている方が沢山いらっしゃいますし」
「半分は君目当てだよ。……渡さないけどね」
アドリアン様は、意味深に笑います。またドキドキしてしまいました。
「私だって……渡したくないです」
「っ!ルルティーナ嬢……」
見つめあう内に、とろんと甘い気持ちになっていきます。
私はこの人のことが……。【お茶会のお兄様】かどうかより先に、想いを伝えたい。
「アドリアン様、私……私は貴方のことが……」
長く節くれだった指が、私の唇を押さえました。切なげな青い瞳と目が合います。
「……遮ってすまない。先に、俺から君に伝えたいことがある。やっと覚悟が決まった」
指が、名残惜しげに唇を撫でて離れます。唇から全身に、ゾクゾクとした未知の感覚が広がって、私は何も言えなくなりました。
「両陛下とのお茶会後、君だけに告げるよ。待たせてしまうけど、許してもらえるだろうか?」
「……ずるい。そんな風に言われたら、許すしか無いじゃない……あっ」
敬語が抜けてしまいました。アドリアン様は目を丸くした後、気恥ずかしそうに笑います。
まるで、少年のような笑みです。
「うん。ごめん。俺は君に甘えてるね」
「もういいわ……いいです。私も貴方に甘えてますから」
「もっと甘えて欲しい。前から思ってたけど、敬語もいらないよ」
「立場上、そうもいかないでしょう」
「全くだ」
「本当ね」
ハッと、アドリアン様と一緒に声の方を向くと、呆れた顔のお義父様とお義母様がいらっしゃいました。
どこからかわかりませんが、気恥ずかしい……。アドリアン様も気まずそうです。
お義母様は、そんな私たちを鼻で笑いました。
「ベルダール辺境伯閣下、閉会までルルティーナを囲い込むおつもりですか?」
「そうだそうだ。お義父さんだって、ルルティーナと話したかったし踊りたい。お前の義姉さんと義兄さんも、お前を探していたぞ」
「ご、ごめんなさい。お義父様、お義母様」
「ルルティーナが踊ってくれたら許すよ」
「その後で構いませんからご挨拶回りをなさいませ。ベルダール辺境伯閣下もご一緒に。お二人とも、ミゼール領辺境騎士団の代表でもあるのですから、はしゃぐ前に最低限の社交をなさいませ」
「「はい。仰る通りです……」」
その後、私はお義父様とお義兄様とダンスを踊りました。お二人とも、とてもお上手でお話も楽しかったです。
お義兄様とのダンスが終わると、周りの方々から誘われます。丁寧に断ろうとする前に、アドリアン様が顔の迫力だけで蹴散らしてしまいました。
アドリアン様、凄いです!
「ルルティーナ嬢。もう一度、俺とダンスを……」
「はい、ぜひお願……」
「ベルダール辺境伯閣下、ルルティーナ、早くご挨拶回りに行きなさい」
「「……はい」」
お義母様には勝てない私たちは、閉会までご挨拶周りに専念しました。
たくさんの方々と色々なお話をしました。
アドリアン様のご生家であるブルーエ男爵家の皆様、その寄親であるサフィリス公爵家の皆様、私と血縁であるコルナリン侯爵家の皆様、アメティスト子爵家のご親戚、薬事局の関係者様方、ミゼール領辺境騎士団団員のお身内の皆様……。
中でも印象深かったのが、アガット辺境伯とのお話でした。
◆◆◆◆◆
「おいコラ。ベルダールよう。人前でデレデレしすぎだぞ」
「ずいぶんなお言葉ですね。アガット辺境伯」
アガット辺境伯テオドール・アガット様は、呆れた口調で話しかけて下さりました。
間近で見ると、アドリアン様よりも大きな身体は迫力があり、オレンジ色の髪と相まって正に緋獅子といったお姿です。
ですが、表情と雰囲気は気さくです。威圧感を与えぬよう配慮してくださっているのでしょう。
きちんとご挨拶しようとしましたが、「堅苦しい挨拶はいらない」と、止められてしまいます。
「あのベルダールが幸せそうな顔をしてるからな。気になって話しかけちまった。まあ、大事な子がいれば、流石の惨殺伯爵もそうなるか!」
豪快に笑いながらアドリアン様の肩を叩くアガット様。アドリアン様も、あの渾名で呼ばれているのに嫌ではなさそうです。むしろ、気を許していらっしゃるご様子です。
私はと言うと『アドリアン様の大事な子』と言われたようで照れてしまいました。誤魔化す為に話題を変えます。
「お二人は長いお付き合いなのですか?」
「おう!コイツがひよっこの頃からな!昔話聞きたいか?」
「ぜひ!」
「アガット辺境伯、ご自分の昔話もされるお覚悟あっての事でしょうね?もちろんプランティエ伯爵だけでなく、あちらでご歓談中の奥方様にも」
「そりゃねえだろ!卑怯だぞベルダール!」
「どっちがですか」
その後も楽しく歓談していましたが、ふと、アガット辺境伯様は真剣な顔になりました。
「プランティエ伯爵、ベルダール辺境伯。ジュリアーノの馬鹿が世話になった。親戚の一人として礼を言う」
「ジュリアーノ……もしかしてジュリアーノ・ナルシス様ですか?」
「ああ、あいつは甥の一人なんだ。王都でやらかした挙句、ミゼール領辺境騎士団で狼藉を働いたと聞いた。叩っ斬ってやろうかと思ったが……。プランティエ伯爵、ベルダール。二人のおかげで、奴も改心出来たらしい。やっとまともな手紙を寄越すようになった」
「お気になさらず。再び道を誤るような事があれば、また魔獣の囮にするだけですから」
「アド……ベルダール団長!なんて事を仰るのですか!」
「いいや。プランティエ伯爵、温情ある処罰だ。問答無用で切り捨てるのではなく、名誉の戦死になるのだから」
「ええ、全くです。俺も最期はそうありたいものです」
当たり前のように仰るお二人に、私の中で何かが切れました。
「お言葉ですが、せっかく立ち直られたナルシス様を信じなくてどうしますか。戦死などと、不吉な事を仰らないで下さい」
「……それは、まあ、そうだな」
「……る、ルルティーナ嬢?怒っているのか?」
怒っている?当然です。
「アドリアン様、最期は戦死したいだなんて言わないで下さい。そうならないよう、私たちはポーションを作っているのですよ」
少し涙がにじみました。泣かないようこらえながらアドリアン様をにらみます。
アドリアン様の顔から血の気が引いていき、床に頭をめり込ます勢いで謝りました。
「君の言う通りだ!すまなかった!もう二度と言わない!私はどんな過酷な戦場に往ったとしても、必ず君のもとに帰る!」
「……約束ですよ」
アドリアン様は跪き、私の手を取りました。
「ああ、君に誓う」
よかった。この方はきっと誓いを破らない。何故か確信があります。
私はほっとして、力が抜けました。
「……お前ら、お熱いのはいいけどな。人前で大胆すぎるぞ」
「「あっ」」
この後、しばらく様々な方にからかわれたり、お義母様からやんわり叱られたりしました。
けれど、アドリアン様の誓いを聞けてよかった。お話できてよかった。
そう思います。
◆◆◆◆◆
だからきっと、アドリアン様からのお話も悪い事にはならないと、そう信じれたのです。
23
お気に入りに追加
271
あなたにおすすめの小説

辺境伯へ嫁ぎます。
アズやっこ
恋愛
私の父、国王陛下から、辺境伯へ嫁げと言われました。
隣国の王子の次は辺境伯ですか… 分かりました。
私は第二王女。所詮国の為の駒でしかないのです。 例え父であっても国王陛下には逆らえません。
辺境伯様… 若くして家督を継がれ、辺境の地を護っています。
本来ならば第一王女のお姉様が嫁ぐはずでした。
辺境伯様も10歳も年下の私を妻として娶らなければいけないなんて可哀想です。
辺境伯様、大丈夫です。私はご迷惑はおかけしません。
それでも、もし、私でも良いのなら…こんな小娘でも良いのなら…貴方を愛しても良いですか?貴方も私を愛してくれますか?
そんな望みを抱いてしまいます。
❈ 作者独自の世界観です。
❈ 設定はゆるいです。
(言葉使いなど、優しい目で読んで頂けると幸いです)
❈ 誤字脱字等教えて頂けると幸いです。
(出来れば望ましいと思う字、文章を教えて頂けると嬉しいです)

【完結】あなたのいない世界、うふふ。
やまぐちこはる
恋愛
17歳のヨヌク子爵家令嬢アニエラは栗毛に栗色の瞳の穏やかな令嬢だった。近衛騎士で伯爵家三男、かつ騎士爵を賜るトーソルド・ロイリーと幼少から婚約しており、成人とともに政略的な結婚をした。
しかしトーソルドには恋人がおり、結婚式のあと、初夜を迎える前に出たまま戻ることもなく、一人ロイリー騎士爵家を切り盛りするはめになる。
とはいえ、アニエラにはさほどの不満はない。結婚前だって殆ど会うこともなかったのだから。
===========
感想は一件づつ個別のお返事ができなくなっておりますが、有り難く拝読しております。
4万文字ほどの作品で、最終話まで予約投稿済です。お楽しみいただけましたら幸いでございます。

一年後に離婚すると言われてから三年が経ちましたが、まだその気配はありません。
木山楽斗
恋愛
「君とは一年後に離婚するつもりだ」
結婚して早々、私は夫であるマグナスからそんなことを告げられた。
彼曰く、これは親に言われて仕方なくした結婚であり、義理を果たした後は自由な独り身に戻りたいらしい。
身勝手な要求ではあったが、その気持ちが理解できない訳ではなかった。私もまた、親に言われて結婚したからだ。
こうして私は、一年間の期限付きで夫婦生活を送ることになった。
マグナスは紳士的な人物であり、最初に言ってきた要求以外は良き夫であった。故に私は、それなりに楽しい生活を送ることができた。
「もう少し様子を見たいと思っている。流石に一年では両親も納得しそうにない」
一年が経った後、マグナスはそんなことを言ってきた。
それに関しては、私も納得した。彼の言う通り、流石に離婚までが早すぎると思ったからだ。
それから一年後も、マグナスは離婚の話をしなかった。まだ様子を見たいということなのだろう。
夫がいつ離婚を切り出してくるのか、そんなことを思いながら私は日々を過ごしている。今の所、その気配はまったくないのだが。

十回目のお見合いは、麗しの伯爵令息がお相手です。
小桜
恋愛
トルメンタ伯爵家に居候として身を置く『元』子爵令嬢フィーナ。幼い頃に両親を亡くした彼女は、早く結婚をして自分の家族を持つことが願いであった。
そのために何度も見合いを繰り返し、断られ続けて九人目。次、十回目の縁談こそ成立させてみせると意気込む彼女の前に見合い相手として現れたのは、なぜか居候先のトルメンタ伯爵家嫡男カミロ・トルメンタ。
「ご、ご冗談を……」
「冗談ではない。本気だ」
早く結婚したくて見合いを繰り返すフィーナと、無自覚の初恋を拗らせていた堅物なカミロのお話。

婚約破棄をされて魔導図書館の運営からも外されたのに今さら私が協力すると思っているんですか?絶対に協力なんてしませんよ!
しまうま弁当
恋愛
ユーゲルス公爵家の跡取りベルタスとの婚約していたメルティだったが、婚約者のベルタスから突然の婚約破棄を突き付けられたのだった。しかもベルタスと一緒に現れた同級生のミーシャに正妻の座に加えて魔導司書の座まで奪われてしまう。罵声を浴びせられ罪まで擦り付けられたメルティは婚約破棄を受け入れ公爵家を去る事にしたのでした。メルティがいなくなって大喜びしていたベルタスとミーシャであったが魔導図書館の設立をしなければならなくなり、それに伴いどんどん歯車が狂っていく。ベルタスとミーシャはメルティがいなくなったツケをドンドン支払わなければならなくなるのでした。

今日結婚した夫から2年経ったら出ていけと言われました
四折 柊
恋愛
子爵令嬢であるコーデリアは高位貴族である公爵家から是非にと望まれ結婚した。美しくもなく身分の低い自分が何故? 理由は分からないが自分にひどい扱いをする実家を出て幸せになれるかもしれないと淡い期待を抱く。ところがそこには思惑があり……。公爵は本当に愛する女性を妻にするためにコーデリアを利用したのだ。夫となった男は言った。「お前と本当の夫婦になるつもりはない。2年後には公爵邸から国外へ出ていってもらう。そして二度と戻ってくるな」と。(いいんですか? それは私にとって……ご褒美です!)

いくら政略結婚だからって、そこまで嫌わなくてもいいんじゃないですか?いい加減、腹が立ってきたんですけど!
夢呼
恋愛
伯爵令嬢のローゼは大好きな婚約者アーサー・レイモンド侯爵令息との結婚式を今か今かと待ち望んでいた。
しかし、結婚式の僅か10日前、その大好きなアーサーから「私から愛されたいという思いがあったら捨ててくれ。それに応えることは出来ない」と告げられる。
ローゼはその言葉にショックを受け、熱を出し寝込んでしまう。数日間うなされ続け、やっと目を覚ました。前世の記憶と共に・・・。
愛されることは無いと分かっていても、覆すことが出来ないのが貴族間の政略結婚。日本で生きたアラサー女子の「私」が八割心を占めているローゼが、この政略結婚に臨むことになる。
いくら政略結婚といえども、親に孫を見せてあげて親孝行をしたいという願いを持つローゼは、何とかアーサーに振り向いてもらおうと頑張るが、鉄壁のアーサーには敵わず。それどころか益々嫌われる始末。
一体私の何が気に入らないんだか。そこまで嫌わなくてもいいんじゃないんですかね!いい加減腹立つわっ!
世界観はゆるいです!
カクヨム様にも投稿しております。
※10万文字を超えたので長編に変更しました。

見た目の良すぎる双子の兄を持った妹は、引きこもっている理由を不細工だからと勘違いされていましたが、身内にも誤解されていたようです
珠宮さくら
恋愛
ルベロン国の第1王女として生まれたシャルレーヌは、引きこもっていた。
その理由は、見目の良い両親と双子の兄に劣るどころか。他の腹違いの弟妹たちより、不細工な顔をしているからだと噂されていたが、実際のところは全然違っていたのだが、そんな片割れを心配して、外に出そうとした兄は自分を頼ると思っていた。
それが、全く頼らないことになるどころか。自分の方が残念になってしまう結末になるとは思っていなかった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる