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34話 夏星の大宴 祝辞と断罪 中編
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大広間は静まり返り、国王陛下は目を細めました。
「ほう。これは異なことだ。アンブローズ侯爵よ」
アンブローズ侯爵様の周りから、一斉に人が避けていきます。奥様とララベーラ様も下がろうとしましたが、周りに阻まれているご様子です。
特に阻んでいるのは、ルビィローズ公爵令孫のようです。
「では、【旧特級ポーション】と【新特級ポーション】は、プランティエ伯爵が作成したものでは無いとでも?
アンブローズ侯爵よ。薬事局の査定を覆す証拠を、卿は持っているというのか?」
「い、いえ。そうではなく……。そ、そこに立っているそれ……ルルティーナは我が家の娘です!養女になど出した覚えはありません!それに、【旧特級ポーション】は当家で作成し流通させていたと、国王陛下はご存知ではありませんか!」
「ほう。つまり卿はこう言いたいのか?プランティエ伯爵は、今だにアンブローズ侯爵家の令嬢である。そして、【旧特級ポーション】はアンブローズ侯爵家内で作成して流通させたと」
「さようでございます!つまり、どちらのポーションも当家の功績……」
「おかしな話だ。ルルティーナ・アンブローズの除籍は、卿の委任状のもと貴族院が調査し余が受理した。卿が署名した書類も残っている。しかも受理したのは三カ月以上前だ。
アンブローズ侯爵家から除籍した後、アメティスト子爵家への養子縁組申請があったが、その手続きにも遺漏はなかった」
そうです。貴族家の除籍、養子縁組、結婚などは、貴族院の調査と国王陛下の許可が無ければ成立しません。
また、必ず当主の同意による署名が求められます。
「い、いえ。しかし、私はそのクズ……大切な我が娘が除籍されアメティスト子爵家に養女に出されているなど、知らなかったのです。当惑しています」
アンブローズ侯爵様は言い訳を重ねますが、悪手です。
貴族家の当主が、自分の娘を除籍したことに三カ月も気づかないなど、あり得ません。
国王陛下は無視して続けます。
「もう一つ。【旧特級ポーション】は、アンブローズ侯爵家内で作成して流通させたと卿は言った。
【旧特級ポーション】を作成できるのは、プランティエ伯爵のみと証明されている。つまり卿は、プランティエ伯爵にポーションを作らせていたのだな?」
「さようでございます!娘は優秀なポーション職人でして!当家の工房にて【旧特級ポーション】を作成したのです!」
「ほう。つまり卿は娘をポーション職人にしたのだな?ちなみに、いつからだ?その工房はどこにある?」
「仰る通り!私がルルティーナをポーション職人になるよう教育したのです!教育を始めたのは九年前!工房は王都の我が屋敷の敷地内にございます!」
「ふむ。そうか。……ところでアンブローズ侯爵よ。
九年前といえば、ルルティーナ・アンブローズが虐待を疑われて保護された年であるな。
そしてその後は除籍されるまで、アンブローズ侯爵領にて代官の一人が養育していた。
そのように報告を受けていたが、どういうことか?」
「は?」
「今年の【春花の大宴】の時もそうだった。
ルルティーナ・アンブローズは、いずれその息子と結婚し代官補佐となる。領地経営を学ぶのに忙しく、王都に不在である。ゆえに、十六歳のデビュタントを祝う【春花の大宴】にも欠席する。
そのように連絡を受けていたが?」
「は、いや、そ、それは……」
「虚偽の申告と、虐待調査での不正が疑われるな。なあ、アンブローズ侯爵よ」
「ち、違います!虚偽も不正もございません!」
「もう良い。聞き苦しい言い訳は必要ない。実のところ、すでに調査は済んでいるのだ。
プランティエ伯爵の温情で、卿らアンブローズ侯爵家が何も言わなければ、この場で断罪するような真似をしなくて済んだのだがな……」
実際は『恐らく、断罪する流れになるだろう』と、説明を受けていましたが沈黙を守ります。
「わ、私は……ルルティーナ……」
すがるような眼差しを向けられましたが、私はただ見返すだけです。
私が、私を虐待した家族を許すことはありません。
もっと、胸が痛くなるかと思いましたが……我ながら薄情なほど、何も感じませんでした。
「アンブローズ侯爵よ。祝いの場ゆえ、この場ではこれ以上は追及はしない。
もう一つの祝いの発表後、家族ともども自邸に戻り謹慎するように」
アンブローズ侯爵様は、沈黙しました。このわずかな間に、十も老け込んだかのようです。
「改めて問う!プランティエ伯爵の家名の下賜と陞爵に異議ある者は名乗り出でよ!」
「異議なし!プランティエ伯爵の偉業と陞爵を祝います!」
アドリアン様が大きく宣言して下さります。
「アメティスト子爵家!異議ございません!我が娘の門出を祝います!」
お義父様が晴れやかな笑顔で宣言し、拍手を送って下さります。隣にいるお義母様も笑顔で手を叩いています。
「薬事局局長補佐イザベル・スフェーヌ!薬事局を代表し、プランティエ伯爵の偉業を讃えます!」
イザベル様が、黄緑色の髪と薄い蜂蜜色の瞳を輝かせ宣言して下さります。
「スフェーヌ侯爵家!プランティエ伯爵家の誕生を歓迎する!」
「コルナリン侯爵家!新たな家門の誕生に異議なし!プランティエ伯爵の功績に敬意を表する!」
「アガット辺境伯家!プランティエ伯爵家の誕生を祝す!」
皆さまの宣言と万雷の拍手に、再び大広間が明るい雰囲気に包まれました。
私は泣かないように気をつけつつ、下がりました。
アドリアン様と一緒に。
「おめでとう。ルルティーナ嬢」
「アドリアン様も、おめでとうございます」
私たちは自然と寄り添い、喜びを分け合いました。
◆◆◆◆◆
私どもは、他の方々と共に壇上の端に下がりました。
中央ほどではありませんが、大広間全体を見るのに支障のない場所です。
誰がどこにいるか、ありありとわかります。
「最後に、我がヴェールラント王家から諸侯へ発表がある。シャンティリアン、前へ」
シャンティリアン王太子殿下が国王陛下の隣に立ちます。また、王妃陛下も反対側に立ちました。
シャンティリアン王太子殿下は、白地に金の刺繍と縁取りの夜会用衣装をお召しです。濃い金髪にエメラルドの瞳によくお似合いです。
さらに胸元には、あの黄緑色のダリアをさしていらっしゃいます。
やはり、ダリアの色はシャンティリアン王太子殿下の瞳の色とは少し違います。
ああ、もしかして……。私は、ある予感を感じつつ、国王陛下のお言葉を待ちました。
国王陛下は、柔らかな笑顔で大広間をながめます。
「今宵は我が息子、王太子シャンティリアンの婚約者を紹介しよう。シャンティリアンよ。そなたの婚約者を壇上に案内せよ」
シャンティリアン王太子殿下が階を降ります。
真っ直ぐに、侯爵家がかたまっている場所へと向かいます。
「リアン様、お待ちしておりました!」
ララベーラ様がシャンティリアン王太子殿下の腕に絡みつき、辺りが騒然とします。
お身内にしか許されていない愛称呼び、胸を押し付けるような姿勢、何より先ほどアンブローズ侯爵家が断罪されたというのに、全く気にしていない様子。
誰もが非難するか異様な光景を恐れ「まさか本当に王太子殿下の婚約者なのか?」と、当惑します。
しかし、王太子殿下はするりと腕を外して通り過ぎてしまいました。
「は?リ、リアン様?どうなさったのですか?」
さらに縋ろうとするララベーラ様。無視する王太子殿下。
それを見て、とうとうアンブローズ侯爵様と奥様は膝をついてしまいました。
何もかもを無視して進む王太子殿下は、ある女性に手を差し伸べます。
その手を取ったのは……。
「我が愛しの君よ。どうかこの手を取り、共に歩んで欲しい」
「謹んでお供します」
やはり、スフェーヌ侯爵令嬢イザベル・スフェーヌ様でした。
濃い金髪にエメラルドの瞳の王太子殿下と、柔らかな黄緑色の髪に薄い蜂蜜色の瞳のイザベル様は、まるで一対の絵画のようです。
王太子殿下がイザベル様をエスコートして、壇上に向かいます。
自然と周りが道を開けて、拍手を送りましたが……。
「誰よその地味な女!私がリアン様の婚約者よ!」
ララベーラ様がお二人を追いかけます。
流石に放置出来ないからか、周囲が止めます。
「ほう。これは異なことだ。アンブローズ侯爵よ」
アンブローズ侯爵様の周りから、一斉に人が避けていきます。奥様とララベーラ様も下がろうとしましたが、周りに阻まれているご様子です。
特に阻んでいるのは、ルビィローズ公爵令孫のようです。
「では、【旧特級ポーション】と【新特級ポーション】は、プランティエ伯爵が作成したものでは無いとでも?
アンブローズ侯爵よ。薬事局の査定を覆す証拠を、卿は持っているというのか?」
「い、いえ。そうではなく……。そ、そこに立っているそれ……ルルティーナは我が家の娘です!養女になど出した覚えはありません!それに、【旧特級ポーション】は当家で作成し流通させていたと、国王陛下はご存知ではありませんか!」
「ほう。つまり卿はこう言いたいのか?プランティエ伯爵は、今だにアンブローズ侯爵家の令嬢である。そして、【旧特級ポーション】はアンブローズ侯爵家内で作成して流通させたと」
「さようでございます!つまり、どちらのポーションも当家の功績……」
「おかしな話だ。ルルティーナ・アンブローズの除籍は、卿の委任状のもと貴族院が調査し余が受理した。卿が署名した書類も残っている。しかも受理したのは三カ月以上前だ。
アンブローズ侯爵家から除籍した後、アメティスト子爵家への養子縁組申請があったが、その手続きにも遺漏はなかった」
そうです。貴族家の除籍、養子縁組、結婚などは、貴族院の調査と国王陛下の許可が無ければ成立しません。
また、必ず当主の同意による署名が求められます。
「い、いえ。しかし、私はそのクズ……大切な我が娘が除籍されアメティスト子爵家に養女に出されているなど、知らなかったのです。当惑しています」
アンブローズ侯爵様は言い訳を重ねますが、悪手です。
貴族家の当主が、自分の娘を除籍したことに三カ月も気づかないなど、あり得ません。
国王陛下は無視して続けます。
「もう一つ。【旧特級ポーション】は、アンブローズ侯爵家内で作成して流通させたと卿は言った。
【旧特級ポーション】を作成できるのは、プランティエ伯爵のみと証明されている。つまり卿は、プランティエ伯爵にポーションを作らせていたのだな?」
「さようでございます!娘は優秀なポーション職人でして!当家の工房にて【旧特級ポーション】を作成したのです!」
「ほう。つまり卿は娘をポーション職人にしたのだな?ちなみに、いつからだ?その工房はどこにある?」
「仰る通り!私がルルティーナをポーション職人になるよう教育したのです!教育を始めたのは九年前!工房は王都の我が屋敷の敷地内にございます!」
「ふむ。そうか。……ところでアンブローズ侯爵よ。
九年前といえば、ルルティーナ・アンブローズが虐待を疑われて保護された年であるな。
そしてその後は除籍されるまで、アンブローズ侯爵領にて代官の一人が養育していた。
そのように報告を受けていたが、どういうことか?」
「は?」
「今年の【春花の大宴】の時もそうだった。
ルルティーナ・アンブローズは、いずれその息子と結婚し代官補佐となる。領地経営を学ぶのに忙しく、王都に不在である。ゆえに、十六歳のデビュタントを祝う【春花の大宴】にも欠席する。
そのように連絡を受けていたが?」
「は、いや、そ、それは……」
「虚偽の申告と、虐待調査での不正が疑われるな。なあ、アンブローズ侯爵よ」
「ち、違います!虚偽も不正もございません!」
「もう良い。聞き苦しい言い訳は必要ない。実のところ、すでに調査は済んでいるのだ。
プランティエ伯爵の温情で、卿らアンブローズ侯爵家が何も言わなければ、この場で断罪するような真似をしなくて済んだのだがな……」
実際は『恐らく、断罪する流れになるだろう』と、説明を受けていましたが沈黙を守ります。
「わ、私は……ルルティーナ……」
すがるような眼差しを向けられましたが、私はただ見返すだけです。
私が、私を虐待した家族を許すことはありません。
もっと、胸が痛くなるかと思いましたが……我ながら薄情なほど、何も感じませんでした。
「アンブローズ侯爵よ。祝いの場ゆえ、この場ではこれ以上は追及はしない。
もう一つの祝いの発表後、家族ともども自邸に戻り謹慎するように」
アンブローズ侯爵様は、沈黙しました。このわずかな間に、十も老け込んだかのようです。
「改めて問う!プランティエ伯爵の家名の下賜と陞爵に異議ある者は名乗り出でよ!」
「異議なし!プランティエ伯爵の偉業と陞爵を祝います!」
アドリアン様が大きく宣言して下さります。
「アメティスト子爵家!異議ございません!我が娘の門出を祝います!」
お義父様が晴れやかな笑顔で宣言し、拍手を送って下さります。隣にいるお義母様も笑顔で手を叩いています。
「薬事局局長補佐イザベル・スフェーヌ!薬事局を代表し、プランティエ伯爵の偉業を讃えます!」
イザベル様が、黄緑色の髪と薄い蜂蜜色の瞳を輝かせ宣言して下さります。
「スフェーヌ侯爵家!プランティエ伯爵家の誕生を歓迎する!」
「コルナリン侯爵家!新たな家門の誕生に異議なし!プランティエ伯爵の功績に敬意を表する!」
「アガット辺境伯家!プランティエ伯爵家の誕生を祝す!」
皆さまの宣言と万雷の拍手に、再び大広間が明るい雰囲気に包まれました。
私は泣かないように気をつけつつ、下がりました。
アドリアン様と一緒に。
「おめでとう。ルルティーナ嬢」
「アドリアン様も、おめでとうございます」
私たちは自然と寄り添い、喜びを分け合いました。
◆◆◆◆◆
私どもは、他の方々と共に壇上の端に下がりました。
中央ほどではありませんが、大広間全体を見るのに支障のない場所です。
誰がどこにいるか、ありありとわかります。
「最後に、我がヴェールラント王家から諸侯へ発表がある。シャンティリアン、前へ」
シャンティリアン王太子殿下が国王陛下の隣に立ちます。また、王妃陛下も反対側に立ちました。
シャンティリアン王太子殿下は、白地に金の刺繍と縁取りの夜会用衣装をお召しです。濃い金髪にエメラルドの瞳によくお似合いです。
さらに胸元には、あの黄緑色のダリアをさしていらっしゃいます。
やはり、ダリアの色はシャンティリアン王太子殿下の瞳の色とは少し違います。
ああ、もしかして……。私は、ある予感を感じつつ、国王陛下のお言葉を待ちました。
国王陛下は、柔らかな笑顔で大広間をながめます。
「今宵は我が息子、王太子シャンティリアンの婚約者を紹介しよう。シャンティリアンよ。そなたの婚約者を壇上に案内せよ」
シャンティリアン王太子殿下が階を降ります。
真っ直ぐに、侯爵家がかたまっている場所へと向かいます。
「リアン様、お待ちしておりました!」
ララベーラ様がシャンティリアン王太子殿下の腕に絡みつき、辺りが騒然とします。
お身内にしか許されていない愛称呼び、胸を押し付けるような姿勢、何より先ほどアンブローズ侯爵家が断罪されたというのに、全く気にしていない様子。
誰もが非難するか異様な光景を恐れ「まさか本当に王太子殿下の婚約者なのか?」と、当惑します。
しかし、王太子殿下はするりと腕を外して通り過ぎてしまいました。
「は?リ、リアン様?どうなさったのですか?」
さらに縋ろうとするララベーラ様。無視する王太子殿下。
それを見て、とうとうアンブローズ侯爵様と奥様は膝をついてしまいました。
何もかもを無視して進む王太子殿下は、ある女性に手を差し伸べます。
その手を取ったのは……。
「我が愛しの君よ。どうかこの手を取り、共に歩んで欲しい」
「謹んでお供します」
やはり、スフェーヌ侯爵令嬢イザベル・スフェーヌ様でした。
濃い金髪にエメラルドの瞳の王太子殿下と、柔らかな黄緑色の髪に薄い蜂蜜色の瞳のイザベル様は、まるで一対の絵画のようです。
王太子殿下がイザベル様をエスコートして、壇上に向かいます。
自然と周りが道を開けて、拍手を送りましたが……。
「誰よその地味な女!私がリアン様の婚約者よ!」
ララベーラ様がお二人を追いかけます。
流石に放置出来ないからか、周囲が止めます。
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