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六章 秋薔薇は復讐の真紅
秋薔薇は復讐の真紅 一話
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九月になったばかりのある日。
空は曇り風には秋の物悲しさが混じっているが、フリジア王国王都東門は朝から賑やかだった。
「道中のご安全をお祈りします。どうかご無事でお戻りください」
ティリアは、東門から荷馬車で出発する人々を見送っていた。荷馬車の御者台に座るジェドが微笑む。朝日を受け、赤髪が眩く輝いた。
「ああ、行ってくるよ」
「お世話になりました」
「行ってまいります。花染め……ティリア様」
ティリアは、ジェド、アクアイアン、イジスを笑顔で見送った。彼らは、ルディア王国に潜入するという危険な任務に向かった。いつ帰れるかもわからない。
ティリアは引き留めたかったが、彼らの決心……フリジア王国王家のために行くジェドとイジスはともかく、故郷を救おうと決意しているアクアイアンを思えば、見送るしか出来なかった。
それは、青空に還ったセレスティアの願いでもあるのだから。けれど、どうしても心配で不安で胸が締め付けられる。
(……嫌ね。涙が出そう。大変なのはジェドさんたちなのに。私には、待つ事しか出来ないのに)
ティリアは馬車が見えなくなるまで見送った。
後ろ髪をひかれながら歩き出す。
今日は、もう一ヶ所目的地があるのだ。東門からはかなり遠いが、歩いて行きたかった。
大通りを歩き、細かい路地に入っていく。複雑な道筋だが歩みに迷いはない。
(この時間なら、もう店を開けているわね)
案の定、目的地である【古道具の迷宮】は開いていた。
ティリアは古道具があふれる店内の奥に進み、カウンターにいる人物に声をかけた。
「【おじ様】おはようございます」
ティリアの親戚の【おじ様】こと【古道具の迷宮】の店主は、眼鏡の奥から鋭い眼差しをティリアに向けた。その手には分厚い本がある。紅茶片手に読んでいたのだろう。
「おう。適当に座れ」
凶悪さすら感じる表情と話し方だが、ティリアは動じない。これが【おじ様】の普通なのだと知っている。それだけ長い付き合いだ。
【おじ様】は本を閉じてカウンターに置き、ティリアの分の紅茶をコップに淹れた。
珍しい。それなりに綺麗なコップだ。
「ふふ。今日は欠けたりヒビが入ってないのね」
「誰かさんがうるさいからな。で、ルディア王国の現状はどうだって?あの小僧どもから聞いたんだろ?」
今日の目的は二つある。一つは、ティリアと【おじ様】の故郷であるルディア王国についての情報の擦り合わせだ。
ルディア王国が国交を制限して十年が経つ。
大結界によって、自国民の流出と他国民の入国を阻んできた。どうやら悲惨な状況になっているらしいが、情報が少な過ぎる。
「ジェドさんたちもよく知らないそうよ。【おじ様】は【香雪蘭劇団】の【劇団員】様方から話を聞けた?」
【香雪蘭劇団】はフリジア王国王家所属の諜報組織だ。【おじ様】とティリアは【劇団員】ではないが、関わりは深い。ジェドも【劇団員】の一人だ。
「大した情報は無い。お前に惚れてる小僧はともかく、奴らは口が重い。【姫さま】が許可した範囲しか情報を流さない」
「ほ、惚れ!?な、何をいってるの!?」
「はあ……まだ何も進んでねえのか。ガキどもめ」
「なっ!おじ様!揶揄わないでください!最低!」
【おじ様】はうんざりした顔で紅茶を煽り、ティリアを無視して話を進めた。
「ルディア王国の情報は少ない。確定しているのは、『現王一派の独裁により、ルディア王国王家の威信は失墜している。民は飢え、離散は止まらず、暴動も起きている。国境を守る大結界も不安定だ』」
ティリアは真面目な顔になった。
「そして、『現王一派は闇属性魔法を悪用して他者を支配している。染魔の一族もまた、支配され虐げられている』」
闇属性魔法は精神干渉に優れる。また、命や魔力を奪う魔法もあるといわれており、恐れられていた。
ティリアは、染魔の一族……自分と【おじ様】を虐げた肉親たちを思い浮かべる。
(助けたいとは思わないけれど、同情するわ。私も闇属性魔法の恐ろしさを知っているもの)
「小僧どもが帰ってくるまで、今以上の情報は集まらないだろう。流れてくる霊から情報収集するのも限界がある。より深い情報を持つ霊は、何らかの方法……恐らく闇魔法で祓っているだろうしな」
セレスティアの霊が祓われずにすんだのは、かなり運が良かったのだ。
(何年もさまよったセレスティア様にとっては、早く祓われて天に還った方がよかったのかもしれないけど……いえ、今はこのことについて考えても仕方ないわ)
「ジェドさんたちはルディア王国への潜入調査を命じられました。フリジア王国は、ルディア王国をどうする気なんでしょうか?」
「普通なら占領するか属国化するかだな。
ただ、その場合はギース帝国が黙っていない。特に皇弟は、ルディア王国を侵略して魔道具技術と染魔の一族を独占しようとしている」
かつてと違い、人間の魔法は弱くなってしまった。どんなに研鑽を詰もうと、魔力があろうと、魔道具がなければ魔法の威力は大幅に下がる。
しかも魔道具は、魔法植物による【染魔】(ティリアは花染めと呼んでいる)によって魔法の力が染められてなければ使い物にならない。また、染められていても、何回も使われれば魔法の力は消えてしまう。
魔法植物を使い【染魔】が出来るのも、魔道具に頼らず魔法を使えるのも、ルディア王国の染魔の一族だけだ。
だからこそ、ギース帝国皇弟はルディア王国の魔道具技術と染魔の一族を狙っているのだ。
「今もルディア王国と交戦中だ。獲物を奪われたとなれば、同盟を破棄してフリジア王国を侵略するだろう。
だから、この二つは可能性が低い」
「ええ。【姫さま】……フリジア王国王家は戦争がお嫌いです。挑発するような事はしないはず」
ティリアはフリジア王国が何をしたいのかわからない。【おじ様】も同じ様子だ。
「占領も属国化もないとすると後はあれか?フリジアはルディアを……」
「ちょっとグレイ、いつまで待たせるのよ」
艶やかな声が響く。ティリアが声がした方を見ると、店のさらに奥から女性が出て来た。
ティリアの新緑色の目が見開かれる。
「貴女は……」
ほころびだした薔薇の蕾の生命力と、散る寸前の薔薇の色気を備えた美女だった。
波打つ髪と挑発的な眼差しは血の真紅。艶やかな肌は浅黒く、唇は魅惑の稜線を描く。
着ているのはギース帝国の踊り子の衣装だ。上着は襟ぐりが広く、豊かな胸を始めとする肉体のメリハリがよくわかる。反面、脚半は楕円型にふんわりと膨らんで脚をすっぽりと隠していた。
扇情的な衣装だが、光沢のあるショールをゆったりとまとっているからか、全体的には上品な印象だ。
(五年前と変わらないお姿だわ。流石は変装上手と名高いだけはあります)
「【香雪蘭劇団】の【踊り子】様、お久しぶりです」
「お久しぶり。花染めのお嬢さん。覚えていてもらって嬉しいわあ」
ティリアは無邪気な笑顔に苦笑した。
「なるほど、貴女が【静寂の森】に入れないお客様ですか」
「ええ!職業病よね。アタシは何処に行っても相手を殺せるかどうか想像してしまうから、あの結界に阻まれるのよね。
まあ、入る手段がない訳じゃないけど」
美女は嗤う。
【おじ様】はケッと悪態をつく。その目は爛々と輝き、全身から魔力があふれだした。
「暗殺者が。今回は【姫さま】直々の依頼だから会わせてやったが、五年前を忘れたとは言わせねえ。うちのガキに手を出したら……」
「わかってるわよう!冗談よ、冗談。グレイはお堅いんだからあ」
(嘘くさいですね……。ですが今回は【おじ様】もいますし、ここで花染めても大丈夫でしょう。あれから五年ということは、今回の依頼もやはり……)
【踊り子】は、カウンターに目をやる。【おじ様】が、どこからか金属製の腕輪と花を出して置いた。
赤みがかった黄銅色の腕輪は魔道具【真紅の腕】。
魔法と老化を封じる硝子ドームに入った花は火属性の魔法植物【火焔薔薇】だ。
「花染めのお嬢さん、また花染めて下さいな。アタシたちの【姫さま】のため、アタシの大切な仕事のため。
そして、ささやかな復讐のために」
一瞬、真紅の目が剣呑に光った。
(まるで熾火が爆ぜたよう。五年前と同じね)
ティリアは過去を思い出した。
あれは、五年前の秋のこと。ティリアが、初めて個人的に花染め仕事を引き受けた時の話だ。
空は曇り風には秋の物悲しさが混じっているが、フリジア王国王都東門は朝から賑やかだった。
「道中のご安全をお祈りします。どうかご無事でお戻りください」
ティリアは、東門から荷馬車で出発する人々を見送っていた。荷馬車の御者台に座るジェドが微笑む。朝日を受け、赤髪が眩く輝いた。
「ああ、行ってくるよ」
「お世話になりました」
「行ってまいります。花染め……ティリア様」
ティリアは、ジェド、アクアイアン、イジスを笑顔で見送った。彼らは、ルディア王国に潜入するという危険な任務に向かった。いつ帰れるかもわからない。
ティリアは引き留めたかったが、彼らの決心……フリジア王国王家のために行くジェドとイジスはともかく、故郷を救おうと決意しているアクアイアンを思えば、見送るしか出来なかった。
それは、青空に還ったセレスティアの願いでもあるのだから。けれど、どうしても心配で不安で胸が締め付けられる。
(……嫌ね。涙が出そう。大変なのはジェドさんたちなのに。私には、待つ事しか出来ないのに)
ティリアは馬車が見えなくなるまで見送った。
後ろ髪をひかれながら歩き出す。
今日は、もう一ヶ所目的地があるのだ。東門からはかなり遠いが、歩いて行きたかった。
大通りを歩き、細かい路地に入っていく。複雑な道筋だが歩みに迷いはない。
(この時間なら、もう店を開けているわね)
案の定、目的地である【古道具の迷宮】は開いていた。
ティリアは古道具があふれる店内の奥に進み、カウンターにいる人物に声をかけた。
「【おじ様】おはようございます」
ティリアの親戚の【おじ様】こと【古道具の迷宮】の店主は、眼鏡の奥から鋭い眼差しをティリアに向けた。その手には分厚い本がある。紅茶片手に読んでいたのだろう。
「おう。適当に座れ」
凶悪さすら感じる表情と話し方だが、ティリアは動じない。これが【おじ様】の普通なのだと知っている。それだけ長い付き合いだ。
【おじ様】は本を閉じてカウンターに置き、ティリアの分の紅茶をコップに淹れた。
珍しい。それなりに綺麗なコップだ。
「ふふ。今日は欠けたりヒビが入ってないのね」
「誰かさんがうるさいからな。で、ルディア王国の現状はどうだって?あの小僧どもから聞いたんだろ?」
今日の目的は二つある。一つは、ティリアと【おじ様】の故郷であるルディア王国についての情報の擦り合わせだ。
ルディア王国が国交を制限して十年が経つ。
大結界によって、自国民の流出と他国民の入国を阻んできた。どうやら悲惨な状況になっているらしいが、情報が少な過ぎる。
「ジェドさんたちもよく知らないそうよ。【おじ様】は【香雪蘭劇団】の【劇団員】様方から話を聞けた?」
【香雪蘭劇団】はフリジア王国王家所属の諜報組織だ。【おじ様】とティリアは【劇団員】ではないが、関わりは深い。ジェドも【劇団員】の一人だ。
「大した情報は無い。お前に惚れてる小僧はともかく、奴らは口が重い。【姫さま】が許可した範囲しか情報を流さない」
「ほ、惚れ!?な、何をいってるの!?」
「はあ……まだ何も進んでねえのか。ガキどもめ」
「なっ!おじ様!揶揄わないでください!最低!」
【おじ様】はうんざりした顔で紅茶を煽り、ティリアを無視して話を進めた。
「ルディア王国の情報は少ない。確定しているのは、『現王一派の独裁により、ルディア王国王家の威信は失墜している。民は飢え、離散は止まらず、暴動も起きている。国境を守る大結界も不安定だ』」
ティリアは真面目な顔になった。
「そして、『現王一派は闇属性魔法を悪用して他者を支配している。染魔の一族もまた、支配され虐げられている』」
闇属性魔法は精神干渉に優れる。また、命や魔力を奪う魔法もあるといわれており、恐れられていた。
ティリアは、染魔の一族……自分と【おじ様】を虐げた肉親たちを思い浮かべる。
(助けたいとは思わないけれど、同情するわ。私も闇属性魔法の恐ろしさを知っているもの)
「小僧どもが帰ってくるまで、今以上の情報は集まらないだろう。流れてくる霊から情報収集するのも限界がある。より深い情報を持つ霊は、何らかの方法……恐らく闇魔法で祓っているだろうしな」
セレスティアの霊が祓われずにすんだのは、かなり運が良かったのだ。
(何年もさまよったセレスティア様にとっては、早く祓われて天に還った方がよかったのかもしれないけど……いえ、今はこのことについて考えても仕方ないわ)
「ジェドさんたちはルディア王国への潜入調査を命じられました。フリジア王国は、ルディア王国をどうする気なんでしょうか?」
「普通なら占領するか属国化するかだな。
ただ、その場合はギース帝国が黙っていない。特に皇弟は、ルディア王国を侵略して魔道具技術と染魔の一族を独占しようとしている」
かつてと違い、人間の魔法は弱くなってしまった。どんなに研鑽を詰もうと、魔力があろうと、魔道具がなければ魔法の威力は大幅に下がる。
しかも魔道具は、魔法植物による【染魔】(ティリアは花染めと呼んでいる)によって魔法の力が染められてなければ使い物にならない。また、染められていても、何回も使われれば魔法の力は消えてしまう。
魔法植物を使い【染魔】が出来るのも、魔道具に頼らず魔法を使えるのも、ルディア王国の染魔の一族だけだ。
だからこそ、ギース帝国皇弟はルディア王国の魔道具技術と染魔の一族を狙っているのだ。
「今もルディア王国と交戦中だ。獲物を奪われたとなれば、同盟を破棄してフリジア王国を侵略するだろう。
だから、この二つは可能性が低い」
「ええ。【姫さま】……フリジア王国王家は戦争がお嫌いです。挑発するような事はしないはず」
ティリアはフリジア王国が何をしたいのかわからない。【おじ様】も同じ様子だ。
「占領も属国化もないとすると後はあれか?フリジアはルディアを……」
「ちょっとグレイ、いつまで待たせるのよ」
艶やかな声が響く。ティリアが声がした方を見ると、店のさらに奥から女性が出て来た。
ティリアの新緑色の目が見開かれる。
「貴女は……」
ほころびだした薔薇の蕾の生命力と、散る寸前の薔薇の色気を備えた美女だった。
波打つ髪と挑発的な眼差しは血の真紅。艶やかな肌は浅黒く、唇は魅惑の稜線を描く。
着ているのはギース帝国の踊り子の衣装だ。上着は襟ぐりが広く、豊かな胸を始めとする肉体のメリハリがよくわかる。反面、脚半は楕円型にふんわりと膨らんで脚をすっぽりと隠していた。
扇情的な衣装だが、光沢のあるショールをゆったりとまとっているからか、全体的には上品な印象だ。
(五年前と変わらないお姿だわ。流石は変装上手と名高いだけはあります)
「【香雪蘭劇団】の【踊り子】様、お久しぶりです」
「お久しぶり。花染めのお嬢さん。覚えていてもらって嬉しいわあ」
ティリアは無邪気な笑顔に苦笑した。
「なるほど、貴女が【静寂の森】に入れないお客様ですか」
「ええ!職業病よね。アタシは何処に行っても相手を殺せるかどうか想像してしまうから、あの結界に阻まれるのよね。
まあ、入る手段がない訳じゃないけど」
美女は嗤う。
【おじ様】はケッと悪態をつく。その目は爛々と輝き、全身から魔力があふれだした。
「暗殺者が。今回は【姫さま】直々の依頼だから会わせてやったが、五年前を忘れたとは言わせねえ。うちのガキに手を出したら……」
「わかってるわよう!冗談よ、冗談。グレイはお堅いんだからあ」
(嘘くさいですね……。ですが今回は【おじ様】もいますし、ここで花染めても大丈夫でしょう。あれから五年ということは、今回の依頼もやはり……)
【踊り子】は、カウンターに目をやる。【おじ様】が、どこからか金属製の腕輪と花を出して置いた。
赤みがかった黄銅色の腕輪は魔道具【真紅の腕】。
魔法と老化を封じる硝子ドームに入った花は火属性の魔法植物【火焔薔薇】だ。
「花染めのお嬢さん、また花染めて下さいな。アタシたちの【姫さま】のため、アタシの大切な仕事のため。
そして、ささやかな復讐のために」
一瞬、真紅の目が剣呑に光った。
(まるで熾火が爆ぜたよう。五年前と同じね)
ティリアは過去を思い出した。
あれは、五年前の秋のこと。ティリアが、初めて個人的に花染め仕事を引き受けた時の話だ。
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