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三章 怠け者の翠風
怠け者の翠風 一話
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「どうぞ、お召し上がりください」
五月の半ばをむかえた、爽やかな初夏の日のことだった。
花染め屋ことティリアは、客の前に紅茶を注いだティーカップを置いた。
紅茶にいれたレモンの薄切りと蜜花のシロップの香りがただよう。
「……」
椅子にだらりと行儀悪く座った客は、手をつけない。どよんとした目でティリアを見つめている。
男は「空っぽのカイ」と名乗った。職業は元傭兵だという。
傭兵や冒険者などが二つ名を持つのは珍しくないが、なんとも奇妙な名だ。
カイは、歳の頃は三十代半ば頃だろうか。
フリジア王国ではあまり見かけない色彩をしている。髪も目も黒っぽいし、肌の色も濃い。
身形もよくない。黒っぽい栗毛はくしゃくしゃだし、紫ががった灰色の目はどよんとしている。ヒョロ長い身体はいかにも貧相そうだ。
革紐の首飾りを首から下げて、胴体をシャツと革鎧でおおってズボンの上に脛当てとブーツをはいているが、どれも使い込まれていてボロっちい。辛うじて清潔さを保っているのが救いだ。
そして、奇妙なのが首飾りだ。ペンダントトップにあたる金属の台座には何も付いていない。空っぽだ。
(だから「空っぽのカイ」なのかしら?)
それから以外は、これといって特徴がない男だ。あえて言うなら、目から感じる気力の無さが特徴だろうか?
いや、目だけでなく全身から気力を感じないし、お世辞にも態度がいいとは言えない。
(けれど悪意も感じないわね。それに、確かにうちのお客様だわ。この長槍を【染魔】したいとおおせだし、必要なものは全てそろっている)
ティリアは新緑色の目を細め、カイの向かいに座る。視線を机の上に移す。向かって斜め左、机の上に乗せられた長槍と二輪の花を見た。
長槍は刃部分を革の鞘でおおっている。木製の柄は使い込まれていて、細かい傷だらけだ。
だがよく見ると、柄に装飾が彫られている。独特の模様は、この長槍が魔道具であることを示していた。
二輪の花は、鮮やかなエメラルドグリーンの花だ。矢車菊によく似た風属性の魔法植物【風切矢車菊】だ。
染魔こと花染めを施したい魔道具と、それに使う魔法植物、そして対価の一つである二輪目の魔法植物がそろっていた。
(長槍からは魔法の力を感じない。魔道具として使うには、花染めしなおさないといけないわ)
かつてと違い、今の人間は強力な魔法が使えなくなってしまった。その為、魔法の力を持つ植物のその力で魔道具を染める必要があるのだ。
人はそれを染魔と言い、ティリアたちを染魔の一族と呼ぶ。
もっとも、ティリアは思うところがあって、染魔を花染めと言い、自らを花染め屋と名乗っているが。
ともかく、後はもう一つの対価である【客がここに来るまでの物語】をもらうだけでいい。
「それでは、願いに至る物語をお話くださ……」
「面倒くせえなぁ」
投げやりな言葉に、ティリアは思わず固まった。
「古道具屋どもから聞いてたけどよ。要するに過去を話せってことだよな。俺に話すような過去なんてねえよ」
「なんでも良いのです。どこで生まれたとか、これまでどう生きてきた……過去を話したく無いのでしたら、嘘でも構いません」
「嘘でもいいだと?ふうん……妙な話だ。なんの企みか知らねえが……」
カイは興味無さそうに呟き、カップを鷲掴みにして紅茶を飲んだ。
「ん?……」
片眉を上げ、飲む速度がゆっくりになる。どうやら口にあったらしい。ティリアは少し安心した。
カイは、しばらく茶を味わってから話しだした。
「まあ良い。俺がここに、この長槍を持って来たまでのことを話せばいいんだな。だるいなぁ……」
心底面倒くさそうだ。それに、話すのは得意ではないらしい。ティリアが質問をすることで、なんとか形ある物語になっていった。
「俺はこの国の民じゃねえ。生まれも育ちもギース帝国だ。この国には、面倒臭えから来た」
◆◆◆◆◆
今から二ヶ月前、空っぽのカイは傭兵をやめた。
ここが引き時だ。これ以上は『面倒くせぇ』ことになると思ったからだ。
『カイ、本気か?』
『ああ、俺は抜ける』
ギース帝国北部の安宿で、カイは団長と向き合った。
『そうか。お前が抜けるのは痛いな』
カイの所属していた傭兵団『黄金鷲団』の団長が残念そうに言う。
領主同士の小競り合いで一稼ぎした直後の事だった。
団長は、団員たちに英気を養い次の仕事に備えるよう言った。いつもの流れだったが……。
次の仕事内容を聞いたカイは、黄金鷲団を辞めると決めた。
そしてカイはさっさと荷物をまとめ、団長に退団する意志を伝えたのだった。
『引き止めても無駄だぜ。俺は抜ける』
団長は深い息を吐いた。
『もったいねえ。これから稼ぎ時だってのによ』
確かに、春の種まきが終わって戦の季節になっていた。それに、皇弟が破格の報酬と高待遇で傭兵を集めている。場所はギース帝国と東の隣国ルディア王国の国境だ。
いよいよ引きこもりのルディアを引きずり出すつまりなのだろう。
傭兵は誰もが浮き立ち行こうとした。黄金鷲団もそうだ。ただ一人、カイをのぞいて。
『なあ、カイ。理由はおめぇの勘か?いつもの『面倒くせえ予感』って奴の』
カイはうなずく。
『引きこもりのルディアとの小競り合いは、面倒くせえ気がする』
根拠も何もない勘だが、この勘でカイは生き延びてきた。
口に出しても誰もが話半分にしか聞かないが、長い付き合いの団長は別だ。団長はしばし考え込んだが、決心した様子で頷く。
『わかった。俺たちも適当に稼いだら引き上げる。で、おめぇはどこに行くんだ?故郷に帰るのか?』
カイの脳裏に、死んだ両親と寂れた村が浮かんで消えた。
(あんな田舎に誰が戻るか)
『いいや。とりあえずフリジア王国に行く』
『はあ?あの腰抜け平和ボケの?傭兵の需要があるのかねえ』
南の隣国の名を出すと、団長は退団すると言った時より驚き呆れた。理由を聞かれたが、『なんとなく、その方が面倒くさくねえ気がする』としか言えない。
そして口にはださなかったが、傭兵も辞めるつもりだ。かなりの大金が貯まったし、もともと田舎の農家を継ぐよりは『面倒くさくねえ』気がしたからやっていただけで思い入れはない。
とにかく、話は終わったので部屋から出ることにした。
『じゃあな』
『おう。……ああ、そうだ。最後に大事なことを教えてやるよ。空っぽのカイ』
振り返ると、団長は人を小馬鹿にした顔でニヤリと嗤った。
『堅気になるつもりか何か知らねえがな。おめぇみてえな空っぽな奴は、傭兵以外にやれる事なんざねえ。勘違いするなよ』
どうやら、傭兵を辞めるのも見抜かれていたらしい。
まあ、どうでもいいことだ。
カイはさっさと安宿を出た。向かうは南。フリジア王国だ。
◆◆◆◆◆
後に、この決断がカイの人生を変えたと知るのだが……それを知るのはまだ先のことだ。
五月の半ばをむかえた、爽やかな初夏の日のことだった。
花染め屋ことティリアは、客の前に紅茶を注いだティーカップを置いた。
紅茶にいれたレモンの薄切りと蜜花のシロップの香りがただよう。
「……」
椅子にだらりと行儀悪く座った客は、手をつけない。どよんとした目でティリアを見つめている。
男は「空っぽのカイ」と名乗った。職業は元傭兵だという。
傭兵や冒険者などが二つ名を持つのは珍しくないが、なんとも奇妙な名だ。
カイは、歳の頃は三十代半ば頃だろうか。
フリジア王国ではあまり見かけない色彩をしている。髪も目も黒っぽいし、肌の色も濃い。
身形もよくない。黒っぽい栗毛はくしゃくしゃだし、紫ががった灰色の目はどよんとしている。ヒョロ長い身体はいかにも貧相そうだ。
革紐の首飾りを首から下げて、胴体をシャツと革鎧でおおってズボンの上に脛当てとブーツをはいているが、どれも使い込まれていてボロっちい。辛うじて清潔さを保っているのが救いだ。
そして、奇妙なのが首飾りだ。ペンダントトップにあたる金属の台座には何も付いていない。空っぽだ。
(だから「空っぽのカイ」なのかしら?)
それから以外は、これといって特徴がない男だ。あえて言うなら、目から感じる気力の無さが特徴だろうか?
いや、目だけでなく全身から気力を感じないし、お世辞にも態度がいいとは言えない。
(けれど悪意も感じないわね。それに、確かにうちのお客様だわ。この長槍を【染魔】したいとおおせだし、必要なものは全てそろっている)
ティリアは新緑色の目を細め、カイの向かいに座る。視線を机の上に移す。向かって斜め左、机の上に乗せられた長槍と二輪の花を見た。
長槍は刃部分を革の鞘でおおっている。木製の柄は使い込まれていて、細かい傷だらけだ。
だがよく見ると、柄に装飾が彫られている。独特の模様は、この長槍が魔道具であることを示していた。
二輪の花は、鮮やかなエメラルドグリーンの花だ。矢車菊によく似た風属性の魔法植物【風切矢車菊】だ。
染魔こと花染めを施したい魔道具と、それに使う魔法植物、そして対価の一つである二輪目の魔法植物がそろっていた。
(長槍からは魔法の力を感じない。魔道具として使うには、花染めしなおさないといけないわ)
かつてと違い、今の人間は強力な魔法が使えなくなってしまった。その為、魔法の力を持つ植物のその力で魔道具を染める必要があるのだ。
人はそれを染魔と言い、ティリアたちを染魔の一族と呼ぶ。
もっとも、ティリアは思うところがあって、染魔を花染めと言い、自らを花染め屋と名乗っているが。
ともかく、後はもう一つの対価である【客がここに来るまでの物語】をもらうだけでいい。
「それでは、願いに至る物語をお話くださ……」
「面倒くせえなぁ」
投げやりな言葉に、ティリアは思わず固まった。
「古道具屋どもから聞いてたけどよ。要するに過去を話せってことだよな。俺に話すような過去なんてねえよ」
「なんでも良いのです。どこで生まれたとか、これまでどう生きてきた……過去を話したく無いのでしたら、嘘でも構いません」
「嘘でもいいだと?ふうん……妙な話だ。なんの企みか知らねえが……」
カイは興味無さそうに呟き、カップを鷲掴みにして紅茶を飲んだ。
「ん?……」
片眉を上げ、飲む速度がゆっくりになる。どうやら口にあったらしい。ティリアは少し安心した。
カイは、しばらく茶を味わってから話しだした。
「まあ良い。俺がここに、この長槍を持って来たまでのことを話せばいいんだな。だるいなぁ……」
心底面倒くさそうだ。それに、話すのは得意ではないらしい。ティリアが質問をすることで、なんとか形ある物語になっていった。
「俺はこの国の民じゃねえ。生まれも育ちもギース帝国だ。この国には、面倒臭えから来た」
◆◆◆◆◆
今から二ヶ月前、空っぽのカイは傭兵をやめた。
ここが引き時だ。これ以上は『面倒くせぇ』ことになると思ったからだ。
『カイ、本気か?』
『ああ、俺は抜ける』
ギース帝国北部の安宿で、カイは団長と向き合った。
『そうか。お前が抜けるのは痛いな』
カイの所属していた傭兵団『黄金鷲団』の団長が残念そうに言う。
領主同士の小競り合いで一稼ぎした直後の事だった。
団長は、団員たちに英気を養い次の仕事に備えるよう言った。いつもの流れだったが……。
次の仕事内容を聞いたカイは、黄金鷲団を辞めると決めた。
そしてカイはさっさと荷物をまとめ、団長に退団する意志を伝えたのだった。
『引き止めても無駄だぜ。俺は抜ける』
団長は深い息を吐いた。
『もったいねえ。これから稼ぎ時だってのによ』
確かに、春の種まきが終わって戦の季節になっていた。それに、皇弟が破格の報酬と高待遇で傭兵を集めている。場所はギース帝国と東の隣国ルディア王国の国境だ。
いよいよ引きこもりのルディアを引きずり出すつまりなのだろう。
傭兵は誰もが浮き立ち行こうとした。黄金鷲団もそうだ。ただ一人、カイをのぞいて。
『なあ、カイ。理由はおめぇの勘か?いつもの『面倒くせえ予感』って奴の』
カイはうなずく。
『引きこもりのルディアとの小競り合いは、面倒くせえ気がする』
根拠も何もない勘だが、この勘でカイは生き延びてきた。
口に出しても誰もが話半分にしか聞かないが、長い付き合いの団長は別だ。団長はしばし考え込んだが、決心した様子で頷く。
『わかった。俺たちも適当に稼いだら引き上げる。で、おめぇはどこに行くんだ?故郷に帰るのか?』
カイの脳裏に、死んだ両親と寂れた村が浮かんで消えた。
(あんな田舎に誰が戻るか)
『いいや。とりあえずフリジア王国に行く』
『はあ?あの腰抜け平和ボケの?傭兵の需要があるのかねえ』
南の隣国の名を出すと、団長は退団すると言った時より驚き呆れた。理由を聞かれたが、『なんとなく、その方が面倒くさくねえ気がする』としか言えない。
そして口にはださなかったが、傭兵も辞めるつもりだ。かなりの大金が貯まったし、もともと田舎の農家を継ぐよりは『面倒くさくねえ』気がしたからやっていただけで思い入れはない。
とにかく、話は終わったので部屋から出ることにした。
『じゃあな』
『おう。……ああ、そうだ。最後に大事なことを教えてやるよ。空っぽのカイ』
振り返ると、団長は人を小馬鹿にした顔でニヤリと嗤った。
『堅気になるつもりか何か知らねえがな。おめぇみてえな空っぽな奴は、傭兵以外にやれる事なんざねえ。勘違いするなよ』
どうやら、傭兵を辞めるのも見抜かれていたらしい。
まあ、どうでもいいことだ。
カイはさっさと安宿を出た。向かうは南。フリジア王国だ。
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