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一章 春を告げる黄金
春を告げる黄金 二話
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「まずは、私のことからお話させて頂きます」
イジスは己の過去を語り始めた。
◆◆◆◆◆
イジスは、今でこそ宮廷魔法使いとして魔法局に勤め男爵の位を得ているが、もとは平民だ。
両親は共に冒険者で母は魔法使いだ。幼い頃から彼らの薫陶を受け、魔法の実践と研究に魅せられた。
転機は四年前。二十歳の春だ。
イジスは魔法局選抜試験に合格し、準男爵となった。
その後、順調に仕事をこなし功績を上げ、わずか一年で男爵位を陞爵されるにいたった。
給料も段違いに上がり貴族の友人知人も増えたが、根が庶民なので現在も実家で暮らしている。
両親は冒険者稼業で忙しいのでほぼ一人暮らしだ。
しかし、これに眉をひそめる者は多い。
王宮からは離れた平民ばかりが暮らす地区だし、地位と収入に見合わない。折に触れて忠告されたり、平民臭さが抜けないと陰口を叩かれたりする。
その中でもしつこく忠告するのが、同僚のバンスロット・プライディア子爵だった。
『君が育った場所を悪く言うようで気が引けるんだけど、もう少し王宮に近い場所に住むべきだと思う。一代貴族ならともかく、君は男爵なんだよ?しかも宮廷魔法使いの中でも優秀な、選ばれ者だ』
『選ばれし者?大袈裟だな。俺はそんな大層な存在じゃないよ』
バンスは一瞬、怒りを浮かべた。すぐに無表情になる。
『謙遜し過ぎだ。それに、万が一書きかけの論文や支給されている魔道具に何かあったら大変だぞ』
『忠告はありがたいが、どれもあり得ない事だ』
『いいや。……はあ、君は自分の価値をわかっていない。君の身の安全のためにも言ってるんだ。ただの平民から見れば、君は金の卵を産む鶏だよ。イジス、私ならいつでも君に相応しい家と使用人を斡旋できる。早く決心してくれ』
『……遠慮する。気持ちは受け取っておく』
間違ったことは言われてない。気遣われている。が、忠告される度に心をざらりと逆撫でされるので、最近はバンスを避けがちだった。
(そもそも、仕事絡みの論文も魔道具も、宮廷外への無断持ち出しは禁じられているじゃないか。勝手に持ち出したことは一度もないぞ)
仕事関係のもので家に持ち込むのは、常に身につけている印章つきの指輪ぐらいだ。
これも支給された魔道具ではあるが、持ち出して問題ない物だ。イジスが宮廷魔法使いで無くなるか死ぬまで外せないようになっており、他者が外そうとすれば呪いが発動する。
家には魔法書と古魔道具がそれなりにあるが、全て親とイジスが買い集めた物だ。また、イジスはヒョロリとした見た目だが、両親のお陰で腕っぷしも強い。
『……いつまでも貴族社会に慣れないから、心配されるのはわかるが……』
◆◆◆◆
イジスは、ここまで過去の出来事を話して溜息をついた。
「すみません。話が本題からそれてしまいました」
花染め屋は、新緑色の目を優しく細めた。
「お気になさらず。どうぞお好きにお話ください。プライディア子爵様とは親しいのですか?」
「はい。苦楽を共にした同僚です。友人と言っていい仲だと思います。バンスは魔法使いとしての実力も充分で、私と違って交渉や根回しも出来る頼りになる存在です。
……ただ、彼は生粋の貴族だからか平民に対して偏見があります。そこだけは苦手ですが……」
「そうなのですね」
花染め屋が頷く。
「はい。私に対しても最初は当たりが強かったですからね。……ラリアに対する態度ほどではありませんでしたが」
「ラリア様?」
「私の幼馴染です。親同士が仲が良く、年が近かったので兄妹のように育ちました」
イジスはラリアの姿を思い浮かべた。光の加減でにも見える茶髪と同じ色味の明るい目を持つ。性格も明るく活発で笑顔がとても魅力的な、イジスより二歳歳下の女性。
「大切な方なのですね」
「え?」
「ふふ。表情を見ればわかります」
花染め屋は、まるで花びらのような笑みを浮かべた。イジスは恥ずかしくて目を逸らすが、否定はしない。
(ラリア以上に大切なものはない)
「……幼い頃。今よりさらに口下手で不器用だった私の面倒を見てくれました。悩んだ時には背中を押して、後ろ向きになった時は話を聞いて、間違った事をしそうになったら叱ってくれました。私は、彼女の側にいるのに相応しい存在になれるよう努力しました」
「素晴らしい女性ですね」
「はい。そして、ラリアは私が知るうちで最も強かな商売人です。花染め屋様は、リュトン商会をご存知でしょうか?」
「ええ。確か、国内外のお酒をあつかっている商会ですね」
「はい。ラリアはリュトン商会の跡取り娘です」
リュトン商会は、規模こそ小さいが名が知られている。商会主である父親は一代で財を築いたやり手だ。子供への教育も惜しまなかったため、子供たちはそれぞれの分野で才能を発揮している。
ラリアが発揮しているのは商才だ。
兄弟の中で一番、父親の才覚と辣腕ぶりを受け継いでいる。すでに様々な仕事を担当していて、中でも重要な仕事の一つが商品の仕入れと交渉だ。
仕入れ先は国内外の様々な場所。街道を進むといえど、山や森を越えることも多い。野盗、獣、魔獣、魔物に襲われることもある。
当然、危険な旅路だ。しかし、優秀な冒険者たちに護衛を頼んでいたので滅多なことはなかった。
「その経験がかえって、ラリアと周りを油断させたのだと思います」
◆◆◆◆◆
今から一カ月ほど前、ラリアはラング国ルルー村に仕入れに向かった。ラング国は南の隣国で、ルルー村は国境を越えてすぐにある。
ルルー村はフリジア王国王都から比較的近い。馬車で片道十日前後の距離だ。街道は整備されており、関税等は安い。
両国間の行き来は活発で、見回りが多く治安が良い。野盗もほぼ出ない。冬以外は比較的安全な旅路だが……冬の間だけは違う。
冬は、雪影女王が出る。
雪影女王は、冬だけに出る魔物だ。青白い鳥にも長いローブを着た人間にも見える姿をしていて、かなり厄介だ。
魔法で雪嵐を起こす上に、生き物を仮死状態にした上で巣に攫い、死ぬまで生命力を吸収する。
魔物。つまり、魔獣と違って実体のあやふやな存在のため、魔法しか効かない。その魔法すら、弱いものは無効化してしまう。
ラリアたちが向かったのは二月の初め、春まだ遠き雪影女王の群れなす頃だ。
いつもならラリアたちリュトン商会も仕入れになど行かない。他にも仕入れ先はあり、時期によってある程度の計画も組んでいるのだから。
それなのに、ある注文とその報酬に目が眩んでしまった。
「ラリアは野心をくすぐられたのでしょう」
注文主は貴族だったという。
名は教えられていないが、今まで取引をしたことが無い大物だったらしい。恐らく伯爵家以上の高位貴族だろう。
その貴族は自らラリアに会いに来たて、相場の十倍はある前払金を気前よく提示した。
『三月までに砂糖菫青酒の新酒を用意してもらいたい』
砂糖菫青酒とは、砂糖菫青の花で作る酒だ。
砂糖菫青は、名前の通り強い甘味と香りを持つ菫に似た植物だ。ただし毒があり、そのまま食べると眩暈や幻覚などの症状が出る。
ルルー村だけが、この砂糖菫青を無毒化する技術を持っている。門外不出の製法で作る菓子や酒は高級品だ。
その中でも砂糖菫青酒は珍重されている。新酒の出来上がりは一月から二月にかけて。冬が明け雪影女王の去った三月にラリアたち商人が仕入れに殺到する。だが、それまで待てないという。
貴族はこう告げた。
『無理な注文だということはわかっている。報酬の上乗せはもちろん、今後も贔屓にする。知己への紹介もしよう。身内から名高きリュトン商会、いや、ラリア殿の活躍はお聞きしている。どうか、当家の力になってもらえないだろうか?』
知己の具体的な名前をあげた。複数の高位貴族、裕福な商人たちの名はラリアの野望をくすぐった。
ラリアの野望は、父親以上の大商人になることと、リュトン商会をさらに盛り立てることだ。
とはいえ、流石に危険が伴うので迷ったらしい。周囲の意見も割れた。が、最終的には頷いた。
◆◆◆◆
「ラリアたちは、これまでも危険な仕入れ旅を乗り越えてきた。その自負と千載一遇の機会への野心に突き動かされて旅立ちました」
いつも以上に護衛の冒険者たちを用意し、慎重に街道を進んだ。街道はただでさえ雪と氷で進みにくく、魔物、魔獣、獣に遭遇しては戦闘になった。それらを乗り越えラリアたちは進んだ。
半月を少し過ぎた頃、ルルー村に到着した。命知らずなラリアたちに村人は驚き呆れたそうだが、無事に仕入れ交渉は進み砂糖菫青酒を仕入れることができた。
ここまでの旅路で怪我や病を得た者もいたが、全員命に別状はない。一番恐れていた雪影女王にも遭遇せずに済んだ。半月前より春めいた今、雪が降ることも雪影女王が出ることも無さそうだった。
「それでも、気を緩めることなく帰り路を急いだそうですが……やはり油断と、疲労が溜まっていたのでしょう」
イジスは己の過去を語り始めた。
◆◆◆◆◆
イジスは、今でこそ宮廷魔法使いとして魔法局に勤め男爵の位を得ているが、もとは平民だ。
両親は共に冒険者で母は魔法使いだ。幼い頃から彼らの薫陶を受け、魔法の実践と研究に魅せられた。
転機は四年前。二十歳の春だ。
イジスは魔法局選抜試験に合格し、準男爵となった。
その後、順調に仕事をこなし功績を上げ、わずか一年で男爵位を陞爵されるにいたった。
給料も段違いに上がり貴族の友人知人も増えたが、根が庶民なので現在も実家で暮らしている。
両親は冒険者稼業で忙しいのでほぼ一人暮らしだ。
しかし、これに眉をひそめる者は多い。
王宮からは離れた平民ばかりが暮らす地区だし、地位と収入に見合わない。折に触れて忠告されたり、平民臭さが抜けないと陰口を叩かれたりする。
その中でもしつこく忠告するのが、同僚のバンスロット・プライディア子爵だった。
『君が育った場所を悪く言うようで気が引けるんだけど、もう少し王宮に近い場所に住むべきだと思う。一代貴族ならともかく、君は男爵なんだよ?しかも宮廷魔法使いの中でも優秀な、選ばれ者だ』
『選ばれし者?大袈裟だな。俺はそんな大層な存在じゃないよ』
バンスは一瞬、怒りを浮かべた。すぐに無表情になる。
『謙遜し過ぎだ。それに、万が一書きかけの論文や支給されている魔道具に何かあったら大変だぞ』
『忠告はありがたいが、どれもあり得ない事だ』
『いいや。……はあ、君は自分の価値をわかっていない。君の身の安全のためにも言ってるんだ。ただの平民から見れば、君は金の卵を産む鶏だよ。イジス、私ならいつでも君に相応しい家と使用人を斡旋できる。早く決心してくれ』
『……遠慮する。気持ちは受け取っておく』
間違ったことは言われてない。気遣われている。が、忠告される度に心をざらりと逆撫でされるので、最近はバンスを避けがちだった。
(そもそも、仕事絡みの論文も魔道具も、宮廷外への無断持ち出しは禁じられているじゃないか。勝手に持ち出したことは一度もないぞ)
仕事関係のもので家に持ち込むのは、常に身につけている印章つきの指輪ぐらいだ。
これも支給された魔道具ではあるが、持ち出して問題ない物だ。イジスが宮廷魔法使いで無くなるか死ぬまで外せないようになっており、他者が外そうとすれば呪いが発動する。
家には魔法書と古魔道具がそれなりにあるが、全て親とイジスが買い集めた物だ。また、イジスはヒョロリとした見た目だが、両親のお陰で腕っぷしも強い。
『……いつまでも貴族社会に慣れないから、心配されるのはわかるが……』
◆◆◆◆
イジスは、ここまで過去の出来事を話して溜息をついた。
「すみません。話が本題からそれてしまいました」
花染め屋は、新緑色の目を優しく細めた。
「お気になさらず。どうぞお好きにお話ください。プライディア子爵様とは親しいのですか?」
「はい。苦楽を共にした同僚です。友人と言っていい仲だと思います。バンスは魔法使いとしての実力も充分で、私と違って交渉や根回しも出来る頼りになる存在です。
……ただ、彼は生粋の貴族だからか平民に対して偏見があります。そこだけは苦手ですが……」
「そうなのですね」
花染め屋が頷く。
「はい。私に対しても最初は当たりが強かったですからね。……ラリアに対する態度ほどではありませんでしたが」
「ラリア様?」
「私の幼馴染です。親同士が仲が良く、年が近かったので兄妹のように育ちました」
イジスはラリアの姿を思い浮かべた。光の加減でにも見える茶髪と同じ色味の明るい目を持つ。性格も明るく活発で笑顔がとても魅力的な、イジスより二歳歳下の女性。
「大切な方なのですね」
「え?」
「ふふ。表情を見ればわかります」
花染め屋は、まるで花びらのような笑みを浮かべた。イジスは恥ずかしくて目を逸らすが、否定はしない。
(ラリア以上に大切なものはない)
「……幼い頃。今よりさらに口下手で不器用だった私の面倒を見てくれました。悩んだ時には背中を押して、後ろ向きになった時は話を聞いて、間違った事をしそうになったら叱ってくれました。私は、彼女の側にいるのに相応しい存在になれるよう努力しました」
「素晴らしい女性ですね」
「はい。そして、ラリアは私が知るうちで最も強かな商売人です。花染め屋様は、リュトン商会をご存知でしょうか?」
「ええ。確か、国内外のお酒をあつかっている商会ですね」
「はい。ラリアはリュトン商会の跡取り娘です」
リュトン商会は、規模こそ小さいが名が知られている。商会主である父親は一代で財を築いたやり手だ。子供への教育も惜しまなかったため、子供たちはそれぞれの分野で才能を発揮している。
ラリアが発揮しているのは商才だ。
兄弟の中で一番、父親の才覚と辣腕ぶりを受け継いでいる。すでに様々な仕事を担当していて、中でも重要な仕事の一つが商品の仕入れと交渉だ。
仕入れ先は国内外の様々な場所。街道を進むといえど、山や森を越えることも多い。野盗、獣、魔獣、魔物に襲われることもある。
当然、危険な旅路だ。しかし、優秀な冒険者たちに護衛を頼んでいたので滅多なことはなかった。
「その経験がかえって、ラリアと周りを油断させたのだと思います」
◆◆◆◆◆
今から一カ月ほど前、ラリアはラング国ルルー村に仕入れに向かった。ラング国は南の隣国で、ルルー村は国境を越えてすぐにある。
ルルー村はフリジア王国王都から比較的近い。馬車で片道十日前後の距離だ。街道は整備されており、関税等は安い。
両国間の行き来は活発で、見回りが多く治安が良い。野盗もほぼ出ない。冬以外は比較的安全な旅路だが……冬の間だけは違う。
冬は、雪影女王が出る。
雪影女王は、冬だけに出る魔物だ。青白い鳥にも長いローブを着た人間にも見える姿をしていて、かなり厄介だ。
魔法で雪嵐を起こす上に、生き物を仮死状態にした上で巣に攫い、死ぬまで生命力を吸収する。
魔物。つまり、魔獣と違って実体のあやふやな存在のため、魔法しか効かない。その魔法すら、弱いものは無効化してしまう。
ラリアたちが向かったのは二月の初め、春まだ遠き雪影女王の群れなす頃だ。
いつもならラリアたちリュトン商会も仕入れになど行かない。他にも仕入れ先はあり、時期によってある程度の計画も組んでいるのだから。
それなのに、ある注文とその報酬に目が眩んでしまった。
「ラリアは野心をくすぐられたのでしょう」
注文主は貴族だったという。
名は教えられていないが、今まで取引をしたことが無い大物だったらしい。恐らく伯爵家以上の高位貴族だろう。
その貴族は自らラリアに会いに来たて、相場の十倍はある前払金を気前よく提示した。
『三月までに砂糖菫青酒の新酒を用意してもらいたい』
砂糖菫青酒とは、砂糖菫青の花で作る酒だ。
砂糖菫青は、名前の通り強い甘味と香りを持つ菫に似た植物だ。ただし毒があり、そのまま食べると眩暈や幻覚などの症状が出る。
ルルー村だけが、この砂糖菫青を無毒化する技術を持っている。門外不出の製法で作る菓子や酒は高級品だ。
その中でも砂糖菫青酒は珍重されている。新酒の出来上がりは一月から二月にかけて。冬が明け雪影女王の去った三月にラリアたち商人が仕入れに殺到する。だが、それまで待てないという。
貴族はこう告げた。
『無理な注文だということはわかっている。報酬の上乗せはもちろん、今後も贔屓にする。知己への紹介もしよう。身内から名高きリュトン商会、いや、ラリア殿の活躍はお聞きしている。どうか、当家の力になってもらえないだろうか?』
知己の具体的な名前をあげた。複数の高位貴族、裕福な商人たちの名はラリアの野望をくすぐった。
ラリアの野望は、父親以上の大商人になることと、リュトン商会をさらに盛り立てることだ。
とはいえ、流石に危険が伴うので迷ったらしい。周囲の意見も割れた。が、最終的には頷いた。
◆◆◆◆
「ラリアたちは、これまでも危険な仕入れ旅を乗り越えてきた。その自負と千載一遇の機会への野心に突き動かされて旅立ちました」
いつも以上に護衛の冒険者たちを用意し、慎重に街道を進んだ。街道はただでさえ雪と氷で進みにくく、魔物、魔獣、獣に遭遇しては戦闘になった。それらを乗り越えラリアたちは進んだ。
半月を少し過ぎた頃、ルルー村に到着した。命知らずなラリアたちに村人は驚き呆れたそうだが、無事に仕入れ交渉は進み砂糖菫青酒を仕入れることができた。
ここまでの旅路で怪我や病を得た者もいたが、全員命に別状はない。一番恐れていた雪影女王にも遭遇せずに済んだ。半月前より春めいた今、雪が降ることも雪影女王が出ることも無さそうだった。
「それでも、気を緩めることなく帰り路を急いだそうですが……やはり油断と、疲労が溜まっていたのでしょう」
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