【四章完結】サラリーマン、オークの花嫁になる

花房いちご

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第四章ガードマン、オークの花嫁になる

ガードマン、オークの花嫁になる【22】*

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 温かい。気持ちいい。安心できる温もりと匂いに包まれている。心が安らぎ、意識が浮上していった。
 あれ?なにか音がする。空気もあったかい。聞こえるのは水音?石鹸っぽい良い匂いもする。

「ん……?ここは?」

「ミツバ?気づいたか?」

「あ……ザック?」

 振り返ると涙目のザックと目が合った。また膝の上に乗せられているらしい。お互い全裸だ。
 というか……。

「ここって、お風呂?入れてくれたの?」

 僕らは大きな湯船に浸かっていた。通りであたたかくて気持ちいいはずだ。

「……君の身体は洗浄する必要があったからな」

 その言葉に何があったのか思い出した。

「あ……あぁ……」

 衝動的に体が動く。僕はザックに抱きついた。湯が跳ねて大きな音が響く。

「すまない!軽率だった。嫌なことを思い出させた」

 悲しみの混じる低い声。ただそれを聞いただけなのに、恐怖で強張った身体が柔らかく解れていく。

「ううん。怖かったけど大丈夫」

 それから僕は、事の顛末を教えてもらった。
 ザックは見回り後、あの触手の本体【深淵の主】が家の前にいるのを発見した。急いで倒して家の中に入り、僕が触手に犯されかけているのを助け、治療と洗浄をしてくれたそうだ。
 確かに唇の傷もふさがってるし、あの粘液による発情も治っている。

「ザック……ありがとう」

「いいや。怖い目に合わせてしまった。まさか深淵の主が出てくるとは……あの【真実の窓】でも幻影は見破れなかっただろう?良くあそこまで防げたな」

「えへへ。こう見えてガードマンだし……この家はザックが大切にしているから、守りたかったんだ」

「ミツバ……!」

 ザックの暗い緑色の目から涙があふれた。ギュッと抱きしめられて幸せな気持ちに……あとその、ちょっと、その。
 ああ、さっきまで治ってたのに堪え性がなくて恥ずかしい。こんな時に言うことじゃない。
 でも、我慢できない。
 欲望が羞恥と理性をねじ伏せ、僕の唇を動かした。

「ザック……したい」

「したい?何をだ?」

 キョトンとした顔が可愛い。それはともかく、はっきり言わないと伝わらないみたいだ。わかりやすくザックが使ってた言葉で告げる。

「ザックとまぐわいたい」

「え?……っ!」

 湯が跳ねる。僕はお湯の中に手を入れて、ザックのモノを握った。勃ってないのに大きくて長い。本当に御立派。
 今すぐ欲しい。

「ザックは今日もしたがってたし、綺麗に洗ってくれたし……駄目かな?」

「ま、待て、ミツバ。今日は身体を休めた方が……」

「うん。でも、お腹の奥がむずむずして切ない。それに」

 伸び上がってザックの唇を舐めた。触手につけられた傷が痛い。治療してくれたお陰で傷はふさがってるけど、ヒリヒリする。触手の牙の感触を思い出してしまう。

 それが嫌で仕方ない。

「……あの触手に触られた場所をザックで上書きしたいから……僕とまぐわって」

「……わかった」

 ザックの唇が開く。あたたかくて分厚い舌が、優しく僕の傷を舐めてくれた。



 ◆◆◆◆◆



 お風呂場だとやり難いから寝室に移動した。ベッドに押し倒されて絡み合ってる。

「ここも触られた。胸の……んっ……そう、そこ……あっ……」

 ザックの手と舌が、僕の身体を撫でて舐めて癒す。

「あっ!乳首は、触られてな……あんっ!甘噛みされるの気持ちいい!」

 すっかり胸で感じるようになった僕は、どんどん乱れていった。ザックの指に乳首を摘まれて、快楽に溶けながら笑った。
 触手じゃない。ザックが僕を気持ちよくしてくれている。

「ん……ふぁ……ぁ……」

 舌を絡める深くて甘いキス。触手の味の記憶が消えていく。どんどん自分の身体が熟れて、発情していく。
 ザックが好きな気持ちがそうさせる。
 ポロっと流れた涙を、ザックの指がすくってくれた。目元にキスされて艶々の牙が当たる。
 この牙も好きだなあ。絶対に僕を傷つけない。いや、プレイの内容次第ではやぶさかではありませんが……。

「ふふっ」

「ミツバ?」

「なんだか幸せで嬉しいんだ。ザックとこうしているのが……」

「俺もだ」

 とろんと甘い眼差しを交わし合う。ザックの固いモノが脚に当たって、ますます幸せな気分になって。
 あぁ、そうだ。

「ザックのしゃぶりたい」

「なっ?!み、ミツバ?」

「口の中、あの気持ち悪い触手に突っ込まれた。ザックのおちんちんで上書きしたい。……駄目?」

 わざと舌をべろっと出して口の端を上げる。息を呑む音と、脚に当たったモノがさらに固く膨らんだのがわかった。

「座って。その方がやりやすそう」

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