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第三章エルフ、オークの花嫁になる
エルフ、オークの花嫁になる【24】
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これで色々と終わった。と、思ったが、私はまた体調をくずしてしまう。というか、色々な事を自覚して興奮した途端、高熱を出したのだ。
「あわ……あわわわわわ!グイドに名前よばれれれ……裸みられ……いや、抱かれちゃっ……あばばばばば!」
いつの間にか名前を呼び合っているは、裸を見られた上に抱かれているはで、私は混乱していた。二百歳にもなって落ち着きがないが、仕方ない。
「も、もう死んでもいいぃ!しあわせええ!」
「不吉なことをいうな!レグレースが死んだら俺も後を追うからな!って違う!医者は安静にすれば治るって言っただろうが!」
グイドも混乱していたが、しっかり看病してくれた。お陰で翌日には熱が下がったし、寝台から降りられるようになった。
グイドは心配だと言って私を再び寝台に戻し、お医者さんを引きずって帰ってきた。速やかに診察を受ける。
「大事をとってあと十日は安静にして下さい」
「え?でももう平気です。事後処理もあるでしょうしお手伝いを……」
「平気じゃない!手伝うな!食って寝てろー!」
「そうですよ。しっかり食べてゴロゴロしてなさい。この村の全員がそう願っていますよ」
「村の皆様の願い、ですか?」
お医者さんはにっこり笑った。
「皆、ゴブリンマスターを退治してくれた貴方たちに感謝しています。そして、それ以上に心配しています。しっかり回復してから顔を見せてやって下さい」
私の胸は熱くなり、安堵と喜びでいっぱいになった。涙がこぼれる。この村に来て、本当によかった。優しい方々ばかりだ。
「あとそれまで性交禁止です。ちょんぎりますからね。二人とも」
「「ヒッ!」」
グイドと共に股間を押さえて震えながら頷いた。
訂正。この村の方々は優しく、頼もしく、時にとても厳しいようだ。
◆◆◆◆◆
その後、たくさんの人がお見舞いとお祝いに来てくれた。中にはグイドとの結婚を泣いて祝福してくれる人たちもいて、ジンとした。
《いや、失恋の涙だよ。泣き叫んでいる奴もいたじゃん》
「俺もそう思う。レグレース、誰とも二人きりで会うなよ?」
「またまたー。二人とも大袈裟なんですから」
「レグレース……」
《駄目だこりゃ。花婿さん、頑張って》
風の精霊の言葉に、グイドは頷く。本来、オークであるグイドは精霊を見聞きできないが、この風の精霊だけは例外となった。
「任せてくれ。俺自身もレグレースを守りたいし、風の精霊には返しきれない恩がある」
「恩があるのは私です。風の精霊、貴方には本当に苦労をかけました」
私がゴブリンに攫われた時、風の精霊はセリオリス様たちを迎えに行く手筈になっていた。しかし、風の精霊は誰にも知らせずに向かう事ができなかった。
風の精霊はグイドに魔法をかけ、自身の姿と声を見聞きできるようにした。その上で私がゴブリンに攫われたことと、ゴブリンの向かう先が迷いの暗森であることと、私を見つけるための手段を教えてくれたのだ。
《あのままじゃレグレースが危なかったからね。まあ、僕が好きでやったから気にしなくていいよ》
ふふん。と、得意げに胸を張る風の精霊。風の精霊の行動がなければ、あそこまで早く解決しなかっただろう。おまけに隠しているが、かなり力を消耗して消滅しかかったのだ。
「毎日、花の露と魔石を用意しますね。これからもよろしくお願いします」
花についた朝露や夜露、魔石が発する光は風の精霊の好物だ。
「俺からも頼む。一緒にレグレースを守ろう」
風の精霊は少し頬を染め《仕方ないなあ。いいよ》と、言ってくれたのだった。
「あわ……あわわわわわ!グイドに名前よばれれれ……裸みられ……いや、抱かれちゃっ……あばばばばば!」
いつの間にか名前を呼び合っているは、裸を見られた上に抱かれているはで、私は混乱していた。二百歳にもなって落ち着きがないが、仕方ない。
「も、もう死んでもいいぃ!しあわせええ!」
「不吉なことをいうな!レグレースが死んだら俺も後を追うからな!って違う!医者は安静にすれば治るって言っただろうが!」
グイドも混乱していたが、しっかり看病してくれた。お陰で翌日には熱が下がったし、寝台から降りられるようになった。
グイドは心配だと言って私を再び寝台に戻し、お医者さんを引きずって帰ってきた。速やかに診察を受ける。
「大事をとってあと十日は安静にして下さい」
「え?でももう平気です。事後処理もあるでしょうしお手伝いを……」
「平気じゃない!手伝うな!食って寝てろー!」
「そうですよ。しっかり食べてゴロゴロしてなさい。この村の全員がそう願っていますよ」
「村の皆様の願い、ですか?」
お医者さんはにっこり笑った。
「皆、ゴブリンマスターを退治してくれた貴方たちに感謝しています。そして、それ以上に心配しています。しっかり回復してから顔を見せてやって下さい」
私の胸は熱くなり、安堵と喜びでいっぱいになった。涙がこぼれる。この村に来て、本当によかった。優しい方々ばかりだ。
「あとそれまで性交禁止です。ちょんぎりますからね。二人とも」
「「ヒッ!」」
グイドと共に股間を押さえて震えながら頷いた。
訂正。この村の方々は優しく、頼もしく、時にとても厳しいようだ。
◆◆◆◆◆
その後、たくさんの人がお見舞いとお祝いに来てくれた。中にはグイドとの結婚を泣いて祝福してくれる人たちもいて、ジンとした。
《いや、失恋の涙だよ。泣き叫んでいる奴もいたじゃん》
「俺もそう思う。レグレース、誰とも二人きりで会うなよ?」
「またまたー。二人とも大袈裟なんですから」
「レグレース……」
《駄目だこりゃ。花婿さん、頑張って》
風の精霊の言葉に、グイドは頷く。本来、オークであるグイドは精霊を見聞きできないが、この風の精霊だけは例外となった。
「任せてくれ。俺自身もレグレースを守りたいし、風の精霊には返しきれない恩がある」
「恩があるのは私です。風の精霊、貴方には本当に苦労をかけました」
私がゴブリンに攫われた時、風の精霊はセリオリス様たちを迎えに行く手筈になっていた。しかし、風の精霊は誰にも知らせずに向かう事ができなかった。
風の精霊はグイドに魔法をかけ、自身の姿と声を見聞きできるようにした。その上で私がゴブリンに攫われたことと、ゴブリンの向かう先が迷いの暗森であることと、私を見つけるための手段を教えてくれたのだ。
《あのままじゃレグレースが危なかったからね。まあ、僕が好きでやったから気にしなくていいよ》
ふふん。と、得意げに胸を張る風の精霊。風の精霊の行動がなければ、あそこまで早く解決しなかっただろう。おまけに隠しているが、かなり力を消耗して消滅しかかったのだ。
「毎日、花の露と魔石を用意しますね。これからもよろしくお願いします」
花についた朝露や夜露、魔石が発する光は風の精霊の好物だ。
「俺からも頼む。一緒にレグレースを守ろう」
風の精霊は少し頬を染め《仕方ないなあ。いいよ》と、言ってくれたのだった。
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