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第三章エルフ、オークの花嫁になる
エルフ、オークの花嫁になる【17】*
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そこは、曲がりくねった木々と闇に満ちた森だった。木の枝には鎖がくくりつけられ、鎖の先は全裸の男女の首輪に繋がっていた。
彼らは様々な種族で、出産するか犯されていた。
欲望を丸出しにして腰を振る奴らによって。
「ゴブリンがこんなに……それに、オークや人間まで襲いかかって……。この闇、まさか、ここは」
「クククッ。そうだ。ここは迷いの暗森だ」
しわがれた声。私は声のした方を向く。鎖が大きな音を立てて、ようやく彼らと同じ姿にされたことと、身体の異変に気づく。
服は奪われたらしく全裸だ。ゴブリン避けの匂い袋もない。そして、風の精霊もいなかった。
なにより魔力が体内を循環しない。魔法が使えなくなっている!
「この首輪!魔封じの首輪か!」
「その通りだ」
暗闇から声の主が姿を現す。旧い時代の魔術師らしい、ジャラジャラと魔石をつけた黒衣をまとっているのは、歪んだ笑みを浮かべるオークだった。私より一回り大きい身体から、禍々しく巨大な魔力を漂わせている。
このオークの男を私は知っている。つい先ほど古書で読んだ古の存在。六千五百二十二年前に討伐された邪悪な魔法使い!
「ゴブリンマスター!貴様は討伐されたはずだ!蘇ったのか?不可能なはず……まさか魂だけこの森で長らえていたのか!」
「察しがいいな。エルフというだけあって、多少は魔法の心得があるとみえる。その通り。我は死を克服したのだ!」
ゴブリンマスターは嬉々として語り出した。記録通り傲慢な自信家で、自己顕示欲が強いらしい。己の魔法について語れる者がいなかったのが不満だったのだろう。
長い自慢話をまとめるとこうだ。
ゴブリンマスターは討伐され死んだ。穢れ切った魂は、天に帰れず地の底に落ちるか、消滅するまで彷徨う。
ゴブリンマスターはそれを知っていた。だから死の間際、自らの魂に呪いをかけた。呪いで魂を迷いの暗森に縛り付けることで、地の底に落ちるか消滅する運命から免れたのだ。
だが、迷いの暗森から出れなくなったし、魂だけの存在では魔法も使えない。おまけに、ただ存在しているだけで魔力を消費してしまう。
魔力とは生命力の一つの形だ。魔力がなくなれば、やはり魂は消滅してしまう。ゴブリンマスターは、迷いの暗森に入り込んだ者たちの生命力を吸い上げることで、なんとか消滅を免れている状態だった。
「惨めで屈辱的な六千五百二十二年だった。しかし、二か月前に全てが報われたのだ」
久しぶりに迷いの暗森に逃げ込む者たちがいた。オーク、人間、ドワーフ合わせて三十人ほどだ。後でわかったが、討伐されそうになって逃げこんだ人狩りたちだった。
ゴブリンマスターは、いつものように生命力を吸い上げ、死体を森の養分にしようとして……気づいた。
その中の一人。オークの身体と相性がいいことを。ゴブリンマスターはオークの身体を乗っ取り、復活したのだった。
「魔王様がお隠れになってから、オークは弱体化してしまった。我の魂に耐えれるオークは此奴だけだったのだ」
ゴブリンマスターは、残った人狩りを洗脳して操り、沢山のゴブリンと人を攫わせた。
かつてのようにゴブリンを使役するためだ。
攫った人々をゴブリンの苗床とし個体数を増やし、また己たちの性欲処理に使った。
同時に生命力を吸い上げ、己の魔力に変換して蓄え続けたのだ。
「……しばらく大人しくしていたのは、ゴブリンの数を増やすためと、己の魔力を蓄えるためか」
「そうだ。充分な魔力さえあれば、かつてと同じ、いやそれ以上の魔法が使える。そのおかげで我が苗床よ。貴様をゴブリンに連れてこさせる事もできたという訳だ」
「お前の苗床に……やはりエルフを狙っていたのか。お前が乗り移るための、より強い身体を産ませるために」
ゴブリンマスターはいやらしく嗤い、黒衣を取り払った。
「っ!」
現れたのは、長大な陰茎だった。私の腕より太い。すでにそそり立っており、幹には無数の瘤と触手が蠢く。亀頭からは黄ばんだ液体が垂れ、てらてらと光った。
「ひ……く、くるな……!」
あまりの醜悪さ、悍ましさに身を引く。すぐ冷たくねじ曲がった木に当たる。もうこれ以上逃げれない!
「無駄な抵抗はやめるんだな。大人しく従えば、この肉棒で可愛がってやる」
「誰が従うか!来るな……うあっ!」
蹴り付けようと上げた私の足を誰かが掴んだ。ゴブリンだ。
「ゲキャキャ!」
「グキャキャキャ!」
「くそ!離せ!嫌だ!」
ゴブリンが群がり。私の身体にまとわりつく。そして悍ましいことに、腰を振って性器を擦り付け、精液をかける。
「うぐっ!生臭い!気持ち悪……!うぇっ!」
吐き気と恐怖で気が遠のきそうなのを、尖った爪の感触が正気に戻す。
「やめっ!やめろおお!」
ゴブリンの指が私の性器と肛門を弄りだしたのだ。なんとか逃れようと身を捩るが。
「くっくっく。無駄だ。お前は魔法が使えない。精霊も入ることも出来ない。身を捩っても我らを誘うばかりだ。ああ、懐かしい。かつても、美しいエルフたちを善がらせて孕ませたものだ。傲慢なエルフが涎を垂らし、我の肉棒に媚びる様を思い出すだけでいきり勃つ!」
ゴブリンマスターが私の脚を掴む。にちゃり。肉棒の触手が伸びて肛門をなぞる。
「ひいいっ!いや!いやだ!」
「ほう。少し熟れているな。己で弄ったか?それとも恋人でもいたか?己の指でも恋人でも満足できない身体にしてやろう。我が胤を身に受け、孕む栄誉をくれてやる!」
犯される!吐き気と嫌悪が最高潮になり、再び意識が遠ざかっていく。
なぜか、唐突に彼の顔を思い出した。今朝の、気まずそうな顔だ。
「ああ……こんなことなら、あの時」
ちゃんと顔を見て話しておけばよかった。抱いてもらえない理由も聞いていない。せめて名前を呼んでもらって、私も彼の名を……。
「離せ!嫌だああ!」
こんな形で、終わりたく無い。私は渾身の力を込めて暴れた。しかしやはり、拘束はビクともしない。
「私に触るな!嫌だ!グイドじゃないと嫌……!」
もう駄目だと思った瞬間、風を切る音がした。
「グギアアア!」
彼らは様々な種族で、出産するか犯されていた。
欲望を丸出しにして腰を振る奴らによって。
「ゴブリンがこんなに……それに、オークや人間まで襲いかかって……。この闇、まさか、ここは」
「クククッ。そうだ。ここは迷いの暗森だ」
しわがれた声。私は声のした方を向く。鎖が大きな音を立てて、ようやく彼らと同じ姿にされたことと、身体の異変に気づく。
服は奪われたらしく全裸だ。ゴブリン避けの匂い袋もない。そして、風の精霊もいなかった。
なにより魔力が体内を循環しない。魔法が使えなくなっている!
「この首輪!魔封じの首輪か!」
「その通りだ」
暗闇から声の主が姿を現す。旧い時代の魔術師らしい、ジャラジャラと魔石をつけた黒衣をまとっているのは、歪んだ笑みを浮かべるオークだった。私より一回り大きい身体から、禍々しく巨大な魔力を漂わせている。
このオークの男を私は知っている。つい先ほど古書で読んだ古の存在。六千五百二十二年前に討伐された邪悪な魔法使い!
「ゴブリンマスター!貴様は討伐されたはずだ!蘇ったのか?不可能なはず……まさか魂だけこの森で長らえていたのか!」
「察しがいいな。エルフというだけあって、多少は魔法の心得があるとみえる。その通り。我は死を克服したのだ!」
ゴブリンマスターは嬉々として語り出した。記録通り傲慢な自信家で、自己顕示欲が強いらしい。己の魔法について語れる者がいなかったのが不満だったのだろう。
長い自慢話をまとめるとこうだ。
ゴブリンマスターは討伐され死んだ。穢れ切った魂は、天に帰れず地の底に落ちるか、消滅するまで彷徨う。
ゴブリンマスターはそれを知っていた。だから死の間際、自らの魂に呪いをかけた。呪いで魂を迷いの暗森に縛り付けることで、地の底に落ちるか消滅する運命から免れたのだ。
だが、迷いの暗森から出れなくなったし、魂だけの存在では魔法も使えない。おまけに、ただ存在しているだけで魔力を消費してしまう。
魔力とは生命力の一つの形だ。魔力がなくなれば、やはり魂は消滅してしまう。ゴブリンマスターは、迷いの暗森に入り込んだ者たちの生命力を吸い上げることで、なんとか消滅を免れている状態だった。
「惨めで屈辱的な六千五百二十二年だった。しかし、二か月前に全てが報われたのだ」
久しぶりに迷いの暗森に逃げ込む者たちがいた。オーク、人間、ドワーフ合わせて三十人ほどだ。後でわかったが、討伐されそうになって逃げこんだ人狩りたちだった。
ゴブリンマスターは、いつものように生命力を吸い上げ、死体を森の養分にしようとして……気づいた。
その中の一人。オークの身体と相性がいいことを。ゴブリンマスターはオークの身体を乗っ取り、復活したのだった。
「魔王様がお隠れになってから、オークは弱体化してしまった。我の魂に耐えれるオークは此奴だけだったのだ」
ゴブリンマスターは、残った人狩りを洗脳して操り、沢山のゴブリンと人を攫わせた。
かつてのようにゴブリンを使役するためだ。
攫った人々をゴブリンの苗床とし個体数を増やし、また己たちの性欲処理に使った。
同時に生命力を吸い上げ、己の魔力に変換して蓄え続けたのだ。
「……しばらく大人しくしていたのは、ゴブリンの数を増やすためと、己の魔力を蓄えるためか」
「そうだ。充分な魔力さえあれば、かつてと同じ、いやそれ以上の魔法が使える。そのおかげで我が苗床よ。貴様をゴブリンに連れてこさせる事もできたという訳だ」
「お前の苗床に……やはりエルフを狙っていたのか。お前が乗り移るための、より強い身体を産ませるために」
ゴブリンマスターはいやらしく嗤い、黒衣を取り払った。
「っ!」
現れたのは、長大な陰茎だった。私の腕より太い。すでにそそり立っており、幹には無数の瘤と触手が蠢く。亀頭からは黄ばんだ液体が垂れ、てらてらと光った。
「ひ……く、くるな……!」
あまりの醜悪さ、悍ましさに身を引く。すぐ冷たくねじ曲がった木に当たる。もうこれ以上逃げれない!
「無駄な抵抗はやめるんだな。大人しく従えば、この肉棒で可愛がってやる」
「誰が従うか!来るな……うあっ!」
蹴り付けようと上げた私の足を誰かが掴んだ。ゴブリンだ。
「ゲキャキャ!」
「グキャキャキャ!」
「くそ!離せ!嫌だ!」
ゴブリンが群がり。私の身体にまとわりつく。そして悍ましいことに、腰を振って性器を擦り付け、精液をかける。
「うぐっ!生臭い!気持ち悪……!うぇっ!」
吐き気と恐怖で気が遠のきそうなのを、尖った爪の感触が正気に戻す。
「やめっ!やめろおお!」
ゴブリンの指が私の性器と肛門を弄りだしたのだ。なんとか逃れようと身を捩るが。
「くっくっく。無駄だ。お前は魔法が使えない。精霊も入ることも出来ない。身を捩っても我らを誘うばかりだ。ああ、懐かしい。かつても、美しいエルフたちを善がらせて孕ませたものだ。傲慢なエルフが涎を垂らし、我の肉棒に媚びる様を思い出すだけでいきり勃つ!」
ゴブリンマスターが私の脚を掴む。にちゃり。肉棒の触手が伸びて肛門をなぞる。
「ひいいっ!いや!いやだ!」
「ほう。少し熟れているな。己で弄ったか?それとも恋人でもいたか?己の指でも恋人でも満足できない身体にしてやろう。我が胤を身に受け、孕む栄誉をくれてやる!」
犯される!吐き気と嫌悪が最高潮になり、再び意識が遠ざかっていく。
なぜか、唐突に彼の顔を思い出した。今朝の、気まずそうな顔だ。
「ああ……こんなことなら、あの時」
ちゃんと顔を見て話しておけばよかった。抱いてもらえない理由も聞いていない。せめて名前を呼んでもらって、私も彼の名を……。
「離せ!嫌だああ!」
こんな形で、終わりたく無い。私は渾身の力を込めて暴れた。しかしやはり、拘束はビクともしない。
「私に触るな!嫌だ!グイドじゃないと嫌……!」
もう駄目だと思った瞬間、風を切る音がした。
「グギアアア!」
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