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第三章エルフ、オークの花嫁になる

エルフ、オークの花嫁になる【7】*

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 無事に故郷に帰ることができた。氏族長一家はとても喜んでくれて、たくさん報酬をくれた。けれど、彼らの笑顔と言葉の方が嬉しい。

「長旅ご苦労。無事に帰って来てくれてよかった」

「父上が色々言葉足らずで驚いたでしょう?」

「全くです。この人が貴方に無茶をさせたと聞いて、血の気が引きましたよ」

「母上ってば、父上がろくな説明が無いまま君を旅立たせたから、怒って父上をボコボコにしたんだよ」

 いや、ボコボコはお可哀想だと思ったけれど。
 それからは、いつも通りの単調な暮らしに戻った。相変わらず、エルフの血が薄い私は親兄弟たち周囲から蔑ろにされている。話しかけても無視されたり、本来自分たちがするはずの仕事を押し付けられたりする。だというのに、感謝の言葉の一つもない。
 我が家の家業は、錬成魔法を使っての魔石の生成および武器や宝飾品への加工。つまり職人仕事だ。かつては、父も工房で腕を振るっていたらしい。が、今は高貴な方々との社交に夢中だ。実際の作業全般を雑事と呼んで忌避している。商談とデザインだけが、純血に近いエルフである自分たちにふさわしい仕事だそうだ。

「何もかも足りないお前も、雑事だけはそれなりだな」

「それにしてもみっともない姿ね。貴方が私の子なんて何かの間違いとしか思えないわ」

「私を兄と思うなよ。成人後は早く家を出て何処ぞへ行くか、このまま職人として奉仕しろ」

 などと言われたりする。流石に腹が立つが、氏族長たちがたしなめてくれるのでそれ以上の事はされないし、職人たちは厳しいが私を蔑んだりしない。使用人たちも敬意をはらってくれているので、衣食住には困らない。成人するまでの我慢だと、反抗しなかった。それに、前よりも気にならなくなっていた。
 ……あの旅以来、身体を持て余すようになった事の方が問題だった。

「あっ……んんっ……あつぃ……」

 一月に一度か二度、私はおかしくなる。月が綺麗な夜であることが多い。大抵は、あの匂い袋を握りしめていると収まっていく。けれど時折、どうしようもない夜がくる。寝台の上、窓から入る月明かりを見ながら私は乱れる。

「んんっ……おちんちん、いたい。だせない……」

 身体が熱くなって、下腹と尻が疼いて、勃起する逸物をいくら扱いても射精出来なくて、泣いて悶えてしまう。

「こんなところで……かんじては……だめ……っ!」

 片手で匂い袋を握り、もう片手を身体の下へ……尻穴に指を入れて腰を揺らす。私の指は細いが、渇いていて固い。少し痛い。しかし、続けると私の尻穴は痛みの奥に隠れた快楽を拾い、わずかだが潤っていく。

「あっ!……はぁっ……!ふぅ……!」

 脳裏に浮かぶのは、あの日見たセリオリス様とオズマ様の激しい交尾と、あの優しいオークの子の顔。
 それらが混ざり合い、だんだんと、見知らぬオークが浮かんでくる。彼と私との、激しい交尾になっていく。

「きもひっ……!あぁっ!……っだん、な、さまぁ……!」

 妄想の存在とはいえ、オークの姿ははっきりしている。オズマ様よりも若い。青年だ。逞しくて、オークらしく険しい顔立ちだけど、優しい金色の目をしている。いつかどこかで会った気がするけれど、思い出そうとしても思い出せない。不自然に記憶に鍵がかかってる。
 彼は、私を強く抱きしめてくれる。飢えた尻穴をほぐして、奥まで貫いて種付けしてくれる。

「すきっ……!だんなさま、すきぃ……!」

 私は彼の花嫁として愛され、快楽を貪り果てる。逸物から申し訳程度の精液を垂らし、妄想の逞しい肉体を抱きしめながら。

「……はぁ……また、やってしまった……」

 終わった後、自己嫌悪と罪悪感と虚無感に苛まれるとわかっているのに、やめられない。
 妄想の旦那様が囁いてくれるのだ。

『レグレース、愛している』

 私が望んでやまない言葉を。
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