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第三章エルフ、オークの花嫁になる
エルフ、オークの花嫁になる【1】*
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【エルフ、オークの花嫁になる】本日から連載スタートします。同じ世界設定で、主人公たちが変わります。お馴染みの登場人物も出てくるのでよろしくお願いします。
◆◆◆◆◆
夜の森の中で、エルフはオークに出会った。
私は悟った。エルフとして生を受けて二百年。私は、この逞しいオークの青年に抱かれるために産まれたのだ。
「……会いたかった」
「私も……!」
私ははしたなくも抱きついた。彼も、私を抱きしめて……激しいキスをしてくれた。
初めてのキスなのに、互いの舌を絡み合わせ味わう。彼の分厚くて大きな舌が私の舌を絡め取り、唾液を塗り込むように愛撫する。
「くちゅ……!んっ……んぁっ……はぁん……!」
彼の唾液はどこか甘く、飲むと酒のような酩酊感があった。彼の唇は弾力があり、時おり触れる牙は滑らかで心地よい。私はますますキスに夢中になっていった。
「はぁっはぁ……。おいしぃ……もっとぉ……っ!」
すがりついて身体を密着させる。オークらしい、大きくて分厚い身体と雄臭い匂いを味わう。衣服ごしに彼の逸物の固さと熱さを感じた瞬間、全身を快感が貫いた。
「っ!~~っ!あうっ……!っ!」
私は身体を震わせ、射精した。エルフとして生を受け二百年。今までで一番気持ちのいい射精だった。
「ぁ……はぁ……。だ……んな、さま……」
私は余韻に浸りながら彼を見つめた。
「旦那様……」
「ああ、アンタは俺のだ……」
気持ちいい。金色の目に自分が写っていることがたまらなく幸せだ。けれど、もっと欲しいものがある。
「私を抱いて、貴方の花嫁にして下さい……」
金色の目が大きく見開かれ、次の瞬間。
「わー!駄目だ!俺はアンタを抱かねえ!!!ふん!!!」
バキャア!ドシャ!彼は自分の頭を自分でぶん殴り、倒れた。
「えっ?……えええええ!?だ、旦那様!しっかり!ーーー癒しの光よ!この者に降り注げ!ーーー」
私は発情していたのも忘れ、治癒魔法をかけまくった。
どうしてこうなったのか。まずはつい最近、ほんの二十年前の話から始めよう。
◆◆◆◆◆
私は青星国のエルフだ。名をレグレースと言う。
二十年前、秋の終わりにさしかかったある日のこと。私は氏族長に命じられた。
「国を出た息子の様子を見に行って欲しい」
とのことだった。居場所は精霊が案内してくれるという。
「妻に過保護は止めるよう言われているが、どうしてもセリオリスが心配なのだ。いや、無事で過ごしているのはわかっているのだが……」
氏族長は、恥じるように青葉色の目を伏せた。確かに過保護といえる。ご子息、セリオリス様は自らの意思で氏族から抜け、この青星国を出ているのだから。
「氏族長、あのセリオリス様ですよ。一人でドラゴンを狩る猛者です。心配いりませんよ」
エルフは長命で、豊かな魔力を持つ魔法の名手で、精霊たちと意思疎通でき、耳長く金髪緑目の美貌の持ち主である。そして、純血に近いほどそれらの特徴が強く【聖なる森】に立ち入ることが出来る。厳然とした血統主義だ。
我が氏族の中で最も純血に近いのが、氏族長とそのご家族だ。青星国を出たセリオリス様も、抜きん出た美貌を持つ魔法の名手。武術にも秀でているため武勇伝も多い。
「うむ。そなたの言う通りではあるのだが……」
とはいえ、純血ゆえに青星国外の土地や食べ物が合わない可能性がある。また、エルフは人狩りに狙われやすいとから危険だ。などと氏族長は主張する。
「とにかく、遠巻きにしか様子がわからないのが心配なのだ。精霊たちは一定以上近づくと追い払われてしまう。レグレースよ。そなたはセリオリスと気があっていた。そなたならば、追い出されることはなかろう。連れ戻す必要はないが、話をして何か困っていたら助けてやって欲しい」
私は少し迷った。私はエルフの血が薄い。髪は銀に近いし、目は薄い青だ。魔法も武術もエルフの中では不得手。精霊がいるとはいえ、一人で国外に出るのはためらわれた。
ただ、氏族長もそれはわかっていた。護衛に、普段は氏族長を守っている精霊を着けてくれるし、報酬は弾むという。
私はしばし悩んだ。何かと世話になっている氏族長を安心させたいし、セリオリス様に会いたい。
そして未知の世界への好奇心と、日常への鬱屈が私の心を突き動かす。
「かしこまりました。準備が整い次第、出発します」
結局、私は旅に出たのだった。
◆◆◆◆◆
次は本日17時9分ごろ更新です
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夜の森の中で、エルフはオークに出会った。
私は悟った。エルフとして生を受けて二百年。私は、この逞しいオークの青年に抱かれるために産まれたのだ。
「……会いたかった」
「私も……!」
私ははしたなくも抱きついた。彼も、私を抱きしめて……激しいキスをしてくれた。
初めてのキスなのに、互いの舌を絡み合わせ味わう。彼の分厚くて大きな舌が私の舌を絡め取り、唾液を塗り込むように愛撫する。
「くちゅ……!んっ……んぁっ……はぁん……!」
彼の唾液はどこか甘く、飲むと酒のような酩酊感があった。彼の唇は弾力があり、時おり触れる牙は滑らかで心地よい。私はますますキスに夢中になっていった。
「はぁっはぁ……。おいしぃ……もっとぉ……っ!」
すがりついて身体を密着させる。オークらしい、大きくて分厚い身体と雄臭い匂いを味わう。衣服ごしに彼の逸物の固さと熱さを感じた瞬間、全身を快感が貫いた。
「っ!~~っ!あうっ……!っ!」
私は身体を震わせ、射精した。エルフとして生を受け二百年。今までで一番気持ちのいい射精だった。
「ぁ……はぁ……。だ……んな、さま……」
私は余韻に浸りながら彼を見つめた。
「旦那様……」
「ああ、アンタは俺のだ……」
気持ちいい。金色の目に自分が写っていることがたまらなく幸せだ。けれど、もっと欲しいものがある。
「私を抱いて、貴方の花嫁にして下さい……」
金色の目が大きく見開かれ、次の瞬間。
「わー!駄目だ!俺はアンタを抱かねえ!!!ふん!!!」
バキャア!ドシャ!彼は自分の頭を自分でぶん殴り、倒れた。
「えっ?……えええええ!?だ、旦那様!しっかり!ーーー癒しの光よ!この者に降り注げ!ーーー」
私は発情していたのも忘れ、治癒魔法をかけまくった。
どうしてこうなったのか。まずはつい最近、ほんの二十年前の話から始めよう。
◆◆◆◆◆
私は青星国のエルフだ。名をレグレースと言う。
二十年前、秋の終わりにさしかかったある日のこと。私は氏族長に命じられた。
「国を出た息子の様子を見に行って欲しい」
とのことだった。居場所は精霊が案内してくれるという。
「妻に過保護は止めるよう言われているが、どうしてもセリオリスが心配なのだ。いや、無事で過ごしているのはわかっているのだが……」
氏族長は、恥じるように青葉色の目を伏せた。確かに過保護といえる。ご子息、セリオリス様は自らの意思で氏族から抜け、この青星国を出ているのだから。
「氏族長、あのセリオリス様ですよ。一人でドラゴンを狩る猛者です。心配いりませんよ」
エルフは長命で、豊かな魔力を持つ魔法の名手で、精霊たちと意思疎通でき、耳長く金髪緑目の美貌の持ち主である。そして、純血に近いほどそれらの特徴が強く【聖なる森】に立ち入ることが出来る。厳然とした血統主義だ。
我が氏族の中で最も純血に近いのが、氏族長とそのご家族だ。青星国を出たセリオリス様も、抜きん出た美貌を持つ魔法の名手。武術にも秀でているため武勇伝も多い。
「うむ。そなたの言う通りではあるのだが……」
とはいえ、純血ゆえに青星国外の土地や食べ物が合わない可能性がある。また、エルフは人狩りに狙われやすいとから危険だ。などと氏族長は主張する。
「とにかく、遠巻きにしか様子がわからないのが心配なのだ。精霊たちは一定以上近づくと追い払われてしまう。レグレースよ。そなたはセリオリスと気があっていた。そなたならば、追い出されることはなかろう。連れ戻す必要はないが、話をして何か困っていたら助けてやって欲しい」
私は少し迷った。私はエルフの血が薄い。髪は銀に近いし、目は薄い青だ。魔法も武術もエルフの中では不得手。精霊がいるとはいえ、一人で国外に出るのはためらわれた。
ただ、氏族長もそれはわかっていた。護衛に、普段は氏族長を守っている精霊を着けてくれるし、報酬は弾むという。
私はしばし悩んだ。何かと世話になっている氏族長を安心させたいし、セリオリス様に会いたい。
そして未知の世界への好奇心と、日常への鬱屈が私の心を突き動かす。
「かしこまりました。準備が整い次第、出発します」
結局、私は旅に出たのだった。
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