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第二章王太子、オークの花嫁になる
王太子、オークの花嫁になる【17】(第二章本編完。明日明後日は番外編の更新があります)
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「展開が早過ぎる!結婚して一週間ちょいじゃねえか!孕ませRTAってか!このむっつりすけべオーク!」
「話し合って決めたことだ!お前らと違って公務にも支障は出さない!文句言われる筋合いはねえよ!」
それを言われると痛い。ツカサは『ぐぬぬ。だって早くクオーンの子が欲しかったんだもん』と唸った。クオーンも少し気まずそうだ。
と、同時にある不安にかられた。
「シスル!このスケベ親父はこう言ってるけど、君は本当によかったのか?」
シスルは頭を下げた。
「ご心配をおかけして申し訳ありません。私の意志ですので、オグルを責めないでやって下さい。……その、は、早く孕みたかったのです」
前国王とシスルを持ち上げていた原点回帰派の残党はまだいる。彼らはシスルを再び利用しようとするだろう。しかし、オークであるオグルに孕まされたとあれば、利用価値は著しく下がる。オグルと引き離される可能性はほぼ無くなる。
「それだけでなく、その……オグルとの子を早く腕に抱きたかったので……」
気持ちはわかる。わかるので、ツカサは怒りをおさめてシスルの手を握った。
「わかった。俺は二人と二人の子供を祝福するよ。これからはママ友?いやパパ友?としても仲良くして欲しい」
「ママトモ?パパトモ?」
「えーと……。子供を産む者同士、仲良い友達になって欲しいってこと」
「王配陛下!願ってもないことです!」
シスルは緑色の目をキラキラさせ、手を握り返してくれた。
「ありがとう。あと、そんな畏まったり気を使わなくていいよ。親戚なんだし。私的な場では、呼び名もツカサがいいな。呼び捨てが抵抗あるならツカサ殿で!」
一気に場が和んだが、オグルはぶち壊した。
「そうだそうだ。コイツらの方が俺に迷惑かけてるんだから気にするな。こんな奴、発情期野郎でいい……ぐぇっ!」
喧嘩売ってんのか。言い返す前に、シスルがオグルの脇腹に鋭い拳を喰らわせた。速い。ツカサの目では追いきれない速さだった。
ツカサは『よく俺、シスルを殴って踏めたな』と、ゾッとした。
「オグル、訂正しろ。先ほどからツカサ殿に失礼すぎる」
「オグル叔父……お戯れがすぎますよ」
オグルはしばし脇腹をおさえていたが、ややあって顔を上げニヤリと笑った。
「悪かった。可愛い花嫁さんに叱られたくって余計なことを言った」
オグルはシスルの腰を意味ありげになでた。シスルはのぼせた顔でとろりと目を細めた。
「ばか……こんな……人前で……んっ……!ふぅ……!」
「いいじゃねえか。身内しか居ねえんだから。それに此処が寂しいだろ?後でたっぷりイかせてやるからな?」
オグルはシスルの尻を撫でたり揉だりする。このままここでおっ始めそうだ。
「よくねえよスケベ親父。なんか性格変わってないか?オグルって、身内だけの場ですらあからさまなことはしないし、言わなかったよな?」
素直な疑問だ。オグルはシスルを抱きしめながらニヤニヤしている。
「お前と一緒の理由だよ」
「は?」
「シスルがあんまり良い男だから、周りに見せつけて威嚇してるって言ってるんだ。やっとお前の気持ちがわかった。お前がぶっちゃけ話をするのは、俺たちや仕立て屋みたいなクオーンと接することがある奴の前だけだもんな?」
オグルはしたり顔で笑う。
「は?は、はああー?お、俺は別にそんなつもりじゃ!場を和ませたり親しみを感じやすくするために……わあっ!」
「ツカサ……!そうだったのか!なんといじましい!」
即座に反論したが、クオーンに抱きしめられ感激した顔で見つめられて何も言えなくなった。それに。
「これからは控えめにしろよ?俺たちみんな、ちゃーんとお前を認めてるんだからな。お前は公務も勉強もクオーンの花嫁としても、よくやってるってな」
オグルは口ではからかっているが、眼差しは優しい。
「ぐぬぬ……覚えていろよ」
「祝福してるのになんで恨まれるんだよ」
この後もしばらくグダグダやり取りして、オグルたちは退出した。
「ケッ!若い花嫁さんもらって浮かれやがって!……なあクオーン、そろそろ離してくれないか?披露宴行けないぞ?」
膝に乗せられた上に、ガッチリ腕を回されていて抜け出せない。
「駄目だ。君の不安がなくなるまでこのままでいる」
「不安じゃないってば……もう……いいけど」
完全にやり込められたが、これはこれで幸せだなと微笑んだ。
それはそうとして、シスルからオグルの恥ずかしいエピソード聞き出して揶揄ってやろう。
ツカサは固く誓ったが、後日シスルから聞き出そうとして意図がばれ、シスルからドチャクソ叱られたのだった。
めでたしめでたし
◆◆◆◆◆
二章本編完結
明日明後日は番外編を更新します。
その後、三章「エルフ、オークの花嫁になる」に続きます。
三章の更新は、もちろん11月09日(良いオークの日)からです。よろしくお願いします。
「話し合って決めたことだ!お前らと違って公務にも支障は出さない!文句言われる筋合いはねえよ!」
それを言われると痛い。ツカサは『ぐぬぬ。だって早くクオーンの子が欲しかったんだもん』と唸った。クオーンも少し気まずそうだ。
と、同時にある不安にかられた。
「シスル!このスケベ親父はこう言ってるけど、君は本当によかったのか?」
シスルは頭を下げた。
「ご心配をおかけして申し訳ありません。私の意志ですので、オグルを責めないでやって下さい。……その、は、早く孕みたかったのです」
前国王とシスルを持ち上げていた原点回帰派の残党はまだいる。彼らはシスルを再び利用しようとするだろう。しかし、オークであるオグルに孕まされたとあれば、利用価値は著しく下がる。オグルと引き離される可能性はほぼ無くなる。
「それだけでなく、その……オグルとの子を早く腕に抱きたかったので……」
気持ちはわかる。わかるので、ツカサは怒りをおさめてシスルの手を握った。
「わかった。俺は二人と二人の子供を祝福するよ。これからはママ友?いやパパ友?としても仲良くして欲しい」
「ママトモ?パパトモ?」
「えーと……。子供を産む者同士、仲良い友達になって欲しいってこと」
「王配陛下!願ってもないことです!」
シスルは緑色の目をキラキラさせ、手を握り返してくれた。
「ありがとう。あと、そんな畏まったり気を使わなくていいよ。親戚なんだし。私的な場では、呼び名もツカサがいいな。呼び捨てが抵抗あるならツカサ殿で!」
一気に場が和んだが、オグルはぶち壊した。
「そうだそうだ。コイツらの方が俺に迷惑かけてるんだから気にするな。こんな奴、発情期野郎でいい……ぐぇっ!」
喧嘩売ってんのか。言い返す前に、シスルがオグルの脇腹に鋭い拳を喰らわせた。速い。ツカサの目では追いきれない速さだった。
ツカサは『よく俺、シスルを殴って踏めたな』と、ゾッとした。
「オグル、訂正しろ。先ほどからツカサ殿に失礼すぎる」
「オグル叔父……お戯れがすぎますよ」
オグルはしばし脇腹をおさえていたが、ややあって顔を上げニヤリと笑った。
「悪かった。可愛い花嫁さんに叱られたくって余計なことを言った」
オグルはシスルの腰を意味ありげになでた。シスルはのぼせた顔でとろりと目を細めた。
「ばか……こんな……人前で……んっ……!ふぅ……!」
「いいじゃねえか。身内しか居ねえんだから。それに此処が寂しいだろ?後でたっぷりイかせてやるからな?」
オグルはシスルの尻を撫でたり揉だりする。このままここでおっ始めそうだ。
「よくねえよスケベ親父。なんか性格変わってないか?オグルって、身内だけの場ですらあからさまなことはしないし、言わなかったよな?」
素直な疑問だ。オグルはシスルを抱きしめながらニヤニヤしている。
「お前と一緒の理由だよ」
「は?」
「シスルがあんまり良い男だから、周りに見せつけて威嚇してるって言ってるんだ。やっとお前の気持ちがわかった。お前がぶっちゃけ話をするのは、俺たちや仕立て屋みたいなクオーンと接することがある奴の前だけだもんな?」
オグルはしたり顔で笑う。
「は?は、はああー?お、俺は別にそんなつもりじゃ!場を和ませたり親しみを感じやすくするために……わあっ!」
「ツカサ……!そうだったのか!なんといじましい!」
即座に反論したが、クオーンに抱きしめられ感激した顔で見つめられて何も言えなくなった。それに。
「これからは控えめにしろよ?俺たちみんな、ちゃーんとお前を認めてるんだからな。お前は公務も勉強もクオーンの花嫁としても、よくやってるってな」
オグルは口ではからかっているが、眼差しは優しい。
「ぐぬぬ……覚えていろよ」
「祝福してるのになんで恨まれるんだよ」
この後もしばらくグダグダやり取りして、オグルたちは退出した。
「ケッ!若い花嫁さんもらって浮かれやがって!……なあクオーン、そろそろ離してくれないか?披露宴行けないぞ?」
膝に乗せられた上に、ガッチリ腕を回されていて抜け出せない。
「駄目だ。君の不安がなくなるまでこのままでいる」
「不安じゃないってば……もう……いいけど」
完全にやり込められたが、これはこれで幸せだなと微笑んだ。
それはそうとして、シスルからオグルの恥ずかしいエピソード聞き出して揶揄ってやろう。
ツカサは固く誓ったが、後日シスルから聞き出そうとして意図がばれ、シスルからドチャクソ叱られたのだった。
めでたしめでたし
◆◆◆◆◆
二章本編完結
明日明後日は番外編を更新します。
その後、三章「エルフ、オークの花嫁になる」に続きます。
三章の更新は、もちろん11月09日(良いオークの日)からです。よろしくお願いします。
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