【四章完結】サラリーマン、オークの花嫁になる

花房いちご

文字の大きさ
上 下
16 / 96
第二章王太子、オークの花嫁になる

元サラリーマン、どすけべウェディングドレスを着る【10】

しおりを挟む
「ああ、そういう事もあるよな。一応、赤花国とは和解したことになってるもんなー。受け入れるしかないかな。クオーン、どう思う?」

 隣に座るクオーンにたずねた。

「早急に受け入れるべきだと考えている」

 発言した瞬間、臣下の何人かが覇気にあてられピャッと悲鳴を上げた。スルーして聞く。

「うん。理由は?」

 クオーンは少しだけ頬を染めた。かわいい。

「面倒事は早く済ませておきたい。……私は、君との結婚式を邪魔されたくないのだ」

「えっ好き。うん、わかった。さっさと受け入れてお帰り願おう。決める事なくなったし、いまから俺をめちゃくちゃに抱いて」

「ツカサ、こんな所で大胆なことを言ってはいけないよ……後でお仕置きしなければならないな」

 クオーンは俺を膝に乗せて服の上からいやらしく身体を撫で出した。俺はうっとりと身を寄せる。ああ、雄子宮がキュンキュンする。はやくしたい。御ちんぽ様ぺろぺろしゃぶって、雄子宮に子種注いで欲しい。俺は興奮して腰を揺らしてしまった。

「お前らいい加減にしろおおお!」

「オグル殿!落ち着いてください!新婚ですし仲睦まじいのは良いことですよ!」

「近衛騎士!押さえろ!オグル殿を謀反人にする訳にはいかん!」

「国王陛下もまだまだお若いからなあ……」

 俺たちは、外野の騒ぎを聞きながら夫夫の寝室に引っ込んで熱い夜を過ごしたのだった。
 致して片付けた後、寝物語代わりに赤花国の話をした。俺の知識に過不足がないか心配だったからだが、おおむね間違いはなかったようで安心した。
 ただ、クオーンたちも新国王アマリリスについてはほとんど知らないらしい。赤花国からの亡命者たちからも、ざっくりした情報しかない。

「わかっているのはこの程度だ」

 昔から、革新派と呼ばれる臣下から支持されていたこと。
 王位への野心を見せたことはなかったこと。
 聡明さと魔法の才能で名高いこと。
 この三つくらいだという。
 赤花国は人間ばかりが住むが、彼らのほとんどが魔法を使える。中でも王族は強力な魔法使いだという。

「間諜からの報告によれば、かなり特殊な魔法も使えるそうだ。それがあったからこそ、一人で宮殿を制圧することが出来たのだろう。後は王太子と同母妹で、十八歳だということくらいしかわからないな」

 情報を頭に叩き込みつつ、あることに気づく。

「魔法対策は念入りにしとかなくちゃな……ところで、前国王と一緒に俺を召喚しやがったクソ王太子はどうなったんだ?」

「そういえば、特に情報は入っていないな。前国王は幽閉されたらしいが……王太子も強力な魔法と剣の使い手だ。あれで人望もある。勝ち気な性格をしているし、妹に王位を簒奪されて黙っているとは思えないが……」

 なんだか嫌な予感がした。その予感は三日後に的中する。
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

幽閉王子は最強皇子に包まれる

皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。 表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。

転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい

翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。 それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん? 「え、俺何か、犬になってない?」 豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。 ※どんどん年齢は上がっていきます。 ※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。

飼われる側って案外良いらしい。

なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。 なんでも、向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。 「まあ何も変わらない、はず…」 ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。 ほんとに。ほんとうに。 紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22) ブラック企業で働く最下層の男。悪くない顔立ちをしているが、不摂生で見る影もない。 変化を嫌い、現状維持を好む。 タルア=ミース(347) 職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。 最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?

魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました

タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。 クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。 死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。 「ここは天国ではなく魔界です」 天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。 「至上様、私に接吻を」 「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」 何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?

名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。 そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________ ※ ・非王道気味 ・固定カプ予定は無い ・悲しい過去🐜のたまにシリアス ・話の流れが遅い

秘めやかな愛に守られて【目覚めたらそこは獣人国の男色用遊郭でした】

カミヤルイ
BL
目覚めたら、そこは獣人が住む異世界の遊郭だった── 十五歳のときに獣人世界に転移した毬也は、男色向け遊郭で下働きとして生活している。 下働き仲間で猫獣人の月華は転移した毬也を最初に見つけ、救ってくれた恩人で、獣人国では「ケダモノ」と呼ばれてつまはじき者である毬也のそばを離れず、いつも守ってくれる。 猫族だからかスキンシップは他人が呆れるほど密で独占欲も感じるが、家族の愛に飢えていた毬也は嬉しく、このまま変わらず一緒にいたいと思っていた。 だが年月が過ぎ、月華にも毬也にも男娼になる日がやってきて、二人の関係性に変化が生じ──── 独占欲が強いこっそり見守り獣人×純情な異世界転移少年の初恋を貫く物語。 表紙は「事故番の夫は僕を愛さない」に続いて、天宮叶さんです。 @amamiyakyo0217

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜

飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。 でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。 しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。 秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。 美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。 秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。

俺は触手の巣でママをしている!〜卵をいっぱい産んじゃうよ!〜

ミクリ21
BL
触手の巣で、触手達の卵を産卵する青年の話。

処理中です...